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プロフィール
コメント数 3885
性別 男性
年齢 53歳

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【製作国 : 日本 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
評価順123
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21.  赤ひげ どちらかというと私は以前からこの作品、やや苦手・・・。 3時間、やっぱり長いのです。そりゃあ気合いの入った、入りまくった作品ですけれども、ちょっと入り過ぎかと。ワンカットで撮影されたであろうシーンの、役者さんの異常なテンションの高さ。ついていくのがちょいと大変ですが、それで我々を引っ張るには、この(原作がそうだからとは言え)「連作短編集」のような構成は、不釣り合いでやや弱いような気が。同じく黒澤作品の『夢』ではワンカット10分を超えてしまいましたが(演技をいったん止めてフィルム交換したらしい。ってこれでワンカットの意味あるんだろうか?)、一方でハイビジョン使ったりと、作品自体に実験色があって、構成も完全にオムニバス形式で割り切ってましたよね。この『赤ひげ』の方は、もっと普遍的なヒューマニズムに裏打ちされた(されるべきであろう)作品にしては、ちょっと形式じみててギクシャクしてしまってる感じがします。山崎努のエピソードなど、延々と回想が語られるだけでなく、一部「回想の回想」まで入ってきて、この末期の緊張感の中、そんな演出までしなくても、と。 で、3時間、長い。長いのですが、一方でこれは意味のある長さでもあるのでしょう。反発していた若大将がいとも簡単に赤ひげになびいても嘘くさいし、なびかせんがために赤ひげが無駄にしゃべったり「いい人ぶり」を見せまくってもつまらない。エピソードを連ねるうちに徐々に心変わりしていく、それを自然に描くためには、この長さも一役を買ってるだろうし、そこを違和感なく見せたからこそ、終盤が近づくにつれての盛り上がりにもつながってます。[CS・衛星(邦画)] 7点(2017-04-02 22:31:29)《改行有》

22.  アポロ13 ロケット打ち上げシーンの特撮の見事さ、無重力シーンの驚き。さらにはエピソードなり脇役なりも的確に配置されていて、実際の事件を取り上げつつも解説調にならないようにうまく組み立てられていると思います。 でも。 こういう題材は実際のところ、解説調のドキュメンタリーの方が、さらに緊迫感があって盛り上がっちゃったりも、するんですね。 そういう意味で、この映画、節度をもってうまく組み立てられてはいても、肝心の、地球から離れた宇宙空間における孤独感、「もう地球には生きて戻れないのか」という絶望感というものを、果たしてどこまで表現できたか。 映画をコケオドシにはするまい、ということなのかも知れませんが、そのためにかえって、事件そのものの描き方がいささか表面的になっていて。本来ならこんなオソロシイ体験というものはそうそう無いはずなのに、その「恐怖感」を十分に伝えきれていないようにも思えます。もう少し我々を怖がらせてくれてもよいのでは。[DVD(吹替)] 7点(2017-03-28 23:45:46)《改行有》

23.  あん あんまり関係ないけど、2014年の米国版『ゴジラ』で、原発事故が発生する日本の町の名前が「ジャンジラ」とかいう、ほとんどあり得ないような地名で、ああこれは、絶対にどこの実在の地名も想起させないように、という配慮なんだろうなあ、と思ったのですが。 さて河瀬監督。いつも奈良のために尽力してくれていながら、私のような役立たずが奈良県民にいて、誠に申し訳ない限りなのですが、それはともかく、河瀬監督は、映画を撮る以上、どこが舞台なのか、はっきりと明示しましょう、ということなのか。奈良を舞台にした奈良土着の映画、ならともかくとして、奈良を離れた本作でも、最初の方こそ、土地勘のない私のような関西人にはわからないけれど、東村山という具体的な場所が、徐々に明らかになっていく。本作のように、差別を(しかもハンセン病という、構造的な差別を)描いた作品で、具体的な地名に取材するというのは、場合によってはその土地の人に「踏み絵を踏ませる」ということにもなりかねないのだけど、それでも、具体的な地名にこだわる。その「具体性」は、桜の木の季節による移り変わりの描写とも絡み合って、確かに我々に生々しく訴えてくる、「風情」以上のものを感じさせます。 ただ、プロの俳優に、演技ではないような演技をさせるというのが難しいところ。やはり演技は演技、そこに、ホンモノの元患者の「実際の」姿が重ね合わされる。絶対に埋められない「何か」が、その間にある。それを、どう捉えればよいのか。 永瀬正敏が全編にわたり、ボソボソしゃべっていて、これはラストでついに大きな声を出すところに繋がっているのだけど、「ああ、なるほどね」と思ってしまうその整合性が、すでに映画の持ち味を損なっているような気もしつつ。それでも樹木希林のこの配役は、何がどうあってもこうでなくてはね、というまさに一期一会、ではないかと。[CS・衛星(邦画)] 7点(2017-02-10 23:12:28)《改行有》

