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21. ALWAYS 三丁目の夕日 建設中の東京タワーが前方にそびえる大通りがCGで再現されているが、物語の舞台となる街並みはえらく作りものっぽく、なんじゃこれ、と思っていたのだが、鈴木オートのぶち切れ演技でようやくこれはコメディなのだと気付き、そうなるとどこから見ても嘘っぽい街並みがこの大袈裟な芝居で綴られるコメディに妙に合うではないかと。むしろ時折挟まれる東京タワーを眺めるCG大通りのほうが浮いている。全体的な照明の暗さはこのCG部分との差に違和感を残さないためなのかもしれない。もしそうだとしたらこのCGのせいで映画はめちゃくちゃにされたことになる。薄暗い明度が合っていたのは三浦友和がたぬきに化かされたシーンのみ。コメディには不似合いだけどこの時代を描くにあたって眼をつぶるわけにはいかない戦争の傷跡をちゃんと入れていることを評価したい。またこのシーンが後のサンタクロースのシーンに深みを与えている。セリフ過多で進行する中、言葉少ない三浦友和が良かった。[DVD(字幕)] 5点(2010-11-15 14:03:41)(良:1票) 22. おくりびと 《ネタバレ》 邦画によくあるこの万人受けする作風・・コメディと感動ドラマがひっついたようなやつ、これがどうも苦手というか嫌いというか・・まあ、嫌いなんだが。たしかにヨメさんと二人して泣きましたよ。でも葬儀のシーンで画面に泣いてる人が出てればそりゃ泣くよ。たしかにヨメさんと二人して笑いましたよ。でも女だと思ったら男だよと本木と山崎が大袈裟にコントやってりゃそりゃ笑うよ。ふぐの焼き白子が美味いことを「こまったことに」と言われりゃ、ふぐの焼き白子がホントにこまったことに美味いと思う私にしてみればやっぱり笑うよ。ぜーんぶ、映画と関係ない。某邦画の竹中直人の容姿といっしょで面白さが映画から来ない。唯一良かったのが本木の納棺師としてのお手並み。シュッという、あるいはゴワゴワという布地のすれたりするときの音とともにその振る舞いの一つ一つに神聖さが前面に出ており、これを見た者がそれまでの差別や猜疑心を一変させるのも納得してしまうほどの美しいシーンでした。『フラガール』のフラダンスとは違い、ちゃんと映画として活きていた。もちろん本木の振る舞いの美しさは滝田洋二郎よりも本木雅弘に功績が大だと思うが。[映画館(邦画)] 5点(2009-03-23 16:49:26) 23. お葬式 誰も扱わなかった隙間の題材を使い、その内幕とノウハウを面白おかしく見せるその手腕は、その後の伊丹映画の特色として継承されパワーアップされてゆく。パワーアップされてゆくごとに映画から離れてゆく。この伊丹十三初監督作である『お葬式』は、いわばテレビ的ともいえるその作風の中にあって必至で映画たらんとしていることが見てとれる。流れの中で実に浮いているシーンが2ヶ所ある。ひとつは浮いているゆえの違和感が鼻につき、ひとつは浮いているゆえの違和感が感動にも似た感慨を与えてくれる。おそらく映画たらんとするためにあえて浮かしているのだろう。前者は運転しながらのサンドイッチの手渡しシーン。意味不明でバカバカしいだけ。『新幹線大爆破』のパロディのつもりだろうか? 後者は宮本信子が丸太のブランコに乗って延々と揺れているシーン。これももしかしたら何かのパロディなのかもしれないが、そんなこと以上に、けして画面には映らない夫婦の人となりを垣間見てしまったような、あるいは見てはいけない恐怖の対象が延々と映されているような、目を見張らずにはおれないシーンでした。冒頭のホラー映画のような別荘地の描写なんかも好きですが、山崎努の声が邪魔してる。[ビデオ(邦画)] 5点(2007-10-03 14:58:50) 24. 女の子ものがたり 緑の大地に青い空。キレイに切り取られた田舎の風景が荒んだ生活をカモフラージュする。三人の女の子たちもまたカラフルな服を纏っているもんだから全体的に明るい印象を受ける。しかしてその実態は。というのが狙いだと思ったのだが、「荒んだ生活」はその事象が映されるもののどこか絵空事、他人事のような描き方。迫ってこない。前後が無しでその事象だけだから唐突。友だちの前では明るく振舞っているから唐突でいいのだ、とも言えるかもしれないけど一瞬でも顔に影を入れるとか寂しげな後姿のカットを入れるとかしようよ。というかそれがあれば事象を見せなくたっていいのだ。全体的にお話の中の細かなところで繋がらないところもあった。現代のシーンのデコボココンビの会話からくる笑いもいかにも書かれたものって感じであざとさが目立つ。リアルを装っているぶん尚更イタイ。[DVD(邦画)] 4点(2011-12-09 15:28:21) 25. 俺は、君のためにこそ死ににいく 政治家が脚本と製作総指揮までやっちゃってる映画なんてその時点でダメだろうと思ってもよさそうなもんだけど、この人は政治家の前に作家だったわけで、もしかしてという小さな期待を持って見てみたのだが、いきなり「特攻」の必要性というか言い訳を伊武雅刀がダラダラとやっちゃうもんだからガックリだ。個人の思想・哲学でガチガチに固めたってべつにかまわない。しかし政治家としての彼は一応主張だけは入れてはいるんだけど、作家としての彼はそれなりの平衡感覚をもってこの映画を描こうとする。だから主張の部分も、それを否定する部分もものすごく理屈っぽい。というか政治って理屈が大事なのでそういうことになっちゃうのだろうか。説明のつかないようなことまで説明しようとしている。隊員とそのまわりの人々それぞれにドラマがあることを丁寧に、それでいて誰かをクローズアップせずに見せてゆくのは好ましいのだが、ときたま発せられる言葉だけが妙に目立ってしまうので台無し。インタビューとナレーションと時々再現ドラマだったら良かったかも。[DVD(邦画)] 3点(2009-08-03 14:42:26)
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