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プロフィール
コメント数 2162
性別 男性
年齢 57歳
自己紹介 実は自分のPC無いので仕事先でこっそりレビューしてます

評価:8点以上は特別な映画で
全て10点付けてもいいくらい
映画を観て損をしたと思ったことはないので
酷評しているものもそれなりに楽しんで観たものです


  *****

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221.  追悼のざわめき 《ネタバレ》 冒頭、見てすぐわかるその背景は、いわゆる「あいりん地区」と呼ばれる場所。そこを歩く主人公。それだけでよく撮れたと感心する。 公園で鳩にえさをやる主人公らしき男のまわりをカメラがぐるぐるとまわる。でも鳩は逃げない。どうやって撮ってるんだろう。 ビルの屋上に火をつけるシーンはホントに火をつけてる。ものすごい黒煙。まじに消防車出てるし。おそらく撮影時のボヤで消防が来て実況見分かなにかしてるところをそのまま映してしまってる。 ラスト、小人症の女が女子高生だか女子中学生だかを学校の校庭にまで入って追い掛け回すシーンはおそらくゲリラ撮影。ゲリラ撮影自体はどうってことはないが、この強烈な画づらをゲリラ撮影してるってのが凄い。そんなこんなでいちいち衝撃を受けながらの鑑賞なのだが、本当に衝撃なのは内容もさることながら、映画の中での「差別」に対するオブラートの無さだろう。 見た目のグロテスクさ(リンチの『イレイザーヘッド』と似通った部分があります)よりもこの「差別」のあけすけさが衝撃。 しかし、あけすけであることでどこか崇高さと言ったら言い過ぎだろうか、なんか、美しいものを見ているような感覚を覚える。 そしてこの映画は画面に映される異常な行為とは裏腹に深遠なるラブストーリーを観た気にさせてくれる。いや、間違いなく深遠なるラブストーリーだ。キワモノ映画として観終わってほしくない映画です。[DVD(字幕)] 8点(2009-02-20 16:37:54)

222.  火垂るの墓(1988) 《ネタバレ》 小学生だった頃に市民会館で『ふたりのイーダ』という反戦映画を見たのだけど、この作品は私の中に今でもなんともいえない「怖さ」を伴う記憶を残している。下の弟の頃は『はだしのゲン』アニメ版だったか。今ならなんだろう、それとももう反戦映画って見ないのかな?上にあげた2作とこの『火垂るの墓』に共通するのは子供が主人公であるというところ。戦争の最大の被害者は子供なのだ。この作品もそのことをまず訴えているのに、兄の行動への批判があがってしまうのは、おそらくは作り手と鑑賞者の間にある戦争への関わり度の差異の表れなんじゃないだろうか。原作者の野坂昭如はもちろんのこと、監督・脚本の高畑勲も戦争経験者である。私の世代だとまだ戦争を経験した人から戦時のことを聞いたことがあったし、実際親が戦争を経験している。そこにすら差はあるはずなのに、今後もこの差は広がる一方。そのことをふまえた映画作りということも考えなければいけないのかもしれない。例えば、戦争がいつまで続くかわからない中での生活への不安がおばさんにどんな影響を及ぼしていたかとか、落ちてくる爆弾から逃げ延びる日常が少年にどんな影響を及ぼしているのかを説明しなくちゃいけないのかもしれない。この作品で最も衝撃的なシーンは母親の死です。自分の母がモノのように穴に放り込まれることを想像してください。子供にとってこんなつらいシーンはないと思う。兄はこの不幸を乗り越え、この不幸を妹に降りかからせないために行動を起こすのである。妹の笑い声を常に聞いていたい、ただそれだけだったに違いない。「戦闘」ではなく一番の被害者である子供から見た戦争の話はこれからもなくてはならないと思う。あと、先にあげた2作品との違いは原爆を扱っていないこと。原爆がなくたって戦争は惨いということを知らしめるうえでも貴重な作品だと思う。[ビデオ(邦画)] 7点(2009-02-19 16:10:06)

