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【製作国 : 日本 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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21.  下妻物語 《ネタバレ》 深田恭子、土屋アンナという主演の役者に興味がない上、ロリータファッションには嫌悪感を覚えるし、ヤンキーにも抵抗感がある。つまりこの映画を見たいと思う要素が自分には皆無である。なので見る前はたぶん自分には合わないだろう、つまらないだろうと思って全く期待していなかったが、それなのにいざ見始めると気がついたらのめりこんでいる自分がいたことにビックリ。中島哲也監督の映画を見たのはこれが初めてだったのだが、アニメやCGを多用していたりして映像にかなり凝っていて、しかも大林宣彦監督なんかと同じでCM演出家出身ということもあってか、その絵作りがとてもうまく、また演出もよかった。登場人物とキャスティングに関してもミスキャストが一人もおらず、みんなはまっている。特に主演の二人のはまり具合が絶妙で、中でも桃子役の深田恭子は今まで何本か見てるけど、はまり役と言えるものを見たのはおそらくこれが初めてだろう。クライマックスで別人の如くキレるシーンは痛快。ハイテンションでバカバカしく笑える前半から女同士の友情ものへと転換する後半、この後半に持っていくところまでにドラマ的にもう一山欲しかったところだが、それでもこれがなかなか良くてほろっとさせられる。挿入歌として流れる「美しく青きドナウ」などのクラシック音楽や尾崎豊の楽曲の使い方もうまい。とにかく今まで食わず嫌いだったのがウソのように面白い映画だった。最近の日本映画では間違いなくエンターテイメント映画として成功している一本だと思う。[DVD(邦画)] 8点(2010-08-11 02:41:02)(良:2票)

22.  次郎長三国志 第五部 殴込み甲州路 シリーズ第5作。今回は冒頭から祭りのシーンでマキノ雅弘監督らしい盛り上がるスタート。既にぐるぐるさんや青観さんが書かれているけど、この前半ではお蝶さんに酒を勧められた次郎長親分が久しぶりに酒を飲むシーンの親分のものすごくうれしそうな表情がたまらなくよく、そこでお蝶さんが親分との馴れ初めを語るんだけど、ここのお蝶さんの表情も最高で、ああ、この二人は本当にいい夫婦だなあと感じさせてくれるまさに名シーンだと思う。後半は後半で前半の和やかな雰囲気とは一転して人質にされたお仲さんを救出すべく殴り込みをかけるという展開。クライマックスのこの殴り込みのシーンもマキノ監督らしいどこかお祭り騒ぎ的な演出なのだけど、そこにいたるまでの大人数相手の喧嘩を前に不利とわかっていながら行かねばならぬ次郎長一家が見ていて実にかっこいい。それに人質にされるシーンのお仲さんの啖呵もかっこ良かった。マキノ監督のテンポのいい演出も見ていて心地よく、充分に楽しめる映画だったと思う。ただ、前回登場したばかりの豚松が、演じる加東大介のスケジュールの都合(黒澤明監督の「七人の侍」に出ることになった。)で早くもここで退場なのはなんか惜しい気がする。[CS・衛星(邦画)] 8点(2009-01-10 16:21:55)

23.  次郎長三国志 第三部 次郎長と石松 シリーズ第3作。「次郎長と石松」というタイトルのわりには次郎長一家の出番は少なめで、どちらかと言えば「石松と三五郎」という感じで石松と今回初登場の追分三五郎との絡みが中心。前回、最後にチョロッと出てきただけでも抜群の存在感を放っていた森の石松が、今回いよいよ本格始動して大活躍。演じる森繁久弥の持ち味がじゅうぶんに発揮されていて面白い。そして今回もう一人初登場となるお仲さんが色気があって美しくて気風の良い姉御肌で博打で壷を振る姿もかっこよく、見てるこっちまで石松や三五郎と一緒に思わず惚れてしまいそうじゃないか。お仲さんが酔った勢いで石松と一緒に旅に出る約束をするシーン。このシーンの二人はなんかいい感じで、そういえばお仲さんを演じる久慈あさみって「社長シリーズ」では森繁久弥演じる社長の奥さん役だったよなと思って見たり。そのほか、博打で捕らえられた次郎長一家に会うためにわざと見張りをぶん殴る張子の虎造も面白い。しかし、今回はなんと言っても森繁久弥演じる森の石松のキャラクターと久慈あさみ演じるお仲さんにすっかり魅せられた一本だった。[CS・衛星(邦画)] 8点(2009-01-04 22:34:34)

