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【製作国 : 日本 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
1. サイドカーに犬 《ネタバレ》 何となくだけど相米監督のお引越しを思わせるような作品で、子役の自然な演技と竹内結子の自由奔放な感じが良い感じで見ることができた。2人が楽しそうしている場面、竹内結子の楽しそうな表情を見る度に竹内結子の死が何だか今でも信じられないぐらいに輝いている。この映画のヨーコの様に自由奔放でいられたらと思うと、本当に亡くなった事が悔やまれる。私自身、竹内結子と言えば朝ドラのあすかの印象が強くて、彼女の出ている映画はあまり見てないけど、きっとこの映画のヨーコの姿こそが竹内結子という女優像ではないだろうか?脇を固める俳優の中では古田新太が良いし、面白い。50円しか無かったら何をする?という答えが面白い。私もきっと同じでパックマンを選ぶかもしれない。何かこの映画、パックマンに麦チョコだのと昭和を生きて来た者としては分かるぐらい懐かしい。久しぶりにパックマンしたくなりました。テレビの中での犯人の真似して逃げる古田新太が面白すぎて笑える。そんな男の実の奥さんと竹内結子の喧嘩も見応え有り、竹内結子演じるヨーコが薫の本当の母親を頭突きでやっつけた瞬間の気持ち良さ、竹内結子がとにかく良い。竹内結子という女優の本来の女としての魅力ある姿がとにかく印象的です。何度も言いますが、竹内結子、竹内結子、竹内結子のヨーコの様に竹内結子自身が自由奔放に生きて行けたら今回の様な死は無かったんじゃないかと思うと本当に残念です。自由でいる事の難しさを改めて知らされた気がします。ヨーコと薫が本当に楽しそうにしてるだけで何だかホッとするそんな作品です。[DVD(邦画)] 8点(2020-10-01 21:51:43)(良:1票) 2. 里見八犬伝(1983) この映画、私の妹が昔、大好きみたいで何回も見てました。私は真面目に見たのは初めてですが、予想していたよりは楽しめた。ただ、あの音楽何とかならないものか?それと夏木マリがインパクト強すぎて、主役の薬師丸ひろ子の印象がしばらくすると忘れてしまいそうです。薬師丸ひろ子の可愛さ、真田広之のカッコ良さ、如何にも1980年代的な雰囲気と見せ場もあってそれなりに楽しめる。それだけにあの音楽が邪魔していて、素直には楽しめない。夏木マリの役と志穂美悦子の役を変えてほしい。夏木マリの裸より志穂美悦子の裸が見たい。私が知る限りでは志穂美悦子の生の身体、裸を間近でご覧になってるのは長渕剛しか居ないのではないだろうか?くそ〜、ぴーぴーぴーぴー!ろくなもんじゃねえ!と頭の中では歌が流れてきて、羨ましい長渕剛!あっ、長渕剛はこの際どうでもよく、それにこの映画に長渕剛は出てこないし、出てきたところで、何の役にも立ちそうにない。脇を固める俳優陣に眼を向ければ、大好きな岡田奈々も相変わらず可愛い。もう少し彼女の姿を見ていたいです。他にも成田三樹夫に千葉真一、更にこれに梅宮辰夫、松方弘樹、田中邦衛、渡瀬恒彦も加えて、菅原文太、金子信雄、川谷拓三も加えてしまえ!と言いたくなりますが、それだとジャンルが違うし、別の映画になってしまいます。いずれにしても、この映画、仁義なき戦い程ではないけど、出演者の顔触れはかなりのものだけに、配役と音楽に対しての不満がかなり多くて、それなりに楽しめはしたけどもう一度、見たいとは思いません。[CS・衛星(邦画)] 6点(2020-05-14 19:56:08)(笑:1票) 3. サバイバルファミリー(2017) 《ネタバレ》 もしも、この映画と同じ事が実際に起きたら人はどういう行動を起こすだろう?そう思うと何とも怖い映画である。全ての電気が止まり、それも自分の家だけでなく、回りも全て同じ事が起きたら誰でも頭が変になる事間違いない。