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Web www.jtnews.jp

プロフィール
コメント数 2127
性別 男性
自己紹介 2022/3/26に以下のような自己紹介文をアップしました。
ロシアのウクライナ侵攻が始まってひと月経過。
映画は観ていますが、侵略戦争のせいでレビューする気になれません。
私の映画レビューと戦争は直接関係しませんが、
楽しく文章を考える気分じゃない、ってことですね。
ロシアが撤退するか、プーチンがいなくなったら再開します。


そして、
侵略戦争が膠着状態に入り、
いつ終わるか識者にも判断できない状況になりました。
まぁ正直、痺れを切らしたので、レビューを再開します。
ウクライナ、頑張れ!

2024年3月17日更新

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【製作国 : 日本 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
評価順123
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変更日付順123

1.  下妻物語 《ネタバレ》 牛久大仏でのケジメシーン。イチゴは桃子を「ダチじゃねえ」と言い放つ。馬鹿なイチゴは上手く表現できなかったが、自分と桃子の間柄は、レディース仲間の「ダチ」関係とは違うと言いたかったようです。何が違うのか。彼女の言葉を借りると桃子は「たった一人で自分のルールで立っている」。イチゴは桃子のスタンスを「尊敬」していて、それを認めた台詞が「ダチじゃねえ」でした。正反対にスタイルが違う相手を認めるピュアな気持ちが独特な映像と笑いのなかに浮かび上がり、私の涙腺は軽々と緩みました。実は初めて会った時からイチゴは桃子のことを認めていたと思います。最初は何だかヒラヒラの変な奴。コミュニケーションを重ねるうちに、尋常では無いヒラヒラのコンセプトを知る。そこで変人として切り捨てるのではなく、得難い個性として受け入れるイチゴの背景には彼女の過去が関係している。大声の啖呵やアクションで目立つのはイチゴだけど、精神的なイニシアチブを取っているのは桃子。大仰な映像を連ねながら、その微妙にしてアンバランスな関係から焦点を外さない手腕はこの監督の才能でしょう。桃子がヒラヒラブランドの仕事で行き詰った時、イチゴの携帯に「会いたい」と漏らします。不器用な短い台詞が友達がいなかった桃子らしい。また、桃子が本音しか口にしないことを知っているイチゴにとって、その言葉がどれほど嬉しかったことか。一本の電話にお互いの気持ちがたくさん詰め込まれた、私がとても好きなシーンです。ちょっと歪んだ少女たちの個性とその結びつきを情感豊かに描いた傑作。過剰に演出された画面も映像表現の新たな可能性を示唆しているように映りました。[CS・衛星(邦画)] 10点(2011-12-14 21:51:23)(良:3票)

2.  七人の侍 黒澤作品を全て観た後の感想ですが、この監督はエンターテイメントの人だったのだというのが私の結論です。問題を多面的に扱ったり、複雑さを留保したまま問題意識として残すような作風は苦手だと思う。社会的なテーマを扱った現代劇も撮っていますが、私には強く響く作品がありません。反対に、勧善懲悪的なシンプルな作品からは凄いパワーを感じます。この「七人の侍」は典型的です。野武士側の事情には一切触れずに、侍と農民が勝利へ至る紆余曲折が描かれますが、本作のテーマは何かと問われても私には答えられない。敢えて言うなら「団結」などかも知れないが、たぶん本作はそんなことを意識して作られていない。この作品を構成するのは、仲間が集まるワクワクや、協力し合う心地良さや、大勢で勝利する達成感といった「映画的」な面白さです。涙するような感動や生活の知恵は見当たらないが、それでも面白いのです。それも、圧倒的な面白さです。不思議なことに、感動は無くともメインキャラのほぼ全員に共感している。3時間を超える映画で、何度も観返しているいるのは本作だけ。観返すたびに、映画的な面白さを教えてくれるテキストのような存在です。菊千代を見ていると「ドカベン」の岩鬼を思い出します。あのキャラは菊千代が原型でしょう。[地上波(邦画)] 10点(2008-12-17 14:28:32)(良:1票)

