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【製作国 : 日本 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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21.  シュガー&スパイス 風味絶佳 《ネタバレ》 柳楽くんの朴訥とした好青年演技と、沢尻さんのチャーミングな容姿が見事ですね。とても画になる二人だと見ていて思いました。それと二人が勤める「ガスステーション」の美術が素晴らしい。あんなオールドタイマーのGSが本当にあるならぜひ行ってみたいものです。    ストーリーとしては二人の恋愛模様を温かく見守れば見守るほど切なく侘しい結末がやってきます。「優しさだけじゃダメ」だとグランマが志郎を諭しますが、本当の恋を初めて知った志郎にとってはこの女心の不思議はまるで無限の宇宙のように捉えどころのないものだったのかもしれません。個人的には乃里子の元彼である矢野が志郎の部屋にやってきた直後、何事もなかったかのように明るい振る舞いを見せる乃里子と志郎の心情を思い量ると辛くなりますね。彼女はあの時もう心を決めていたのでしょうか…?    全体的に淡白でラストの乃里子の決断には賛否両論ありそうですが私はこの映画、好きです。映画のようには恋はうまく行かないけれど、若い二人の恋愛模様を見ている間、ひと時の幸せと胸の痛みを感じることができるはずです。“顔も見たくない”ような恋愛を経験した人であれば…(/_;)志郎たちの同年代よりもプラス10歳くらいの方々に観てほしいなって思います。    もし志郎と乃里子が入れ変わったラスト(映画とは逆に志郎のほうが他の女性と去っていく)になっていたなら、まったく違う印象になるでしょうね。女の子が去っていくからこそ、作品として成立する脚本なのでそう考えると男女間にはやはり見えない不思議な違いがあるものだと感じさせられた映画でした。[映画館(字幕)] 8点(2006-09-19 20:54:28)

22.  日本沈没(2006) 《ネタバレ》 ひどいですね。大金と最新映像技術を注ぎ込んでも、脚本が駄目なら全てが駄目になってしまうという良い見本となってしまいました。オリジナル脚本ならまだしも、これは小松御大の『日本沈没』であり、樋口監督をはじめスタッフたちの怖いもの知らずの度胸に恐れ入ります。    もはやストーリーとも呼べない物語と、リアルを目指したつもりが滑稽にしか見えないシークエンスの数々。これを作るだけの大金を用意できるなら、海洋研究なりSpring-8の運営費なりに使ってほしいものです。樋口監督お得意のVFXも「見せる」という作りには至っておらず、細切れブツ切の挿入なので作品のテンポの悪さとも相まってさらに見苦しく感じてしまう結果となっています。    監督は阪神淡路大震災のことを意識したそうですが、避難所の体育館の夜中みんなが寝静まっている時間に大声で小野寺と玲子の母が話しているシーンとかがあるあたり、この人は震災の現実や世間の常識を本当に理解しているのか疑問に感じました。本当は3点くらいにしようと思ったのですが、大作を作ろうとして見事に失敗したその勇気を讃えて…。でも、もうこんなの作るなよ。[映画館(字幕)] 5点(2006-08-05 14:51:29)

