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1. スマホを落としただけなのに
《ネタバレ》 映画を観て勉強になったのは、スマホを拾った人がそもそも警察に届けず、持ち主に直接会いもせず、人を通して間接的に返そうとするときは、そのスマホに用心すべしということ。顔を見られたくないのは、心にやましさがあるから。一時的とはいえ、自分のスマホ(個人情報)がそういう相手の手許にあったことを重く考えるべき。
ストーリーはツッコミどころ満載だったけれど、啓発用ドラマとしてなら文句ない。
例えば、スマホ紛失後にクレジットカードのトラブルに巻き込まれれば、ふつうは拾得者の犯行を疑うに決まっているが、その路線で話を進めたとすると、当然富田はスマホを警察に持参して相談するだろうし、保存した画像から恋人は黒髪美人だと刑事の知るところとなるし、あれよあれよと事件が解決して『スマホを落としただけなのに』というタイトルの実感を、観客は全く味わえないお粗末な流れになってしまう。だから、あえて細かいことには目をつぶり、スマホ紛失のリスクを学ぶために楽しむ映画、と割り切ることにした。
それに、ネット世界の「なりすまし」が現実世界でもありえるという二重構造になっていて、これを「ひねりすぎ」と突っ込むよりも、バーチャルとリアルの垣根の薄さに素直にぞっとした方が、この映画を観た価値が上がろうというもの。
ただ、どうしても納得できないのはラストのハッピーエンド。直接公文書を偽造したわけではないものの、公文書の事実を歪めて重い罪に問われるべき人間があっさり許される。これだけはあまりにも不自然すぎて、さすがにフォローできない。締めがゆるゆるだから、やっぱり免許証更新の時に見せられる事故防止啓発ビデオのような位置づけにしか思えなくて、残念。(でも、お世話になりました。スマホを紛失したら友人たちにも迷惑をかけてしまうリスクは、しっかり肝に銘じます)[インターネット(邦画)] 6点(2019-10-11 23:26:09)(良:1票) 《改行有》
2. スカイ・クロラ The Sky Crawlers
《ネタバレ》 紙面を真ん中で折り、爪で丁寧に紙面をしごき、読み終わった新聞を静かに机の上に置く。死んだ男と同じクセを持つ男が現れたとき、これは一体何を表しているんだろうと思ったけれど、まさか、戦死したパイロットが輪廻で生まれかわったと言いたいのだろうか。そして、主人公のカンナミは映画の最後に現れた男に生まれ変わったとか? 草薙がその男を前にして、待っていたわと微笑むのを見て混乱した。もしカンナミの生まれかわりだとしたら、その男はカンナミと同世代であってはおかしい。でも、キルドレたちは永遠に年をとらないわけだから、もしかしたら、ここは草薙の容姿に惑わされず、カンナミが死んでかなりの年数が経っていると理解すべきなのか。 でも、そこまで年数の帳尻を合わせて、練られたストーリーとも思えない。なぜなら・・・・・・何年も何年も同じ容姿で生き続けてきたキルドレの特質を、話の中でうまく活かしきれておらず、ともすればこの作品がSFであることを忘れそうにさえなるからだ。キルドレと非キルドレの対比があまりにお粗末で、この映画の中盤まで見ても、いったいどういう世界観を描いた話なのかわからなかった。
それに、年を取らないシチュエーションがなぜ必要なのかもよくわからない。戦争で戦って無意味に死ぬ。その虚無感で充分じゃないかと思うのに、さらに永遠に生き続ける虚無感をプラスするから、観ている方はどちらに焦点を合わせて話を追えばいいのか、集中力が続かない。人の手によって死を迎え、輪廻ゆえか新たな生を受け、再び戦争のため空へ駆け上がっていくキルドレたち。ということはつまり、「スカイクロラ」とは、子供たちが戦争を永遠に支え続けている世界なわけ? パン屋でパン作りに励む生き方もあろうに、軍人として空で壮絶な死を遂げたにも関わらず、せっかく別の体で生まれかわっても、性懲りもなくまた戦場に戻ってくる彼らの融通のきかなさが謎。キルドレの元締めが遺伝子操作でもしてるんじゃないかと思うほどだ。そもそも、一体どういう大義名分で、彼らも敵も互いに戦っているのだろう。
でも、自分の解釈も全然自信がない。何といっても絶望的にセリフがわからない。途中からスピーカーを諦めイヤホンを試してみたが、それでも聞き取れないってどういうこと!? 戦闘機のパイロットは血の気が多い輩のイメージがあるが、人を殺すほどの所業をしている彼らが、どうしてぼしょぼしょ呟くの。冷静沈着な声の低さは、まるで潜水艦の乗組員のようだ。いくらなんでも、もう少し腹に力入れて話そうよ。[インターネット(邦画)] 3点(2019-09-13 23:14:18)《改行有》
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