3.  少年時代(1990) 《ネタバレ》 少年時代とは、記憶である。殊更に、友人との記憶である。本作はそんなお話だと思います。 東京から富山へ疎開した主人公は、腕力以外の部分で彼にしか無いものを持っていた。そのために、学校での覇権争いで重要なポジションを占めることになる。学校のボスは絶対王政を布く優等生。異物に対するイジメでも先陣を切り、主人公も洗礼を受ける。でも、彼の王国を離れた二人だけのコミュニケーションでは、豊かな悟性と感性で主人公を包み込む。このボスの個性は厳めしさと優しさの二面性。王様であるための厳めしさと心を許す数少ない友人への優しさです。 ボスの二面性に戸惑う主人公。そして、感覚的に彼の事情を理解しながらも、イジメられたことに対する反発が裏切りに繋がって行く。高い理解力と感情の狭間で、主人公にも二面性が窺える。 そんな二面性の絡み合いを、本作はあるがままに切り取る。無意識下の強い繋がりと、結論など無いような曖昧さ。後に少年時代として回想すれば、成長してからは味わえない情感がそこにある。楽しいことだけでは無く、ネガな部分もたくさんある。本作はそんな悲喜をひっくるめて、少年時代を表現した秀作だと思います。 20年越しの再見でしたが、受けた印象は変わらず。自分の少年時代も不変のようです。[CS・衛星(邦画)] 9点(2012-11-18 15:24:06)(良:1票) 《改行有》

4.  ジョゼと虎と魚たち(2003) 主人公がジョゼのどこに惹かれ、なぜ別れたのか、という部分にとても共感できました[DVD(邦画)] 9点(2008-09-06 23:34:26)

5.  シン・ゴジラ 《ネタバレ》 鑑賞直後、これは危機管理をテーマとしたSF映画だと思いました。「怪獣映画」と言うより「SF映画」。そう言えば過去のゴジラ映画にSFを意識したことは無かった。劇場を出たら壁面ポスターがその意を「虚構」対「現実」と短く表現していて、すごく納得しました。SFってウソとホントのバランスですからねw 本作のゴジラは何を象徴しているのか? ゴジラが「動くメルトダウン」であることは従来通り。核兵器はもとより、原子力を使用するもの全てが孕む危険性がゴジラ。それは分かりやすい。 同時に地震や津波と云った自然災害も思い浮かぶ。ゴジラが這い進むだけで億単位の資産・資本が崩れ去る。復興の労苦が意識される。これは近年の災害被害を目の当たりにして来た経験がそう思わせるのだろう。 さらに、ゴジラ撃退に向け東京への核兵器使用が議論される。賛同する中国・ロシアはゴジラと同義の脅威に思えました。実際、その通りだと思うけどね。鑑賞意識は災害危機管理から国家の安全保障にまで拡がって行きました。 つまり、本作のゴジラは我々の安全を脅かすもの~天災・人災を含め~全てが詰め込まれた存在だったように思えます。 そして、ストーリーの中核は国家の対応描写です。実際の会議体があんな具合かどうかは別にして、諸々の対応に面倒な手続きを要するのは事実だと思います。グダグダでしたな。 戦後70年を超えて現行憲法の妥当性が議論される昨今。私が改憲賛成派だから思うことかもしれませんが、本作は核に対する脅威警鐘と云うより、特殊な安全保障体系を持つ日本を皮肉りながら、未来へ向けたアクションを期待している作品に思えました。かつて「ゴジラ/FINAL WARS」のレビューに「10年後くらいには復活して欲しい。その頃には新しいゴジラ映画のテーマが生まれている気がします」と書きました。本作はその意に応えて貰いました。 もうひとつ。ゴジラと伊福部音楽について。新しいゴジラ映画に敢えて昔からのゴジラ音楽を使用しました。これは賛否があるかも知れませんが私は嬉しかった。古いファンの自分にはゴジラと伊福部音楽は切り離せない関係で、監督をはじめとした同世代スタッフも同様に感じていることが想像できます。最近の映画BGMは主張が薄いと感じるのですが、ゴジラ音楽の存在感は別格です。伊福部昭氏の手腕に改めて敬意を表します。[映画館(邦画)] 8点(2016-08-19 18:31:25)(良:4票) 《改行有》