24.  赤穂浪士 東映10周年記念、あまりにもオールスター過ぎる豪華時代劇。オープンセットでの群衆シーンに、壮麗なスタジオセット、そこに次から次に出てくるスターたち。いやまあ冒頭で配役がクレジットされてはいるのですが、誰が何の役か到底覚えきれない人数なので、いつ誰がどんな形で出てくるか、という楽しみがあります。ただ、人数集めすぎて、もはや役の方が足りないような・・・(って、そんな訳はないのですが)。 というくらい、色々と人物が登場して、大友柳太朗が重要な役かと思いきや中途半端な脇役に回ってしまったり、十四郎サマがその好敵手かと思いきやさらに影が薄くなってしまったり、錦之助の役なんていっそ登場しなくてもよかったんじゃないかと思うくらいなんですが。でもこういう必要なのか不必要なのかわからん登場人物がウヨウヨ出てきてストーリーの節々に絡んでくるのが、オールスター映画の楽しいところ。それにしても錦之助&賀津雄兄弟、似すぎ。 最初の1時間ほどは、そういうよくわからんキャラクターを登場させつつも、橋蔵演じる「出木なさ杉クン」こと浅野内匠頭の刃傷沙汰から切腹までが描かれます。そこからは、右太衛門や千恵蔵が気合いの演技をみせまくる、おっさんタイム。気合いが入れば入るほど、セリフが聞き取りにくくなっていき、何言ってるのかよくわからん千恵蔵を囲んで藩士たちが号泣しているのを見てると、ちょっと取り残された気分にもなりますが、いいんです、あくまで雰囲気、雰囲気。 さて、「赤穂浪士」という割には、大石親子以外の人たちの出番が妙に少なく、せいぜい目立つのは片岡源五右衛門くらい、というのがちょっと珍しいですかね。堀部安兵衛ももっともらしく出てきた割に活躍しない。東千代之介より山形勲、というわけです。 ということで、個々の浪士のこれというエピソードもないまま、浪士以外の登場人物が入れ代わり立ち代わり物語に絡みながら、気がついたら討ち入り、となりますが、若手(あくまで当時)とベテランのスターが散りばめられる楽しみに、豪華なセット、松の廊下などでカメラが横方向に動くとちょっと舞台の雰囲気なんかもあったりして。討ち入りの日の雪の描写なんかもいいですね。 ただ、全編を通じ、「泣く」場面が多すぎるかな、という気も。あまり涙を乱発すると、ここぞ、という盛り上がりが弱くなってしまいます。[CS・衛星(邦画)] 7点(2017-01-15 09:05:20)(良:1票) 《改行有》

25.  赤垣源蔵 忠臣蔵モノの一本。主君の仇討ちに立ち上がることもなく、長屋で呑んだくれている赤垣源蔵、その彼を取り巻く人々が描かれます。 討ち入りの場面も終盤に少しだけ描かれますが、作中の大半、主人公はグータラ状態。その代わりと言っては何ですが、映画中盤に、仲間の浪士を助けて源蔵が立ち上がり、海岸を舞台に目の覚めるようなチャンバラを繰り広げる場面があります。 無論、ただ呑んだくれている訳ではなく、討ち入りの日まで身を潜めるためのものですが、そんな事を理解してくれるのは忠臣蔵ファンくらいのもんで、周りの人間にとってはあずかり知らぬこと。自分を慕ってくれる女性はヨソへ嫁いでしまい、兄家族にも疎んじられる。しかし源蔵は言いたい事もグッとこらえ、ただ耐える。耐えてナンボの忠臣蔵、だから耐えねばならぬ。 討ち入り前夜、一目逢っておきたかった兄を訪れるも不在、という「徳利の別れ」のエピソードが本作の中軸となりますが、弟に逢いそびれた兄の、弟への想いが切々と語られる場面が、見せ場になっていて、愁嘆場を演じることなく、あくまで節度ある演技と演出でこれだけの情感を出している。口うるさい忠臣蔵ファンでもご満足いただけますことでしょう。ラストシーンは、『モロッコ』の影響を受けているような、いないような。 それにしてもこういうお話に触れていると、要するに人間、自分が他人に理解されないことを嘆いているようでは、ダメなのね。だって、そんな「他人からの理解」など元々、あり得ないのだから。「理解」ではなく、「情」が、自分と他者との接点、なんですね。[CS・衛星(邦画)] 8点(2016-10-27 12:48:09)《改行有》

