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【製作国 : 日本 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
1. 黒の試走車(テストカー) 「タイガー」自動車が開発中の新車は「イタリア」でデザインされた「パイオニア」号、ライバル社は「ヤマト」自動車で、そこの部長はバー「パンドラ」の常連ときている。とくれば、これはイタリアで学んだ増村保造が、ヤマト=日本映画を打ち破ろうと、自らがそのパイオニアとなり、まさに虎としてパンドラの箱をぶっぱなしてやろうという意欲に満ちた作品と見ることができる。湿った情感をいささかも露呈させることなく、産業スパイ、からむ女たちを捉えたフィルムは、船越英二のとった行動になんの表情も変えない連中をもってピークに達する。ここでようやく田宮二郎に亀裂が生じるもつとめて冷静である。ストーリィには突っ込みを入れたくなりもするが、このクールな文体・・・まいったな~こりゃ。[映画館(字幕)] 9点(2005-06-16 21:23:19)(良:1票) 2. くちづけ(1957) 松竹大船調に代表される日本的ホームドラマの湿った情感を引き剥がしにかかった増村保造さんの監督デビュー作。お互い父が投獄された川口と野添の両人がそれを機に出会い、お金の工面に苦労しながら互いを求めるという設定は、慎ましさ、思いやり、支え合い、けなげさ・・・などといったヒューマンな内容に落ちかねないところです。しか~し、競輪場で大穴を的中させた両人は、海水浴→ローラースケート→酒場とあっけらかんと金を散在することを楽しみ、倹約の美学などは見せません。踊り疲れた野添が「わたし喉渇いたわ」、間髪を入れずに川口が「ハイボール2つ」・・・ためらいのないこのリズムなんです。アンチロマンチックな工事現場で交わされるくちづけのムード、このムードこそが増村保造のムードであり、時に無性に増村作品を見たくなるムードなのです。[CS・衛星(字幕)] 8点(2005-06-14 17:03:43)(良:1票) 3. 国定忠治(1958) 国定忠治といえば赤城山ですが、赤城山といえば栃赤城という力士がおりました。土俵際に追い込まれてのサーカス相撲が人気で、やたら〝とったり〟や〝さかとったり〟を連発していたような印象があります。さて、この国定忠治さんも相手に強気に攻め込ませておいて、土俵際から、やいやいやいやい!と体勢を立て直し一気の寄り、見ているものはすかーっ。栃赤城の苦し紛れのとったりとは少し違うところですな。それから国定忠治の名刀が「小松五郎義兼」ということを学びました。職場の女子社員にはさみを借り返す時に「流石は小松五郎義兼よく斬れる」「あっ、それ国定忠治ですね」とそんな会話からロマンスが生まれる可能性が出ました。うっ、こんな妄想している私が一番土俵際に追い込まれていますな。それにしても山中貞雄の「国定忠治」が見たーい、ぞ。6点(2004-09-16 23:06:51)(笑:1票) 4. 黒の報告書 佐賀潜原作の「華やかな死体」はかなり前に読んだのですが、正直内容をまったく覚えていないのが幸いして、ストーリィそのものを楽しめました。忘れっぽいというのもいいものですね。さて、カメラはあいかわらず手前に人物の背中や頭や、静物をバーンと据えてその向こうで会話する人物が配置されるパターンが多いですねー。さすがの私でも一目見て増村だと分かります。しかし女性のうなじなどは色気もあっていいのですが、頭髪の薄くなりかけたおっさんの後頭部などが写ると苦笑してしまいますね。まーそんなことはおいといて、宇津井健扮する検事が、誠実に一生懸命に殺人事件の犯人を挙げ、起訴し、公判に臨むのですが、敏腕弁護士及び生活を優先する人間たちの前に・・・という話です。その検事がエゴを貫くところや殿山泰司扮する老刑事がいい按配に配置されていてなかなか見ごたえあるテンポのいい作品でした。7点(2004-05-21 20:46:53) 5. 草の上の仕事 ごちゃごちゃ背景を描かずにただ草を刈る1日。その中で、ひたすら2人の心と言葉のやりとり、その雰囲気を感じるという作品ですね。なんか篠原さんがこんなの撮りてーな、みたいな感じがよく出ていて、コマーシャリズムを感じさせないところがいいですね。お金はなくてもいい映画は撮れる、という典型的な映画かな。7点(2004-03-24 14:01:13) 6. 群青の夜の羽毛布 物語の流れに乗りそこねた私は、痛い家族をただ眺めていた。そのことが茨の海だった。この日は、この映画を見た後、鬼束のコンサートへ行った。「茨の海」が心に溶け込んできた。4点(2004-03-01 23:24:25)
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