何処からの噂、情報による大阪まで行けば電気の付く生活を味わえて普通の生活が出来るという事を信じて東京から西日本へと行こうとする大勢の人、高速道路を歩く人、自転車で走る人、空港から飛行機でと考えてる事は皆、同じである。そんな中で長崎のおじいちゃんの所まで行こうとするこの作品の主人公である四人の一家が雨に打たれても何とかしようとする中で出合う人達が良い人ばかりなのでサバイバルとしてのハラハラ感という意味で物足りない。一人ぐらいはこいつはと思わせる憎い奴が出てきて欲しかった。矢口監督の相変わらずの着目点の素晴らしさ、発想の面白さは今作品でも健在なだけに不満の残る出来です。娘が父への不満を言うとそれに対しての母(深津絵里)の放つ台詞、ここがこの作品の中で一番笑えました。[映画館(邦画)] 6点(2017-02-15 20:10:05) 4. 最後の特攻隊 《ネタバレ》 最近の日本の沢山、撮られる戦争物とは違う、色んな意味で考えさせられる真面目で、お涙頂戴的な作品ではない。映画の冒頭に映しだされる東京オリンピック、学生運動、東京裁判等、時代背景をしっかりと描かれている点も評価できる。印象的な台詞、やり取りもこの作品にはある。八代少将の「人間は兵器ではありません」という台詞に込められた想いは人間としての有るべき姿だ。宗形隊長演じる鶴田浩二からの特攻志願する者、しない者に対する問いかけ、「特攻は死を急ぐものではない」という台詞も正しくその通りだと感じる事が出来る。隊長としての任務を全うする鶴田浩二の演技には任侠映画での鶴田浩二同様、この俳優ならではの純粋な心が見る事が出来る。脇を固める俳優の顔ぶれの凄さ、高倉健、若山富三郎、山本麟一、小池朝雄に梅宮辰夫、菅原文太とまるで任侠映画の世界だけど、一人一人の熱い演技もこの作品を単なる戦争物にはしてない力強い作品に仕上げている。劇中に描かれるエピソードも時代背景を見事に捉えている。命の大切さ、戦争ヘ出向く者に対する想い、この作品はそういう想いを嘘偽りなく描いている点も評価したい。吉川の自殺を止めるシーン等は正しく命の大切さの象徴だ!そんな吉川が国の為に、同じ仲間の為に自らの命を捨てるエピソードはこの作品の中でも最も泣ける場面でそれにしても、見ている人も少ないのか?私の他にレビューが一人だけというのは寂しい。やたら、うるさいだけの音楽を馬鹿みたいに流し、大袈裟に泣く、騒ぐ、わざとらしい演技きりの今時の戦争物なんかよりも何倍も良い戦争映画だ。[DVD(邦画)] 8点(2016-10-16 11:16:12)(良:1票) 5. 三百六十五夜(1948) 市川崑監督作品で高峰秀子が見る事の出来る数少ない作品の一つで、後に市川崑監督の代表作となる犬神家の一族でも見られる復員してくる男というものが今作品でも描かれている。市川崑監督作品としてはごく普通な出来でこの監督の作品でよく見る事の出来る狂気が感じられないので物足りない。だがしかし、なかなか見る事の出来ない市川崑監督作品での高峰秀子の姿が見る事が出来るという意味では見て損のない作品です。 市川崑監督作品のファンで高峰秀子ファンとしてはもう少しこの監督での高峰秀子出演作品を撮って欲しかった。[CS・衛星(邦画)] 6点(2016-06-04 09:30:38)《改行有》 6. 座頭市御用旅 勝新太郎に森繁久彌に三国連太郎共演てまずは凄過ぎます。今じゃまず考えられないぐらいの贅沢な共演てだけで見るに値する。森繁久彌が人情味溢れる男を演じているのとはまるで正反対な三国連太郎の悪人ぶりが強烈過ぎるほどの印象を残す。主役である勝新太郎を完全に食ってしまうほどに凄い。この三人のトライアングルが繰り出す物語をどう見せる?いや、魅せるか?がこの映画の見所!所々で流れてくる浪曲は森繁久彌が出てるてだけでついつい「次郎長三国志」を思わずにはいられなくなります。ただあの浪曲ははっきり言って「座頭市」シリーズには合わない。座頭市映画としてだけ見るならば面白い映画であるだけに余計浮いてしまってる。