23.  バルトの楽園 《ネタバレ》 もどかしい作品。素材はおもしろいしスタッフもキャストも一流が揃ったにもかかわらず、不完全燃焼で燃え尽きてしまったような作品。本当にもどかしいです。    捕虜に対して異例の厚遇をする板東捕虜収容所の前に久留米の劣悪(通常はこれが当たり前だった?)な収容所が登場するものの、触りだけで終わってしまい板東がどれだけ恵まれている環境なのかが実感しにくい。ここで掴みがあればもっとおもしろくなったと思うのに…。その収容所の所長役が板東英二で、すぐ後に「板東」の収容所名が字幕で出るのも気が散って配慮に欠けるキャスティングだと思います。    各人のエピソードも寄せあつめのうえに淡々とした編集なので胸に迫るものがなく、キャラクターの個性付けも希薄になってしまっています。ヘルマンが想いを寄せるマツ(中山忍)に折鶴をプレゼントして別れを告げる場面は、クライマックスの前の一場面として盛り上がりを見せられる場面だったにもかかわらず、二人の関係が本編中にほとんど登場しないので唐突な印象さえ受けてしまった。あの海の場面だけでは(ロングショットで台詞もない、二人の絡みもない)中山忍が初めて登場してきたような印象すら受けてしまいます。もったいない。浮いて見えるのは会津の回想シーンも同様ですね。ここは福本清三さんの鬼演技が楽しめましたけど(笑)。    ラストもヘルマンの写し貯めた写真で締めくくればいいのになぜか三越の第九コンサート…。マツケンも若手ドイツ人役者も好演しているだけに、ちぐはぐ感漂う作品になったことが残念です。この素材はもっとおもしろくできたはずです。[映画館(字幕)] 6点(2006-07-13 23:11:34)

24.  嫌われ松子の一生 《ネタバレ》 なんとも点数が付けづらい映画です。中島監督の才と中谷美紀の頑張りを思えば10点満点でもいいのでしょうけど、今回は7点でやめておきます。    監督を刺そうかとさえ考えたという中谷さんは、頑張ってます。その頑張りが画面から溢れています。『電車男』のエルメスと比較すれば、中島監督の圧倒的な演技指導・演出力を感じざるを得ません。七変化する中谷さんの熱演はこの作品のテンションの高さもあって見るものをひきつけますね。    一方で奇才・中島監督は、まあよくこれだけのハイテンションを保てるなあと驚愕です。あの卓球CMの頃からこのへんは何も変わってないですね。画面の隅々にまで入念に配慮した画面構成や高度なVFX、巧みなカメラワークも素晴らしく、まともに描けば後味最悪な物語をファニーに見せることに成功しています。    総じて素晴らしく高度な作品だと思うものの、クライマックスの着地点に若干の迷いを感じる点が惜しいです。松子が再び前向きに生きようとした矢先の悲劇、ここから簡潔にラストの階段までまとまっていれば良かったのですが、川尻笙や龍洋一のエピソードをラストに押し込んだために最後はまとまりに欠けました。あと、大倉の刺青などの小ネタはわざわざアップにしてしまうと楽しさが半減だと思います。    『下妻物語』のような普遍的なストーリーではなく、かなりなアクの強さと悲劇であるものの、このようなミュージカル仕立てにしてしまう監督、恐るべしです。ただ、ちょっと詰め込みすぎたように思う(尺もまだ切れるはず)ので、次回はまた直球で攻めてほしいとも思います。今回はシンカーを投げたけど、落ちずにボールになったって感じです。役者では黒沢あすかさんと宮藤官九郎が素晴らしかったです![映画館(字幕)] 7点(2006-07-09 22:52:06)

25.  県庁の星 《ネタバレ》 コメディ作品かと思いきや、なかなかシリアスな雰囲気で見ごたえがありました。映画としてはインパクトに欠けるけど、県庁さんと民間の対比がおもしろく描かれていて興味深く観られました。一部、融通の利かなさやいい加減なところにスーパーのほうが「官」っぽく感じるところもありましたが、まあフィクションだから目くじら立てちゃだめですね。織田さん演じる県庁さんが能無しではなくデキる男だからこそ成り立つ映画だと思います。あんだけきっちり仕事(企画書を各言語別で作成したり、消防法を暗記してたり)ができる県庁職員って実際にはあんまりいないかもね!?    スーパー営業終了後の夜中に撮影したのでしょうか、全体的に疲労感や息苦しさを感じる映像になっています。ロケが大変だったのでしょうね…。県庁側が必ずしも善ではないこのストーリーに自慢の庁舎を貸した香川県に敬意を表します。作品を見て自分も「人の振りみて…」、自分も気をつけなきゃなって学びました(笑)。意識改革!![映画館(字幕)] 7点(2006-04-13 20:58:26)(良:2票)