24.  次郎長三国志 第二部 次郎長初旅 シリーズ第2作目。冒頭の婚礼シーンのあと、次郎長一家が旅に出るのだが、それを見送るお蝶さんを演じる若山セツ子の演技がとても良かった。ただ、今回はちょっと最初からしんみりするような展開だったため、この先、どうなることかと思っていたが、あとは全体的に喜劇タッチで、料理屋でのドンチャン騒ぎ(一緒になって騒いでいる料理屋の主人佐太郎役の堺左千夫が女房に呼ばれて「ああ、そうか。」と下へ行くシーンが笑える。)とか笑えるシーンが前回よりも増えている感じで前回同様楽しめた。佐太郎の奥さんのお徳さん(この名前を聞くとなんか「洲崎パラダイス 赤信号」の千草のおかみさんを思い出す。)の優しさはたまらないし、おきねの父が娘の恋人である仙右衛門と和解するシーンは思わず感動した。そして終盤に登場する森の石松を演じる森繁久弥の存在感がすごい。これは、石松が本格的に物語に絡み出す次回が楽しみだ。[CS・衛星(邦画)] 8点(2009-01-04 15:02:18)

25.  次郎長三国志 第一部 次郎長売出す マキノ雅弘監督の「次郎長三国志」東宝九部作の第一作。今まで「サラリーマン清水港」とかパロディーものしか見ていなく、本家を見るのはこれが初めてだったのだが、とにかく出てくるやつらがみんな個性的で魅力があって楽しく、明るい作品でとても面白かった。今回出てくる子分たちの中ではとくに最初に次郎長の子分になる鬼吉。このキャラクターは演じる田崎潤に渋い役者というイメージが強くこういう役のイメージが皆無だっただけにそのハイテンションな演技がとても新鮮に感じられて面白い。彼が棺桶を背中にかついで走るシーンは同じ監督だからだろうかどことなく「決闘高田馬場」を彷彿とさせている。ほかにも浪曲をうたう張子の虎三(演じる広沢虎三は実際に次郎長伝の浪曲で知られている人。)なんかも実にいいキャラクターで楽しかったし、「青い山脈」で笹井和子を演じていた若山セツ子演じるお蝶さんは可愛い。大政と女房が別れるシーンは全体的に見て、少ししんみりするが、このシーンの大政役の河津清三郎の演技が素晴らしく、ここはこの映画の中でも名シーンの一つだろう。それにしても、新年一発目に見た映画がこれなのだが、とても満足いく作品だったと思う。第二部も楽しみ。[CS・衛星(邦画)] 8点(2009-01-02 11:17:23)

26.  小説吉田学校 GHQによる占領時代の講和条約からバカヤロー解散にいたるまでの吉田茂内閣時代を描いた実録政治もの。見る前はなんか淡々としていそうで退屈するのではないかと思っていたが、確かに淡々としているものの、スケールが大きくてものすごく見ごたえのある骨太の作品で、原作者の監修が入っているからか大作映画で知られる森谷司郎監督作(本作が遺作。)の中では大味な部分も特になく政界ドラマとして非常に面白い作品になっていると思う。公開当時にまだ現役だった実在の政治家(公開当時の首相は中曽根康弘。)たちが多数実名で登場している(当然本人には相当配慮していると思われる。)などドキュメンタリー映画的な側面もあってこの時代の政治家には威厳があったのだなあと感じる。吉田茂を演じる森繁久弥が本当にそこに吉田茂本人がいるような雰囲気が漂うほどの名演技で間違いなくこれは彼の晩年の代表作だろう。またこの映画を見ていると主人公の吉田を含め近年総理大臣に選出された安倍、福田、麻生の父親や祖父が登場しており、今の政界はつくづく世襲の多い世界だと思うと少々唖然とする。[DVD(邦画)] 8点(2008-11-25 20:17:51)

