|
プロフィール |
コメント数 |
250 |
性別 |
男性 |
自己紹介 |
サンボリズムとリアリズムのバランスのとれた作品が好きです。 評価はもちろん主観です。 評価基準 各2点ずつで計10点 1.物語の内容・映像にリアリティを感じるか? 2.視覚的に何かを象徴できているか? 3.プロットの構成は適切か? 4.画面に映る動き・台詞や音にリズム感があるか? 5.作品のテーマに普遍性はあるか? |
|
1. 渇水
いかにもかわいそうでしょう?かわいらしいでしょう?という姉妹を出してくるのがあざといなあと感じます。これも台詞で全部説明しちゃうタイプの日本映画です、これじゃテレビドラマレベルの演出です。全体としてのんびりダラダラ展開するので深刻さは感じられません。姉妹も貧しくても楽しそうにしていますので実際そこまで深刻に受け取るような話ではないのかもしれません。葛藤が描かれているようであからさまにこいつは気に食わない俗物ですという見せ方を平気でやります。そもそも渇水と水道料金未払いって直接関係している問題ではないはずなのですが、なぜか混同してはいないでしょうか。もし渇水時にこういう問題が起きうる制度上の問題があるならそれを詳細に説明するべきなのに、その辺りが終始曖昧で個人的な悩み以上に問題意識が広がりません。もうちょっと個人の感情じゃなく社会の理性に訴える部分が必要です。下手すればこれではただの公務員叩きにしかならない恐れもあります。描きたいテーマの芯が定まっておらずとにかく薄味の内容でした。子供が万引きするシチュエーションがまた出てきたのにはこの手の日本映画の表現の引き出しの少なさを憂いたくもなります。[インターネット(邦画)] 3点(2023-10-01 23:54:56)
2. 学校の怪談
この頃からセブンイレブンってあったんですね。有名なシリーズなのでなんとなく見た気になってたのですが、記憶に残っているシーンが全くありませんでした。実は一度も見たことがなかったのか、あるいはそれだけ印象が薄い作品でしかなかったのか。平山秀幸も奥寺佐渡子も大人向けドラマもイケる人材なのに深いテーマや学校や家庭のドラマが描かれるわけでもなく、登場人物にこれといった目標もなく脈絡も統一感もない妖怪が出てくるだけの単純な内容です。セミの鳴き声や古い校舎がノスタルジーを刺激しなくもないのですが、今更90年代の作品を子供の視点を想定して評価しても仕方ないので素直につまんないと言っておきます。しかしこういう最低限映画の雰囲気が作り込まれた子供向けの実写作品は今でも作られてほしいとは思います、悲しいことに需要はないのでしょうけど…。[DVD(邦画)] 4点(2023-07-18 23:09:52)
3. 怪物(2023)
近藤龍人の撮影は素晴らしいです。安藤サクラと永山瑛太が豪雨の中窓の泥を拭いとる様子を電車の内側から見せるショットはまるで墨絵のように見える効果があり斬新な造形だと思いました。直接関係はないかもしれませんが黒澤明が七人の侍で雨に墨汁を混ぜたというエピソードを思い出しました。しかし結局のところその撮影もただ美しい画というだけで何かの象徴として効果的に使われているわけではありません。湖だけを映したショットが何度か挿入されますが、場面の区切りとして機能しているだけです。湖の近くの町と学校という舞台設定には美しくそしてノスタルジックでもあること以上の意味がありません。作品のテーマは善意としての行動が結果として他者を追い詰めることにもなり得ること、それが必ずしも個人だけの罪というわけではなく置かれた立場や組織の論理によるものではないかと気づかせることです。しかし星川父(中村獅童)のみ別の側面を見せずに単純な悪人として描いています。それはこういう人物だけは絶対に許せないという作り手の主張といえなくもないでしょうが、安易な悪役の記号を寄せ集めた安っぽいキャラのようにも見えてしまいます。ラストも劇中で提示された多くの要素を一つにまとめ上げるテーマやメッセージを投げ捨ててありがちなメロドラマ的エンディングでお茶を濁したようにしか見えず納得がいきません。それこそ黒澤明の羅生門は最後には人間不信を拭い去ろうとする一筋の希望を提示してみせました。この映画もまたそうするべきではなかったでしょうか。[映画館(邦画)] 5点(2023-06-23 22:37:17)
|