6.  終戦のエンペラー 《ネタバレ》 とても良いものを見させて貰いました。昭和天皇の戦争責任を巡って、当時の日本の国民性・精神性が検証されます。信奉するもののために従順にも凶暴にもなれる国民という所見によって、占領政策の大綱が建設的な方向で進んだことが分かります。日本国民にとって、昭和天皇が好戦的な方で無かったことは周知の事実かも知れないけれど、法廷的な意味での証拠を挙げるとなると簡単では無い。フィクションも入っているはずなので正確なところは分かりませんが、開戦の責任では無く、終戦への寄与で立場が安置される決着は納得し易かったです。それらの方針決定に、GHQの親日家が尽力したことは初めて知りました。 本作のクライマックスは昭和天皇とマッカーサーの会談です。その内容に感動している自分に少し驚きました。「占領」の事実しか窺えない例の写真を見るたびに、やはりどこか悔しい想いがあったのだと思います。これからは、違った視線で見られる気がします。 細かいことだけど、教科書には載らないような描写で自分のなかの「戦後」が肉付けされました。A級戦犯を特定した過程、GHQの高官でも皇居には立ち入れなかったこと、昭和天皇・マッカーサー会談のために踏まれた手順、などです。近衛文麿の言葉で戦争責任の根底にある欺瞞にもチクリと棘を刺します。内容の濃い映画だと思います。[映画館(邦画)] 8点(2013-08-06 01:37:29)(良:1票) 《改行有》

7.  しあわせのかおり 料理を創るシーンをじっくり詳細に見せる。人の手によって創られるものが人を悦ばせることの素晴らしさを、強く印象付けられる。その悦びが創る側と食べる側の双方の人生に意味を持って拡がってゆく。料理を通じて表現される創造の本質です。こういう作品には邦画の良さが滲んでいると思います。派手なテーマはなくとも、身近にある幸せを慈しむ丁寧な映画です。師弟関係という視点で観ても、これはひとつの理想型だと思いました。もちろん、中華が食べたくなりました。[CS・衛星(邦画)] 8点(2010-06-19 15:48:29)(良:1票)

8.  上意討ち 拝領妻始末 《ネタバレ》 とても内容のある映画でした。三船敏郎が演じる笹原伊三郎は剣の腕は立つけれど、養子身分の宮仕え。その伊三郎の息子の嫁にと、藩の上層部が藩主の側女を押し付けてきます。詳しくは映画を観て欲しいが、この嫁を巡るゴタゴタは藩側の強引な都合で二転三転し、最終的に伊三郎親子は藩に反旗を翻す。それはまるで、一国対親子の戦争といった様相でした。この行動は他者から見れば「キレる」という形容になります。でも、決して馬鹿ギレした訳ではないことが映画を観ている人には良く分かる。表面的には、藩側が理不尽な権力を濫用し、伊三郎親子は我慢に我慢を重ねた結果なのだが、伊三郎の背景に仕官先や家庭で長年積もったストレスがあったことは見逃せない。さらに、伊三郎は息子夫婦の絆を命を懸けても守る価値があると判断した。これは、謀反を起こす大義を得たということだ。大義とは清廉な動機です。それを得た伊三郎の剣は正義の剣であり、彼は三船敏郎らしい(笑)期待通りの剣客ぶりを発揮しました。さらに脚本的に特筆したいのは、息子の嫁の描き方です。彼女の毅然とした姿勢がテレビなどで見慣れた時代劇とは違う文法で描かれており、いい意味で予想を裏切られた。刀こそ帯びていないけれど、彼女も立派なサムライでした。伊三郎が抱えていたストレスは、現代人のそれと変わりません。サラリーマンの多くは、伊三郎のようにキレても良い大義を求めているんじゃないかな…。ホントにキレるかどうかは別の話だけど、自分には伊三郎がサラリーマン代表のように思えて心から応援しました。タイトルからは気難しい印象を覚えるけれど、とても観やすく解り易い映画です。これはもの凄くオススメです。[CS・衛星(邦画)] 8点(2010-01-28 02:29:38)