27.  しとやかな獣 悪いやつばかりが登場すると見る前に聞いていたので、どんな風な映画なのかと思っていたが、人間のいやな部分をブラック・ユーモアたっぷりに描いていてとても面白かった。この映画のように舞台を一箇所に限定している映画だと、単調に感じられる場合があるが、凝ったカメラワークと登場人物たちの会話のおかげでむしろスピーディーに感じられ、途中で全くだれることがなかったのも川島雄三監督の演出力の高さを感じられる。ほかにも川島監督ならではと思えるシュールな演出もあり、ヒッチコックの「ロープ」のような舞台的な作品でありながら、ちゃんと映画としてのつぼを押さえているのには感心させられる。そしてなんといってもこの映画の魅力は前田家を中心にした登場人物たちに尽きるだろう。若尾文子の悪女役はあまり見たことなかったんだけど、したたかに演じきっていてさすがと思わせる。前田家の面々にはちょっと唖然とする。それから忘れてはいけないのが小沢昭一。とても怪しげな独特のキャラクターで強烈に印象に残る。出番が少ないのははっきり言って勿体無いなあ。 2012年12月10日追記:小沢昭一という俳優を知ったのはたぶん映画ではなくラジオのパーソナリティーとしてだったと思うけど、いまでは川島監督の映画で欠かせない俳優の一人というふうに自分の中ではなっている。「幕末太陽伝」の金ちゃんはもちろんのこと、そのほか、「洲崎パラダイス 赤信号」のだまされ屋の店員役もまさにこの人ならではで、比較的シリアスな物語にあって小沢昭一演じるこの店員がコメディーリリーフとしての役割をはたしており、これも忘れられない。でも、やはり、この映画に登場するあやしい存在感を放つ歌手・ピノサクは小沢昭一だからこそ、小沢昭一にしかできないと思えるほどのハマリ役で、今まで見た小沢昭一の演じた役柄ではいちばん印象に残っているし、いちばん好きな役柄だ。そんな小沢昭一の訃報はとても悲しいし、非常に残念に思う。心よりご冥福をお祈りします。「このアパート、エレベーターないの!?」[DVD(邦画)] 8点(2007-08-02 12:35:26)(良:1票)

28.  十九歳の地図 ひたすら暗く、重苦しい映画で見た後かなりブルーな気分になるのだが、主人公の気持ちがなんとなく分かる気がして切なかった。とくにラストの電話ボックスで涙を浮かべながら脅迫電話をかけるシーンは胸がはりさける思いがした。蟹江敬三と沖山秀子(この二人の演技がすごくいい。)の関係をはじめとした主人公の周囲の人物たちの描き方も生々しくて妙にリアルに感じる。70年代のアート系邦画をひさしぶりに見たが、やっぱりこの頃のこういう映画は独特な雰囲気があってなかなかいいなあ。[ビデオ(邦画)] 8点(2007-04-09 17:53:57)

29.  Shall we ダンス?(1995) 《ネタバレ》 かなり久しぶりにDVDで再見したが、昔に初めて見たときはそんなに面白いとは思わなかった映画なのに、今になってあらためて見るとこれがかなり面白くて思わず見入ってしまった。平凡な毎日を送りながらもどこかに満たされない気持ちを持っているサラリーマンの男がふとしたきっかけで社交ダンスをはじめ、次第にのめり込んでいく姿が描かれているが、たとえ最初の動機は不純でも趣味を持つことの大切さ、素晴らしさや楽しさ、またそれによって人間は変われるということを感じることができるし、また、中年サラリーマンの悲哀を描いたドラマもよく描けていて、(この辺、初めて見たのが中学生くらいの頃だったんで分かんなかったんだろうなあ。)決して話題性だけではないちゃんとしたドラマとしての面白さのある映画になっているし、まさしく日本映画らしい映画で、日本映画だからこそできた傑作の一本だと改めて見て思った。周防正行監督の映画に欠かせない存在である竹中直人をはじめとしたわき役陣の強烈な個性も光り、周防監督らしいコメディとしての面白さもじゅうぶんあり、やはり周防監督はこういう肩の力を抜いて楽しめるコメディのほうがのちの社会派ドラマよりも合っていると思うしやっぱり好み。とはいえ、本作も次回作である「それでもボクはやってない」も電車が話の発端となっているのは偶然なのだろうかとつい考えてしまった。(まあ、考えすぎだとは思うけど。)ラストはなにか強引な気がしないでもないが、このラストの後味が最高なので気にはならなかった。タイトルになってる曲は劇中でも言及がある通り、もともと「王様と私」で使われた曲ではあるが、やはり今でも個人的には「王様と私」よりも本作のほうが印象が強い曲だ。ハリウッドリメイクもされているが、さっきも書いたように日本映画ならではの魅力のある映画だと思う。(2021年1月17日更新)[DVD(邦画)] 8点(2005-08-15 01:35:56)

