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プロフィール
コメント数 2162
性別 男性
年齢 57歳
自己紹介 実は自分のPC無いので仕事先でこっそりレビューしてます

評価:8点以上は特別な映画で
全て10点付けてもいいくらい
映画を観て損をしたと思ったことはないので
酷評しているものもそれなりに楽しんで観たものです


  *****

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21.  追悼のざわめき 《ネタバレ》 冒頭、見てすぐわかるその背景は、いわゆる「あいりん地区」と呼ばれる場所。そこを歩く主人公。それだけでよく撮れたと感心する。 公園で鳩にえさをやる主人公らしき男のまわりをカメラがぐるぐるとまわる。でも鳩は逃げない。どうやって撮ってるんだろう。 ビルの屋上に火をつけるシーンはホントに火をつけてる。ものすごい黒煙。まじに消防車出てるし。おそらく撮影時のボヤで消防が来て実況見分かなにかしてるところをそのまま映してしまってる。 ラスト、小人症の女が女子高生だか女子中学生だかを学校の校庭にまで入って追い掛け回すシーンはおそらくゲリラ撮影。ゲリラ撮影自体はどうってことはないが、この強烈な画づらをゲリラ撮影してるってのが凄い。そんなこんなでいちいち衝撃を受けながらの鑑賞なのだが、本当に衝撃なのは内容もさることながら、映画の中での「差別」に対するオブラートの無さだろう。 見た目のグロテスクさ(リンチの『イレイザーヘッド』と似通った部分があります)よりもこの「差別」のあけすけさが衝撃。 しかし、あけすけであることでどこか崇高さと言ったら言い過ぎだろうか、なんか、美しいものを見ているような感覚を覚える。 そしてこの映画は画面に映される異常な行為とは裏腹に深遠なるラブストーリーを観た気にさせてくれる。いや、間違いなく深遠なるラブストーリーだ。キワモノ映画として観終わってほしくない映画です。[DVD(字幕)] 8点(2009-02-20 16:37:54)

22.  祇園の姉妹(1936) 《ネタバレ》 姉妹モノの多くにあるように姉と妹は古風と革新に分けられ、溝口の多くの女性映画で描かれる封建的社会に生きる女の悲劇を妹の革新さでもって打破しようとする。溝口は女を描くのがうまいと言われるが、実は女を通して社会を描くのがうまいのだとどこかで書いたことがあるような気がするのだが、この映画は女を通して社会を露呈させたうえでそこからまた女をまざまざと見せつけるから凄い。女優・山田五十鈴の貢献度も大きいだろう。まるで漫才のように繰り出される京ことばでの返し言葉に合いの手が喜劇性を高め芸術と娯楽を同時に高度に達成させている。さらに体制に負けんとする強い女が間抜けな男たちにいとも簡単に負かされる悲劇性を強調させてもいる。圧巻は先に書いたようにここで女を見せつけるところ。悲劇が悲劇でなくなる。というより女が悲劇を突っぱねる。絶望というよりも悔しさに満ちた叫びを見せることで女の立場上の弱さと女の本来の強さを提示しているように思えた。映画はここで終わるがこの女の物語はここから始まるのだと思えてしょうがないのだ。そしてそう思わせるのは演出あってのこととは思うものの山田五十鈴という天才の貢献度は極めて大きいと思う。[映画館(邦画)] 8点(2009-02-13 13:04:54)

23.  東京暮色 黒沢清『トウキョウソナタ』を観たときに黒沢清の過去の諸作品を想起したのと同じくこの『東京暮色』を想起した。どちらも家族が崩壊してゆく映画ではなく、最初から崩壊しているということを見せてゆく映画。そして父が家族の中で威厳ある存在でいるという幻想の崩壊が描かれている。日本映画は、いや、アメリカを例外とする世界の映画は「母」をこそ映画の題材にしてきたのに対し、小津はアメリカ映画の影響なのか、はたまた自らの思惑があってのことなのかは知らないが、「父」を描いてきた。小津の描く「父」は何もしなくても、何も言わなくても、「父」として、家族の長として存在することを家族が認めていた。しかし『東京暮色』の父は何もしないのではなく何もできない存在として描かれる。そして母の不在こそが家族を分断させる決定打となっている。小津が描く「父」はいつもどこか寂しげな一面を見せてきたが、ここではその寂しさも泣きっ面に蜂状態。娘(原節子)も母(山田五十鈴)もそれぞれの事情を抱えてそれぞれの道を歩む。杉村春子は相変わらずのマイペース。父はひたすら何も出来ない。理想の家族形態が存在する古き良き時代の終焉を描いた映画といえるんじゃないだろうか。悲劇を悲劇として描かず、あくまで日常として描く。痛切で怖い映画だ。[DVD(字幕)] 8点(2009-01-29 11:59:10)(良:1票)