ラストが一番最初の座頭市を思わせるのはこのシリーズのファンの為に勝新太郎と森繁久彌を共演させて日本映画ファン、それも昔の日本映画ファンを意識しているみたいです。 [DVD(邦画)] 7点(2014-02-12 21:47:14)《改行有》 7. さらばラバウル 《ネタバレ》 本多猪四郎監督と言うと怪獣映画の監督として有名であり、どうしても怪獣映画の監督というイメージしかないだろうけどこのような怪獣など出てこなくてもきちんとした人間ドラマを撮れる監督であることが本作を見ると改めて解る。鬼隊長である若林大尉演じる池部良が普段は鬼だが美しく若き女性(岡田茉莉子)の前では他では見せない優しさを見せる。そんな二人の前で死に対する怖さ、思いの全てを語る三國連太郎演じる片瀬大尉の凄まじい演技が繰り出す悲しみ、二人の前で敵軍の玉に当たり死んで行く悲しさ、戦争の残酷さとそんな状況での男達の苦しみと女性の悲しさを共に描いて見せるこの映画、それはオープニングで多くの男達の前で踊る一人の女性(根岸明美)にしても生きる為の手段としての踊りのように感じられるし、色んな意味で深く悲しい人間ドラマとして忘れられない映画になりそうだ。 [DVD(邦画)] 8点(2013-06-01 14:49:32)(良:1票) 《改行有》 8. 3-4X10月 《ネタバレ》 北野武監督作品第二作目も北野武らしい。いや、北野武というよりはビートたけしらしい馬鹿馬鹿しい笑いを描いている。例えばオープニングからしてもそうである。草野球の最中にただ一人だけ仮設のトイレから出てくる冴えない男の登場の仕方といい、やくざに巻き込まれるまでの流れ、更に最初に代打で出てきて一度もバットを振らずに三振の汚名返上とばかりにもう一度代打で今度は大きな逆転ホームランも前のランナーを追い越してアウトで逆転ならずに敗戦。ここらは予想通りではあるが、たけしらしい。更にそんな男が初めてのデート中、二人をからかっている奴等が止まっている車に追突。監督武というよりもビートたけしらしい馬鹿馬鹿しさである。ビートたけしの子分、渡嘉敷の指を詰めるのも将棋の駒ってのも如何にもたけしが思いつきそうな感じである。沖縄での場面、置いてけぼりを喰らう二人のシーンや事務所に乗り込んで銃を撃っても弾が出ず、その後の彼女のデート中の車の中で発射やら空港内で前の乗客の荷物にどさくさに紛れて持ち歩いていた銃を投げ入れるというようなアホらしさ、そうそう、海でのシーンの静けさ、最初から最後まで全く音楽無しなのも新鮮である。うるさい音楽なんて無い方が映画に集中出切るんだぜ!とでも言っているような演出である。最後も草野球の場面で閉める。しかもここでまたトイレから出てくる男、野球とヤクザ、何の関係もないような中でそれぞれの見せ方が面白い。面白い映画なんだけどどうにも女性に対して殴る。蹴るシーンが多過ぎるのが気になる。作品全体の色、静かな中で感じられる殺気やら馬鹿たけど何とも憎めない登場人物、北野武(ビートたけし)は岡本喜八監督の初期の頃の映画に出てくる可笑しな人達の様にこの映画は明らかに岡本喜八監督の「「ダイナマイトどんどん」の影響を受けているそんな映画だと思いました。[DVD(邦画)] 7点(2011-12-19 20:00:45) 9. 三大怪獣地球最大の決戦 《ネタバレ》 まさかまさか?ゴジラとラドンがタッグを組んでキングギドラに戦いを挑む。しかも地球の平和を救う為といのが何とも意外であって面白い。ゴジラとラドンを説得する役目がモスラであるがこのモスラの動きと説得されているゴジラとラドンも面白い上にその説得を通訳するピーナッツの二人の小美人には笑わせてもらいました。モスラの説得に対しゴジラとラドンの「そんなこと、知ったことか」って何と言う通訳だ。もう、笑いを堪えるのに必死でした。確かにゴジラとラドンからしてみたら「知ったことか」である。