223.  三月のライオン 矢崎監督の他の作品でも感じたのだけど、この監督の作品世界って一見生々しくリアルなものなんだけど、現実の世界とは全然違ってて、小説とかマンガを通して描かれる現実世界みたいな、ある種の独特の虚構性を持っている。この嘘っぽさ自体は大いにアリなんだけど、人物もこの独特の世界にあまりにはまりすぎな虚構性を持ってて、まさに小説の中の文字でしかない人物であったり、マンガの中の絵でしかない人物のようで、画面の中で生きてないというか。人物は監督の作り出した世界の一部でしかなく、そこからけして逸脱しない。だから面白くないんだけど、この作品に限ってはお話的にも「画面の中で生きていない人物」がまたいい味になってるではないかと思えなくもない。文学的というか詩的というか、独特の世界なので好き嫌いはっきりわかれそうな作品です。[ビデオ(字幕)] 5点(2009-02-18 17:38:42)(良:1票)

224.  昭和枯れすすき 《ネタバレ》 『青春の蹉跌』(神代辰巳)が74年か。この頃って役者を街中を歩かせてビルの上から撮ったり、半ばゲリラ撮影的に撮ったりして都会の生々しい喧騒を映し出すのが流行りだったのだろうか。それとも単純に予算の関係か。当時の町並みや風俗が見られてそれはそれで面白いからいいんだけど(特に当時の上映されてる映画の看板がいい)、なんかそこだけ取ってつけたような感じがしてしまう。あと、全体のストーリーはサスペンスってことになってるみたいなんだけど、もうサスペンスの部分、つまり妹は犯人か?ってところは先が見え見えでいまひとつ盛り上がらず、でもサスペンスは兄と妹の男と女の関係にも似た復元不可能な亀裂というメインのドラマのための道具立てだったりするならそれでもいいのだが、そうでもないから困ってしまう。この映画のウリが分からない。[DVD(字幕)] 4点(2009-02-17 13:30:44)

225.  涙そうそう 公開時の新聞に載った土井監督の言葉によると、テレビとは違って暗い館内でスクリーンに集中する映画の観客に説明しすぎないことに気をつけたとあって、それはおそらく前作『いま、会いにゆきます』があまりに説明しすぎたところの反省も含んでいるのだろうと思われるが、たしかにこの『涙そうそう』には説明をわざと抜いてるなと思わせる場所が多々見受けられる。とくに妹が登場するまでの兄の生活ぶりとか妹と兄のカノジョの初対面(観客にとっても初対面)で説明を排除したことはそれなりに映画を停滞させずに見せることに貢献しているとは思う。でも矛盾を起こしてはいけないとか意味を持たせなきゃいけないというところからは開放されていないので結局そこで説明じみたものが入っちゃう。例えば嵐の再会シーンに意味を持たせる為の子供時代の嵐のシーンは全編説明で成り立っている。例えば兄の過労を納得させるための詐欺事件はこの映画からえらく浮いている。見せたいものだけ自由に見せても観る者は勝手に想像力をもって理解してくれるものなのだ。そしてその想像をリードしてくれたら面白いものがきっと出来上がる。長澤まさみに、にーにーと呼ばれる。萌え萌えな想像を喚起するこの響きを利用しない手はないではないか。ああ、もったいない。[DVD(字幕)] 4点(2009-02-16 18:46:46)