26.  あぶない刑事 テレビシリーズやってた頃、こういうケーハクなノリが嫌いで嫌いで。きっと心が狭かったんですね。いや今でも大して広くはないけど。 ここには、リアリティなんてものはカケラもなくって、ストーリーも有って無いようなもの。だからこその、何にも縛られない自由。もう、好き勝手に、自分達の世界を作り上げる。 バカバカしい世界。それを、柴田恭兵と舘ひろしが、体を張り、いちいちポーズをキメてみせる。ならばカメラだってしっかりキメてみせ、スーパーマーケットに入ってくるシーンなんて、なかなかのカッコよさではないですか。 という訳で、何かと愉快ではあるのですが、すみません、やっぱり若干、胃もたれが。[CS・衛星(邦画)] 6点(2016-06-30 21:03:22)《改行有》

27.  網走番外地 吹雪の斗争 これは人権蹂躙だ~ などと、こういう作品を観て怒る人もさすがにいないでしょうけれど、劣悪この上ない刑務所の中に放り込まれた、42号こと健さん。やがて脱獄するも、道中、妙な連中に出くわし、彼らのダイヤ強奪計画に巻き込まれていく。とは言っても、健さんには健さんなりの、ある目的があり、前半の刑務所のエピソードがちゃんと後半に繋がっていくんですけれども、いやそれはよくわかるんですけれども、それでもなーんか、気持ちの上で前半と後半がつながらないんです、あの前半に対して後半どうしてこうなっちゃうの、と。それを言い出すと、さらに終盤の雪原における逃走劇、これこそどうしてこうなっちゃうのか。西部劇のごとく、疾走する馬、銃撃戦、果てはダイナマイトまで持ち出し、爆発でバラバラになっちゃうヤツまで出る始末(しかもこういう場面がフツーの出来事であるかのようにサラッと描かれるのが・・・)。突拍子もなくって、もーついていけません。この堂々たる暴走ぶりが、スバラシイんですね。いちいち真面目にとらえていては、それこそ「頭がもつれちゃう(by42号)」。オハナシとしての「つながり」は、映画を暴走させるための手段であり、我々はその暴走に身を任せていれば、ラストの『夕陽のガンマン』を彷彿とさせる対決へと、ちゃんと連れて行ってくれるのだから。 惜しむらくは、タイトルに「吹雪の」とあるのですが・・・撮影期間中にうまく吹雪かなかったんですかね。[CS・衛星(邦画)] 7点(2015-12-13 08:07:35)《改行有》

28.  アウトレイジ ビヨンド 前作に比べると、良くも悪くも「まとまった」印象。前作の物語が、どこへ転がっていくのか、どこまで転がっていくのかわからない動的な面白さを持っていたのに比べると、本作は、何人かの人物の転落の姿にフォーカスした物語で、バイオレンスではあっても静的なものが感じられます。なので、物語の意外性、という意味では、前作よりも大人しいかな、と思いきや。ラストに至って、それはこの結末の意外性を際立たせるための布石であったか、と思わされます。なるほどそうきたか、と。前作では主人公・大友が、のっぴきならない立場の中で彼自身も事態をかき回す存在の一人であったのに比べると、今回の彼は、事態から離れようとし見守ろうとする立場なんだけれども、事態の方が自ら崩壊を起こしながら彼を追いかけてくる。その原動力となるのが、中野英雄のスゴミであったり、加瀬亮のキレっぷりであったりするのでしょうけれど、それを上回るのが何といっても小日向文世のメフィストフェレスっぷり、ですわな。何考えているかわからない人が、一番コワい人、という訳で。[CS・衛星(邦画)] 8点(2015-09-05 14:55:18)