26.  映画ドラえもん のび太の恐竜2006 《ネタバレ》 やましんの巻さんの後にレビューとは僭越ですが、辛口でいきます。    ドラえもん映画と思わないで見れば良作かもしれません。しかし、オールドファンにとってドラえもんの映画に欠かせない要素が今作には無いのが残念。すなわち、ドラえもんの主題歌と武田鉄矢の映画主題歌であり、頼りになるドラえもんであり、友情に厚いジャイアンであり、最後に男を見せるのび太であり…。それらが今作ではまったく出てこない。ドラえもんは最後まで何にも解決せずに道化の存在として終始する。ドラえもんというのはのび太を暖かく見守ると同時に母性を併せ持ったロボットであったはず。それがトラブルを笑って誤魔化すような存在にまで堕ちてしまった。のび太と恐竜ハンターの一騎打ちという名シーンもカットされ、彼が男として自立し世界を守るといった描写も見られない。彼らは受身の存在から脱することなく物語はエンディングに向かってしまう。    ピー助を白亜紀に帰すために1億年前まで旅立つストーリーは夢があるけれど、ピー助と別れを告げるまでの物語も薄い。変に表情やキャラクターのオーバーリアクションで表現しようとする作画も稚拙に見えてしまう。オープニングの「ハグしちゃお」で、もう過去のドラちゃんとは別物なんだと覚悟はしていましたが、見事にそれを認めざるをえない気持ちです。鉄人兵団や海底鬼岩城、魔界大冒険といった一大物語に往時をしのぶばかり…。    ドラえもん最盛期をリアル世代で育ったからこそ、現在のドラえもんには違和感を覚えます。ドラえもんというのは原作を読めば分かるようにブラックな描写もいとわない大人も楽しめる漫画・映画であったはず。飴玉のように甘くして、表面上の画だけ藤子先生のテイストを取り入れても脚本がこれでは台無しです。頼りにならないドラえもんはドラえもんじゃない!そう感じたリメイク版でした。[映画館(字幕)] 4点(2006-03-16 22:11:59)(良:2票)

27.  PROMISE プロミス 凄い。凄い映画だ。チェン・カイコーの真髄を見せられた。アン・リーが『グリーン・デスティニー』を、チャン・イーモウが『HERO』と『LOVERS』を撮って置いてけぼりを食ったチェン・カイコーが「僕もあんなぴょんぴょんワイヤーCG時代劇を作りたい!」と決心をして後追いした異色作。『覇王別姫』や『始皇帝暗殺』などの重厚感と精緻な画面構成は息を潜め、本気とギャグの間スレスレのとんでも描写が連発!いやいや、そんなに弾けたかったのか、チェン・カイコー(笑)。クラスの優等生が修学旅行先でハメを外して驚かされる、そんな映画です。     役者も豪華だし、2時間あまりの目のごちそうとしてはおもしろい映画じゃないでしょうか。内容は中国で人気の武侠ドラマの豪華版という趣ですが、好き嫌いは分かれると思います。私は二度目は…見ないです(笑)。そういやこの監督三人、みんな同世代なんだよね。興味深いものがあります。弾けっぷりと本気度はアン・リーに軍配かな?[映画館(字幕)] 5点(2006-03-10 08:13:43)

