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1. 仁義なき戦い 代理戦争
ちょっと目を離したら、もうついていけなくなる、複雑に入り乱れる組織抗争の回。
人十倍はメンツを重んじるヤクザたちがそれぞれに、屈辱の苦汁を飲み、復讐の笑みを浮かべ、野望と保身とに翻弄されながら右往左往する人間模様が、実に面白かった!
広能のようにカッコよくありたいと思いながらも、それぞれに逃避や保身や駆け引きや利害にせこせこと立ち回る面々に、他人とは言い切れないものを感じて、何とも言えない。
そんな中で、「男になりたい」という野望に命を散らす下っ端の儚さよ。遺骨を握りしめるシーン、原爆ドームの情景に、ほんとに「戦後映画」の生々しさが息づいている。
前フリ的な作品かもしれないが、戦後の目まぐるしい時代のうつろいと相も変わらぬ悲劇を活写した、ホントに面白い良作。[DVD(邦画)] 9点(2010-08-22 23:34:28)《改行有》
2. 仁義なき戦い 広島死闘篇
《ネタバレ》 梶芽衣子の美しさ! 成田三樹夫のダンディーなカッコよさ!書くならまずそこ。
一作目の畳みかけるようなインパクトは、ここでは抑え気味になっている。
その代わり、北大路の口笛が予科練の歌だとか、梶芽衣子が戦争未亡人だとか、いわゆる原爆スラム(現地ロケだそうで)が出てくるとか、戦争の遺した重い影を感じさせるつくり。
そして千葉真一のハジケっぷり(ヤクザでなくテキヤ=神農道の出なんだけど、そういう戦前からの伝統を全否定)が、原爆以前VS原爆後の対比を際だたせている。
しかし、アクションやヤクザ演出に比べて、男女が深い仲になっていく描写や演出は相当に下手かも。
北大路の脱獄エピソードとかは、「この二人そんなに想い合ってたっけ?」という唐突感があり、むしろ「ダメな奴っちゃな」とさえ感じさせた。ラスト近くの、梶の悲痛な慟哭、北大路の絶望と焦燥の貌が素晴らしいだけに、途中をちゃんと描いていてほしかった。
そしたら(ヒドい暴力シーンはあっても)仁義なきシリーズで女性人気No.1の作になっただろうなぁ。
[DVD(邦画)] 8点(2010-08-22 23:20:24)(良:2票) 《改行有》
3. 仁義なき戦い
いきなりのインパクトあるオープニング、そして畳みかけるような無秩序と暴力。
おもちゃのような血の赤色が、軽くひびく銃声が、たわいなく死んでいくヤクザたち(というよりチンピラか愚連隊って感じ)のはかなさに、むしろベストマッチ。コメディ感とシリアスさ、愛嬌と怒号が、渾然一体となって画面の中を駆け抜けていく。
役者陣も若く、イキがよく、男の恐ろしさと迫力、そしてセクシーさが充満している。
戦後の痛々しいドキュメント。青春映画。そして日本の風土が生んだ「ヤクザ」の映画。
正直、もっと早く見ておけばよかった!!
[DVD(邦画)] 9点(2010-08-22 23:03:14)《改行有》
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