9.  実録・連合赤軍 あさま山荘への道程 《ネタバレ》 「こんな映画は難しくて総括できません」などと言ったら、殺されかねない…。そんな怖さを感じる映画でした。戦争映画などでこの100倍人が死んでも、こんなに怖かったことはない。あさま山荘で被害に遭われた方には申し訳ないが、あれはオマケみたいな事件だったんですね。少なくとも、この映画の頂点は山岳ベースでのリンチ殺人にある。自分には、出来もしないことをやろうとして苛立った執行部の八つ当たりにしか見えなかった。その八つ当たりが次第にエスカレートして行く。続くのは陰湿で過激なイジメです。イジメが原因で人が死んだら、いじめっ子も反省するのが普通ですが、このいじめっ子は共産革命の高邁な理想を精神的な隠れ蓑にして、反対に何故解ってくれないんだとばかりに悲愴ぶる。狂信的という言葉が似合う状況です。でも冷静に見るとイジメで死んでいるだけで、その情けないシンプルさがとても怖かったのだと思います。冒頭に一部フィクションがあるというテロップが入りますが、山荘で高校生が「勇気がなかった」と言った時に、これのことか、と思いました。あのひと言だけが浮いていたのは、ノンフィクションの流れの中に製作者のメッセージを強く感じたからです。この事件は学生運動に救いようの無い陰を落としました。もし、あの山岳ベースにいた人たちに森と永田を止める勇気があれば、その後の学生運動は良い意味で違った展開を見せたのでは…、という若松監督の悔しさが言わせたひと言だと思います。[CS・衛星(邦画)] 8点(2009-05-28 03:34:03)

10.  新幹線大爆破(1975) 《ネタバレ》 初見は公開後のテレビ放送で、もう30年以上前だと思う。この野暮ったいタイトルを馬鹿にしつつ見始めたらどんどんと引き込まれて行ったことを記憶している。後の「スピード」の設定ってこれのパクリですね。今回、久しぶりに観てとても気になったのが警察の捜査方針。犯人検挙に躍起になって用意した身代金が渡せずに人質を危険にさらす。今、こんなことをやったら袋叩きだけど、当時は今ほど違和感を感じる選択でもなかったと思います。でも宇津井健が毅然とした態度でそのあたりをしっかり指摘していて、救われる気分です。犯人側の描写に垣間見える体制対反体制という図式や、喫茶店の全焼といったストーリーの詰め方に時の流れを感じますが、クライムサスペンスとしては一級品だ思います。[地上波(邦画)] 8点(2009-02-21 03:19:40)(良:1票)