28.  サイレン FORBIDDEN SIREN 《ネタバレ》 まず!!クリエイターとして、この「すべては○○でした」というのは無しでしょう。そうくるなら、さらなる捻りを用意しないと最近の目の肥えた観客は納得しませんよ。ラストでちょっと含みは持たせてあるものの、実際は彼女の「○○」でした(投稿時ネタバレチェックしてるけどあえて伏字で)で片付けてしまうのは乱暴すぎます。不案内な真夜中の森で電燈もなくなぜ歩けるのか、新聞記事の本文になぜ西暦までが書かれているのか、森本レオのカメラのシャッターと絞り表示がオカシイとか突っ込みどころは満載ですが、もしかしたらそれらすべてが「彼女の○○の世界」だからおかしくてもいいじゃーん!という制作者の言い訳なのでしょうか??    役者の演技も酷い。悲しくなってきます。当作品での堤監督は結構はっちゃけているようで、演出はパワフルなので見てられます。が、役者ではっちゃけているのはレザーフェイスと化した森本レオといつになく不気味な人間食器洗い機・西田尚美くらい…。あとはだめだめ…。    とにかく、盛り上げるだけ盛り上げておいてラストに笑えないがっかりオチを持ってくる前に監督は「バタリアン」を見て予習しなさい。目から血を出す前に、リアルなゾンビの動きを「ゾンビ」で復習しなさい!コケオドシの音響効果を試す前にヒッチコックで一から出直しなさい!見える恐怖ではなく見えない恐怖を描けるようにリンチの映画も参考にしなさい!    というわけで苦言ばかりですが、異様に画質の良い上映プリント(第一世代プリント?)と闇を本当に闇として描く照明は素直でよろしいと思いました。個人的には加藤保憲が警官をしている島という設定がいちばんコワかったですな。[映画館(字幕)] 4点(2006-02-27 21:31:48)

29.  博士の愛した数式 《ネタバレ》 舞台設定が1985年、ルートと博士はタイガースファン。だとすれば自然にタイガース優勝の布石と思ったのですが、そんなことはおくびにも出されず…。残念です。    良い映画なんだけど、皆さんの言うとおりメリハリに欠けます。それは監督の意図したものであることは察しがつきますが、さすがに力不足な印象を受けてしまいました。役者の演技は素晴らしいし、題材としてもおもしろいものだけに、意外なほど平凡な作品に仕上がっているのはちょっと寂しい気もします。哀愁を帯びた音楽はとてもマッチしていましたね。    数学が大の苦手の私でも、そのおもしろさを垣間見られたように感じました。永遠の真理は目に見えない、心にあるものという言葉は、数字もそうだけど人の心の不思議さ、大きさを雄弁に物語っているように感じられました。    このお話、ルートの授業という実質はたった50分間のお話ですが、「時は流れず」の通り、時間軸は現在と過去を行き来して、思い出と記憶の間で無限の時間を紡いでいきます。博士と過ごした時間がルートと杏子にとってかけがえのない時間だったということが、映画全体で語られていると思うと、メリハリのなさ自体が数字と時間のもつ暖かさ、優しさなのかなって思えてきます。舞台となる信州の風景がそうであったように…。[映画館(字幕)] 6点(2006-02-27 21:10:35)

30.  THE 有頂天ホテル 多種多様なキャストを動員して、くだらない小ネタとドタバタを描いた映画。贅沢といえば贅沢で、無駄といえば無駄ななんとも説明しづらい作品。正月ボケの頭で見るには丁度良い映画と思いますけど、すべてが想定内でくどく脱線していくのは見ていて飽きる…。    また、わざわざ映画にするような内容でもないと思うのですが…。どちらかといえば全体が「東京的」な気質の笑いで占められていて、異質なコメディであると思います。インパクトある騒動があるわけでもなく、ごった煮状態でドロドロと展開していくこの雰囲気が楽しめる人には極上の映画なのかもしれません。    部屋の名前の説明とか不要と思えるシーンもあるし、ホテルマンがお客様をお客さんと呼ぶのも違和感を感じる。筆耕さんとかリネンさんとかホテルの裏側をいっぱい見せてくれるあたりはこだわりを感じます。こういった点は楽しめました。    役者では料飲部長を演じる生瀬氏がとくに良かったかな。ああいう人、います(笑)。撮影が全体的に“眠い”く平坦なので、撮影や照明のほうでもう少しメリハリがついていればさらに良かったと思います。[映画館(字幕)] 6点(2006-02-24 14:18:11)

