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プロフィール |
コメント数 |
304 |
性別 |
男性 |
自己紹介 |
つたない文章力で自分なりのレビューを心がけます。映画館で観た作品は自然と評価が高くなりがちです。 |
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1. ディストラクション・ベイビーズ
《ネタバレ》 柳楽優弥が街にでて始めて獲物を探す場面。背中越しに構えられたカメラ、長く持続するカット、途中で止まる音楽。そして、振り向いた柳楽優弥の笑った顔が映され、獲物へと向かう。
息をもつかせぬ緊張感、全てが異様でしかない空気をセリフなしで捉える。
そして、暴力を通してしか他者とコミュニケーションをとれない男を、皮膚感覚も含めて提示する。
それからは、ひたすら暴力が続く。暴力の描写も鋭い。ロングショットの長いワンカットで捉えられるその様子は、鈍重さ、暴力の美しくない姿をしっかりと映す。
柳楽は相手を選ぶ事なく、ただ楽しさを求めて、喧嘩を繰り返す。そして戦い毎、成長する姿は悟空に近いものすら感じる。
彼にとって生きる事は、喧嘩をする事なのだろう。暴力を通して痛みを感じる事でしか、生を実感できないのだろう。ミュージシャンにリベンジを果たした後の、生に満ち溢れた眩しい太陽がそれを物語っている。
暴力の連鎖の果てで長身の男を倒し、一つの絶頂を迎える。
絶頂の後、菅田将暉と行動を共にするようになった物語中盤から一気に暴力の質が変わっていく。
秩序から無秩序へ、純から不純へ。
そしてその変化と反比例するように、柳楽の存在は小さくなり、菅田や小松菜奈の物語における存在が大きくなっていく。
菅田は自分より強い相手に喧嘩を挑まないだろう。自分より有利な状況の相手とは戦わないだろう。
小松は自己防衛の為なら何でもするだろう。そしてその二人が限りなく一般人に近い存在なのだろう。
エスカレートする暴力の中で人が死に、事故が起きる。警察に嘘をつく小松。弟に対するいじめ。柳楽よりは自分に近いであろう、普通の人々が映るたびに、柳楽の存在が恋しくなっている自分がいる事に気付く。
長い不在の後、満を持して故郷に凱旋する柳楽。
闇夜に照らされたその姿は、崇高ですらある。
負の側面だけには収まりきらない、暴力の魅惑を強烈に突きつける怪物がそこにはいた。[映画館(邦画)] 8点(2016-07-01 19:59:03)(良:1票) 《改行有》
2. ディア・ドクター
《ネタバレ》 伊野は間違いなく悪徳なニセ医師であり、やったことは許される事ではない。
しかし、自分の足で診療所にこれない人達のもとに自ら出向き診療を行っていたことも、彼に影響されて再び村に戻ると相馬が決意したことも、伊野のことを神の様に村人たちが崇めることでその地域の医療が成り立っていたのも事実である。そして、ニセ医者だと分かった途端、「そういえば…」と言い、手のひらを返したように彼を貶める村人がいたことも事実である。
綺麗事だけでは語ることの出来ない僻地医療の現状や村社会の暗部、善悪が曖昧で不確定な存在である人間を絶妙な距離感を保ちながら表現出来ていたような気がします。
[DVD(邦画)] 7点(2011-10-22 00:11:09)《改行有》
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