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【製作国 : 日本 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
341. 東京の合唱 いわゆる「応援歌」的なモノ(「それが大事」とか「明日があるさ」みたいなの)はあまり好きじゃないんですが、これは良かったです。きっと、恵まれた者が恵まれていない者を上から見下ろす感じではなくて、主人公のようなサラリーマンと同じ目線で物語が作られているからじゃないかと思います。サラリーマンの悲哀、オトーサンの悲哀が描かれながらも、朗らかでユーモラスな感じがとても好きです。僕は蓮實重彦とかホウ・シャオシェンとか【STING大好き】さんとか【まぶぜたろう】さんのように小津映画の真髄を理解しているとはとても言い難いので偉そうな事は言えませんが、今まで観た小津作品の中では今の所一番好きかも。あと、これ観た後はカレーが食べたくなりますね。あくまで「カレーライス」ではなく、カレー粉と小麦粉を炒めて作る「ライスカレー」。あの「口上」を思い浮かべながら食べれば、ほら,知らず知らずのうちに、笑顔。7点(2004-01-08 17:51:51) 342. 淑女と髭 当時のモダンブームを風刺した作品(しかし、当時のモボ・モガをタイムマシンで現代につれてきて茶髪の若者とか見せたら、いったいどういう反応をするんだろう?)。ひょっとしたら当時は爆笑コメディだったのかもしれないけど、今観るとむしろほのぼのコメディって感じですね。「朗かに歩め」にも出てたヒロインの川崎弘子が、可愛いというより「可憐」って感じで、クラリスを見た時の五右衛門の気持ちが分かるようでした(笑)。 <追伸> 針を頭でツンツンしてるのは多分髪の油で針の滑りを良くしてるんじゃないでしょうか?一昔前はよく針仕事を示す記号として使われてたような気がします。> 【バカ王子】さん 7点(2004-01-08 17:41:10) 343. 青い春 僕が中学生だった頃、世の中(あれ、それとも茨城だけ?)は「ビーバップハイスクール」に代表されるヤンキー文化花盛り。いわゆる「不良」だけでなく、割と普通の生徒も二年生以降になると(一年がそれをやると上級生にシメられるから)微妙に校則違反の学ラン(ちょっと太かったり細かったりする)を着用していたのですが、僕は最後まで普通の学生服を着ていた少数派の一人でした。別に「よい子」だったわけではなく、単純にファッションに対して異常なほど無頓着で「別に制服がどうだろうと関係ないじゃん」と思っていただけなのですが(今思うとあんまし可愛くない)、そんな訳でヤンキーとかヤンキー的なものがしばらく苦手でした(あ、でも紡木たくの「ホットロード」は好きだった)。で、この映画を観ながらぼんやりと当時の事とか、不良と呼ばれ恐れられていた同級生の事とかを思い出しました。こんなこと言うと「分かったっぷりしてんじゃねぇぞ、オッサン!」とボコられてしまいそうですが、未来に希望を持てず、さりとて特にやりたいこともない少年達の苛立ちや絶望感、切なさが伝わってきます(「怖いです。自分の欲しい物を知ってる奴が怖いです」という台詞が印象的)。ここで描かれている学校の屋上は「自由(解放感)」と「死」の象徴のように思えたのですが、青木は果たして「自由」になれたのでしょうか・・・ミッシェル・ガン・エレファントのエンディング・テーマ「ドロップ」の切ないギターリフに、胸をかきむしられる思いでした。 7点(2004-01-07 22:00:26) 344. クロエ(2001) これは評価が難しいなあ・・・なんつうんでしょ、「必ずしもイヤではない不快感(ヘンな日本語ですが)」みたいな感じがずーっとしてたんですよ。何だか、新しいことをしようとしてるけど、それが浮ついてるというか、上っ面だけ、みたいな印象もあるし(確かにあの光の感じは綺麗だったけど、微妙に調和してない感じがしました)、暴走した英助の台詞とかキタノのアジとか(分からんではないけど)、大人が発するメッセージとしてはチト青過ぎないかい?という気がしたし。だからといって「駄作」と言うには、あの不協和音っぽい感じ(冒頭の、まるでヤク中のような岸田今日子とか、スケート場での唐突な事故とか)がすごく印象的なんですよね。果たしてこれは「純愛映画」なのでしょうか?丁度青山真治監督の「シェイディ・グローブ」を観た時の感覚が一番近いかな?