226.  祇園の姉妹(1936) 《ネタバレ》 姉妹モノの多くにあるように姉と妹は古風と革新に分けられ、溝口の多くの女性映画で描かれる封建的社会に生きる女の悲劇を妹の革新さでもって打破しようとする。溝口は女を描くのがうまいと言われるが、実は女を通して社会を描くのがうまいのだとどこかで書いたことがあるような気がするのだが、この映画は女を通して社会を露呈させたうえでそこからまた女をまざまざと見せつけるから凄い。女優・山田五十鈴の貢献度も大きいだろう。まるで漫才のように繰り出される京ことばでの返し言葉に合いの手が喜劇性を高め芸術と娯楽を同時に高度に達成させている。さらに体制に負けんとする強い女が間抜けな男たちにいとも簡単に負かされる悲劇性を強調させてもいる。圧巻は先に書いたようにここで女を見せつけるところ。悲劇が悲劇でなくなる。というより女が悲劇を突っぱねる。絶望というよりも悔しさに満ちた叫びを見せることで女の立場上の弱さと女の本来の強さを提示しているように思えた。映画はここで終わるがこの女の物語はここから始まるのだと思えてしょうがないのだ。そしてそう思わせるのは演出あってのこととは思うものの山田五十鈴という天才の貢献度は極めて大きいと思う。[映画館(邦画)] 8点(2009-02-13 13:04:54)

227.  腑抜けども、悲しみの愛を見せろ 《ネタバレ》 ナイスバディとナイスバディのための洗練された衣装が田舎の風景に浮く浮く!このインパクトがいかにもCM出身監督らしいと思って観ていたが、いやいや映像はむやみに装飾されることもなく、どっしりと落ち着いた画面を提供し、かと思えば妹の目を強調する静かな緊張感もなかなかで、いい人・永作をどこまでも滑稽に、またコケにする毒々しさも素晴らしく、そのうえでトンデモ姉ちゃんの非現実的キャラをとことん暴れさせたこの映画はとんでもなく面白い映画だ。この非現実的でマンガチックなキャラが「田舎の風景に馴染まないナイスバディ」という違和感をもって逆説的にリアルさを得る。この胡散臭いリアルさが佐藤江梨子という女優をもってより現実味を帯びる。だからこそ多くの観客、鑑賞者はこの女にムカムカするのだ。お見事。でもこのムカムカするキャラもよくよく考えれば酒の肴に持って来いのおもろいキャラであることに気付かされる。妹は作家的視点でもってこのおもろさを知っているのだ。「やっぱお姉ちゃんは、最高に面白いよ」 そして才能を認められ田舎を出てゆく妹に姉が言う。「私をネタにするんなら最後まで見なさいよ!」なんて感動的な姉妹愛。お互いがお互いの長所を知っている。ここに兄嫁が入ってゆけないけして仲むつまじくもない家族愛が、、、いや言いすぎか。面白かった。[DVD(邦画)] 7点(2009-02-12 16:13:17)

228.  宗方姉妹 高峰秀子が全然小津調に馴染まない。他はみんな小津調なのに彼女だけが違う。でもこの異物感はイヤじゃない。古風な考え方の世界の中に現れた新しい考え方。そういう話だった。そうするとこの異物感はむしろ歓迎されるべき。どんな俳優も小津映画では小津のリズムに生きるのに、一人異なるテンポを維持する高峰秀子は素晴らしい。ということになる。静寂に波風たたせるのって楽しい。完成されたものをぶっ壊すのって楽しい。小津は自分のつくった形式を高峰秀子を使ってぶっ壊している。そしてそれを楽しんでいるに違いない。姉と喧嘩してどっちが正しいかお父さんに聞きに行く。小津の化身・笠智衆が言う。お前の好きなようにするがいいと。古いから、新しいから、じゃなく古くても新しくてもいいものはいい。[DVD(字幕)] 7点(2009-02-10 18:05:09)

