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Web www.jtnews.jp

プロフィール
コメント数 1047
性別 男性
年齢 30歳
自己紹介 とにかくアクションものが一番

感想はその時の気分で一行~何十行もダラダラと書いてしまいます

備忘録としての利用なのでどんなに嫌いな作品でも8点以下にはしません
10点…大傑作・特に好き
9点…好き・傑作
8点…あまり好きじゃないものの言いたいことがあるので書く

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【製作国 : 日本 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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1.  くちびるに歌を 《ネタバレ》 川を流れる一隻の船、何かを告げる汽笛の音、デッキの上の椅子から起き上がる女性。 電話で談笑し、扉を開け自転車で坂を下っていく疾走とモノローグ、自転車に乗る少女の髪を靡かせるように吹き付ける風、青空に拡がる雲、鮮やかな夕陽と日差しの美しさ。 学校で捧げる祈り、教会のような空間で見つけ出会う女性たち。 和気あいあいで歌う合掌部は少女たちの聖域、向けられる視線を軽蔑し、男を嫌悪する“理由”、遠くから見守る視線、ボロ車でも運転し続ける意地っ張り。 逆に男たちは風でめくり上げるスカートを抑える女子たちを下から見上げ、秘密を共有することで友情を結ぶ。 そんな異性たちが共に制服から体操服に着替え走り、歌い合い無くなっていく男女の垣根・心の壁。 ネットに流れる過去、兄の送り迎え、ピアノを弾けなくなった理由、声の主が不意に現れる戸惑い。 あれだけ憎んでいた存在が縁側でスイカを食べ、過去の思い出を語り頭を撫でるなら…そんな優しさに弱く、甘えたかった。今度こそ…。 裏切られ、涙を流したくてもそれを笑顔で偽り、代わりにホースの水をぶちまける。 手紙に溢れる想い、考え、夢。 自分のため、誰かに勇気をあげるため、電話の向こうで戦っている人のために歌い、振り返り、歌うことを繰り返す。 悩み、不安になり、泣いている人に笑顔になって欲しいから弾いて、弾いて、弾いて。例え届けたい人に届かなかったとしても、何処かで聞いてくれている人のために。 行ってしまう前に、命をかけて戦っている人のためにありったけの想いを歌と共に伝えたい…良い映画だ。[DVD(邦画)] 9点(2016-12-15 04:22:36)(良:1票) 《改行有》

2.  黒い雨 《ネタバレ》 どうでもいい事だが、自分は井伏鱒二の原作を読んで一週間うなされた経験を持つ。あの凄まじさがこの映画でも完璧なまでに再現されていたら、自分はきっと一ヶ月はうなされていたかも知れない。 それでも、人々の挨拶から始まるオープニングからして不気味な静けさが漂う。嵐の前のような。 まばゆい閃光と共に夥しい窓ガラスが砕け散り、爆風によって一瞬にして路面電車から投げ出され叩きつけられる、遠距離から巨大なキノコ雲を見る瞬間の、川の上から市内に向かう瞬間の、黒い雨がぽつぽつと降ってくる瞬間の恐怖。 吹き飛ばされた女性がうめき声をあげる、火傷で顔が崩れる人々、倒壊しかけた家からの脱出、生き埋めになり屋根の中から瓦礫を投げて助けをこう(あるいわ気がふれてしまった)姿、黒焦げになった遺体が山積みになる市街地、防火水槽に体を突っ込んでいる黒焦げの死体、大火傷を負い腕から皮膚が垂れ下がる子供、その子供が「兄ちゃん・・・」と声を必死に張り上げて青年を呼び止める場面、変わり果てた姿になった子供がやっと弟だと解り抱きつく瞬間の残酷さ、黒焦げになって死んだ赤ん坊を抱きかかえる母親らしき女性、馬の遺体、川の水を飲んでそのまま死んでしまう人々、川を流れてくる多数の遺体、水の中から引き上げた魚(うなぎ?)が元気よく動く姿が異様に見える、引火して爆発する列車。こういった爆発が新たな火種となって広島は尚も焼き尽くされていったのだろう。トラックに積まれる遺体・・・こうして書いているのも恐ろしい映像ばかりだ。 だが、焦点は原爆の惨禍ではない。原爆後の、戦後の後遺症に襲われる人々の叫びや苦しみに重点が置かれる。戦場から帰ってきたタツが敵襲に怯える姿の恐怖、あの日の恐怖を思い出して泣き叫び、次々と後遺症によって死んでいく人々。娘の未来に絶望したのか、狂ったように「結婚するな」と繰り返す母親、それに何も出来ない無力さに打ちのめされる夫として・父親としての重松。 かつて原爆の惨禍と後遺症で苦しむ人々を描いた作品は幾つも存在する。 今村昌平のこの作品は戦後数十年だからこそ、あの日を直接経験しなかったからこそ描けた作品だが、今までの作品が描けなかった限界を超えているとは思えない。 確かに原爆後遺症で嘔吐するシーンや髪が抜けていくシーンは凄みを感じたし、デジタルニューマスター版のDVDに収録された矢須子のその後をカラーで描いた映像の強烈さ。 しかし、たどり着いた後に亡くなった会社の同僚の姿。顔は白い布で覆われているし、「黄色い水を吐いたとたんに死んでしまった」という事が口で語られるだけ、白い布の下をハッキリ見たのも彼らだけ。重松がお経を読み上げる場面も、遺体は既に燃え盛る炎の中であり、跡に残った白骨だけが静かに語る。 女性の裸にしても、新藤兼人の「原爆の子」が爆風で衣服を剥ぎ取られ乳房を丸出しにした女性を描く事で惨禍をより際立たせていたのに対し、この映画は女性の裸体はほとんど描写されない。女性たちが汚れた服を脱ぎ体を洗う場面も、首というより鎖骨から下は水につかり映されない。 冒頭の徹底的な描写に比べると、観客にその過程を見せない必然性は何なのだろう。重松がお経を頼まれる辺りから、物語は何処か抑圧に向かっていった気がする。 今村昌平はアニメ映画「はだしのゲン」の凄まじさを参考にしたそうだが、あくまで参考であり、物語は原爆で人生を狂わされた人々のやりきれない姿に心血が注がれる。抑圧された、誰にも理解されないかもしれない苦しみを。病院に運ばれる最愛の人の無事を祈る事しかできない、遠のく姿を見守る事しかできない無力さが・・・。[DVD(邦画)] 9点(2015-06-19 13:54:44)(良:1票) 《改行有》