24.  近松物語 《ネタバレ》 構図だとかカメラワークだとか、かのコンビなんだから言うまでもないし、モノクロの画面は終始美しいことは美しいのだけど、どのシーンがってんじゃなく全部が当たり前のように美しいのでかえって画としての印象が弱かったりする。むしろこの作品は画よりも女優・香川京子の凄まじさに圧倒される。もちろんその凄まじさは溝口の演出なんだけど。香川はこれまで明るい娘役ばかりだったのが、この作品でいきなり女の色気を爆発させている。抱き合う姿は抱きしめるというよりも、何が何でも離れまいとしていると言ったほうがいいほどにその必死さと苦しさが漲っている。誰かが迷惑してようが構わない。離されることが耐えられない。苦渋の表情と叫びと嗚咽。二度と離されることのないという満足顔のラスト。愛に狂った女の色気。ここまで色っぽい香川京子はそうは見れない。[映画館(邦画)] 8点(2008-04-17 16:50:59)(良:1票)

25.  秋津温泉 《ネタバレ》 長きにわたる大河メロドラマ、戦争が引き合わせる二人、男を愛することによってもたらされる女の悲劇、、、お話は、まるで成瀬の『浮雲』のよう。でも『浮雲』以上に男の思いと女の思いが複雑に交差し、『浮雲』をはるかに超えて女は痛めつけられる。男女の関係や物語の推移が当時の社会のメタファーに溢れ、戦後の急変する情勢とともに堕落してゆく男とけして変わらぬ女を対比するように描いてゆく。岡田茉莉子はそんなに好きな女優ではないのだが、この作品の彼女は別。終戦と男が生まれ変わったという日をピークとする希望に溢れた17歳の健康的な美とそこから時がたつごとに影をつけてゆく美。女のいろいろな美を見せてくれる。舞台となる温泉宿の描写も素晴らしく、何度も映される光の差し込む廊下や風呂場への暗い階段が印象的。風呂にひとりで浸かる岡田茉莉子の寂しい背中。癒しの温泉。そう、男にとって女はひと時の休憩所でしかなかったのだ。女に癒され、女に助けられ、そして女を傷つけてもけして気づかない。男ってヤツは・・。[DVD(邦画)] 8点(2008-04-11 13:33:46)(良:1票)

26.  ヤンヤン 夏の想い出 ヤンヤンの学校でのエピソード、姉の恋、祖母の意識不明、母の失踪、母の弟の新婚生活と仕事、父の青春、、、それぞれが丁寧に繊細に描かれる。どのシーンも省けない。物語上では省けても、一つ一つのシーンが愛おしくって省きようがない。ひとつのセリフにドキッとさせられたり、なにげない動きに優しさを感じたり、ちょっとした沈黙に考えさせられたり。そして、けして哲学的には語られないけど、この映画に人生が凝縮されているような気がする。男と女のドラマがそれぞれ展開される。興味と好奇心、信頼と裏切り、出会いと別れ、嫉妬、セックス、生活、夢、、、。そして家族が描かれ、年齢を重ねることが描かれ、「死」が描かれる。ヤンヤンにとって祖母は「知らない事を聞くと教えてくれる」人。「生きる」ということは知らないことを少しずつ知ってゆくこと。不思議な魅力を発散するイッセー尾形がその強烈な個性とは裏腹に、この美しく、そして優しい映画に奇跡的に染まっている。[DVD(字幕)] 8点(2008-03-07 16:29:36)(良:2票)