がモスラの素晴らしい説得に負けてキングギドラに挑むゴジラとラドン、そんな協力しあうことの大切さをこの映画は怪獣というものを使って人間に訴えかけているとも思えるし、また金星人であるサルノ王女の姿からは人は忘れてしまいたいこととそうでないことをあの最後の方のシーンの「ローマの休日」のパクリのようなやりとりから色んなものが見えてくるような気がするし、そう考えて観るとこの映画はふざけてるようで意外と奥の深い映画でもある。それにしてもラドンに攻撃されて倒され、キングギドラとの戦いでも転んでぱかりで自分の力だけでは立てないゴジラをついつい、応援してしまいます。[DVD(邦画)] 8点(2011-12-08 21:47:45)(良:2票) 10. 三匹の侍 私は今まで五社英雄監督の映画を観て面白いと思ったことは一度もない。この監督の女性に対する画き方が嫌いであるのとカメラワークも最悪、監督自らが酔いしれているようで駄目。監督自ら酔うのではなく観る者を酔わせるぐらいでなければならない。今回、これが監督デビュー作品とのこと。なるほどこれはなかなか面白い。三匹の侍のそれぞれの個性、かっこ良さ、丹波哲郎、長門勇、平幹二郎の全く違う性格が力を合わせて悪い奴を倒す。モノクロの画面から伝わるエネルギー、役者の演技で見せるというよりは魅了する作品とでも言うべきか、本当にどの俳優もかっこ良い。対する女優陣に関しても魅力的、中でも桑野みゆきの素晴らしさ、彼女一人いるだけで作品に与える影響、男達に与える影響の強さを画面を通しても伝わってきます。本当は8点にしても良いと思ったけどやはりここでもこの監督の女性に対するいたぶり方、この監督は後の映画の多くに共通して見られる女性を痛めつける描写があるのが7点止まりにしてしまった。それでもこの映画に関しては脚本による力も大きく、他のどの五社英雄監督作品よりも面白い。監督デビュー作であって五社英雄監督のベスト作品だと思う。[DVD(邦画)] 7点(2011-12-02 21:04:04) 11. さんかく 《ネタバレ》 男って本当にどうしようもないよなあ!女って本当に強いなあ!強いけど弱い部分も持っているなあ!何だか男女のどうしようもない部分がここまでリアルに描かれているのは凄いと思うし、でも何だかスッキリしない。きちんとした彼女がいながらもその妹に対して恋愛感情を抱いていく駄目男とそんな男を忘れられない女のやりとりも痛い。痛いなんてよりも痛すぎる。本当に哀れだ。一方でその二人を狂わす原因となるもう一人の女、これがまた監督の趣味なのか?的なロリコンタイプとその女が付き合っている柔道部の男、この二人を最後はボコボコにやっつけて欲しかった。タイトル通りな映画という意味での面白さ、リアリティこそがこの映画の魅力であり、吉田恵輔監督はこの映画を通して人は見かけで判断するな!見た目に騙されないようにしよう。特に男は女に騙される生き物なんだと言っているようである。[DVD(邦画)] 6点(2011-11-26 17:09:52)(良:1票) 12. ザ・マジックアワー 《ネタバレ》 三谷幸喜監督作品では「ラジオの時間」以降、久しぶりに楽しめた。映画の中で映画を撮るという試みとその雰囲気作り、この映画は雰囲気を楽しむ映画と思って見れば良いぐらいにとにかく映画を撮るということと、映画の雰囲気、色んな映画のパロディ、あれはあの映画のパロディなのか?あれはあの映画に対するオマージュなのか?というような感じで観れば楽しめる。まあ、長いと言えば嘘になるし、もっとテンポよく撮って欲しいという不満もあるがこの映画に対する三谷幸喜監督の思いや市川崑監督の「カット!」の一言を見せてくれたことで市川崑監督作品ファンである私としては何だか嬉しく思えてきて見て良かった。三谷幸喜監督は間違いなく沢山の映画を見ていることが改めて解る一本でもある。[DVD(邦画)] 7点(2011-10-23 18:42:32)(良:1票) 13. 座頭市と用心棒 確かに色んな部分で問題点、不満もある。しかし、それよりも日本映画史上に残ること間違いない二人の時代劇スターである「座頭市」と「用心棒」を一つの映画の中で戦わせてしまおうなんて発想が凄い。