3.  雲のように風のように〔TVM〕 《ネタバレ》 高1の頃、NHKの「BS冬休みアニメ特選」で再放送されていたものをたまたま見たのだが、これが本当に良い作品でさあ。 それで放送年を調べたら1990年!俺が生まれる4年も前の話なのかー。今までも何回か再放送されていたらしい。 。今でいう「彩雲国物語」とか「十二国記」とかファンタジー要素は少ないけど、ノスタルジックといいますか。 昔々、中国のある国で新皇帝の妃候補として様々な女性が集められる。シンデラストーリーと、戦争といった波乱に満ちた展開もあってちょっぴり切ない話だった。ジプリっポイ絵柄からか、劇中の女性たちはジブリ映画を思わせるパワフルな玉遥樹(タミューン)といった女性もいれば、終始クールな印象の紅葉と表情豊かなキャラクターたち。特に紅葉さんは一番好き。ヒロインの銀河もガハハと笑う元気な田舎娘。しかし男も凄いよな。主に下半身の命中率(ry 切ない締めくくりの後に流れる主題歌がとっても素敵なんです。[CS・衛星(邦画)] 9点(2014-12-29 21:57:38)《改行有》

4.  クラッシャージョウ 《ネタバレ》 富野以外の安彦が手掛けたアニメで最高を一つ選ぶなら、「巨神ゴーグ」とこの作品。 同時期の「幻魔大戦」はビジュアルにちょっと懲りすぎた?反面、コッチはスペースオペラとしてアクションもストーリーもスピーディーで面白い、安彦の作画やその他豪華な面子の遊び心も爆発。だって冒頭から宇宙基地を爆発しながら現れるクラッシャージョウ一味。ディスコでも何処でも最後までアクション目白押し。 ジャケットは「ガンダム」に通じるダサカッコ良さ、酒に酔ったアルフィンがすんげー可愛い。マチュアさんもエロいです。 ルパン三世のパイロットフィルムの音楽を手掛けた事でも知られる前田憲男のサウンドは神がかっています。 竹村拓のジョウの演技も素晴らしい。 「ヴィナス戦記」の主人公のキャスティングも竹村にすれば良かったのに・・・なんて思ってしまう。というか、全部安彦の作画で「ダーティペア」1本見たかったなあ。[DVD(邦画)] 9点(2014-12-22 22:20:09)《改行有》