27.  秋刀魚の味(1962) 「そうかね」とか「そうなの」とかその返しの「そうなんだ」とか「そうなのよ」とか無くてもいいような短いセリフが発せられ、発せられる度にその短いセリフの主をいちいち画面に映し出す。この小津独特の切り替えしが魅力と感じるのは何故だろう。小津の映画のお話はどれも似たり寄ったりで当時の日本の家族を描いているのだが、そんな単調なお話だからこそ、このリズミカルな切り替えしが心地よさを演出してくれるのだろうか。とにかくお話を思い出してもピンとこなくても実際に観ると至福のときを体現できるのが小津の映画。晩年は小津は古臭いなどとも言われたらしいがこの遺作にしたって実に新しい。べつに小津がビッグネームだからとかじゃなく、本気でそう思う。あと、ユニーク。男たちの真面目顔でつく嘘には二度とも騙されちゃってドキドキしましたよ。こうゆうのもどこにでもありそうなお話を面白くしてる。小津はやっぱりいいねえ。[DVD(邦画)] 8点(2007-11-29 15:10:46)(良:1票)

28.  花と怒濤 お話はいたって普通の任侠ものです。普通といってもヘンテコじゃないという意味であって、多くの似たり寄ったりの任侠ものの中でも断然楽しませてくれる部類に入ると思う。そんな一見普通の任侠ものの中で、同じ小林旭主演の『関東無宿』の伊藤弘子ほどではないが、主人公をつけねらう川地民夫が登場すると、任侠ものから離れて全く別の世界観がフッと出てくる。まあその最大の原因は変な衣装にあるのですが。ラストではただのスケベ親父かと思った刑事が粋なことをしてくれる。隠れて話を聞くというシーンが度々あって、もちろん隠れているのは小林旭で、飲み屋の奥だったり二階の部屋だったり外だったりするのだが、小林旭の顔が映され小さな声が聞こえ、というシーンがサスペンス映画のようにドキドキさせてくれるのだが、ラストの刑事はおそらくいるだろう小林旭に向かって大きな声で話す。伏線が効いてて感動も2倍。夜の雪景色がまた本物の雪じゃないからできる幻想的な世界を見せてくれる。[映画館(邦画)] 8点(2007-07-12 18:48:03)

29.  関東無宿 女子高生3人組が映され、その後どう任侠の世界に繋がってゆくのかと思ったら、敵対する組の若い男に話をつけに行った先で出会う伊藤弘子の登場からなにやら怪しげな雰囲気をかもしだす。女子高生も任侠の世界もそっちのけで。あきらかに書いた太い眉毛の小林旭の目が『陽炎座』の松田優作を彷彿させる。生と死の世界が描かれているわけでもないのに、これはまぎれもなくその後清順の名を轟かせる「大正浪漫三部作」と同じ空気を持っている。実態の掴めない女の描写、そして吸い寄せられるように惹かれてゆく様の不思議な説得力は『ツィゴイネルワイゼン』そのもの。その女の夫である伊藤雄之助と博打の勝負に挑もうとするシーン、「緊張の糸が切れる」というシーンを本当に糸が張ってあって切るという誰も思いつかないような演出に笑った。本当に緊張の糸が切れた。終盤は違和感無く任侠ものの流れに戻ってくるが、殺しのシーンで画面を真っ赤にすることに代表される清順美学、そしてそこを追求する清順組、中でも彼無しでは清順美学はあり得ないだろう美術の木村威夫の仕事とアイディアが炸裂しており、驚きと興奮に満ちた映画を堪能できる。[映画館(邦画)] 8点(2007-07-09 15:01:12)

30.  めし 《ネタバレ》 「夫婦三部作」(『めし』『夫婦』『妻』)の中で夫婦の溝が最も浅い。どの夫婦にもあるだろう表には出ない些細な不満。そんなどこにでもあるような話に魅入らせてしまう成瀬はやっぱり凄い。なにげない会話が画面に映されたときの人の動き、目の動きが、なんでもないシーンをとんでもないシーンにしてみせる。女だから、妻だから、当たり前のようにこなさなければならないこと、我慢しなければいけないことがある。男にだってある。それをちゃんと見ていてくれる人がいなければストレスになるのは同じ。当たり前のことを当たり前にこなす毎日の疲れ、その疲れを癒してくれる言葉もなし、そのうえ自由気ままな姪っ子に対する嫉妬、、、。居心地の良い東京へ逃げ帰る。ここで登場する杉村春子と杉葉子がまたいい。何もかも解かっている母に甘える。夫の仕事を手伝いながら活き活きと主婦をこなす妹を見る。またまた登場の姪っ子に、同じように現状から逃げているだけの自分を見る。そこに夫が迎えにくる。「迎えに来る」という行動をして言葉以上のものを伝える夫。最後のナレーションはたしかにこの時代特有の価値観なのかもしれないが、夫婦の物語は普遍に満ちていると思うし、なによりも画面は今観ても新鮮で上質なのである。[映画館(邦画)] 8点(2007-06-21 12:57:48)