それも全ては勝新太郎と三船敏郎という今は亡き昭和を代表する映画スターの二人だからこそ可能なのである。岡本喜八監督が全ての映画ファン、それも邦画ファンへに向けてのプレゼントであると思えば多少の無理難題や欠点も大目に見てやろうではないか!と私は思う。それに黒澤明監督への岡本喜八監督からの尊敬のようなものも感じられる。そういったものを全て受け入れて見たい。そう思うことでこの映画に対する評価は違ってくると私は思う。何度も言うように勝新太郎と三船敏郎の存在感、この二人が同じ映画の中で対決するなんて発想は普通では思いつかないし、例え、思いついても普通は気を使い過ぎて撮ろうなんて考えないであろうものだが、それを一つの映画として、二人の俳優は勿論のこと、脇を固める俳優全てに対してもきちんとした役を与え、疎かに描こうとせずに見せてくれる岡本喜八監督の素晴らしさ、欠点が全く無いかと言うと嘘になるだろうし、それでもやはりこんな素晴らしい企画を実現させて見せてくれた岡本喜八監督に一言「ありがとう」と言いたい。勝新太郎と三船敏郎の二人を見て、改めて現在の日本映画のスター不足と時代劇としての凄みの無さを思い知らされることになる。日本は本当に惜しい俳優を二人も失ってしまったものです。[CS・衛星(邦画)] 7点(2010-04-03 23:09:06) 14. 座頭市(1989) 勝新と言えば真っ先に「座頭市」が思い出されるぐらいやはり私には「座頭市」と言えば北野武ではなく、誰が何と言おうと勝新太郎である。そんな勝新こと勝新太郎がこれは長年の「座頭市」ファン、勝新ファンの為に勝新自らがメガフォンを撮り、恩返し的な感じで撮られた映画であるように思われるのであって、これの他の「座頭市」シリーズをほとんど見てない人と私のようにほとんど見ている人とでは大きく意見が分かれることであろう!確かに勝新の殺陣の凄さも役者としての力量もオーラもそこらのテレビ俳優とは異なるこれぞ映画スターというものは感じられる。しかし、それでも作品全体に何か違和感、例えばかつての「座頭市」シリーズで感じられた単なるチャンバラものと違うヒーロー像の中に感じられた温かさと人間的弱さとユーモア、そういうものが今作ではいま一つ感じられない。それにやたらとしつこい濡れ場もこれも正直、どうなの?と感じてしまいます。またやはりどうしても今までの作品と比べてしまうと悪人の貫禄、迫力、座頭市を付けねらう男達の悪としての魅力、凄みも弱い。そんな中にあって、大好きな大好きな三木のり平との共演は嬉しく思う。正直、出来ることなら「座頭市」はこのシリーズのファンとしては前作で終わりにして欲しかった気もしなくもないし、ちょっと複雑な気持ちである。[DVD(邦画)] 6点(2009-09-29 23:09:16)(良:1票) 15. サード 《ネタバレ》 走る。ひたすら何かに向って走る。走るという意味をこの映画から考えさせられた。サードという仇名の主人公、永島敏行にとっては走るという事は自分自身の気持ちを確かめる為の最も相応しい行為であると思います。それは他のことにも言える。例えば本当は心から好きな相手、新聞部の彼女である森下愛子演じる少女がお金の為に好きでもない全く見ず知らずの男と肉体関係を持つことを我慢しているかの如く、空き地で一人、寂しくピッチングの真似をしている。その我慢が限界となって現れる瞬間、ヤクザの男を殺してしまうのである。それは好きな女を守ろうとするという男の気持ちの現れであり、その結果、少年院送りとなっても一人、他の少年院に収容されている人達とは違う行き方を選び、ただひたすら走る。そして、最後に盗みの罪で少年院に入ってきた別の一人とのマラソン大会に向けての練習シーンでその相手に言う台詞「走れよ、自分の速さで」いやあ、この台詞こそこの映画の全てであるように感じる。自分の足で自分の道を突き進め!自分の生きる道は自分で決めるのだとばかりのエネルギーを感じさせる作品になっている。作品全体としては物凄く荒削りではあるが、その荒削りな所もある意味この映画の魅力なのかもしれない。