決して好きな作品ではないのだけれど、心に不思議な「しみ」が残った感じですね。ちなみに僕も人間はサバ並みにくだらない存在だと思っていますが、自分も含めたそんなくだらない人間が結構、好きです。 7点(2004-01-07 21:39:32) 345. その夜の妻(1930) ハリウッドに影響を受けて製作された一本、らしい(BS-NHKの小津特集でそう言ってた)。話自体は今観ると至って古典的。でも主人公が逃走する時の光と影の感じとか、登場人物達が並んでいる時の佇まいとか、なんとも言えないかっこ良さ。子供と夫を守る為、拳銃を手にしたヒロイン(八雲恵美子)の健気で凛とした表情が実に美しくて素敵です。7点(2004-01-07 20:41:49) 346. 落第はしたけれど 学生の頃よく古株の先生が「昔に比べて今の学生は・・・」なーんて言ってたけど、大して変わんないじゃん!少なくとも僕はカンニングはしなかったぞ(代返はしたけどね)。当時の大学生の姿が生き生きと描かれていて楽しい一編です。レコードをルーレットの代りにしたり、影絵で「パン」の字を出したり。これもまた、戦前の姿なり。7点(2004-01-07 20:22:45) 347. 大学は出たけれど(1929) これも、同じ頃の他の小津映画同様、一部しかフィルムが残ってないらしいです。ちなみにアメリカの州の名前が入っている壁掛けみたいなのは「学生ロマンス・若き日」にも出てたような気がします。6点(2004-01-07 20:13:28) 348. 和製喧嘩友達 この頃の小津映画って必ず主人公の部屋の壁にアメリカ映画のポスターとか「モダン」を象徴する小道具が入ってるんですよね。後半で列車が映るシーンがなかなか印象的です。7点(2004-01-07 20:10:17) 349. 座頭市兇状旅 この辺から安定路線、やや意地悪な言い方をすると「水戸黄門」化してる感じがします。ところでこのシリーズ、予告編(DVD版に収録)には入っているのに本編に入ってないシーンって結構あるんですよね。あくまで想像ですけど、この頃って二本立て・三本立てが当たり前の時代だったから、大事なシーンとかも泣く泣くカットせざるを得なかったのではないでしょうか(ちなみにほとんどの作品が90分前後)。予告編ではおたね(一・二作目にも登場した、市と心を通い合わせながら結ばれることなく別れた女性)の描写を思わせるシーンがあるのですが、それが削られてしまったため、ラストの市の一種異様なシーンが生かされなかったような気がします。これもプログラムピクチャーの宿命でしょうか。7点(2004-01-07 19:58:14) 350. アイデン&ティティ 正直、ツッコみ所は満載。バンド名の「スピードウェイ」とかそのデビュー曲の「悪魔とドライブ」とか、いつの時代だよ!って感じだし、主人公中島の抱くロック観も、何だか古(青)臭くて、ちょっとイタい。ただ、主役を演じる峯田和伸(元GOING STEADY、現銀杏BOYZのメンバー)の朴訥としつつも熱いキャラ(それに比べるとボーカルジョニー役の中村獅童は技巧が目立つ印象があり)はとても良かった。それに話が進むにつれ話に引き込まれてしまうのは、宮藤官九郎の手腕のなせる技なのでしょうか。後半の演奏シーンはかなりグッと来ます。田口トモロヲの演出は正直どうなのか?という気がしなくもありませんが、結果的にはクサくてかっちょ悪くて、でも熱い青春映画に仕上がっていました(ちょっとだけ、泣いた)。あと個人的にニューロティカ(一見イロモノっぽいけど、80年代からしぶとく生き残っているパンクバンド)のメンバーがちらっと出ているのは笑った。それにしても映画館には若い観客(20代前半位)が多かったなあ。 8点(2003-12-29 19:52:47) 351. 殿さま弥次喜多 捕物道中 んふふ。何ともトボけた味わいの一編です。なんか、主役の中村錦之助&賀津雄・兄弟コンビがなんともキュートでちょっぴりせくすぃで、どきどきしちゃいますね(そういえば原作の「弥次喜多」も実は“掘って掘られて”の関係なんですよね)。時代劇を「爺ちゃん婆ちゃんが観る、古臭いもの」という先入観で見てる人も、こんなの観てみると楽しいんじゃないかなあ。7点(2003-12-29 19:36:52) 352. 続・座頭市物語 どっちかっていうと続編というより“続き”もしくは“補足”って感じがしました。前作がヒットして急遽作られた作品だから、脚本を練る時間がなかったのかな(あくまで推測ですが)?