11.  シン・エヴァンゲリオン劇場版:|| 《ネタバレ》 劇場で鑑賞しましたが、サボっていたので今更のレビューです。このタイトルとは長い付き合いになるので、私的に総括したいと思います。 最初のシリーズには興奮しました。主人公はアムロに輪を掛けて内向的な性格だったけど、周囲のキャラが陰気を補完していたし、アクションは激しくカッコイイし、何より頻出するキーワードが謎めいていて、次回を見逃せない気分にさせられました。 しかし、ラスト25話・26話には不満が残りました。そこまでに撒き散らした謎が回収されず、主人公の内面描写で終了。興味を喚起しまくったうえで、鑑賞側が見たいものは提供しない。これ以上無いほどの「制作者のマスターベーション」でしょう。24話までのワクワク感とのギャップが整理できなかったファンは多いと思います。そんな鑑賞側の不満を、制作者は理解していたと思います。でも、あの時点ではあれが限界だったのでしょう。 「Air/まごころを、君に」には感謝しました。人類補完計画とは?の疑問に回答が与えられました。「ATフィールドは心の壁」なる台詞に、このタイトルの全てが集約されていると思いました。この台詞は、私が出会ったSFワードの中でも未だに屈指の輝きを放っています。 しかし、物語の進め方と終わり方はフツーでは無かった。病床のアスカに興奮して自慰行為に及びましたからね。最後、主人公はエントリープラグに座って悲鳴を上げるだけで何もしない。つまり、主人公らしくない。補完完遂後と思われる世界に動くものは無く、その荒涼とした風景に何を感じて良いかが分からなかった。主人公は生存していたが、ラストの台詞はアスカの「キモチワルイ」でした。やはりこの制作者はかなり特別な方だと思いました。屈折、あまのじゃく、へそ曲がり…、その辺りの形容詞が浮かびます。そして、そんな鑑賞側の違和感も、制作者は充分に理解していたと思います。でも、あの時点ではあれが彼の表現だったのでしょう。 そしてスタートした「新劇場版」。3~4作の連作が報じられていました。私は「今度は補完計画が失敗して終わるのだろう」と思いました。で、別に自慢じゃないのですが、その通りになりました。補完失敗を想像した理由は単純で、それがあまりに個人的な願望だったから。碇ゲンドウは彼の人生でただ一人、自分を受け入れてくれた女性を取り戻すことを期して計画を進めました。でも、そんな理由で地球人類70億の個性を無に帰すことを是として良い訳がない。現代や現在を全否定して終了する物語は、やはりあり得ない。 「制作者の作家性」と「好ましい物語性」の葛藤が新劇場版だったと思います。 「エヴァ」のテーマとは「ヒトのヒトの距離」です。この最終作へ至る道程を振り返ると、すごい数の距離を描いていたことに気付きます。その距離は時間と共に変化し、安定することはない。シンジとレイ、シンジとアスカの関係だけを取っても、接近と拒絶を繰り返していたことがよく分かる。そして、登場人物全員に言えることですが、良好な距離が少なかったことにも気付きます。けっこう常にギスギスしてましたよね。同時に、良好な距離が担保された時の安心感や満足感にも気付かされます。 制作者は「自分」の作品として、ヒト同士の距離の二面性を絵として残しておきたかったのだと思いました。碇ゲンドウと云う、小心で不器用な人物はおそらく制作者自身の投影で、人と良好な距離を作れない奴の代表。でも制作者はその態度を肯定している訳では無く、この最終作では、トウジ・ケンスケ・ヒカリ委員長と云う懐かしい面々を登場させて「好ましい距離感」や「好ましい物語性」へ配慮しました。そのうえで、シンジに主人公としての役割を与え、物語を完結させた。 その終わらせ方は、ここに至っては、私に取っては大きな問題ではなかったです。制作者の四半世紀に及ぶ葛藤が表現された作品。それが私にとっての「エヴァ」だったと思います。ありがとう、そして、さようなら、全てのエヴァンゲリオン。[映画館(邦画)] 7点(2022-01-16 00:31:46)(良:1票) 《改行有》

12.  幸福の黄色いハンカチ 《ネタバレ》 大量に連なる黄色いハンカチが力強く風に棚引くインパクト。妊娠を報せた時の1枚のハンカチが伏線になり、それが再び掲げられるだろうかとドキドキする視線を仰天する方向へ裏切る素晴らしい演出でした。大声で「あなたと一緒に暮らしたい」と言ってます。 初めて観た時の衝撃的な感動に比べると、再見以降はどうしても「慣れ」が入ってしまうのが残念だけど、それ以外にも見どころが多い作品。苦労人の健さんが、若く未熟な二人に人生の厚みを教えているようなロードムービーで、キャストが見事に嵌っています。特に無様でみっともない武田鉄矢が秀逸です。 その武田鉄矢は映画初出演。以前、テレビのインタビュー番組で披露された逸話が印象に残っています。北海道のロケ中につい羽目を外して飲み過ぎてしまい、顔をむくませて翌日の現場へ行ったら、本編中の説教シーンのように健さんからこっぴどく叱られたらしいです。「それでも役者か!」と。それが、その後の俳優人生の財産になったと仰っていました。[地上波(邦画)] 7点(2014-02-07 02:02:55)《改行有》

13.  次郎長三国志 第四部 勢揃い清水港 《ネタバレ》 一家が旅から清水港に帰ってきて、個性豊かな面々がやっと一堂に会する第四部。旅立ったときには3人だった子分も客分を入れると10人近くまで増えていて、こういうシチュエーションには無性にワクワクする。本作の物語を転がすのは三五郎・石松コンビ。計算高い奴とまったく計算できない純情バカの二人は、お互いの欠点を補うように機能する。そんな野郎同士の関係がこのシリーズの醍醐味だろうか。三五郎・石松の不始末を引き受ける次郎長さん。その姿勢に一家全員が結束を固めたように見えたところに大政さんの決め台詞。「生まれた時は別々でも、死ぬときゃあ一緒と、誓おうじゃあーねえか」。・・・ジーン。あぁ単純だ、俺。[CS・衛星(邦画)] 7点(2012-01-13 00:25:07)