30.  十五才 学校Ⅳ 《ネタバレ》 麻実れいの引きこもりの息子とのエピソードが感動的だった。ゆずの主題歌もいい。主人公のガールフレンドの名前が泉、丹波哲郎の息子(前田吟)の名前が満男というのが寅さんシリーズへのオマージュのようで印象的だった。 そういえば主役の俳優は顔が吉岡秀隆に似ている。[ビデオ(邦画)] 8点(2005-05-25 17:58:07)

31.  時代屋の女房 夏目雅子につきる映画。[地上波(邦画)] 8点(2005-04-25 18:22:21)(良:1票)

32.  十三人の刺客(1963) 《ネタバレ》 以前見た時は後半は面白かったものの、前半がかなり退屈に感じたことを覚えているが、今回久しぶりに見ると前半も面白く、全く退屈することなく楽しめた。ストーリーは忠臣蔵に「七人の侍」の要素を加えたようなものであるが、残念ながら13人分の個性というのは描き切れておらず、最後に仲間になる山城新伍なぞは居てもいなくてもいい感じさえする。しかし「七人の侍」では描かれなかった敵側の人物のキャラクターが立っていて、とくに内田良平演じる鬼頭半兵衛の存在感。千恵蔵とのかけひきは緊迫感があっていいし、ラストの二人の一騎打ちの対決も見ごたえがあるものになっている。この間、外では大乱闘が行われており、それとは対照的に描かれているので、この対決はけっこう印象に残るものとなっている。将軍の弟である殿様を演じる菅貫太郎の暴君ぶりもやはりハマリ役で、こういう悪役がいるからこそ、娯楽映画としての魅力も増すのではないか。それだけにやはりさきほども書いたように13人の個性をきちっと描けていれば、もっといい映画になったのではと悔やまれる。が、一人一人をきちっと描くには7人くらいが限界という気もする。クライマックス30分におよぶ乱闘シーンがやはりすごい迫力で、白黒映画だが、このシーンではそれも効果をあげている。ただ、以前見た時もそうなのだが、「七人の侍」の久蔵を思わせる剣豪役を演じている西村晃のあっけない無様な死にぶりはどんな強い剣豪でも刀がなければただの人というような意図があるのだろうけど、やはり少し戸惑った。まあこのシーンはリアルといえばリアルなんだけど。三池崇史監督によるリメイク版は未見なのだが、この部分をどうしているのかすごく気になる。芥川隆行の力の入ったナレーションが印象的。(2012年12月25日更新)[DVD(邦画)] 8点(2005-03-05 23:09:12)