31.  単騎、千里を走る。 《ネタバレ》 チャン・イーモウ監督が原点にかえった。高倉健主演のロードムービー。    言葉も習慣も分からない日本人が、いろんな人々からの助けを得ながら旅を続けていく様子はリアリティがあって、監督もいろいろ研究したんだろうなと感じます。中国では外国人は開放地区以外の旅は基本的にNG。ましてや刑務所なんて論外。映画で中国の刑務所の様子が見られることは貴重だと思いますし、「機密にはあたらない」というような言葉がこの国の姿を上手に物語っていると思いました。また,中国をディープに旅しようとすればお世話になる旅行社や外事部などの登場により、外国人がどのように自分の国を旅するのか、中国人自身が知ることのできる内容になっているのも珍しいと思います。    ヤンヤンを追いかけて一晩を過ごす場面も、旅先ではちょっとした出会いや出来事が大きなハプニングにつながる事例のように登場し、二人の交流を交えた暖かいシーンに仕上がっています。笛を吹くヤンヤンの表情はとても豊かで心が満たされます。    村での歓迎食事シーンは圧巻。麗江をはじめ雲南の美しい風景も印象的です。善人しか出てこないほのぼの映画で、人の心に優しさや温もりが存在することを語りかけてくる良い映画だと思います。[映画館(字幕)] 7点(2006-02-15 23:07:07)

32.  ALWAYS 三丁目の夕日 《ネタバレ》 山崎監督、やってくれました。「リターナー」で私が感じたことは確信に変わった。山崎監督はハードSFではなく、人情もの作品に向いていると…。    西岸良平さんの原作を元に、映画として上手にアレンジしてある点がまず良いですね。六さんが女の子だったり、茶川が若かったり、一平の父がいかにもあの時代のべらんめえ親父だったり(笑)。映画ということでこういうアレンジはうまいなって思いました。ストーリー自体はさして濃くないものの「モノは貧しくてもココロは豊か」だった昭和30年代の風物が心に染み入ります。三丁目の未舗装道路と表の舗装道路・車の波という対比も見事なビジュアル。とくに視覚効果スタッフと美術、小道具、衣装スタッフの仕事に感服しました。セットは工夫が施されて巧みなカメラワークが実現できていました。これら裏方職人の意気込みが伝わってくる画でしたね。有名な「スカ」水増しシーンがあるなら「インチキカメラ」のシーンも欲しかったかも。    役者では鈴木夫婦、六ちゃん、淳之介、アクマ先生が白眉。アクマ先生は原作から相当アレンジされていますが、戦中を引きずる人物として物語に深みを与えています。老若男女問わずおすすめできる良作ですがマイナス点はラストの主題歌ですかね…。    ちなみに劇中で登場する高円寺にあるという設定の藤戸団子店ですが、これは岡山県倉敷市に実在する藤戸饅頭本舗を店名もそのままロケで使っています。地元では知らぬ者のいない有名店です。一平と淳之介が帰りに佇む橋なども同じ倉敷市内で撮影されています。[映画館(吹替)] 8点(2006-02-08 23:06:07)(良:1票)

33.  輪廻(2005) 優香の演技、これは評価できると思います。しかし香里奈をはじめ他のキャストへの掘り下げが浅く、個々の役者へのキャスティングの必然性を感じにくいのが残念。    一方で舞台となるホテルの不気味な存在感と、香里奈の運転する車からの見上げショットはとても良かったです。いかにも怪奇映画な味があります。逆にあからさまなCGと、チャイルド・プレイを匂わす演出はもう少しオリジナリティが欲しかったですね。意気込みが伝わってくるだけに、先の読める脚本やゾンビ的見せ方といった一連の手垢のついた見せ方でトーンダウンしています。清水監督、コケ脅しでいいからもっと発破かけた映画もいいと思う!![映画館(吹替)] 5点(2006-01-24 00:27:36)