229.  東京タワー オカンとボクと、時々、オトン(2007) うちのオカンも息子(私や弟)の友人や彼女と、あるいは別れた彼女と息子無しで会ったり電話したりするほどに仲がよくって、だもんで、この映画のオカンのように、10年以上前にはなるんだけど癌になったときは私を押しのけて友人たちがえらく心配してくれたことがあって、妙にシンクロしちゃって泣けてしょうがなかった。で、泣きまくっといてなんだが、見せ方がやけにのべーっとしてるというか、決定的な画に乏しいというか。例えばこの物語の最も重要なシーンは健康ランドのシーンだと思うんだけど、重要であることがあんまり伝わってこない。行く前に化粧しているところをボクが覗いてるシーンでも子供視点で撮るとだいぶ印象的になったような気もしないでもないし。なんつうか、お話の上辺だけを描いていて、その内情とか側面とかがフッと現れるようなところがないというか・・。豪華脇役陣がいかにも製作にテレビ局と広告会社が名を連ねる映画だなと思ったが、この豪華な顔ぶれをわりと前にでしゃばらないように地味に使いこなしているのは好感が持てる。[DVD(字幕)] 5点(2009-01-30 15:11:42)

230.  東京暮色 黒沢清『トウキョウソナタ』を観たときに黒沢清の過去の諸作品を想起したのと同じくこの『東京暮色』を想起した。どちらも家族が崩壊してゆく映画ではなく、最初から崩壊しているということを見せてゆく映画。そして父が家族の中で威厳ある存在でいるという幻想の崩壊が描かれている。日本映画は、いや、アメリカを例外とする世界の映画は「母」をこそ映画の題材にしてきたのに対し、小津はアメリカ映画の影響なのか、はたまた自らの思惑があってのことなのかは知らないが、「父」を描いてきた。小津の描く「父」は何もしなくても、何も言わなくても、「父」として、家族の長として存在することを家族が認めていた。しかし『東京暮色』の父は何もしないのではなく何もできない存在として描かれる。そして母の不在こそが家族を分断させる決定打となっている。小津が描く「父」はいつもどこか寂しげな一面を見せてきたが、ここではその寂しさも泣きっ面に蜂状態。娘(原節子)も母(山田五十鈴)もそれぞれの事情を抱えてそれぞれの道を歩む。杉村春子は相変わらずのマイペース。父はひたすら何も出来ない。理想の家族形態が存在する古き良き時代の終焉を描いた映画といえるんじゃないだろうか。悲劇を悲劇として描かず、あくまで日常として描く。痛切で怖い映画だ。[DVD(字幕)] 8点(2009-01-29 11:59:10)(良:1票)

231.  東京ゴッドファーザーズ 近未来の東京を舞台にしたギャングものと勝手に想像して借りて、見始めてすぐに「しまった」と思った。ただ絵がリアルでキレイなだけの人情話かよ。そう思ったのもつかの間、お話はリアルから程遠い、やけに都合のいい展開が繰り広げられる。なかなかシャレたコメディではないか。話が進むに連れて都合のよさはヒートアップ。どんなピンチも浅はかな奇跡のおかげで難なくやり過ごす。いいねえ、奇跡の大売出し。クリスマスだし。何より強引に前に進むもんだからテンポがいい。停滞しない。真面目ぶってる暇も無い。そして奇跡の大売出しなんて軽く思ってたら最後の奇跡で泣いてしまった。奇跡は起こるべく人の上に起こる。この語りつくされて今さらな青臭いお話を臆面もなく大人向けアニメーションでやっちゃうってのがいい。ご都合主義が最強の武器となっているのも実写ではなくアニメーションだから成し得た部分もあるかもしれないが、こういう題材を堂々とやっちゃう気概あってのことだと思う。[DVD(邦画)] 7点(2009-01-28 13:39:38)

232.  東京流れ者 車が勢いよくやってきて建物の前で止めるシーンがあってそれをその建物の上からワンカットで撮ってるんだけど、その止め方が全然建物に沿ってなくておもいっきり斜めなんだけどそれも計算づく。その斜めに止まった車がめちゃくちゃかっこよく画面に収まるのだ。構図のためにカメラを動かすのではなく被写体をその枠に持ってくる発想。奇抜なようで構図はきっちりきまる。ハチャメチャなようでちゃんと考えてる。清順映画が楽しいのは基本が出来た上での自由な発想にある。最後の決着をつけるシーンのピアノだけがポツンと置いてある不自然な空間がいかにも清順&木村威夫がやりそうな画づらでまたそそる。そこで渡が見せる半ば失笑もんのアクロバティックな銃撃戦がまたサイコー。印象的なシーンは他にもゴマンとある。書き出してたらキリがない。[映画館(邦画)] 7点(2009-01-27 14:14:32)(良:1票)

