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プロフィール |
コメント数 |
496 |
性別 |
男性 |
年齢 |
42歳 |
自己紹介 |
皆様のレビュー、いつも参考にさせていただいております。私のレビューも参考になれば幸いです。
2012年以降忙しくなったので、レビューを一言にしています(上半期分は6月末にまとめて投稿)。参考にしにくいかもしれませんが、あしからずご了承ください。採点基準は以前と同様です。
私の連絡先はこちら⇒えむいーあーる75jp[あっとまーく]yahoo.co.jp |
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1. マイ・バック・ページ
《ネタバレ》 当時の雰囲気を現代の若者にも伝えようという努力のせいか、少し長くなりすぎた嫌いはあるが、登場人物一人ひとりの心の動きを丁寧に描いて味わいのある佳作。妻夫木聡も松山ケンイチも演技派の名に恥じない好演を見せている。
何よりも面白いのは、この映画が全共闘時代(1970年頃)の若者の狂騒を一歩引いたところから批判的に描いていることだ。映画業界の人(というかマスコミの人やら芸術家やら全般)はリベラル寄りの人が多いから、どうしても「青春のあの頃」を描くと自分達に甘くなる。マルクス主義に傾倒し、小難しい議論を延々と繰り返し、警官と衝突し、タバコをふかしながら青春を謳歌していた自分達を正当化したがる。「俺たちは真面目に政治のこととか考えて行動してたぜ。それにくらべて今の若者は何事にも無関心だ。熱い思いが無い」などと説教を垂れたがる。僕はそういう輩に対してずっと疑問を持っていた。本当に彼らがやったことは正しかったのか?若者はみな理想に燃えて高潔だったのか?彼らの闘いは未来を変えたいという真情の発露だったのか?
この映画を観て分かった。彼らとて聖人君子では無かったのだ。学生運動とは、現代ほど娯楽の無い時代に生まれた彼らにとっての「娯楽」だったのだ。スリルを得るためのゲーム、やり場の無い暴力のはけ口、そしてモテるための手段でもあったのだ。この映画が出色なのは学生運動の暗部である、彼らの虚栄心、党派心、虚無感、卑怯さ、そういうものを公正に描いていることだ。
もちろん、中には本気で革命を信じて闘った学生運動の「良心」ともいうべき人もいただろう。それが「正しかったか」はおいといて。この映画では長塚圭史演じる唐谷義朗がそれに当たる。でも、当時の学生全員が本気で社会を変えようとしていたわけではなかった。ラストで涙に咽ぶ沢田(妻夫木)は何を思ったのか。自分の青春時代を肯定することもできず、かといって否定しきるのもつらい。精神的な葛藤の末に流された苦い苦い涙だ。当時を体験していない山下監督だからこそ撮れた作品だと思う半面で、当時を生きた世代がこれを撮れなかったのは愧ずべきことのようにも感じる。
エンディングの真心ブラザーズ+奥田民生によるボブ・ディランの「My back pages」のカバーも良かった。「あのころの僕より今の方がずっと若いさ」。過去を反省する勇気を持ち続けていたいものである。[映画館(邦画)] 8点(2011-06-08 23:36:10)(良:1票) 《改行有》
2. マイマイ新子と千年の魔法
1000年前の物語と昭和30年代の物語をシンクロさせるアイディアは悪くないし、登場人物の性格描写も行き届いている。一昔前のアニメーションを思わせる素朴な質感の映像も物語の時代性を映し出す上で効果的に働いている。物語の舞台は山口県なのだが、僕も中国地方に住んでいるので、新子のしゃべり方には親しみを覚えた。声優を務めた福田麻由子さんは東京都出身なのに、なかなか芸達者である。
ただし、一番大事な脚本が少し力不足な印象を受けた。「大人」と「子供」の世界の食い違いや「子供」の世界の絆の強さが描きたかったものと推察されるが、タツヨシの父親のエピソードにはかなりの唐突感が残るし、新子や貴伊子の両親との関係にはもっと焦点を当てて欲しかった。原作があるから仕方がない部分もあると思うが、もう少し登場人物を絞り込んで映画化したほうが良かったのではないか。本で描ける分量と映画で描ける分量にはやはり大きな差があるだけに、もっと原作を削る工夫が必要だと思った。良い雰囲気を持っているだけに惜しい作品だ。[DVD(邦画)] 6点(2010-10-24 13:13:16)《改行有》
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