34.  あらしのよるに 《ネタバレ》 かわいい顔をしたヤギのメイの声が、思いっきり男性の声で最初は違和感がありましたら、見ているうちに慣れました。物語としては平坦でこれぞといったクライマックスシーンもありませんが、種族を越えた友情というテーマはしっかり伝わってきました。ヤギとオオカミの2匹が、種族の絆よりも友情の絆を選ぶ決断は奇麗事かもしれませんが、争いごとの絶えない人間社会に警鐘を鳴らしているようにも感じ取れました。   作り自体は子供向けで、台詞回しや演出も今一歩という感はあります。画も多少薄っぺらいし、声優としては素人の役者による演技も完璧ではないのですけど、原作の良さなのか友情の大切さというメッセージの強さがこの作品に輝きを与えています。最後まで結末が読めないストーリーにはハラハラさせられますが、フェイドアウトを多用して細切れにしすぎたためにまとまりに欠ける感は否めません。上映時間もあと10分くらいは削れたかなって思います。苦言が多くなりましたが、出来としては十分平均点以上の作品でしょう。願わくば自分が子供の頃に見て、もう一度大人になってから見てみたかったなって思う作品でした。メイとガブの厚い友情と、市原悦子さん竹内力さんの芝居に7点です。[映画館(吹替)] 7点(2006-01-18 02:48:33)

35.  男たちの大和 YAMATO 《ネタバレ》 辛口に言うと、映画としての巧拙でいえば決して優れた作品ではないと思います。どこかで見たような演出と奥行きに欠ける世界観、いまいち印象に残らない登場人物たち。キレのない邦画ではありました。戦争の是非や社会背景までも大胆に切り捨てている点も物足りない一因かもしれません。蛇足で説明的なシーンも目立つ。けれども、戦争を知らない世代である私にとって、家族や恋人が戦地に向かっていくことの恐怖や、自ら死地に向かうことへの覚悟といった現代日本では感じることのない想いを想像すると、自然に涙が出てきました。理由はどうあれ、国家間の争いという途方もない力、戦争の時代という荒波にもまれた国民たちは、おのおのが闘うことに対して無理やりではあっても意味を見出していたことに、人間としての尊厳を感じることができました。とくに、大切な人を見送るしかない女性たちの健気な姿には心が熱くなりました。半世紀前、こういう悲劇があったんだと間接的ながらも改めて知ることができました。   役者では反町さん、青井さん、高畑さんの演技がとくに印象的。「大和は沖縄にいくんじゃろ?」と「ぼたもち」はグっときました。   クライマックスの戦闘シーンは頑張ったほうじゃないでしょうか。実物大セットと模型をうまく融合していると思いました。惜しむらくは、甲板上のみを映すシーンが多いために大和が沈没していく過程を把握できない点ですね。引きの画面で集中砲火される様子や、敵機視線での映像があれば素晴らしいものになったと思いますが、予算の関係かな。そのぶん、特殊効果(煙、火、水柱等)は凄い迫力です。サラウンドもフル活用です。演出的には「プライベート・ライアン」の影響が大ですが、血なまぐさいリアルな修羅場が描かれています。でも大和という世界最大の戦艦という舞台があるだけに、その巨艦のダイナミックさと滅んでいくしかなかった姿をシネスコ画面を活かしたロングショットで見たかったです。大和が海原を航行するシーンすら少なかったですから…。   出来自体は並みかもしれませんが、「亡国のイージス」など類作のなかではいちばん見応えのある作品だと思います。戦争は…悲しいですね。自分には彼らのような覚悟を決める自信はありません。    余談ですが、パンフレットの佐藤監督フィルモグラフィーに「北京原人 Who are you」が記載されていないのはあまりに意図的ですね(笑)。[映画館(字幕)] 7点(2006-01-13 22:50:42)(笑:1票) (良:1票)