29.  アウトレイジ(2010) 「悪人」をこれでもかと登場させ(と言っても、悪人かどうかはともかくとしてとりあえずコワイ人、ってのもいれば、怖そうじゃないけどとりあえず悪人、って人もいるけど)、その各人をこれだけ豊かに描き分けるってのは、やっぱりスゴいと思いますし、実際、登場人物それぞれが活き活きと存在感を示しているのが作品のオモシロさに直結しています。善人は一種類しかいないけど悪人は無数に存在する、ってなところでしょうか。ただ、登場人物が見事にバラエティに富んではいるのですが、基本的に活躍するのは「オッサン」が多くって、若いチンピラは彼らの引き立て役になっちゃってる感があります。もう少し若者にも存在感を与えて、世代間の対比なども入れられたら、とも思わないでもないのですが、とりあえず本作は「オッサン」の映画、昨今の企業でもよく見られるダメ組織の中の、「オッサン」たちの人間模様。[CS・衛星(邦画)] 8点(2015-07-14 21:27:57)

30.  網走番外地 望郷篇 《ネタバレ》 健さん演じる主人公・橘真一が、長崎に帰ってきた。そこでは、安井組が幅を利かせ、旭組を圧迫しているが、安井組組長は、かつて橘がヒットマンとして襲撃しケガをさせた、因縁の相手。で、旭組を取りまとめることになった橘と、いやがらせを繰り返す安井組との対決、と相成る訳ですが。旭組の元に舞い込んだ、港での荷降ろしのビッグプロジェクト、この仕事をやり遂げるためには何とか人手を集めたいが、安井組の脅迫のため、なかなか人が集まらない。荷降ろしの日は近づいてくる、さてどうするか。→→→ここでまさかの展開、何と、邦衛さんを先頭に、網走仲間のポンコツ軍団アバシリーズ(仮称)が、健さんのために一肌脱ごうと、ここに集結。え~~~、そういう「トホホだけどちょっとエエ話」系の作品だったのか、これは。トホホホホ。な~んか、「大草原の小さな家」あたりで登場しそうなほのぼのとしたエピソードですよねえ、これでポンコツ軍団でさえ無ければ。しかしここで登場する、お祭りを背景にした臨場感たっぷりのシーンが見事で、ヤケに盛り上がったり。で、無事、荷降ろしの仕事をやり遂げるも、安井組の怒りも頂点に達し、その怒りたるや、任侠モノへと映画の路線をさらに変更させてしまう。もう何でもあり。だけど、冒頭から引っ張ってきたハーフの少女(途中まで少年だと思ってたぞ)との関係をここで絡めたり、クライマックスの殴り込みも、斬りまくりの大殺戮ではなく、ライバルの殺し屋(変です)との関係に絞って行ったり、映画は意外な纏まりを見せて、やっぱりコレ、なかなかよく出来た作品だったりしちゃうのでした。 なお、あの変な殺し屋の末裔が、カウリスマキの『コントラクト・キラー』なのではないかと。[CS・衛星(邦画)] 8点(2014-06-09 23:22:10)

31.  網走番外地(1965) これぞまさしく男泣き。破れかぶれになりそうな健さんを、丹波が、そしてアラカンが、何とか食い止める。しかしその歯止めをついに突破してしまった時、男はどこまでも破れかぶれになる。そうならざるを、得ない。その破れかぶれ具合が、暴走するトロッコとして、あるいは迫りくる機関車として、執拗に描かれる。そしてその先のどうしようもなくなった最後の最後に、自暴自棄になりかけた男を食い止める、究極の一言。いやあ、みんな、孤独なんだ。寂しいんだあ。[CS・衛星(邦画)] 10点(2014-06-04 22:43:52)

