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【製作国 : 日本 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
1. 村の写真集 極めて個人的な好みで申し訳ないがどうも父親と息子の親子関係を真面目にリアルにそれでいて感動的に描かれるともうそれだけで受け入れ難い。私自身の親子関係が影響してるんだろうけどこればっかりは。前半のギクシャクした親子関係はそれなりに良かったし、そのギクシャクを中和する明らかにまわりとは色合いが違う中国人の彼女の存在がかなり映画を面白くさせているとは思うんだけど、後半、ストーリー的には納得できるんだけどやっぱ親父って凄いって息子が思うような展開があって息子は素直にそのストーリーに添ってゆくってのがどうも・・。息子が写真撮ると被写体の村人たちがぐずぐず言うのとかわざとらしいし。親父と息子の力量の差なんて「写真の笑顔」一発でいいじゃん。それから藤竜也は味があったが味がありすぎて一村民としては存在感がありすぎるような気もした。藤のこの味を活かすなら風景を撮るより、小津の映画みたいな虚構性に富んだ会話劇で見せたほうが面白いと思う。いや、極めて個人的な好みの問題ですよ。生々しい父と息子のドラマは苦手です。[DVD(邦画)] 5点(2011-12-07 16:18:41) 2. 宗方姉妹 高峰秀子が全然小津調に馴染まない。他はみんな小津調なのに彼女だけが違う。でもこの異物感はイヤじゃない。古風な考え方の世界の中に現れた新しい考え方。そういう話だった。そうするとこの異物感はむしろ歓迎されるべき。どんな俳優も小津映画では小津のリズムに生きるのに、一人異なるテンポを維持する高峰秀子は素晴らしい。ということになる。静寂に波風たたせるのって楽しい。完成されたものをぶっ壊すのって楽しい。小津は自分のつくった形式を高峰秀子を使ってぶっ壊している。そしてそれを楽しんでいるに違いない。姉と喧嘩してどっちが正しいかお父さんに聞きに行く。小津の化身・笠智衆が言う。お前の好きなようにするがいいと。古いから、新しいから、じゃなく古くても新しくてもいいものはいい。[DVD(字幕)] 7点(2009-02-10 18:05:09) 3. 無能の人 《ネタバレ》 話が淡々と進んでいるだけのようであっても、一つ一つのシーンを活かせるための工夫がちゃんと成されている。二度見せることによって二度目をより印象的にしたり、意味の無いシーンを意味のあるシーンにしたり。例えば古本屋での会話、妻が出て行った一度目の会話と妻のおならが聞こえる二度目の会話。会話そのものとは関係のない、妻がいないからいるに変わるシチュエーションがそのまま映画のテーマである「夫婦」を語る。例えば石売りをバカにしていた男の二度目の登場は鳥をバカ高い値で買おうとする。人それぞれの価値観の差異を滑稽に描く。鳥男の登場も二度。サングラスの男も二度。競輪場のあのシーンも二度。そして極めつけは息子の迎えに来る一言。同じ言葉が二度目には感動の言葉に。そして手を繋ぐ親子の後姿を映し出す画面の端っこからスッともう一人の手が。やるじゃん、竹中直人。[ビデオ(邦画)] 7点(2007-09-25 12:44:09)(良:2票) 4. 無法松の一生(1958) 《ネタバレ》 美しいお話です。不器用で勇ましく素直で純粋で、そんな男の生き様にこぞって高評価が与えられていることにまず安心しました。時代が変わるにしたがい男の価値観もおそらく変わっているだろうに、こうゆう気骨のある男には例外的に普遍の憧れというか認めざるを得ない何かがあるのでしょう。そんな男をイメージぴったんこの三船敏郎が好演。(阪東妻三郎版は残念ながら未見。)ただ、好みの問題になるのだろうけど、お話が美しすぎて面白みに欠ける。軍人の未亡人を秘かに想う松五郎がとうとう我慢できずに遠まわしの告白をするシーン、そこだけが実に人間臭くていい。そう、人間くさいはずの松五郎がずっとそのことを隠し続けているところに男の美学があるのですが、未亡人のいないところ、つまり観客だけにはもっと人間臭さ、はっきり言うと下心的なものを見せてほしかった、、、いや、あったことはあったんですが描写が美しすぎるような、、。恋に苦しむ男の葛藤をもっと見たかったような気がする。[DVD(邦画)] 6点(2007-07-03 18:34:39)
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