兄弟対決は当時としては話題だったのでしょうが、思い入れがない人間にとっては・・・。でも座頭市ってだけで魅せられちゃうんですけどね、結局。7点(2003-12-29 19:31:46) 353. 変態家族 兄貴の嫁さん 誰が言ったか忘れたけど「文化は辺境から生まれる」という言葉がありました。僕はこれを「素晴らしいものは、えてしてメインストリームよりもマイナーな分野、あるいは不当に低い評価をされている分野から生まれる事が多い」と解釈していて、最近だと「クレヨンしんちゃん」の一連の映画作品、あるいはVシネマなどはその好例だと思います。で、かつての日本のポルノ・ピンク映画というのもそうした事例の一つで、後の名優・名監督を輩出しただけでなく、様々な意欲作や実験作を多く生み出しているのです(何しろ、女性の裸・性交場面さえいれれば後は何をしても良いのですから)。で、この作品もまさにその一つといえると思います。話に聞いた所によると全シーンに必ず小津作品の引用が入っているそうですが、残念ながらそれほど小津作品を見ていない僕には分からない引用もありました(きっとヴィム・ヴェンダースとか蓮實重彦とか【まぶぜたろう】さんとか(笑)なら全部分かるのでしょうが・・・)。とはいえ「秋刀魚の味」「晩春」それに「東京物語」を観ていればかなり楽しめます。特に大杉漣の「笠智衆っぷり」は必見(意外と目元がそっくり)!また、監督によるとこれは「続・晩春」のつもりだそうで、後半「晩春」の台詞がそのまま引用されています(ただ、主演の女優が原節子のイメージとは程遠いのですが・・・)。ま、仮に小津作品を全く観た事がなくても、ポルノ映画としてはかなりシュールな作りになっているので、結構笑えると思います。小津生誕100周年の今年(もうすぐ終わっちゃうけど)、こんな映画を観てみるのも宜しいのではないでしょうか。 6点(2003-12-27 19:29:26)(良:2票) 354. HAZAN じ、地味だ・・・圧倒的に地味だ・・・世の中マトリックスだキル・ビルだ座頭市だって騒いでいるこのご時世に・・・いや、何もこの作品に100人分裂とか100人切りとかタップダンスとかを期待するわけじゃないけど、なんつぅのかなぁ、「他の作品と闘う気概」を見せて欲しかった。なんか「世間の人はこんな地味な作品、見向きもしないかも知れないけど、いいです。分かる人にだけ分かれば、それで良いのです」って感じで、あんた、いくら孤高の芸術家を描いた作品だからって映画自体が孤高(孤立?)になってちゃまずいだろぉが!それに主人公の波山の描き方もなあ。最初っからすでに「偉大な芸術家」の佇まいだし。ま、実際の波山がどういう人だったかは知らないけど、何の後ろ盾もない男が陶芸家としてやって行こうとした場合、普通に考えたら絶対悩んだり苦しんだり後悔したりってのがあったと思うんですよ。それなのに何でお前はそんなに尊大な態度でいられるんだぁ~!そのくせ子供ばっかしバカスカ作りやがって!とボロカス言ってしまいましたが、実はこの作品、ロケ地が自分の育った故郷だったりっていうのもあって密かにこの映画応援していたのですよ。だからこそ、「みんな知らないだろうけど、こんないい映画があるんだぞ!」と思わせて欲しかった・・・。5点(2003-12-26 20:23:28) 355. 自転車吐息 うむむ。突っ走った挙句ぶっ壊れちゃったような作品は嫌いではないほうなのですが、ちょっとこの作品はいただけませんでした。あくまで個人的な意見ですが、プロの作品としては監督の思い入れが強すぎて観客に受け入れられる形にまで至っていないように思えるのです。とても印象的なショットもありましたが、残念ながら「映画マニアのアマチュアが撮った自己満足的映像」という感じは否めません。ただ、劇中映画(主人公が高校時代に仲間達と撮った、「一塁」というタイトルの未完の作品)のエピソードは、想像力をかきたてられる刺激的な発想だと思いましたし、園子温という強烈な異端児の他の作品も観てみたくなりました。2点(2003-12-26 20:03:32) 356. 小津と語る 個人的にはそれほど小津作品に対して深い思い入れはないのですが、この作品もヴェンダースの「東京画」と同じく、興味深く観ました。特に印象に残ったのは、登場した監督の多くが小津作品を「普遍的」と評価していた所。大抵の日本人にとっては極めて日本的(しかも一昔前の)と映るであろう小津作品の家族像に、彼ら(世界中の監督)が自分の家族を重ねている、というのは何だか不思議な感じでした。