32.  悪魔の手毬唄(1977) 《ネタバレ》 横溝正史と言いますと、何と言っても「獄門島」。俳句の通りに見立てられた3つの殺人、そこには様々なトリックが凝らされていて、まあ実に見事ですね。それから10年ほどして発表された「悪魔の手毬歌」で、歌詞通りの殺人というテーマがまた取り上げられますが、さすがにそこまでトリック三昧な内容ではなく、どうしても二番煎じの印象が拭えません。それでも「なぜそんなところにサンショウウオがいたのか?」といった魅力的な謎を提供しているのは、さすが、ですが。それに、3つの殺人というところまで「獄門島」と同じなのは、いわば作品自体が「獄門島」に対する見立て、とでも言いますか、一種の目くらましなのかも知れません。で、それを映画化した本作、市川&石坂シリーズでは犬神家に続く、第2作です。一にもニにも、古民家のもつ侘び寂びの雰囲気が、懐かしいようなコワイような感じがして、いいんですね。ですが、被害者でもあり容疑者でもある登場人物たちを、犬神家ほどうまくは描き切れていない気もします。登場人物の印象が薄いせいで、発生する殺人事件のインパクトも薄くなる(極端に言えば、「今回殺されたオマエ、誰だっけ?」とツッコミたくなる)。その分、若山富三郎演じる磯川警部に映画の力点が置かれることにもなるのですが…。あるいはこの、オドロオドロしい「悪魔の手毬唄」というタイトルをミスディレクションに使って、それとは正反対のロマンスを描こうとしたのがこの作品、なのかもしれません。[CS・衛星(邦画)] 6点(2014-04-13 10:07:35)

33.  悪名(1961) 《ネタバレ》 シリーズ第1作、朝吉が“悪名”をとどろかす前のオハナシ。まだまだ駆け出しのチンピラで、ブラブラしては女性に手を出す、まさに若気の至り。女性に手が早いという点を除くと、喧嘩がやたら強いとか酒が飲めないとか、何だか「じゃりン子チエ」のテツみたいですが、そういう目で見ると、“シルクハットの親分”って、ちょっと地獄組のボスを連想させますな。いや似てる訳じゃないんですけれど、この妖怪的なキャラが、「じゃりン子チエ」の世界と繋がっていて、その白眉が、2000人の部下を引き連れているという女親分イト。演じるは浪花千栄子さんですから、『宮本武蔵』のオババ並みにコワイ。という訳で、狭い世界に生きてきた朝吉青年の成長譚であり冒険譚、モートルの貞という舎弟ができ、誘拐された遊女の救出のため妖怪キャラが闊歩する因島へと乗り込む。そして、(後の作品ならクライマックスで相手を殴るのは朝吉の役目なのだけれど)因島の女親分にタコ殴りにされるという痛い洗礼を受ける。というのは要するにアレですな、“ナントカ族の成人式”でバンジージャンプしたりするのと同じ、一種の通過儀礼ですな。そういうホロ苦い、お話。[CS・衛星(邦画)] 8点(2014-01-21 23:58:44)

34.  赤い夕陽の渡り鳥 例によって素晴らしいロケーションの中を馬に乗って行く小林旭、例によって宍戸錠との遭遇があり、例によって地上げ屋みたいな連中に困らされている人々がおり。背景はとにかく絶景、やっぱり渡り鳥シリーズ最高。と言いたいところですが、小林旭演じるところの主人公・滝伸次、冒頭の子供を救出する場面での大ジャンプはカッコよかったものの、イマイチ見せ場が少ない。誰かが危機に陥るたびに都合よく馬に乗って助けに現れるのが、何だか判で押したような感じがして、もう少し変化をつけられないものかと。その分、宍戸錠が頑張る(オーバーアクションな演技は観てて若干疲れるけど)。無精ヒゲ生やしてると、気味が悪いほど宍戸開に似てますな。さらに盛り上げるのは、殺し屋のジミー。これ以上無いくらいに殺し屋っぽいイデタチをしておりますが、仕事に差し支えないのでしょうか。という訳で、やや盛り上がりに欠ける(笑)のですが、それでも何でも、とにかくロケが素晴らしいのです。これだけ風光明媚だと、崖を転落する自動車の姿も映えて、実に見事、「中に乗っていた主人公がなぜ無事だったか」なんてこともまるで気になりません(笑)。さあ、景色を楽しみましょう。[CS・衛星(邦画)] 6点(2013-11-26 22:56:52)