それにしても図書館でのシーンのいやらしさ、森下愛子の初々しさ、そして、あのアイスキャンディになりたいなんてアホな妄想をつい膨らませてしまいそうにもなるぐらい森下愛子が可愛い。[ビデオ(邦画)] 7点(2009-09-20 21:42:50)(良:1票) 16. 三十三間堂・通し矢物語 成瀬巳喜男監督による珍しい時代劇!ところが観ていても全く成瀬映画ぽく感じない。マキノ雅弘か溝口健二かってぐらいにしか思えない雰囲気、それは出演者の顔ぶれにも現れている。田中春男のあの落ち着きの無さ、うろうろしまくり、あっち行ったり、こっち行ったりと、まあ、とにかく少しは止まってろよってぐらいの落ち着きの無さ、まるで「次郎長三国志」シリーズの大五郎のようです。それに脚本が小国英夫で配給会社も東宝、どう考えても成瀬映画には思えないし、マキノ映画です。しかしながら他の出演者の顔ぶれを見るとこれはこれで溝口作品ではないかと思えてしまう。何しろ、長谷川一夫に田中絹代ですからね。長谷川一夫のかっこ良さは溝口映画での長谷川一夫以上、いやいや、これほどまでに長谷川一夫が男らしくてかっこ良いなんて思ったのは初めてかもしれないぐらい男らしい。田中絹代はこれまた絶える女、大八郎の為に身を尽くす姿は何とも言えないぐらいの女としての哀しさみたいなものが現れている。あの最後の方の弓矢のシーンの緊張感、面白さに比べるとそれまでがちょっと退屈だったりと、成瀬巳喜男監督はやっぱり時代劇よりも現代劇や男と女のドロドロした話のが合ってると思うし、私は好きです。[CS・衛星(邦画)] 6点(2008-11-16 11:43:58) 17. サンダカン八番娼館 望郷 《ネタバレ》 田中絹代のこの存在感と凄み、とても今の女優(果たして女優と言えるかどうかも分らんが奴ら)には出せない凄さに圧倒されられる。自分の昔、娼婦として働いていた時の話を栗原小巻演じる調査員に語る場面の演技にはこれぞ女優と言える凄まじさを見ることが出来る。また田中絹代ともう一人、高橋洋子の初々しさ、貧しくも一生懸命生きる姿、初めて本当に自分が女として一人の男を愛し、そんな男への気持ちを表す姿がこれまた何とも切ない。金はいらないから泊まってけよと誘う所のあの女としての気持ち、そこには娼婦であることをも忘れ一人の女である姿が見られる。全体的に見ると話のテンポがいまひとつな気がしてならないものの、出演者、女優陣は勿論のこと、脇役の男優の演技、存在、中でも小沢栄太郎のあの嫌らしさ、傲慢な親父ぶり、こういう役を演じてこれほどまでにハマる男は他にいるだろうか?によってなかなか見応えのある作品にはなっている。女が生きていくには男の力が必要、女が強くなる為には男を獲物として何とかしなくてはならないというような何んだか女の恐ろしさもこの作品からは感じることが出来る。女の強さと弱さ、それはあの最後の方の田中絹代の絶叫と涙、更に栗原小巻演じる調査官が自分にも子供がいるからと言って涙ながらに頭を下げる場面に現れているようにも思えてならない。いずれにしても俳優陣の素晴らしい演技無くして語ることの出来ない作品だと思います。[DVD(邦画)] 7点(2008-09-28 22:27:41)(良:1票) 18. さくら隊散る 《ネタバレ》 本日8月の6日に合わせるようにして借りてきた。我々日本人にとってけして忘れることは出来ない。忘れてはならない日、それが今日という日である。今から遡ること六十三年前の今日、8月6日、アメリカ軍によるB29三機が広島を襲った日である。広島に落とされた原爆の被害者の数は十四万人を超えると聞いた。その中に忘れられない名前がいる。第二次世界大戦中に全国を巡演し、移動演劇隊として活躍していたさくら隊のメンバー達、九人の中に園井恵子という一人の女優がいた。阪妻主演の「無法松の一生」で見せたあの気品溢れる燐とした美しさ、優しさに満ちた吉岡夫人、私は絶対に忘れることは出来ない。