233.  TOKYO! ■「インテリア・デザイン」 ものすごく長く感じた。いきなり飛び込んできた雨の東京はどこかウルトラQ的SF世界観をかもしていてよかったのだが、話がなかなか前に進まず、徐々にイライラしてきたのだが、唐突に穴が開き、足が棒になり、服がはがされていく展開に目が点になり、このいわゆるクライマックスのスピード感はそうとうに良かった。ただ、その後のエピローグ的なところもちょいと長ったらしい。 ■「メルド」 待ちに待ちに待ちに待ったカラックスが9年ぶりに帰ってきた。この9年間、どうやら地下にもぐっていたらしい。これまでのカラックス映画の登場人物の成れの果てのような片目をつぶした怪物となって東京に出現する。ゴジラっぽい音楽に乗って。疾走する姿を横から撮り続けたカラックスが今度は真正面から画面に向かって闊歩する姿をとらえ続ける。それだけで感動。手榴弾は紛れもない復活ののろしととっていいんじゃない?半ばギャグとして登場する通訳シーンもカラックスにやられると映画の吹き替えや字幕が真に正しいかどうかはわからないよと言われているみたいだ。 ■「シェイキング東京」 ストーリーもオチもテーマも無難。外国人監督が日本を描くうえでの魅力的なズレも無ければ、日本人キャストを使ううえでのミスキャストも無い。全てが無難。その中で人っ子一人いない東京の景観だけが今まで見たこともない景色として出色。あと、蒼井優のアップはつい見とれてしまった。 ◆<総評> はっきり言ってカラックスを見に行った。他はどうでもいいと思ってたのでかえって他の二作もわりと楽しめたかも。でもゴンドリーもジュノも「東京」を描くにあたって「孤独」「引きこもり」といった都会が抱える社会問題をテーマに持ってきているのに対して、そんなテーマ映画を笑い飛ばすかのような自由さでもって、それでいて映画と真剣に向き合ったカラックスの作品は他を圧倒している。点数は難しいけど3人の監督による3作品という濃厚なオムニバスという点がかなり好感が持てるってことで7点で。 [映画館(字幕)] 7点(2009-01-26 14:47:20)《改行有》

234.  影武者 たまたまテレビをつけたら信玄の骸を入れた瓶を湖に捨てるシーンだったんだけど、ただ朝靄のかかった湖が映されているだけのその画を見てすぐ黒澤明の映画だなと思った。前に観てるからとかではなく、そのだだっ広い湖一面を覆い尽くす朝靄の人工的でありながら嘘っぽくない、美とリアルを同居させた画づらと、このなんでもないシーンをたっぷりじっくり堂々と映し続けるその迷いの無い画面の厳かさに黒澤明を感じたのだ。そうして見ると全てのシーンにものすごく時間とお金をかけていることが伺えてシーンごとにため息が出てしまう。撮影時を想像して感動するなんて映画の見方としては適当ではないだろうけど、間違いなく画の中にそれらは現れている。カラーになってからの黒澤時代劇は絵画的な芸術色を濃くしているように思うが、それらが顕著に表れる合戦シーンなんかはさすがに圧巻の画の連続。一方、その反動か、人が会話をするシーンがどうにも浮いて感じてしまう。外国人のためなのかもしれないけど 説明セリフも多い。[DVD(字幕)] 6点(2009-01-14 12:08:43)