33.  新・兵隊やくざ 《ネタバレ》 シリーズ第3作。3作目ともなると大宮(勝新太郎)と有田(田村高廣)のコンビも板についてきた感じで、見ていて安心感があるし、シリーズとしてもここからいよいよ軌道に乗った感じがする。そんな今回も見どころは盛りだくさんなのだが、竜宮でどんちゃん騒ぎをしている大宮の横で有田が深刻な顔をしていたり、足抜けさせた女たちと女郎屋を開こうという大宮の提案に有田が一度は反対したりするなど、奔放な大宮に対しての有田の真面目さが特に際立って印象に残る。そして、大宮が今回のヒロインである桃子(嵯峨三智子)と結婚してしまうという展開にも驚かされた。1作目で憲兵役で少しだけ登場した成田三樹夫が大宮と有田に敵対する憲兵を演じているが、同じ役なのだろうか。いつも殴られても平気な大宮がリンチを受けてボコボコにされるのはちょっと見ていて痛々しいものの、それがあるから、ラストの悪役である上官をぶっ飛ばすシーンにカタルシスが生まれ、爽快感が得られるのは娯楽活劇映画のポリシー。大宮と有田と親しくなる関西弁の一等兵を藤岡琢也が演じているが、なんだか後年「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」で彼が演じていた夢邪鬼をほうふつとさせていた。この人の関西弁、味があって好きだな。[DVD(邦画)] 7点(2021-05-29 17:28:17)

34.  人生劇場 飛車角 《ネタバレ》 以前に永島敏行主演の同じ原作の映画は見ているが、やはり飛車角を主人公にしている本作のほうが面白いし、東映がその後、任侠映画で一世を風靡することになるその原点の映画であることにも感慨深さを感じる。沢島忠監督は錦之助や美空ひばり主演の明るい時代劇の印象が強いので、見る前はどうかなと思う部分もあったが、こういう題材でもそつなくこなしていて安心して見ていられる。本作から既にのちのパターンは出来上がっている感じだが、東映最初の任侠映画であることもあってか、まだその色は全面には出ず、どちらかと言えば文芸メロドラマのような感じ(沢島監督もメロドラマのつもりでやっていたと語っている。)で、東映任侠映画を見慣れていると、物足りなさも多少あるかもしれないが、その分、見やすさもあり、また格調の高い作品に仕上がっている。飛車角を演じる鶴田浩二はもちろんカッコイイのだが、月形龍之助演じる吉良常がそれを上回る存在感を放っており、カッコよさも飛車角以上で、この前見た「組織暴力」での悪役も印象的だったが、一線を退いた老客という設定が晩年の月形龍之助本人と被るところもあるのか、この映画の吉良常に月形龍之助というのはピッタリな気がした。宮川(高倉健)がおとよ(佐久間良子)に無理やり抱き着くシーンでは宮川を演じるのが、まだ本格的にブレイクする前の高倉健というので、その後の高倉健のイメージからすると少し違和感を感じてしまうのは仕方のないところ。その宮川が単身殴り込んで殺されるという展開だが、高倉健が任侠映画でこういう役回りなのは逆に新鮮だった。で、この映画の一番の見どころは既に書かれている方もおられる通り、ラストシーン、思わず、ええ、ここで終わり・・・と思ってしまったが、止めるおとよを振り切って宮川の仇討に向かう飛車角をラストシーンにすることで、余韻がすごく残るし、沢島監督の言葉どおりに、ああ、なるほど、これはメロドラマだなと改めて感じることができる。一応、続編も見るつもりだが、あまりに素晴らしいラストだっただけに、果たしてどうか。いずれにせよ本作はこれから始まる東映の新しい時代の到来を告げるのにふさわしい傑作と言える一本だったことは間違いない。[DVD(邦画)] 7点(2019-06-28 00:54:22)(良:1票)

