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1. Kids Return キッズ・リターン
《ネタバレ》 新春最初の映画はずっと観たいと思いながら未見だった北野監督の「キッズ・リターン」である。地上波深夜枠、CM入りまくり、画質も悪いという悪環境での鑑賞であったけれども、静かな牽引力にひっぱられ、最後までダレることなく緊張状態のまま観た。この映画のすべての人々に救いがない。「俺たち、もう終わっちゃったのかなあ」「バカヤロー、まだ始まっちゃいねえよ」とうそぶく若い二人にも救いがない。おそらく北野監督の歩んできた人生のなかのほとんどの人々が「救いのない人々」であり、彼はそれを肌で知っているのである。世の中の多くの人たち、殆どの人たちに救いがないという事実、現実をこんなにもあたたかく、残酷に描いた映画が他にあるだろうか。今やアメリカンドリームに毒されたわれわれ日本人につきつけられた挑戦状のようにさえ思える。わたしはこの映画を観て自分もこちらの側に立ちたいと切実に思った。それも一種の幻想といわれればそれまでだけれども。[地上波(邦画)] 10点(2008-01-04 14:08:19)
2. キサラギ
《ネタバレ》 すきですね、この映画。そうとしかいいようがないくらい面白くて、楽しかった。演劇っぽいのは承知のうえの映画化なのでしょう。争う場面などを上から撮って映画でしかできない絵を作るなどの工夫は見られたけれども。個人的には小出恵介があんなに芝居がうまいとは知らなかった。ただのアイドルだと思っていた。すみません。香川照之はいうまでもなく、役者陣がみな素晴らしかった。間の取り方が全員最高。脚本も練りに練られていて、最後の方、ぱりっと決めている家元が実は警察内では苛められていてミキを心の支えにしていたことなどがさりげなくワンショットで明かされているところなど、本当に芸が細かいというか、すごい。そしてなぜか観たあと元気になりました。なぜかわからないけれども。でもそれこそ映画の使命とも思えます。[CS・衛星(邦画)] 9点(2009-05-18 23:38:19)
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