31.  蛇の道(1998) 塾?の先生である哀川翔がある生徒の答に対して「そんなことしたら空間が裏返って時間が逆に流れることになる」と言う。また奇妙な計算式を書くなかで「デュアリティを組み合わせて・・・」と言う。教室には花束があった。デュアリティ=二重性。生者と死者。教室にいた者たちは家族の誰かを亡くした者たちか、あるいは亡くなった本人たち?ラストシーンの香川照之の前に突然フッと現れた哀川と女の子を見てそう思った。どちらにしても哀川が非常に危険な人物であることは間違いなく、まるでゲームのように人がどんどん殺されてゆく様は背筋が寒くなる。ゲームのようにと書いたが、哀川は全ての主導権を握っているだけでけして楽しんでいるわけではなく、ただ無感情に全てをコントロールするだけ。まるで人間ではない何か。『地獄の警備員』の大男が「暴力」そのものだったように、哀川は「悪意」、、いや「復讐」そのものか。 死者はここではないどこかでは生者なのか。殺された娘はモニターの中で永遠に生きている。死者と映画の関係は、その後『蜘蛛の瞳』そして『回路』へと繋がってゆく。[ビデオ(邦画)] 8点(2007-06-14 18:52:06)

32.  浮雲(1955) 成瀬巳喜男の最高傑作らしいという前知識をもって鑑賞したのですが、その最高傑作という言葉にかなりの違和感を持ったことをよく覚えています。これ観たとき、『夫婦』とか『妻』、その他いろいろをいっしょに観たのですが、この『浮雲』よりもその他の映画のほうが良かったと思ったし、他の作品に感じた成瀬的なものをこの作品に見出すことが出来なかった。私が当時思っていた成瀬映画(現代劇)の世界観というのはもっと些細な出来事を、あるいは物語とは別のところで見せる小さなやりとりをこそ映し出す、その繊細な感覚というのがまずひとつあるのですが、『浮雲』は「出来事」が作品を支配し、男女の大河ドラマ風になっている。でもね、時がたつとともにおかしな現象が私を襲いました。成瀬映画を思い出そうとすると、まず一番に出てくるのがこの作品の高峰秀子のアンニュイで愚痴っぽい語り口。そして旅先での歩き姿だったり、男の部屋に立っている姿だったり、病床に伏せっている姿だったり、、。他の作品を押しのけて頭に浮かぶのはこの作品の風景ばかり。実のところまだ一回しか観ていないのですが、頭の中では何十回と上映されております。そしていつのまにか傑作だと思うに至ってしまったという稀な映画となりました。[映画館(邦画)] 8点(2007-04-25 13:08:03)(良:1票)

33.  折鶴お千 《ネタバレ》 邦画サイレントを3本立て続けに観た中の1本。どれも面白かったのですが、これは格が違うという印象。格が違うという漠然とした印象をなぜ持ったのかがよくわからないのが疎ましいのですが、まずモノクロだからこそその違いがはっきりする夜のシーンの美しさ。これは他の同時代の作品を立て続けに見ていなければ気づかなかったかもしれない。そして回想で語る構成の斬新さと物語そのものが持つ質のせいかもしれませんが、さらにサウンド版ということで音楽の効果もあったのかもしれませんが、最後まで物語に没頭させる力は並々ならぬもの。『カリガリ博士』の日本公開によってこの作品もドイツ表現主義の影響を受けているということを先にチラシで読んでいて、『カリガリ博士』のような摩訶不思議な背景があるのかとドキドキしましたがさすがにそれはなかったと、ちょっとホッとしました。狂人となったヒロインの幻想シーンがその影響されたというところのシーンなのでしょうか。とにかく、今となっては古臭いお話を全く古臭く感じさせずに見せてしまう、これが溝口健二の溝口健二たるところでしょうか。[映画館(邦画)] 8点(2007-04-16 11:24:21)