5.  紅の豚 《ネタバレ》 ハワード・ホークスの豪快で楽しい航空映画を思い出す傑作! 橋がいくつもかかる川から飛行艇をブチ上げる! アニメーションだからこそできる無茶なシーンだ。 縦横無尽に駆け抜ける飛行艇。 陸の上や船乗りには無い「男の戦い」がそこにはあった。 舞台は第一次大戦直後のイタリア。 空を飛び交う戦闘機乗りたちがプライドと命を賭けてドッグファイトを繰り広げる。 そこに「魔法で豚になっちゃた」というファンタジーをねじ込む! だのにちっとも違和感が無いのは何故だろう? 先に散っていった仲間たち。 一人だけ生き残ってしまった自分を恥じ、人間の「マルコ」を自分の中で殺し、「豚」として生まれ変わった「ポルコ」。 「戦争は人間同士でやりな」はポルコにしか言えないセリフだ。 こんなにカッコイイ豚がいてたまるか。 ストーリーは血潮が飛び交うような殺伐としたものは少なく、ポルコ(マルコ・パゴット)と空賊たちの微笑ましい「大喧嘩」。 だって空賊が子供誘拐すんのに「はぐれたら可哀想だろ!!」なんて言うんだぜ? 人質も盾にする気無し。 賊やるよりも保育園開業した方が長生きしそうな奴ばっかりだ。 オマケにポルコとフィオとジーナとカーチスの四角関係ときたもんだ。 何? 弾が切れた? そんな時はレンチとクロスカウンターよぉ! 顔をデコボコにして殴り合う! 「おっさん」と「じいさん」と「未亡人」と「女の子」しかいない映画。 そこがいい。 森山周一郎の渋みのある演技も味わいがある。[DVD(邦画)] 9点(2014-12-20 20:24:44)《改行有》

6.  クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲 《ネタバレ》 クレしんらしいナンセンスな世界観に「哲学」をぶち込んだ作品。 子供向けの作品で哲学は通じるのか? いや、本作は「親子」に向けた強烈なメッセージの詰まった映画であろう。 子供でも解る「疑問」を大人にも向けて投げつけた。 懐古主義でも何でもない、「懐かしむ」ことの大切さと「今の時代を否定」することの誤りも思い出させてくれる。 オトナ帝国の人々は、昔には当たり前のように溢れていた「夢と希望」が今の時代には無いと嘆く。 だがそれは彼らの主観でしかない。 現代を生きる「しんのすけ」たちは自分たちなりの「夢と希望」を持って必死に生きている。 世代で違う流行や主義主張の形。 共有できるものと出来ないもの。 それの衝突と対立・理解、そして世代間を超えた親子の絆が本作のテーマだ。 「オトナ帝国」のマインドコントロールで「昔」にとり憑かれる大人たち。 今までの映画シリーズで、頼りになった大人たちが敵となる。 子供たちにとっては恐怖でしかない。 その恐怖に子供たちは立ち向かい、大人たちの心を呼び戻す。 大人たちも、子供だった頃を思い返して、「自分たちの子供も同じように生きた。それを経験した大人がなにやってだ」と家族の大切さを思いしていく。 ノスタルジックな風景。 それは今の世の中には無い「幻想」でもあるし、もう一度作れるかもしれない「夢」に生まれ変わったのかも知れない。[DVD(邦画)] 9点(2014-12-19 19:28:42)《改行有》

7.  クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦 《ネタバレ》 ストーリーはクレしんらしい単純さ。 戦国時代が舞台というと「雲黒斎の野望」を思い出す。あの映画も戦闘描写が凝ってて面白かったぜ。 本作も「クレしん」らしからぬリアリティ、「クレしん」らしい散々笑ってアホみたいに泣かされる。 タイムスリップした先が戦国時代で、そこに居合わせた武将と姫を野原一家が助けるというシンプルなもの。 だが今回のクレしんは馬鹿馬鹿しいドタバタや「陳腐」を「爆笑」に変える破壊力は控えめ。 論点になって来るのが、クレしんの単純な娯楽性に「戦国時代の「リアリズム」をねじ込んだ点。 確かに合戦の様子はリアル。 当時の合戦のルールを娯楽映画の「お約束」として利用する方法は素晴らしい。 とまあ、合戦に関するリアリティは良いが、肝心の姫様側はリアルとは言えない。 何故なら姫君がそのまま後を継げばそれで良いのだから。 実際の戦国武将は、後継に男がいなければ女でも城主になれた。 巴御前や甲斐姫といった女武将がまかり通っていたなら、女城主が認められないわけがない。 鶴姫という実例もあるし。 本多忠勝の姪だか妹も城を任されていたっけな。 あと秀吉の嫁の茶々とか淀殿とか。 あの上杉謙信だって「実は女だったじゃないか」と疑惑が向けられるほどだ。 まあ余りにリアルにしすぎたらそれこそ「つまらない」。 「七人の侍」のようにリアリティとありえない描写をマッチングさせた「娯楽活劇」とするか、 「乱」みたいな城下町すら無い「悲劇」を描くか。 その点で言えば本作は「親子に見てもらいたい」からこそリアリティをねじ込んだ。 でも、それよりも大きな論点はラストの「唐突な最期」だろう。 戦場のリアリティにこだわった結果、いつものクレしんには無い哀しみが訪れた。 いままでの「クレしん」からは予想も出来ない事さ。 俺だってガキの頃は又兵衛があんな事になって泣いたよ。 ちくしょうちくしょうって悲しくなった。 死ぬ間際に大切な刀をしんのすけにあずけてさ・・・。 戦国武将のクセに女に弱かったりさ、人間臭い又兵衛。 静かな静かな幕引きはちょっと切ない。 クソ・・・もう100回見ても又兵衛のシーンで泣く自信があるぞコンチクショウ。[DVD(邦画)] 9点(2014-12-19 19:20:13)(良:1票) 《改行有》