35.  悪名一番勝負 田宮二郎がモメごと起こして出演できなくなりました~。というこの時点で、この『悪名』シリーズも終わってるのね。だから本作、すでに番外編っぽい印象、ついでに脚本・監督にマキノ雅弘が登場、これは我々への大きなプレゼント。田宮二郎の抜けた穴は、ちゃっかり甥の津川雅彦で補ってしまう。そんでもって、すでに殆ど寅さんと化していた本シリーズを、任侠モノ路線に引き戻し(ラストではドスを振り回す朝吉親分)、ついでに数多くの様々な途上人物の悲哀を盛り込んで、市井モノの一面も。しかし、前作までのまるでファミリー路線のようなホノボノした雰囲気を思うと、本作、急に密度の高いムツカシイお話になったわねえ、と(思えば寅さんシリーズってのは初期の一部を除き同一監督で撮り続けられ、あれはあれで実に幸せなシリーズだったよなあ、と)。本作、趣向が変わったのはいいけれど、朝吉親分の影がやや薄い(敵方の密談ばかりが描かれる印象アリ)のがちと残念。いや、それだけに、ひとり倒れふたり倒れた後についに朝吉親分が敵地へ乗り込むクライマックスが盛り上がるのです……ですが、その直前のおりんとの絡みが、ちょっとアッサリし過ぎかな。一番おいしい役は、どう考えても、田村高廣。[CS・衛星(邦画)] 7点(2013-08-05 23:18:14)

36.  悪名十八番 今回のオハナシは、市会議員に立候補した朝吉親分のお兄さんと、対立候補との戦いを描きます。……って、なんちゅうスケールの小さいオハナシなんでしょうか。せめてせめて“市長”の聴き間違いではないか、と耳を疑ったのですが、“市会議員”、ですってさ。市議選だの、近所の相撲大会だの、そういうレベルで、命を狙ったり狙われたり。大変ですなあ。今回の朝吉親分、親分らしさを発揮することもなく、ただの相撲の強いチンピラオヤジみたいな感じですが、妙に、大食いという部分が強調して描かれており、勝新の見事な食べっぷり(だけ)が本作の見所でもあります。カレーライスをあまりにもおいしそうにガッついていたもんで、本作を観た昨日の晩御飯は我が家もカレーにしました、ハイ。[CS・衛星(邦画)] 4点(2013-06-16 08:46:24)

37.  悪名桜 こういうシリーズものを観ておりますと、作り手の側としてはマンネリ路線の中にも多少の変化を、と趣向を凝らしたりするところなのでしょうけれど、観る側にはそれが結構気になる変化だったりもします。このシリーズは、「悪名」と言いながら実際はまるで聖人のようなイイ人、しかも腕っ節は滅法強い、という朝吉親分が、悪を懲らしめるオハナシ。悪を懲らしめると言っても、単なる鉄拳制裁だったりする訳ですね。世の中がよくなったのやらならなかったのやらよく判らなくても、観てる我々はとりあえず溜飲を下げる。とにかく、“任侠界の出来杉クンこと朝吉親分の悪者退治”ですから、いわばここで描かれているのは一種のユートピア。ところが本作、ちょっと感じが違う。まずそもそも、朝吉親分はいきなりカタギの商売人になっている。「八尾の朝吉」という“悪名”も本作ではあまり通じない。親の死に目に逢えなかった悔恨より、とあるチンピラを更生させようとするも、殆ど空振りで救いも無く。ユートピアとしての本シリーズを感じさせないまま、やるせない怒りをぶちまけるように、ヤケクソのように、クライマックスの殴り込みへ突入しますが、それとて、敵役の藤岡豚也じゃなかった琢也に「自分たちを倒してもまた別の連中がのさばるだけ」と捨てゼリフを吐かれてしまう訳で。シリーズ中の異色作と呼ぶほど異色ではありませんが(正直、マンネリですが)、ちょっとひっかかる作品ではあります。[CS・衛星(邦画)] 7点(2013-04-30 13:31:33)