34.  悪名一番勝負 かっこええ~!!勝新の河内弁のその言葉の荒っぽさの中に秘めた優しさと、そのキャラどおりの豪快な殺陣!田村高廣の女に向けるどこまでも優しいまなざしと最期に見せる義理人情!津川雅彦のどもりながら必死で小さな組を守る一途な思い!辰巳柳太郎の一癖も二癖もありそうな八尾の大親分ぶり!山本学のやくざ家業とは相容れないまでも最後まで自分流を貫き通す男気!どいつもこいつもええ男や~!!そして安田(大楠)道代のいつも明るくチャキチャキとしながら男を送り出し、時折見せる艶っぽい女ぶり(惚れた!)!江波杏子のええとこのお嬢さんからやくざの道を進んだ強気の顔とその中に見せるか弱さ!小川真由美の一人で亡き父の残した組を取り仕切りながらひたすら旦那を愛する一人の女でいる直向さ!どいつもこいつもええ女や~!!そしてそして忘れてならない長屋の住民たちの愛嬌と悪徳やくざたちのいやらしさ!見所いっぱい。キャラがみんな違うのに、どいつもこいつもかっこええ~!!![DVD(邦画)] 8点(2006-12-27 12:47:56)

35.  お引越し 《ネタバレ》 引越し荷物を積んで走るトラックを追いかける子供を走ったまま引っ張り上げるシーン。捕まえようとする母親と逃げる子供の部屋と廊下を真剣に追っかけあうシーン。ワンシーンワンカット撮影におけるこれらのシーンが実に躍動感に満ち溢れて素晴らしい。今回の相米の子供は少し大人びた小学生。両親が離れて暮らし始めるという、小学生の子供にとっては過酷な環境。そんな環境が子供を大人へとせかしてゆくかのよう。祭りの最中にそれは突然訪れる。親の意志を歪めてでも子の意志を見つめようとようやく思った橋の上の母の前で女への変調を迎えた娘。ここから相米ワールド全開。親が画面から消え去り幻想的な世界が次々と描き出され、彼女は『ションベンライダー』の河合美智子がそうしたように水の中へ入ってゆく。そこで出会う子供の自分。大人へと変わりゆく過程の葛藤を押さえ込み、自分に「オメデトウゴザイマス」と叫ぶシーンに感動。せっかくの美しい映像が涙でちゃんと見ることが出来ないではないか!とこちらも叫びたくなるくらいの感動。かなりいいです、この映画。 [ビデオ(邦画)] 8点(2006-08-24 15:20:12)(良:2票) 《改行有》

36.  東京物語 今、どこであるのかを、例えば煙突からモクモクと煙が出ているカットで「東京」と判らせ、冒頭と同じ画を見せることで「尾道」だと判らせ、旅館と海が当然「熱海」で、「大阪」は大阪城のカットをもってくる。今、どの家にいるのかをその前に差し込まれる美容院や病院の看板が語ってくれる。説明セリフやナレーションが無くても画だけで判らせる。 大半が人物が大写しで映される中、例えば熱海での翌朝の老夫婦の後姿や、半ば追い出されたカタチの二人の道端に腰掛ける姿や、一人で朝焼けを見ていたと言う妻に先立たれた父の姿は小さく小さく映し出すことでその寂しさを表現する。老夫婦の尾道の家での会話に近所のおばさんが割って入る。老夫婦のあいだにおばさんがいる、という構図を、妻亡き後もそのまま同じ構図で映し出す。妻のいた場所がぽっかりと空いた構図が強烈な喪失感を演出する。映画とはまさにこういう作品のことをいうのである。しかしそれだけでは傑作とは言えない。この作品は映画として本来当たり前にすべきことをちゃんとしていて、それをベースに小津流の独特の画と独特の間で小津らしさを出し、さらに老夫婦をメインにした「家族」のストーリーの中から、東京で一人で生きる女の物語をラストで出現させるという構成が素晴らしすぎる。終始見せてきた原節子の意味ありげな視線が本当の「東京物語」の伏線だったのである。傑作です。[DVD(字幕)] 8点(2006-01-16 12:53:37)(良:4票)

37.  河内山宗俊 すべての登場人物たちが物語を把握することなくすれ違ってゆく。我々観客だけが把握する。終盤にかけて大筋は把握してゆくのだが、細かいところは把握していない。よって娘を助けるという一致した終焉に向かってゆくクライマックスは、けして全てを理解した者同士ではなく、人間味を持ちにくい世の中にあって、汚れを知らぬ光を消し去りたくないという想いであったり、女の意地であったりというそれぞれの想いが交錯しながら進行していく。真相を知らなくても人間としての尊厳や情というものがたったひとつのエンディングへと誘う。人間らしく生きることを選択し散ってゆく者たちに涙せずにはいられない。悲劇でありながら、快活な演出と怒涛のクライマックスが娯楽に富んだ名作へと昇華させている。原節子が身売りを決心するシーンの画面に立ち込める重い空気を今でもはっきりと覚えています。[映画館(字幕)] 8点(2005-12-27 13:12:35)(良:2票)