14.  書道ガールズ!! -わたしたちの甲子園- 《ネタバレ》 ベタなエピソードのオンパレードなんだけど、不思議と満足感が残る映画でした。若手女優たちの魅力だと思います。前半、書道部がパフォーマンスへ傾倒して行くくだりには、書道が持つ精神性が疎かになっていると感じたんですが、やがて気にしなくなりました。集団でひとつのものを創りあげる点で類似する作品はありますが、本作の特徴は土地柄に注ぐ視線と男子の排除でしょう。主人公は成海璃子だけど、その他の書道ガールズの個性が光っていました。転校して行ったメガネ少女や宮崎美子の娘役は存在感があって主役を食っています。見慣れた成海璃子より新鮮に映ったことも見応えに繋がっている。面白いのは3人の男子部員の扱い。彼らは桜庭ななみを怒らせるための材料です(笑)。でも、桜庭ななみが男子を叱り飛ばす怒った表情の可愛さは本作の魅力の大きな部分を占めている。彼らの本作への貢献度はとんでもなく高い。共学の高校だけど恋愛事情を一切排除していることは、潔い割り切りだとも思いました。また、丹念に風景を織り込む絵作りが良いですね。際立った景観で無くとも、煙突からたなびく煙が海と空を背景として風情を印象付ける。問題を抱えた場所だとしても、そこに背を向けない姿勢を感じます。物語の舞台を大事に演出している作品は好感です。そんなこんなで鑑賞後にちょっと感動している自分がいました。ストーリーはともかくとして、この映画、好きですね。[CS・衛星(邦画)] 7点(2011-10-11 22:23:20)(良:3票)

15.  幸福のスイッチ 《ネタバレ》 「虹の女神」を観たときにも思ったことだけど、上野樹里は不機嫌な顔や態度が魅力的だ。電器屋の脇で電球を叩き割る姿に惚れぼれする。かと言って、シリアスな苦悩が似合うかというと全くそんなことは無い。つまらないことにぶつぶつ文句を言って不貞腐れている程度がいちばん良い。また、能力を発揮して成功するような描写より、もっと身近なことに喜ぶ彼女の方が素敵に見える。元来の愛嬌がコメディ向けのキャラだと思うけど、変態ピアニストを演じた某人気シリーズのような狙ったコメディより、ネガティブな態度から滲み出てくる可笑しさが彼女の個性だと思う。長い前置きになったけど、そういう意味で本作のストーリーと役柄はとても似合っていました。特に劇的な展開がある話ではないけれど、上野樹里が目に涙するシーンには彼女にシンクロして同じ気分になりました。本作に幸福になるためのスイッチがあるとしたら、それは他者の意見に素直に耳を傾け共感できる姿勢。言葉にすると簡単だけど、プライドが高く慢性的な不満を抱えている人には容易いことじゃない。しかし、そこから得られる充足を彼女は父親の代打で経験する。また、その姿勢は父親の営業方針そのものでもあり、父親を見る目も変わる。つまりは大人になるってことなんだけどね。「幸福のスイッチ」と言うよりは、まだ「不幸脱出のスイッチ」ってレベルだと思いますが、その大切さを伝えてくれる良作です。もはや浮気疑惑の真相なんてどうでもいいことでしょう。[CS・衛星(邦画)] 7点(2011-02-06 18:58:30)