被爆から十五日後の二十一日、僅か三十二歳という若さで亡くなった園井恵子というこの女優、誕生日が8月6日というのも何とも皮肉な運命、宿命を感じる。この作品は事実であるからこそ伝わる重み、悲しみ、苦しさ、生前の仲間、同じさくら隊の人達を知る俳優仲間の証言と再現ドラマをリアルに描いている。被爆者達のもがき苦しむ姿の何と痛々しいこと。眼をそむけたくなるシーンばかりで見ていて本当に辛いし、怖い。事実だからこそのこの重苦しさ、これほどまでに恐ろしさを感じる戦争映画、原爆をテーマにした作品を見たことは今までなかったぐらい、本当に怖かった。本日8月6日、あの原爆投下から六十三年目の本日、観るに辺り、ここに犠牲となった大勢の方々に心よりご冥福をお祈りすると共に今もあの原爆の被害によって苦しんでいる被爆者の方々の為にも二度とこのようなことは起きてはならない。絶対にあってはならないと心より平和への願いを込め、手を合わせたいと思います。[DVD(邦画)] 8点(2008-08-06 22:29:53)(良:1票) 19. 座頭市喧嘩太鼓 《ネタバレ》 大映としてはこれが最後の「座頭市」作品となるシリーズ第19作!相変わらず勝新の座頭市にはオーラが漂う。殺陣のスピード、切れ味とも申し分なし、映像的にも美しくて良い。しかし、残念にことに市の命を狙うべくアウトロー、一匹狼的な男、佐藤允といい、西村晃といい、この画き方は何なんだ?特に西村晃の画き方、使い方など勿体無い。佐藤允のラストの決闘、一騎打ちにしてもあのうるさい音楽が邪魔で緊張感がいまひとつ伝わってこない。最後に今まで観てきたこのシリーズの中にあって、今作のヒロイン、三田佳子はシリーズ史上最大の大物女優だと言えよう!そんなヒロインを最後置き去りにして去っていく市には、えっ?何か違うやろ!と感じがしてならない。市と共に行動する藤岡拓也の役が一番儲け役の気がする。けして、つまらなくはないし、見所十分なのに全体的に納得出来ない部分が多すぎて引っ掛る。[DVD(邦画)] 6点(2008-04-13 13:06:02) 20. 細雪(1983) 《ネタバレ》 美しい。この映画を一言で表すなら「美しい」これに尽きる。市川崑監督の描き出す世界は本当に美しい。四人の姉妹、岸恵子、佐久間良子、吉永小百合、古手川佑子のそれぞれの画き方から何から何まで本当に美しく撮られている。そんな四人の姉妹のそれぞれの物語り、心の中の苦しみや悩みを美しい映像美に合わせるようして撮られている。本当に見ていてどの場面も日本ならではの美しさを感じる。四人の姉妹の話をすると、やはり岸恵子が抜群に上手い。「うち、京都より東へ出たことあらへん」てあの言葉の響きが忘れられなくなりそうです。一番上の姉としての苦しみ、母親変わりに妹達の面倒を見なくてはならない苦しみを素晴らしい演技力で見せてくれている。また一つ下の妹、佐久間良子もこれまた上手い。その一方で三女を演じている吉永小百合が私はどうにも苦手だ!この役、吉永小百合よりももっと違う人がいないのかな?若尾文子がもっと若ければ、山本富士子でも良い。いや、むしろ若尾文子よりも山本富士子が一番合ってる気がする。二人共もう少し若ければなあ!一番下の妹、古手川佑子に関しては役柄が役柄だけにまあ、こんなものでしょう!阿部豊監督の撮った「細雪」の中の高峰秀子と比較してしまえば、分が悪いとは思うものの、思ったほど悪くはないし、まずまずの演技をしていると思う。作品としての完成度、美しさでは明らかにこの市川崑監督の「細雪」の方が上だと思うものの、同じ点数にしてしまうのは、やはり三女、吉永小百合の存在とどう見ても他の三人は関西人に見えるのに吉永小百合だけは関西人には見えないのが痛い。痛すぎる。私の大の苦手、吉永小百合の存在、演技力にしても上手いとは思えず、よって完成度は高い作品とは思うもののこれ以上の点数は付けられない。[DVD(邦画)] 7点(2008-04-12 09:15:10)
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