235.  容疑者Xの献身 《ネタバレ》 テレビドラマ「ガリレオ」は見てはいないが湯川学を主人公とする原作シリーズにはいない女刑事をメインキャラの一角として登場させているところから想像するに、シリアスさを緩めるスクリューボール・コメディ調の軽いタッチで見せたドラマなんじゃないかと勝手に想像しているが、たしかにテレビドラマの映画化として見ればコミカルさよりもシリアスさを前に出したこの作品はテレビドラマとはまた違った味わいを提供してくれているようにも見えるかもしれないが、原作「容疑者Xの献身」の映画化として見れば別段なんてこともない映画、少なくとも違った味わいなど感じることなんてないわけである。読みやすくて面白いものがてんこ盛りの東野圭吾作品の中で、実は個人的にそれほど面白いとは思っていないこのシリーズの醍醐味は何といってもトリックの凄さである。だから映画の評価でこのトリックそのものを云々というのもおかしな話である。軽いタッチのテレビドラマと原作のシリアスさをうまく融合させた功績も実は映画にはなく、東野圭吾が生み出した湯川学というどっちの世界でも通じる、というより自分の世界しか持っていないキャラクターこそにその功績がある。それでも私の中で違和感ありありだったキャスト陣がいつのまにか違和感を感じさせないまでにしてみせたこの映画のドラマ力(そんな言葉無いけど)は認めたい。ダンカンだけは最後まで違和感あったけど。どう見たって犯人面してるじゃん。一瞬、ストーリー、原作から大幅変更かと思った。[映画館(邦画)] 5点(2009-01-13 15:54:30)

236.  片腕マシンガール 映画が始まる前にパンツ1丁の監督によるこの作品の正しい鑑賞方法の説明が映されてそのおバカさに和む。映画冒頭いきなりのド派手なスプラッターアクションもこの和みとのギャップに大いに盛り上がり、和みのおかげで大袈裟な血しぶきもある意味ギャグと割り切れたような気がする。お話は単純で小気味良い。子供向けヒーローものにありがちな展開にギャグすれすれの残酷描写を入れただけで、その部分は全然面白くないのだが(天ぷらにされた腕には笑ったが)主演の八代みなせが見事に激写されていて実に興奮、いや感動した。髪の毛の乱れ具合とか顔の汚れ具合とか苦悶の表情のアップとか怒りの表情のかっこよく映る絶妙な角度とか実に監督のフェチ度が活写されている。体操着姿はアップではなく引いた画でとらえられるのはその場所が体育館であったり背景に校舎が映されていることが重要だから。コダワリに妥協が見えない。そして見えそうで見えないチラリズムの極意とちょっとだけ見せちゃうサービス精神がまた嬉しいではないか。何かを撮ることに長けた人ってのはその何かのオタクでなくちゃいけないのだろうと思った。[映画館(邦画)] 6点(2008-12-11 15:42:08)(良:2票)

237.  昭和歌謡大全集 《ネタバレ》 昔オバタリアン、今アラフォー。ここで登場するオバサンたちはこの中間くらいの位置付け。ただしオバサンを敵視する男たちの持つオバサン概念はおもいっきりオバタリアンなわけで、今やあの時代のそれこそ原田の言うところのゴキブリを押しのけて最後の生き残りとなるという、女を捨てた、図々しい、そのうえ集団で闊歩するまさにオバタリアンなオバサンなんていないわけで(いるかもしれないけど)、どうも時代錯誤感を拭えない。見た目、ここに登場するオバサンたちのように美しく生活力もあり、ある意味男前なオバサンたちというのはいかにも今どきだったりするので、結局オバサンたちをどのように描きたいのかがイマイチ分かりづらい。殺しのシーンは一人目サイアク。生々しすぎ。次の殺しサイコー。目が点になった。あと、ロケットランチャー(?)凄すぎ。復讐だからとターゲットはあくまで一人であって他を殺すことに反対した松田龍平が最後に街ごと破壊してしまう復讐の連鎖の恐ろしさ(というより滑稽さ)がバカっぽい作品に苦味を加える。ってほどでもないか。むしろ、オバサンたちをちょっとマジメにそれぞれの葛藤やらを描いちゃったりしてるところがバカっぽさに水を差しててイヤかも。[DVD(字幕)] 3点(2008-12-09 13:32:01)