16.  沈まぬ太陽 《ネタバレ》 企業トップの不正や政界との癒着を告発するような正義を描いた作品とは思わなかったです。一人のサラリーマンの生き方、その矜持とはどういうものかがテーマだと思います。恩地の海外勤務が延長された時、彼には辞める選択肢もあったはず。何故、辞めなかったのか? 負けた気がするからです。誰に? 楽な道を歩もうとするもう一人の自分に。人は基本的に弱い生き物で、すぐに楽な道に流れて行こうとします。そんな誘惑と戦う意思の総体が「矜持」です。自負・プライド・意地・自信・信念・虚栄、などで構成される。それは個をかたち作ると同時に縛るものでもある。自らの矜持と心中するような恩地の生き方は、お世辞にも上手とは言えません。一方の行天も彼なりの「矜持」は持ち合わせているが、順風を受けている時には現れず「欲」によって封じられる。この二人を較べたとき、人間の強さという概念が浮かびます。私は一概にどちらの生き方が良いとは言えません。いつか、それぞれが人生を振り返ったとき、その胸に去来するものでしか人生は測れない。私事ですが、過去に不本意な異動を命ぜられたことのある者として、本作は重い作品であると同時に興味深い作品でした。本作に描かれる矜持は、徹底して楽に生きないための戒めです。私は恩地ほど意固地じゃないけれど、職を辞さないのであれば、不本意と自らの矜持に折り合いを付ける必要が生じます。それは葛藤であり、生き方の軌道修正を余儀なくされる。生き方とは環境と矜持の接点から導かれるのだと思います。個人的に「沈まぬ太陽」とは矜持を抱き続ける姿勢と解釈します。[CS・衛星(邦画)] 7点(2011-01-01 15:19:17)

17.  深呼吸の必要 《ネタバレ》 「深呼吸」は暮らしている場所を離れて自分を見直すような意味合いだと思うけど、それよりもイベント的コミュニティがもたらす一体感や達成感の方にポイントが置かれた作品だと思いました。感激しすぎて大森南朋のように同じ仕事を続ける人も稀にいるけれど、大方は元の日常へ戻って行く。本人を取り巻く環境が何も変わらなくとも、物事を前向きに考えられる自分がいるはず。由緒正しい「リクリエーション」を見せてもらいました。彼らの内面の化学変化が分かりやすく沁みこんできて感動的です。トラウマを抱えた医師の再生はあざとい感もあったけど、彼だけは確かに「深呼吸」になったようです。それにしても、本作の「きび刈り隊」の女性陣の偏差値の高さは異常。深呼吸する前に過呼吸になりそうです。[CS・衛星(邦画)] 7点(2010-11-15 21:40:52)(笑:3票) (良:1票)

18.  シコふんじゃった。 自分は大学に5年いました。面白いんだけど、講義に出ない奴に単位をあげようとしたので3点減点だぁ。[CS・衛星(邦画)] 7点(2010-02-23 22:50:25)

19.  ジェネラル・ルージュの凱旋 原作未読。「バチスタ」が派手な宣伝のわりに原作も映画もイマイチだったので、あまり注目していなかったんだけど、これは面白かった。前作より断然良かったと思う。前作で作ったメインキャラの設定を財産として上手く活用している。反対に、前作を見ていない人には?が浮かぶ部分もあるのだろうが、たぶん許容範囲内。新キャラとして、優男役が多い堺雅人がチョイ悪で迫力があり新鮮。救急医療の問題、医療費と病院経営、病院内派閥などなど、たくさん詰め込んであるけれど、とっちらかった印象がない。法廷劇的な展開の中で明かされる謎解きもシンプルで分かりやすく、爽快感がある。その謎解きがダイレクトにテーマに収束して行くという意味で、ミステリーとして一級品だけど、コミカルな味わいが先行することがこの映画らしいオリジナリティ。謎が解けても、問題が全て解決した訳ではないという着地感も良い。竹内結子の大げさな芝居も、可愛いので手放しに赦す。あの愚痴外来、受診したい。[CS・衛星(邦画)] 7点(2010-02-17 23:17:37)(良:2票)

20.  新選組(1969) 《ネタバレ》 新選組の物語を2時間に収めるために、枝葉をズバズバと削ぎ落としてエッセンスだけを残した作品ですが、とても良くまとまっています。エピソードが矢継ぎ早に繋がって行くけれど、最低限の台詞で隊士の個性や人間関係、当時の世情を表そうとしている努力を感じました。そういう意味では、新選組に対して予備知識がある人の方が、端折り方の意図まで吟味できて楽しめる作品になっています。近藤を演じる三船敏郎は流石の存在感で、骨太で実直な人柄が良く出ています。三國連太郎の芹沢鴨は、過去のどの役者より自分の芹沢像に近くで感動モノ。土方の組織論の描写が薄くて、ただの残忍な男に見えてしまうのが惜しかった。このスタッフ・キャストで3部作くらいの構えで製作して欲しかったですね。[CS・衛星(邦画)] 7点(2009-11-14 13:37:39)

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