8.  狂い咲きサンダーロード 《ネタバレ》 日本が誇るカオスなジャンル「不良映画」。 ヤクザの前の不良。不良になるかヤクザになるか。あるいわフルフェイスの軍隊になるか。 無国籍、滅茶苦茶、やりたい放題、何でもアリよ、大人に判ってたまるかってんだ。テメエらだって昔はガキじゃねーか!!そんなカオスな傑作は「野良猫ロック」や「キッズ・リターン(監督が不良つうかヤクザ)」と傑作も幾つかあるが、80年代を代表するブッ飛んだ映画が「狂い咲きサンダーロード」だ。 まず不良映画なのに「近未来」って・・・w それだけでブッ飛んでるよもう。 まずあの居並ぶバイクのライト、ライト、ライト。時代を感じるものの強烈なロック!このオープニングだけでワクワクするぜ。 バイクにまたがる不良軍団の波、波、波。 たった一人で不良軍団に殴り込む仁。 たとえ一人になろうと、腕や足をぶっ飛ばされようが、麻薬に溺れようが関係ねえ。 仲間の仇を討つためなら何だってやってやらあ(脚本も)!ブッ殺してやるぜえ!! まったく狂ってやがる。 「そんな体でバイクに乗れんのかよ?」 良い笑顔だ。[DVD(邦画)] 9点(2014-12-15 22:57:53)《改行有》

9.  虞美人草 《ネタバレ》 脚本に伊藤大輔!まずファーストシーンが良いね。 壁に書かれた「お嬢さんを下さい」という落書きを黙々と消すお父さん。 消しまくっている内に諦めニッコリ笑うお父さんの表情が良い。 最初サイレント映画かと思いきや、バックに流れるBGMは実はこの父親の娘が奏でる琴の音色であった。 公開は1935年。この作品を撮る直前までサイレントだったんだよな(トーキーとサイレント混じりの「藤原義江のふるさとの歌」)。その名残を感じさせるシーンだった。 話も序盤はやや退屈だが、その後のゆっくりと盛り上げていく展開が面白い。 5年も付き合い結婚したも同然だったと小夜子と平蔵。そこに縁談の話が舞い込み、藤尾という女が小野の前に現れる。声がエロい。 それと短いシーンだが、藤尾の母親を演じる梅村蓉子の母親ぶりも中々。 藤尾と偶然居合わせる小野。 小野と藤尾の表情を交互にカットバックさせる演出。呆気にとられた小野の表情がより彼の心境を表す。 小野は縁談の話を思い出し動揺する。 しかし5年も暮らしを共にした小夜子は結婚を夢見て写真館に飾られた夫婦の写真を眺めていた。オマケに小夜子の恩師である井上には世話になった恩義があった。 しかし縁談も断るに断れない。二人の女の間で揺れる小野の表情が何とも言えない。脳裏によぎる二人の女性の声。 藤尾も徹底的に揺さぶること揺さぶること。金時計を“エンゲージ(指輪)”替わりに小野にプレゼントする藤尾。絵で魅せる場面が豊富だ。 会話する夫婦と障子越しに話を聞くひとりの女、「狂恋の女師匠」を思い出す花火、打ち上がる花火を見つめる二人の異性。 玄関先から家の中を覗くようなショットなど。 「父は死んだが生きている母よりも確かだ(信用ならないのか?それとも単にボケてる?)」 井上先生、そしてもう一人の熱血漢、宗近! ハッキリせず情けない小野に喝を入れる男らしさ。終盤数分の見せ場でこれほど印象を残すとは。 出て行く列車。 間一髪列車に乗り込む場面は中々緊張感がある。 ラストがまた良いのよ。 まるで今のサスペンスドラマさながらの展開。海をバックにした演出。 “代理”を買って出た宗親の男気。 殴らず、言葉でなだめ喝を入れるその精神が良い。 とにかく海がキレイです。 例の金時計が波にさらわれていく場面、ラストの船。[DVD(邦画)] 9点(2014-12-13 18:54:27)《改行有》