35.  仁義の墓場 《ネタバレ》 実在したヤクザである石川力夫の壮絶な生き様を描いた深作欣二監督の映画。とにかくこの主人公 石川力夫(仮名ではなく実名で登場するというのがすごい。)がとんでもない男で、終始何を考えているのか分からない凶暴さを前面にむき出しにしていて、薬や女に手を出す、親分(ハナ肇)やいつも気にかけてくれている兄弟分(梅宮辰夫)にまで牙を向くというまさに仁義なきヤクザという感じでその異様さがめちゃくちゃ際立っている。それを演じるのがそういうのとは程遠いイメージの渡哲也(深作監督の実録ものということもあって先入観からつい主演は菅原文太と思い込んでしまっていたのだけど。)というギャップが面白いし、他社出身の俳優が主演だとイマイチ持ち味が生かせない監督も多くいる中、見事に全編通して「仁義なき戦い」のような熱気にあふれたこの時期の深作監督らしい映画になっていて、力夫には感情移入や同情といったものが全くできず、むしろ嫌悪感さえあるのについ見続けてしまう。渡哲也は最初は梅宮辰夫と一緒にいるシーンとか違和感を感じていたのだが、見ているうちに気にならなくなったし、イメージを覆すほどの怪演を見せていて、存在感も圧倒的。病み上がりで力夫を演じていたらしいのだが、その影響と撮影の疲れからか、とくに後半の力夫が麻薬におぼれてからは、役としての演技ではなく、渡哲也自身が体調不良なのではと思えてきて、役柄と役者の区別がつきづらくなってしまったが、それが却ってリアリティを感じさせるものになっている。力夫がうつろの表情で妻(多岐川裕美)の遺骨を食べるシーンが目に焼き付くのだが、とくにこのシーンの撮影時などは相当体調が悪かったのではと思えてしまう。中毒性の強い映画で、深作監督の映画の中でもカルト映画と呼ばれているのもわかる映画だが、中毒性だけでなく、渡哲也のそういう状況下での演技にもカルト映画と呼ばれる要因があるのではないかと思う。[DVD(邦画)] 7点(2018-05-19 18:46:33)

36.  昭和おんな博徒 《ネタバレ》 加藤泰監督最後の東映作品となる任侠映画。主演は江波杏子というのが東映任侠映画では珍しいのだが、本作の企画意図としては時期的に藤純子引退後に新しい任侠映画のスター女優をというのがあったのだろう。どうかなあと思っていたのだが、江波杏子は大映で任侠映画のシリーズを持っていたらしく、そのせいか特に違和感はなく、良かったと思う。主人公・お藤が雨の中、標的を仕留める冒頭からいかにも加藤監督らしい演出で格調高く、ここだけでも印象に残るものとなっている。(この冒頭の雨とタイトルロールの汽車を見ると加藤泰の映画だなあとすごく感じられる。)物語としては夫(松方弘樹)を殺されたお藤の復讐劇で、夫 新二郎が殺されるまでのエピソードを前半に回想形式で描き、後半の復讐劇につなげるという二部構成になっているが、脚本としては前半部分が丁寧に描かれているのに対して後半部分がちょっと急ぎすぎに感じるのは尺の都合上仕方がないとはいえ、なにか物足りない感じがしたのが少し残念だったのだが、前半の松方弘樹も後半の天知茂もお藤と関わっていくドラマがみごたえあるものになっていてあまり退屈はしなかったのでもう30分ほど長ければもっと良かったかもとも思った。ところで、DVD特典映像の予告編を見ると「新シリーズ」とうたっていて、最初はシリーズ化を計画してたのがうかがえるのだが、2作目は作られることはなく、東映ヤクザ映画は翌年から任侠映画に代わって実録路線へ。そして加藤監督は次回作から松竹を中心に映画を手掛けるようになる。やっぱこの時期(70年代初頭)の東映の任侠映画を見るとそういう移り変わりの時期だったことを思わずにはいられない。[DVD(邦画)] 7点(2017-09-09 23:58:54)(良:1票)