36.  電車男 異常なまでの短期間製作だったと思いますが、丁寧に描かれていて驚きました。山田孝之の演技が特に良いですね。作りとしてはドラマの延長線上な感じで決して凝っているわけではないですが、サブカルチャーとしてのネット世界をうまくラブストーリーとして表現していると思います。エルメスさんは偶像の実体化だと思うのですが、お人形さんすぎて怖いくらいです。電車男が人間味ある普通の男の子だけに、エルメスさんの機械的な佇まいが逆に不気味な感じがしました。電車男が「マトリックス」を熱く語る姿は、とくに誰にもで思い当たるフシがある場面だと思います。良いシーンですね。どうでも良いことですが、電車男の趣味がイノセンス、マトリックス、ガンダム、美少女、スター・ウォーズというのはちょっと範囲が広すぎたのでは(笑)?[映画館(吹替)] 6点(2005-08-02 02:27:24)(良:1票)

37.  亡国のイージス 《ネタバレ》 序盤、大まかな各登場人物の立場が描写されますが、編集が結構乱暴で尻切れトンボで次の人物の描写に移ってしまうため、予備知識がないとかなり混乱します。工作員に乗っ取られたイージス艦「いそかぜ」。これを阻止しようとする艦に「うらかぜ」と紛らわしい。海自の幹部たちも確固たる信念を持って任務にあたったのではないらしく、中盤からは人間関係もドロドロしてきます。アンタ達、そんな大それたことやっちゃったなら最後まで意思を貫徹しなさい!それでも自衛官か!!いろんな点で説明不足の感が否めません。如月と女工作員のキスとその直後の仙石が救助しに来るシーンも唐突でした。この作品全般に言えることですが、「タメ」のシーンがなくていきなり場面が移ります。あのシーンの前には仙石が助けに向かう場面が必要では?そうでないとなぜ仙石がきっちりあの場面で助けに来るのか不思議です。この調子で場面展開が一気に進むところが多々あるので、知らぬ間に事態が変化していきます。ラストの手旗も、一度潜水艦攻撃の際に騙されたにも関わらず、素直にまた信じて攻撃中止という点もいかがかと。つい数分前まで焦って攻撃しようとしていたのに。工作員側も「弾頭は通常にあらず」と宣言しておきながら、実は弾頭には装備しておらずヨンファが手持ちで操っているのは?わざわざイージス艦を占拠しなくても東京のどこかに時限設置しておけば済んだこと・・・。苦言ばっかりになってしまいましたが、役者の演技は納得のものです。とくに真田広之、勝地涼、中井貴一は素晴らしいですね。対策本部の緊張感と憔悴感も良いです。自衛隊全面協力の映像も見応えがあります。それだけに、編集のチグハグや脚本の詰めの甘さが残念でなりません。軍事サスペンスとして努力している点は良いですが、もう少し場面展開のつながりや状況説明を考えてもらいたかったですね。逆を言えば、その甘い点が日本の現状を示唆しているとも捉えられますが、現実的に東京消滅(しかも米軍から盗まれた兵器の実戦使用)が危ぶまれる状態で米軍が黙っているわけはないわけで・・・。リアリティ重視の作品としてはやはり脚本が甘すぎたと思います。これに尽きます。「ザ・ロック」そのままの演出も・・・(笑)。何かと文句ばっかりになってしまいましたが、大作感もあるし久しぶりのサスペンス大作で日本映画界も元気になってきた印象を感じられたのは嬉しかったです。[映画館(字幕)] 6点(2005-08-02 02:18:43)(良:1票)

