みんなのシネマレビュー |
|
【製作国 : 日本 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
1. 大殺陣 雄呂血 《ネタバレ》 これはすごい。ひたすら敬服するしかない映画です。バンツマ版は見てないので比較的なことは何も言えないのですが、それでも、この反則ワザの連続にはひたすら感心してしまいました。この解決方法をやってしまえば、全ての時代劇の追い詰められた主人公は助かってしまう。きっと、多くのチャンバラ映画のシナリオライターは、この展開を一度は夢見たんじゃないだろうか。反則は、やってしまったモン勝ちだよね。ホント。 ギリシア悲劇の中で、「機械仕掛けの神様」という趣向があって、人間の主人公のいさかいが袋小路のところになると突然(水戸黄門のように)神様が現れて、人間たちのいさかいに強引に解決を与えるという(いささか信じられないような)荒業があるのですが、それを思い出しました。 ラストの強引さに対して、それまでのドラマの展開は、田中徳三らしい丁寧な描き方で、実は私の見たことのあるどの田中映画よりも感心してしまいました。それだけに、ラストとのギャップが、それはもう際立つこと際立つこと。思い出すたびににんまりしてしまいます。[CS・衛星(邦画)] 8点(2007-07-03 20:46:53)《改行有》 2. タンポポ 好評レビュー群に水を差すようで申し訳ないけど、イマイチ乗り切れなかったなあ。 面白いんだけど、ゆるさについていけなかった。エピソードの一つ一つはとっても面白い。でも、うーん。全体として迫ってこなかった。いや、思い出すとくすくすと笑ってしまうようなエピソードはいっぱいあるんだけどさ。[CS・衛星(邦画)] 6点(2007-05-15 23:08:56)《改行有》 3. 丹下左膳(1953) 《ネタバレ》 何なんだろう、このディープでダークな精神世界は。『丹下左膳』って、痛快娯楽時代劇じゃなかったの? 戦前、ずっと丹下左膳を撮ってきた伊藤大輔が、何だってこんな暗い世界を脚本にしたててしまったのだろう。確かにこの虚無的世界は、机龍之助の世界に入ってしまってる気がする。ただ、脚本的にはあまり整理されていなくてどうなっているのかいまいち理解できないのだけれど、なぜか目が離せない。破滅に向かっての大スペクタクル。話に置いてけぼりを食らっても、しっかり最後まで見てしまった。決して面白いとか痛快だとか言えないけれど、無視できない不思議な作品。しかし、当時のお客さんは、これ、どう受け取ったのだろうか。すごく興味ある。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2007-03-18 23:17:20)《改行有》 4. 丹下左膳餘話 百萬兩の壺 《ネタバレ》 トヨエツのリメイク版をCSでやっていた。それを見ようとしたが、いや、その前にオリジナルだと思い直し、急遽DVDを購入。買ってよかった。今までなんで敬遠していたのだろう、山中貞雄。カンペキじゃないか。演出、演技、脚本。映画のこれ以上のお手本はない。笑いは反復と予定調和と、わずかのズレから生じる。そのことを改めて確認した次第。しかも、笑いだけではない。例えば、左膳が安坊に父親が死んだことを打ち明けようとした場面。うろ覚えだけどこんな感じ。「おいらは今まで泣いたことはないんだ」安心する左膳。「あ、一度だけある。お母ちゃんが死んだときだ」ああ、何ていう美しいせりふ。何て美しい場面。 小津安二郎が『生まれてはみたけれど』というとてつもない傑作を残したように、戦前の日本映画の喜劇センスは、本当に侮れない。減点は削除されてしまった部分に対して。永遠のマイナス一点。だって、本当、もっと見ていたい、っていう幸せな気分だったのだもの。 原作者は嫌っていたみたいだけど、作品が原作を離れたときに、時に奇跡が生じる。(柴田錬三郎が試写室から怒って出ていったっていう伊藤大輔脚本・三隅研次監督の『眠狂四郎無頼剣』がそうだ。) 昔民放でやっていたのを録った山中監督の『河内山宗俊』が見てないまま眠っている。決まった。次に見るのはこれだ! 日本は国家予算を投じて紛失してしまった山中監督のほかのフィルムを発掘するべきだね。[DVD(字幕)] 9点(2007-02-21 23:48:33)(良:2票) 《改行有》
|
Copyright(C) 1997-2024 JTNEWS