38.  赤い影法師 木暮実千代姉のワキ毛が目に眩しい忍者映画。服部半蔵やら柳生十兵衛やら、時代劇超お馴染みキャラ続々登場の中で、「影」として生きる名もなき忍者母子の生き様が描かれます(しかしその母子に「名もなき行きずりの男」呼ばわりされてしまう服部半蔵。直後に写る近衛十四郎の珍妙な表情が余りにもナイスで笑っちゃう)。将軍家光の前で行われる剣術の御前試合、これが仰々しく開始される割には、柳生宗矩ら審判役が妙なところで「勝負あり」と試合を早々に止めてしまい、素人目にはわかりにくい達人の世界と言えばそうかも知れないけれど、やや茶番じみた試合。その勝者には将軍よいご褒美の剣が与えられるのだけど、剣を持ちかえる勝者が帰宅途中に何者かに襲われ、剣を折られて切っ先を盗まれる、という怪事件が起こる。犯人は例の「影」の母子。その狙いは? そして母子と、彼らを取り巻く者たち――母子と因縁深き服部半蔵、あるいは「影」との再勝負を望み彼らの跡を追う柳生十兵衛――との運命はいかに? ってなオハナシな訳ですが。「影」として生まれ、類まれな剣の腕を持ちながら表世界では光を浴びることもない忍者の青年が、表世界の剣士たちに戦いを挑んでいくあたり、ワクワクさせるものがありますし、大友柳太朗演じる柳生十兵衛のいかにも浮世離れした感じもいい味出してます(「これが火遁の術かあ」などとひたすら大声で独り言をつぶやく、変なヒト)。「影」の暗い運命を描きつつも、暗さよりは痛快さがまさった娯楽作品となっているのは、やはり筋立ての上手さでしょうか。そしてキャストの豪華さも。[CS・衛星(邦画)] 8点(2013-04-11 23:28:52)

39.  悪名無敵 《ネタバレ》 街で見かけた家出娘を案ずる朝吉と清次が、例によって例のごとくズブズブと首を突っ込んで、ついには売春組織へ戦いを挑む、というオハナシなのですが、奥が浅いのやら深いのやら、どうもつかみどころがないのです。何だか妙なオハナシ。朝吉が二人の女性を組織から逃がす一方で、清次は組織に捕まってしまい、リンチを受ける。ってか、普通なら清次は助からないところ。簀巻きに重しつけられて大阪湾に沈められるところでしょう。ところがその頃、朝吉親分は暢気に温泉につかってたりする。映画は清次の安否などそっちのけで進みますが、それもそのはず、清次は殺されるどころか、組織の一員にちゃっかり収まってたりする。だもんで、ついに朝吉と清次が再会を果たしても、「お互い、よくぞ生きていた」みたいな感動も一切無いんですね。これじゃ何のために清次のリンチシーンを描いたのやら、さっぱりわからない。売春組織に関わる女親分役の藤村志保、朝吉に微妙な感情を示す場面はあるものの、まったくデリカシーの無い朝吉は、大暴れに暴れて組織に制裁を加え、女親分にも制裁を加え、物語を単なる勧善懲悪へと変えてしまいます。これじゃ一体、何のために女親分を「ちょっと訳ありキャラ」に描いて見せたのやら。朝吉の驚くべき単細胞ぶりが、あらゆる物語の伏線を破壊しつくす、身もフタもない変テコな作品でした。うん、確かにコレ、“無敵”には違いない。[CS・衛星(邦画)] 5点(2013-03-21 23:26:12)

40.  悪名一番 感動的な作品ですよ、これは。今回、朝吉親分と清次のコンビが向うのは、大都会・東京。八尾ではそれなりに知られた存在の朝吉親分も、ここでは完全に田舎者扱い。いや、田舎者以前に、見た目といい、言動といい、時代錯誤も甚だしく、チャラチャラした清次の方がよほど進歩的。都度、朝吉親分にたしなめられる清次、しかし靖国神社でついに二人は決裂。とってつけたように靖国神社の英霊の前で号泣する朝吉親分には、清次ならずともア然とするところ、しかし朝吉はそれが気に食わず、大ゲンカになってしまう。まあ要するに、朝吉親分、都会からも、時代からも、ちょっと“浮いた”存在な訳ですね。それでも自らに忠実に、愚直に突き進む朝吉親分、その一方で清次は清次なりに活動を開始する。清次の活躍が見どころです。で、クライマックス。敵の事務所に監禁された清次の救出のため、殴り込みをかける朝吉とニセ朝吉ニセ清次。すさまじいばかりの格闘シーンが続きます。そして、リンチでズタボロになった顔の清次が、朝吉と言葉を交わす時。どうしてこんなにダサいシーンなのに、感動しちゃうんですかねえ。スバラシイです。[CS・衛星(邦画)] 9点(2013-03-05 20:49:05)

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