10.  蜘蛛巣城 《ネタバレ》 オーソン・ウェルズの「マクベス」には及ばないが・・・あの怪奇幻想的な雰囲気が登場人物たちのドロドロした情念みたいで面白いんだけどさ、霧の中突っ走る場面は長いし、盛り上がりも少ない。 淡々と一つ一つ事を片付けていく感じだな。 一人の男が栄華を極め、そしてあっけなく滅んでいく。 こんなところに住みたい民はいねえだろうな。 だって城下町が無いんだもん。 夜逃げでもされた? ただラストシーンは壮絶! もうそこだけは何回も見たくなるね。 動くはずがない森が動き出し、絶望に暮れ始める鷲巣たち。 円谷英二の怪獣映画さながらの技法が、このおどろおどろしい映画を一気に盛り上げる! いままで散々上司や仲間を裏切ってきた男に、真の忠誠を示す部下は一人もいない。 一方で、苦楽を共にしてきた小田倉と義照には心で結ばれた部下を率いる。 いつも対照的な役柄を演じる三船敏郎と志村喬が魅せる光と影が如実に現される。 そして矢の雨が横から降り注ぐ凄まじい絵! マジで本物の矢をドカドカ撃ちまくる! 矢が首に刺さって苦悶の表情をする鷲巣。 まるで往年のサイレント映画さながらだ。 映画は鷲巣が崩れ落ち、強者どもの夢の跡を映す城跡が映り幕を下ろすが、撮影後に三船が本気でブチギレて散弾銃を武装して押しかけた話はあまりにも有名である。 いやあ、本気で監督を殺しにかかれる俳優、今の時代にいるかい?(何を言ってんだ俺は)[DVD(邦画)] 9点(2014-12-11 04:32:11)《改行有》

11.  軍旗はためく下に 《ネタバレ》 文句なしに深作欣二の最高傑作。 ギターの重低音、白黒とカラーが交差する映像。 軍旗の中に埋められた真実とは何か。 戦後数十年の時が流れ、未亡人となった妻は未だに夫が“殺された”本当の理由を知らない。夫の罪が誠だという証拠も何処にもない。 「無罪を立証する積極的証拠なし」として頑なに真相を隠そうとする国、だが妻は諦めず四人の“生き証人”たちに辿り着く。 戦闘ではなく骨太のドラマに主眼を置いた作りが良い。 新藤兼人はつくづく監督よりも脚本を書いている時の方が圧倒的に面白いという事を実感。 いくら指揮を下げないためとはいえ、まだ戦える兵士をブッた斬る狂い振り。どのみち、行き着く先は三途の川さ。 「死ぬ時は一緒だ!」の悲痛な叫び、彼らの血も訴えも海の藻屑と消されていく非情。[DVD(字幕)] 9点(2014-03-21 14:24:43)(良:1票) 《改行有》

12.  くもとちゅうりっぷ 《ネタバレ》 昆虫たち、てんとう虫の少女、蜘蛛の紳士。蜘蛛の巣のハンモック、美しい花々。交互に歌い合う二人。 蜘蛛は優しい口調で“得物”を誘惑する。 蜘蛛のナンパ、てんとう虫の女の子は羽で飛ばずに草から草に飛んでいく。怖がって羽の下に隠れてしまう。 蜘蛛が糸でするする降りたり昇ったりするアニメーションの軽やかさ。 ちゅうりっぷの介入、花の中の顔、蜘蛛の糸を大量に出してがんじがらめに巻きつける。 蜘蛛は糸をマフラーのように、鈴のように、タオルのように巧に操る。 空の上、雲の上から風を飛ばす者たち、雨風の猛烈さ・空爆のような雨。 子供のようなミノムシ?冒頭のミツバチ?がてんとう虫の女の子たちを助けるキッカケに。 傘にくるまって飛ばされ、草木はそれを跳ね飛ばすように運ぶ。[DVD(邦画)] 8点(2015-06-10 18:28:15)《改行有》

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