38.  深呼吸の必要 《ネタバレ》 ヒーリング映画とでもいうのでしょうか。ユルーいながらも、それぞれのキャラクターに奥行きを感じる設定と、沖縄の魅力をそこかしこに感じました。「言いたくないことは言わなくてもいい」という平良家のルールが、逆にこの作品の奥深さを感じさせます。  冒頭のひなみ(香里奈)の水泳大会、池永(谷原)が眺めている少年野球の風景、西村(成宮)の尖がった態度、土居(長澤)のリストカットの痕などなど、多くは語られないものの、みんなが何かしらの理由を持ってここにやってきたということが感じられました。それは元島民である辻本(久遠)さえも。  ラスト、みんなが笑顔と想い出をいっぱいに持って島を去っていく余韻が素晴らしかったです。現実の来年収穫時には、この映画のためにアルバイトの競争率がかなり高くなること必至でしょう!?   おばあは、吉田妙子さんだったんですね・・・。気づかなかったー。さすがはベテランです。おじいと共にこの作品の柱ですね。今年は邦画の当たり年だと思うのですが、地味ながらも率直に「良い!」と思える作品でした。   私体験ですが、地獄のようだった信州キャベツ収穫バイトを思いだしました・・・。キャベツ収穫に比べれば、この5人は恵まれてますね(笑)。私のキャベツはとても映画や小説にはできないような過酷労働&劣悪待遇だったので・・・(泣&怒)。深呼吸する余裕すらなかったのです(T_T) 嗚呼、平良おじいとおばあに乾杯!8点(2004-07-31 03:52:23)(笑:1票)

39.  下妻物語 《ネタバレ》 しょっぱなから、牛久大仏が登場するあたりでもうヤラレました・・・。ヤバイですね。 優れたCMクリエイターである中島哲也監督の心意気やコダワリが、びしびしと感じられる快作。内容はどうであれ、これだけのエネルギーを感じさせる映像世界と、キャスティングを実現させたパワーには過去の名作も真っ青でしょう。画面の隅々まで行き届いたチープな笑いを誘う小道具の数々も見ものです。 土屋アンナが意外にも好演していて驚きました。ヤンキーと大人しい女の子をちゃんと演じわけてるし。 深田恭子が啖呵を切るシーン、できればダメ親父のDNAを受け継いで全部を尼崎言葉で言えばおもしろかったかな。本田博太郎が相変わらずの怪演で笑わしてくれました。水野晴郎も反則でしょう、アレは(笑)。 何はともあれ濃い味つけながら、テクニカルではない単純明快な笑いを追求したその姿勢に感動しました。  お前目からナニだしたァ~!?8点(2004-07-27 13:36:21)(良:1票)

40.  世界の中心で、愛をさけぶ 柴咲コウ演じる、律子の設定が気になって仕方がありませんでした。それ以外の点ではとても良い映画に仕上がっていたと思うだけに非常に残念です。律子という存在は、この作品には必要がなかった。現在と過去が交錯する脚本にしたから登場するのは分かるんですが、背景や演出も含めて不自然な点が目立ってしまいました。ちょっと無理がありましたね。 岩井俊二監督が地味にみえるくらいの「ベタベタ」な演出がてんこもりなのに、なぜかそれが心地よかったです。それは長澤さん演じる亜紀の爽やかさや輝きがそう感じさせてくれるのかもしれない。この映画で亜紀は本当にジュリエットとして存在しているように思います。 二人が島から戻って亜紀ヶがかつがれていくシーン。必死に追いかける朔太郎の姿がとても衝撃的だった。生と死を見つめた作品だけに、少々心臓に悪いですね。「どうなってしまうのか、次になにが起こるのか」と・・・。ホラー映画じゃないのに少し精神的恐怖を感じました。 映像は屋島と八栗山に抱かれた庵治港の風景をここまで叙情的に演出した点を評価したいと思います。ここまで庵治にこだわったなら、香川県には無い路面電車は出さないでほしかったですね。それもちょっぴり残念です(笑)。 これが遺作となってしまった撮影の篠田昇氏の逝去、心よりご冥福をお祈りいたします。8点(2004-06-24 02:57:38)《改行有》

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