38.  人情紙風船 《ネタバレ》 黒澤明率いる黒澤組の合言葉が「山中に追いつけ追い越せ」。今の映画環境では誰も真似のできない(雲待ち3日とか)完全主義を貫いた山中貞雄の早すぎる遺作は、なんとも暗くて悲しい物語。しかし長屋の住民たちの日々の暮らしの描写は、幸福とはいったいなんなのかを提示してくれているようだ。隣人をからかい、ふざけ合う、そして怒ったり笑ったりしながら生きてゆく。何かにかこつけては皆で飲んで大いに笑う。お金の使い方もよく知っている。いつもよりもっと笑う。女はあきれる。そこに幸福がある。冒頭で首をくくった住民は元武士。そして主人公も元武士。要らぬプライドのせいでこの幸福に気づかず、やっと気づいたとき、そのことに気づくはずもない妻によって無理心中、、。やるせない悲しみを完璧な紙風船の動きがさらに増幅させて終わる。ただ、この暗さ、この悲しさの中に、たしかに幸福感が存在している。だから傑作なんだと思う。ただ完璧なだけではなく、ただ巧いだけでもない。映画の中にただならぬ人生の喜びと哀れみが存在する。[映画館(字幕)] 8点(2005-12-26 18:01:58)(良:1票)

39.  殺しの烙印 安っぽいアメリカのハードボイルドの雰囲気を醸すも主人公はハードボイルドとはほど遠いご飯の匂いフェチ。とことんウラをかいてくる。さらに日活解雇の逸話からも想像できる美しい映画文法の破綻がそそる。生活感を一切感じさせないモダンな部屋のカットがセックス描写の合間に挿入され、そのセックス描写も後の『陽炎座』において芸術の域にまで達した感のあるデフォルメされたカタチを映すのみで性的な臭いは一切ない。唯一性的な臭いを感じるのが、本来生活感を感じさせるはずの炊飯器という観客のイメージをも混乱させるつくりに驚きと喜びがこみ上げる。イメージといえば、主人公の中で雨とともにイメージ化された女を、常にそのイメージのまま(雨とともに)登場させることにも驚いた。実体感の無い女を見事に演出していた。つくづく思った。鈴木清順は凄い! きっとこの人は我々を驚かすことだけを考えてこんなことをやっているのではないと思う。ただ映画が、テレビや演劇でもない、ましてや小説でもないということを誰よりもよく知っているだけなんだと思う。[DVD(字幕)] 8点(2005-12-22 14:00:10)(良:2票)

40.  アカルイミライ 若者の怠惰な生活、すぐキレる性格、そして凶悪な殺人、、。親に対する息子の態度の醜悪さ、対する親の威厳のなさ、集団でたむろしては目的もなく犯罪を重ねる高校生、、。そんな描写から描かれるのは普通、現代の教育問題だったり、家庭問題だったりがテーマとして与えられ、現代社会の病巣が描かれたりするものです。そうなると、この先日本はいったいどうなるんだという不安や諦めが作品を支配するか、もがき苦しむ若者たちの悲壮感であふれた作品になるしかないはずである。しかしこの作品はそのどうしようもないひとつひとつの描写から見えないはずのほんの僅かな光を見ようとし、幻かもしれないその「アカルイミライ」を確かに画面に残した傑作だ。題材に縛られない演出をこれまでずっと観せ続けた黒沢清が、今回もネガティブな題材をポジティブな演出で観せた。殺人という、とり返しのつかない罪を犯した若者は、もしかしたら友人を助けるためだったのかもしれないという微かな光。もちろん殺人を肯定するものじゃなく、全くの闇じゃないという可能性の提示でしかない。しかしその可能性も見ようとしなければ見えないもの。擬似家族がさらに光を模索する。今の若者の凶暴性や欲深さや無気力さの原因がどこにあるかは描かない。そうなってしまった彼等は、彼等なりに生きるしかない。ラストシーンの無理やりに引き出した「アカルイミライ」が眩しかった。[DVD(字幕)] 8点(2005-12-16 16:57:01)(良:1票)

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