小津映画が世界各国の監督に与えた影響は多大なものがあるようで、それ程小津作品を観ていない僕でさえ、時々外国の監督作品を観ていて「あ、これは何となく小津っぽいな」と感じられることがあります。そういう意味で言うと、小津映画を一本も観たことがない人にも、小津映画の影響が知らず知らずのうちに及んでいるのかもしれません。7点(2003-12-26 19:53:31)(良:1票) 357. 真田風雲録 新規登録要望にこの作品を出した時【なるせたろう】さんより「初めて観る加藤泰作品がこれですか?恐れを知らないなあ」というお言葉を頂いたのですが、実際観てみて納得。なんと言うか、ハチャメチャなのです。猿飛佐助は超能力者だし、霧隠才蔵は女だし、ミッキー・カーチスはギター持ってるし・・・という、「座頭市」の金髪たけしもビックリな設定。当時としては型破りすぎたのか、興業的にも大失敗だったとか。しかしこの作品、ただの珍作かというとそうではなく、当時の学生運動全盛の気運を色濃く反映しているのです。言ってみれば徳川方が政府で真田十勇士は全学連(とすると豊臣方のお偉いさん達は旧社会党・共産党か?最近の選挙の結果を見ると笑い事じゃないかも)のメタファー(隠喩)として読めるわけです。つまり劇中で現代語が堂々と使われているのは、一種の確信犯な訳ですね。なおかつこの映画が凄いのは(だって当時、学生運動を反映した作品は様々な分野で存在していたので、それだけなら別にどうってことはない)、そうした世相をニヒリスティックな視点で捉えながらも(後半で猿飛佐助に追い詰められる大野修理亮治長のセリフに注目!)、そのニヒリズムを乗り越えようとする情熱と野心に溢れている所。戦いには敗れながらも、なおかつ「自分のための戦い」を戦おうとする猿飛佐助の姿には、きっと学生運動のことなど何も知らない若い人達も心打たれると思います(ということでジャンルにあえて「青春もの」を加えさせていただきました)。 8点(2003-12-26 19:36:55)(良:2票) 358. ラブホテル 相米慎二監督唯一のポルノ作品。とはいえ、今のAVなどと比べると性(交)描写はかなり控えめ(僕はその辺りあまり詳しくないんですけど、友人で風俗にも詳しい村田君がそう言ってました)。その分ドラマ部分に重きが置かれ、また相米監督特有の長回しも如何なく発揮され、結果見応えのある相米作品となっています。村木の名美に対する愚直なまでの純愛が切ないです。ピンク映画全盛の時代、エロを目的で映画館に足を運んだ観客はこういう作品にハッとさせられたんだなあ、と納得の一本。7点(2003-12-26 18:54:15) 359. 台風クラブ 実はそれ程好みじゃないのですが、何だか凄い作品。相米慎二ってアイドル青春映画の人と思われているけど、その作品には必ず「狂気」が潜んでいる。この作品ではその「狂気」が全開してます。6点(2003-12-19 17:42:14) 360. サザンウィンズ アセアン二十五周年を記念して作られた「アジア」がテーマのオムニバス。それぞれの作品は短いので(オムニバスだから当たり前なんですけど)正直ちょっと物足りないけど、逆に言うとそれぞれの監督の長編を観てみたい!と思わせるには十分な作品でした。日本の「トウキョウ・ゲーム」は、元典型的会社人間で今は定年を迎え、倦怠期気味の妻と暮らしていた男がヴァーチャル型ゲームで新入社員を再体験するお話。とても刺激的な作品ですが、本当に観るべき人(つまり、同じように仕事一筋で定年後に抜け殻になってしまったような人)にはあまり届かないかも、と思うとちょっと歯がゆい。インドネシアの「ミラージュ」は、田舎から都会に嫁ぎに行く若い娘の話で、題名通り蜃気楼のような幻惑的な作品です。「生命の樹」は倒産寸前になった大会社の社長が、貧しかった子供時代の自分と再会し、語り合う、というちょっと大林作品に通じるようなファンタジー。僕が一番面白かったのがフィリピンの「アリワン・パラダイス<娯楽天国>」という作品。民衆の不満をそらす為に政府が「娯楽省」を設立して、さまざまな芸人をオーディションにかける、という話なのですが、オチがまるで「博士の異常な愛情」を思わせるような痛烈な皮肉になっているのが印象的でした。それぞれ全然違う話なのに、実は深い所でテーマがつながっている、意欲的な企画だと思います。 7点(2003-12-19 17:29:57)
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