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プロフィール |
コメント数 |
1047 |
性別 |
男性 |
年齢 |
30歳 |
自己紹介 |
とにかくアクションものが一番
感想はその時の気分で一行~何十行もダラダラと書いてしまいます
備忘録としての利用なのでどんなに嫌いな作品でも8点以下にはしません 10点…大傑作・特に好き 9点…好き・傑作 8点…あまり好きじゃないものの言いたいことがあるので書く |
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281. 用心棒
《ネタバレ》 二大ヤクザを引っ掻き回す三十郎のキャラクター、一瞬の抜刀劇が面白い。
冒頭の「水の恩」をさらりと返す三十郎は本当カッコイイ。
殺伐とした世界をコミカルに闊歩するキャラが良いんだよなあ・・・。
終盤の一瞬で決着する破壊力。三船敏郎の太刀は早すぎて最初良くわからない。二回目見るとそのべらぼうな速さに度肝を抜かれてしまうワケです。
レオーネの「荒野の用心棒」も好きだ。
でも一瞬の破壊力はやっぱり「用心棒」が上だぜ。
見た目は冷徹な殺し屋、本当は飯を美味そうに食ったり捕まったりと人間臭い三船敏郎、ニヒルな悪党仲代達矢(後3回三船さんに斬られます)。
特に戦前から山中貞雄を始めとする時代劇で活躍していた加藤大介!
「市川莚司」時代劇から活躍し続けた時代劇には欠かせない名優。「人情紙芝居」「西鶴一代女」「元禄忠臣蔵」「血槍富士」などシリアスな役柄が多かったですが、今回は本間先生に匹敵する憎めないキャラクターに(笑)。黄門様とのやり取りも楽しくてしょうがない。[DVD(字幕)] 9点(2013-12-17 11:49:51)《改行有》
282. 瀧の白糸(1933)
《ネタバレ》 「狂恋の女師匠」「日本橋」「唐人お吉」のフィルムが見つかるまでは、当分この作品が溝口のサイレント期の最高傑作の一つとして語られる事だろう。
誰かが見つけてくれるのが楽しみだ・・・。
この映画が面白くなかったという人は、恐らく状態の悪い物を見てしまったのだろう。
もったいない。
俺の見た奴も画質こそフィルムの状態が悪く荒れてはいたが、弁士の神調子、神BGM。
そして何といっても始めから終わりまで目まぐるしく展開されるストーリー。
飯を喰らい、心と心の交流、そして別れ。
溝口映画でも指折りのファースト・シーンは凄い。
初期の溝口はこんなにも動き、スピード、テンポに溢れ、女の描き方も素晴らしい。
カメラワークが凄いのよ。
馬車の中からのカメラ!
“手ブレ”のリズムはこの頃からあったのか!
馬丁とヒロインの粋なやりとりも相まって最高の出だしだったよ。
後半もテンションをほとんど落とさず、ラストの悲しくも凛々しい最後に繋がった。
水面、海、船、溝口映画の漆の藍色。
初期の溝口はクローズアップが多いので、その美しさをじっくり堪能できる。
そこからあの溝口映画独特のロングショットが挿入される時の威力ときたら・・・。
入江たか子のエネルギーに満ちた美しさもそうだが、この頃の溝口は脂の乗り切ったパワーがあった。
岡田時彦の演技も光る。
馬鹿正直な男が一人の立派な人間に成長した様子。
サイレントとはいえここまで違いを見せつけてくれた。
この後も数本の作品に出演するが、残念な事にそのほとんどのフィルムが未だ行方不明であり、すぐに亡くなってしまった彼の実質最後の出演作だ。
他のフィルムが発見される事を切に願う。
サイレントは絵で見せることが勝負。
小説の世界を絵で魅せる事に魂を燃やした描写、そして溝口映画の十八番とも言えるたたみかけるようなセリフ・・・もうね、密度が半端じゃないね。
何より男の心理にも迫った描写も良い。
泉鏡花の素晴らしい原作を、映像でも遺憾無く見せる。
オマケにこの上を行くほど面白かったという「狂恋の女師匠」「日本橋」「唐人お吉」の存在。
もっと凄いのか・・・見たいなあー・・・。[試写会(邦画)] 9点(2013-12-14 17:46:39)《改行有》
283. 七人の侍
《ネタバレ》 個人的には後年の「椿三十郎」や「天国と地獄」の方が完成度は高いと思うが、やはり一番好きな黒澤映画はコレになるだろうか。俺にとって白黒映画の悪いイメージを払拭してくれた思い入れのある作品の一つ。
ジョン・フォードやボリス・バルネットが馬ごと追ってスピードを追求すれば、黒澤明の場合は馬を待ち構えて迎え撃つ視点。冒頭で野武士が走り去るのを見守る視点は恐怖から、最終決戦で馬を追いかけるのは「ぶった斬ってやる」と標的に一撃浴びせるために。
黒澤が受け継ぎリスペクトを捧げるアクションの素晴らしさも見所だ。
百姓と侍たちが絆を結ぶ展開・馬や群衆スペクタクルの迫力は伊藤大輔「斬人斬馬剣」や鳴滝組の「戦国群盗伝」、仲間集めと馬の疾走はフォード「駅馬車」、ユーモアと殺陣の切れ味は山中貞雄「丹下左膳」等々。
冒頭20分の導入部、麦が実る「麦秋」までのタイムリミット、鶯の鳴き声は春の証明。実るのが速い街の麦は時間の経過を伝えその得たいの知れない恐怖が強まっていく。
そこに光を差し込む官兵衛といった侍たちの登場。戦力が揃っていく頼もしさと楽しさ、人足や菊千代が百姓と侍たちを結び付けていくドラマ、戦闘準備のワクワク感。それが詰まった2時間だけでも面白いが、それを爆発させていく後半1時間30分の死闘・死闘・死闘!
登場人物もみんな味のある面々。
野武士を恨む利吉、娘が大事な万蔵、弱腰の与平、間に入って仲裁する茂助、侍に惹かれる志乃、どっしりと構える長老儀作。
侍たちも冷静な指揮官の官兵衛、地味ながらハニカミと戦闘時の怒気が頼もしい五郎兵衛、縁の下の力持ち七郎次、若く未熟な勝四郎、ノッポのムードメーカー平八、凄腕の剣客である久蔵、侍・百姓・野武士に片足突っ込んだトラブルメーカー菊千代。
それぞれに役割があって必死に生きようと戦う。特に菊千代は大きな楔。二つの立場を繋ぐ無くてはならない存在。
彼が居なければ官兵衛が百姓の心情を深く理解する事も無かっただろうし、また官兵衛がいなければ菊千代が村に来たかどうかも解らなかった。持ちつ持たれつの関係。
菊千代と官兵衛の一喝による「鎖」、野武士という打倒すべき目的は「道」となって団結を高めていく。さらには平八の死。百姓を代表する利吉の責任感、家族同然となった仲間の死。誰も裏切り者が出なかった理由がここにあるんだろうな。
劇中の野武士は作物を食い荒らす「災厄」でしかない。「災害」に感情移入すればコチラが殺される。殺るか殺られるか。野武士もまた仲間の死を還り見ず何度も突っ込む。理由は解らない。解らないからこそ怖い。色々な解釈が持てる存在だね。
とにもかくにもこれほど心打たれた作品、点数など安いもの。俺にとってマイフェイバリットな映画の一つだ。[DVD(邦画)] 10点(2013-12-14 13:26:20)(良:4票) 《改行有》
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