238.  暗いところで待ち合わせ ストーリーは面白かった。田中麗奈のゆっくりとした静かな口調も良かった。作品全体を優しい雰囲気で被っている。でも、「他人がいることに気付かない」から「誰かがいるかもしれない」あたりはホラー色を入れたりしてサスペンスを盛り上げてほしかった。湯上りシーンがあるならもうちょっと色っぽくも危なっかしい場面も欲しい。「誰かがいることを確信する」ところまで来ると作品に備わっている優しいオーラが本領を発揮していてなかなかにいい感じなのだが、そこに行くまでで遊んでほしいというか・・実際いろいろ出来そうなある意味おいしい設定なんだし。さらに欲を言えば必死に気配を消す男の滑稽な様をもっとコミカルにして優しいオーラを損なわない程度の笑いも欲しかった。そういったものをあえて抑えているのかもしれないけど、もっとサービス精神に旺盛であってもいいと思う。[DVD(邦画)] 5点(2008-11-27 14:04:25)(良:1票)

239.  ICHI 綾瀬はるかがめちゃくちゃいい。通常ならごまかし以外の何者でもないスローモーションとカット割で仕上げた殺陣がすこぶるカッコイイのは綾瀬はるかの顔のアップがあるからに他ならない。特に目が美しい。真正面の度アップもいける。正直、二度目三度目の殺陣シーンとなるといいかげんちゃんと撮れよとか思ったが。一方綾瀬と同じくらい主役扱いの大沢たかおがかなりうざい。役どころが。なんだけど、正直、顔までもうざく感じる(他の作品では全く思わないのだが)。マンガチックな強面獅童はまずまず良かったと思う。最後はイマイチ盛り上がらず。綾瀬を見くびったシナリオが悪い。でも満足。スクリーンに映える顔の日本女優を久方ぶりに見ることができたから。[映画館(字幕)] 6点(2008-11-26 13:05:45)

240.  ブラインドネス 《ネタバレ》 この映画はただ単純に「まわりにいる全ての人間から視力を奪ったらどうなるか」だけを見せる。その原因を追究もしないしそこに至る恐怖も描かない。あまりに非人道的な収容所(病気の研究も何もなされないし、防護服の介護者もいない)が現実離れしていてついていけない所もあるんだけど、これも「人間から視力を奪ったらどうなるか」を分りやすく見せるための道具立てにすぎない。この徹底振りがいい。「見えない」というより「見られない」世界の凄まじきこと。そんな中でメッセージめいたものが散見される。収容所内のキングを名乗る男の食糧配給のルールはまさしく資本主義を劣悪にしたものだ。奪取する者とされる者という構図をもって資本主義批判をしている。またこの男をイメージだけで黒人呼ばわりしながら黒人を白人と勘違いしている男の描写は、目で見て判断することがいかにいいかげんなものかを語っているようでもある。たまたま聴いたラジオでのこの映画の案内で「登場人物に名前が無い」とあったが(たしかに無かった)、名前には人種やら出生のなんやかやが込められている場合があるので、「見えない」=「本質を見る」という構図を作り上げるには名前は邪魔だったのだろう。まあ、このメッセージのためのドラマを限られた尺の中で見せるには強引に感じるところもあるんだけど。一人を除いて皆聴力を頼りにしているせいかやたら音がガチャガチャと目立っていた。ついつい私も劇中、目を閉じてみようとしてしまったが、映画で目をつぶるのはおかしいということに辛うじて気付いてやめた。それほど音が印象付けられていた。[映画館(字幕)] 6点(2008-11-25 12:12:27)(良:3票)

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