37.  白ゆき姫殺人事件 《ネタバレ》 2時間ドラマのようなタイトルからまったく期待せずに見たのだが、殺人事件そのものよりも事件に対するネットの興味本位の書き込みやそれにまた踊らされるマスコミの報道によってもたらされた情報が何の確証もないまま真実であるかのように広まっていく怖さがリアルに描かれたまさに現代ならではの社会派エンターテイメント映画となっていてなかなか面白かった。構成的にはそんなに目新しさは感じないのだが、ネットとメディアを題材にしたことで、話がとても身近に感じられるのが良いし、それがこの映画のリアルな怖さにつながっているのだろう。だからというわけでもないが、ヒロインの城野美姫(井上真央)には感情移入できる部分もあった。ディレクター赤星(綾野剛)が城野の関係者たちを取材していくシーンはフェイクドキュメンタリーを見ているようで面白い。ワイドショーの取材VTRをそのまま流すシーンが二度もあったのはひょっとしたら映画館で見ていたらチープに感じたかもしれないが、あれがあることによって本作全体をワイドショーのように見せるという意図があったのだろうと思う。城野が犯人ではないと分かった後、今度は赤星が書き込みに批判され、今まで批判されていた城野が一転して書き込みに擁護されるようになるのはネット社会というものを痛烈に表していて思わず笑ってしまう。「告白」の湊かなえ原作であるが、監督が違うせいか「告白」ほどのインパクトはない。でも「告白」よりも分かりやすくとっつきやすい感じであるので、本作のほうが他人には薦めやすいかもしれない。城野がいちばん最後に赤星に言うセリフである「いいことありますよ」がなにか皮肉めいて聞こえるのは気のせいだろうか。その前にある実家に帰ってきた城野と小学生時代の友人・谷村夕子(貫地谷しほり)とのロウソクのくだりは別になくてもいいように思いながらも少しほろっとしてしまった。(原作知らないのだが、こういうところがいかにも松竹だよなあ。)それと、本作ではテレビ局がどこも製作に参加していない。別に珍しいことでもないのだが内容が内容だけについ納得できてしまう。まあ、これも憶測にすぎないけど。[DVD(邦画)] 7点(2017-04-09 01:21:41)(良:1票)

38.  次郎長三国志 甲州路殴り込み 《ネタバレ》 東映版「次郎長三国志」シリーズ最終作となる第4作。今回は前作ラストで捕らわれの身となったお仲さんを救出する部分から東宝版で言えば6作目の終盤となるお牒さん(佐久間良子)の死までを描いていて、東宝版最終作にあった中途半端なもやもや感はない。しかし、大木実が大政役に復帰している一方、今までと役者が交代してしまった人物が前作よりも多くなり、中でも前作で捕らわれたところで終わったお仲さんを演じる女優が交代してしまっているのは登場する冒頭部分から違和感がありすぎて戸惑うし、東映では後年の「仁義なき戦い」シリーズでも役者の交代は頻繁だったのだが、せめて前回と今回のつなぎのエピソードの主軸であるお仲さんは丘さとみで通してほしかった。(丘さとみはこの頃、活動を縮小してたみたいだけど、同時期の「宮本武蔵」シリーズ最終作にはちゃんと朱美役で出ているので、出ようと思えば出れたのではと勘ぐってしまう。)それでもやっぱり東宝版で大感動してしまったお牒さんが死の直前に次郎長一家一人一人に声をかけるシーンは分かっていても泣けてくる。しかしこれも次郎長一家を演じる俳優が一部交代してるせいか東宝版に比べると若干落ちる気がするのは気のせいか。さらに続編があってもおかしくない終わり方をしていて実際東宝版ではまだ続きがあるのだが、お牒さんの死で物語を閉じるのはここらへんがキリも良く、ちょうどいい終わり方なのだと思う。でも、個人的にはやっぱり東宝版のシリーズのほうが好きだな。とはいえこの東映版のシリーズも決して嫌いではない。[DVD(邦画)] 7点(2016-11-10 23:24:21)

39.  次郎長三国志(1963) マキノ雅弘監督がかつて東宝で手掛けた「次郎長三国志」を自らの手で東映で再映画化したシリーズの第1作。7年くらい前に東宝版9部作を見たときからいつか東映版もと思っていたのだが、ようやく見ることができた。前シリーズが白黒だったのに対してカラーであり、当然のように次郎長一家役の俳優陣も違うのだが、それでもどこか懐かしさを感じるのは嬉しかったし、「次郎長三国志」といえばマキノ監督というイメージが強いのだが、それを裏切らない明るい作風で気軽に楽しめた。次郎長役は鶴田浩二が演じていて、粋でいなせな雰囲気があり、東宝版の小堀明男の次郎長とはまた違った魅力があり、けっこうハマっていたと思う。(鶴田浩二を時代劇の主役で見るのはかなり久しぶりのような気がする。)またそんな次郎長を慕って次から次に仲間が増えていくのが東宝版同様に序盤である本作の面白いところだ。でも、東宝版に比べてテンポが早く、1時間40分ほどの間に東宝版で言えば2作目の終盤あたりまで話が進んでしまったのはもっとじっくりと見たかった気もするので残念といえば残念。とはいえ、全体的に見ればやっぱりおもしろかったし、東宝版に続いてこの東映版シリーズも全部見てみようという気持ちも強くなった。それともう一つ、デビュー間もない藤純子が初々しくて可愛い。[DVD(邦画)] 7点(2016-10-22 16:24:10)

40.  シン・ゴジラ 《ネタバレ》 12年ぶりの和製ゴジラ映画。どうしようかと思ったが、思い切って映画館で見た。(映画館で映画見るのは10年ぶり。)冒頭の東宝マークをバックにしたゴジラの足音と咆哮やタイトルの出方、始まってすぐの海を航行する船。ここまで完璧に一作目をなぞっていて、(この冒頭は思わずニヤリとした。)リメイク的な感じで行くのかと思っていたら、政府が出てきて84「ゴジラ」を意識してるのかとも思えた。でも、メインの登場人物に民間人が一人もおらず、ひたすらゴジラに対し右往左往する政府を極力ドラマを排して描いていたのは潔く今までのゴジラ映画にない展開で新鮮に感じられるし、それがリアリティを持って描かれていたのは良かった。主人公たちが専門用語の多いセリフを早口でしゃべっている(Yahoo!ニュースで見ると3時間分の脚本を2時間におさめるためだとか。)が、それが妙な緊迫感を生んでいる。しかし、岡本喜八監督の「日本のいちばん長い日」を意識しているというこの展開だが、比べてしまうとやはり重みが足らない感じはするのも事実ではある。フルCGで描かれたゴジラの動きがアニメっぽいのは、「エヴァンゲリオン」をやっている庵野秀明監督だからかと思う(加えて樋口真嗣監督もエヴァでアニメーターとして参加している。)ものの、これはこれでいいし、変態を繰り返し、姿を変えていくゴジラというのも庵野監督の案なのだろうけどエヴァをあまり見たことがないせいか、あまり気にせず、こんなゴジラもありかなと新鮮な気持ちで見ることができたし、ゴジラの恐怖感もちゃんと出ていたのが何よりいい。それにゴジラと戦うのはあくまで自衛隊の通常兵器であり、平成ゴジラシリーズに出たような超兵器が登場しないのも良かった。政治ものにしている時点で子供向けではないのだが、出演者に目をやっても一部を除いて普段こういう映画では見ないような人ばかりが出ていて、(この点も84「ゴジラ」と被る。)子供向けではなく、万人向けの大作映画としての怪獣映画をという意気込みが感じられる。とくに頼りなさげな総理大臣を演じる大杉漣と、彼のあとを受けて総理代理となる平泉成演じる農林水産大臣の緊張感のなさが印象に残る。ヒロインであるアメリカ大統領特使を演じる石原さとみがただの尻の軽そうな女にしか見えず、はっきり言ってミスキャストに感じるのに対して、市川実日子演じる人物のクールさが際立っていたのも印象に残る。ゴジラは完全に倒されるのではなく、凍結させられて終わるのは「ゴジラの逆襲」を思いだすが、やはり続編を期待させるような終わり方で、シリーズ次回作があったらまた見ようと思う。いずれにせよかなり満足できる映画になっていて見終わった後、またゴジラを劇場で見れて良かったと思うことができて良かった。伊福部昭の曲がゴジラのテーマ曲だけでなく、ゴジラシリーズのほかの曲も使われているのもよく、とくにエンドロールでも伊福部メドレーをたっぷりと聴かせてくれたのは感激するしかなかった。(また劇場で伊福部昭のゴジラ映画の音楽が聴けたのが嬉しい。)ただ、一つ言わせてもらえれば、ゴジラを倒す鍵を握る教授として喜八監督の写真が使われているが、生前の喜八監督は特撮映画には興味がなかったそうなので、いくら「日本のいちばん長い日」を意識しているとはいえ、見ていてなにか違う気がした。庵野監督がファンなのも分かる(ぼくも好きな監督の一人だ。)のだが、ここはもっと故人の意思を尊重して違う人、例えば平田昭彦や岸田森とかでも良かったんじゃないか。[映画館(邦画)] 7点(2016-08-16 23:13:26)(良:4票)

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