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Web www.jtnews.jp

プロフィール
コメント数 250
性別 男性
自己紹介 サンボリズムとリアリズムのバランスのとれた作品が好きです。
評価はもちろん主観です。
評価基準 各2点ずつで計10点
1.物語の内容・映像にリアリティを感じるか?
2.視覚的に何かを象徴できているか?
3.プロットの構成は適切か?
4.画面に映る動き・台詞や音にリズム感があるか?
5.作品のテーマに普遍性はあるか?

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【製作国 : 日本 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
評価順1234
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21.  運命じゃない人 うーんかわいい小品ではあってもここまで評価が高いのは不思議というか、もう既に役割を終えてしまった映画というか。内田けんじが長年沈黙に近い状態なのは単純にもうこの路線だけで通用する時代ではないからかもしれません。近年脚本が優れていると評価された日本映画としてカメラを止めるな!のような作品と比べても華がなくてとにかく地味な印象を受けます。脚本が良いという評価にも複数の意味合いがあって、伏線回収が上手いとか台詞のセンスがいいとかそういうものだけでなく何より大事なのは人間を深く描けていることだと思います。たとえば初めはあくが強く共感できないと思っていた登場人物が物語の展開の中で段々人間味が感じられるようになっていく、そういう感動はこの映画にはないんです。小市民的世界から逸脱せずとにかく登場人物がみんな大人しく予想外の方向へ向いていくような驚きがないのがつまらないのです。ヤクザの組長すら妙に所帯染みていて…。まあその登場人物の大人しさゆえに反感を抱きにくいことこそがこの映画の人気の秘訣なのかもしれませんが。[インターネット(邦画)] 4点(2023-08-08 23:05:56)

22.  オーディション(2000) 今見直すとなんとなくドライブ・マイ・カーに似ていますね。村上春樹と村上龍原作ですし、こういう作品が海外受け良かったりするんでしょうか。三池崇史監督作品にしてはくだらないギャグがないので見やすい方ではあります。この作品の一番面白いところって序盤の男同士のコイバナ(?)のゲスい部分も含めた楽しさだと思いますね。そのゲスくていやらしい部分を中和してバランスを取るために痛いしっぺ返しを食らう展開が用意されているわけですが、男同士の会話の生っぽさに比して後半のホラーパートになると一気に台詞も演出も現実味に欠けた陳腐なものになってしまいます。男側の丁寧で共感もできる心理描写に対し女側はこんな女現実にはいないだろうという大袈裟な表現になってしまっているのがつまらないんですよね。[インターネット(邦画)] 5点(2023-08-07 23:16:00)

23.  地球防衛軍 こういう映画を劇場で見て思うのは現代の設備の整った映画館で見るには画質の方は何とかなっても音響面が結構きついということです。冒頭の東宝マークに流れる伊福部昭の音楽からして音割れしているような印象すら受けます、家で見た時の方がずっと印象がいいです。皮肉な話ですが音響という面から考えると日本映画黄金時代の作品は現代では映画館の大画面で鑑賞する価値が薄れてしまっている側面があります。とはいえやはり4Kリマスターの恩恵は十分にあったとは思いました。特撮場面はこの時代にしてはという但し書き付きではありますがかなり丁寧に作られていることがよくわかります。序盤の自衛隊によるモゲラの火炎放射器攻撃場面ではカメラをパンさせたように編集することでワンカットで両者を捉えるように見せているところが努力を感じさせます。物語の面では平田昭彦演ずる白石は劇中の描写だけだとああいう行動に至った動機がよくわかりません。兄妹・婚約者設定も物語上特に活かされていないので不必要に感じます。無理難題を押し付ける怪異が若い娘を差し出せと要求する姿はSFというより土俗的な民話を思わせます。やや危ういと感じたのは放射能によって身体に異常が生じたミステリアンが地球人との結婚を求めそれを拒絶されるのは現実の被爆者の婚姻差別を連想させるところです。まあその辺を深く考えずおおらかな時代のSF戦記を楽しめばよいのでしょうが、その場合でも戦闘シーンが結構単調ですね。伊福部昭の音楽を垂れ流しにして画面のリズムを意識することなくミサイルや砲撃が淡々と繰り返されるだけです。まあ伊福部昭の音楽自体が同じモチーフを何度も繰り返す傾向があるので合っているといえば合ってるのでしょうが。マーカライトファープがなぜミステリアンに有効なのかもよくわかりませんね、無粋ながら脚を狙えば終わりではないかと(笑)。[映画館(邦画)] 5点(2023-08-05 19:50:41)

24.  ブレット・トレイン アクション映画の主人公までがセラピーを受けるとは世知辛い時代ですな。まあ主人公と言ってもブラッド・ピットは災難に巻き込まれただけで物語の重要な部分は真田広之が持って行ってますけどね。よくこんな映画に出たとも思いますが現場は楽しかったかもしれませんので余計な心配はしないことにしましょう。日本が舞台となるわけですがおそらくロケーション撮影は全くされておらずほぼセットとCGで再現された新幹線内のみでストーリーが進行します。夜や夕焼けを表現した照明のカラフルでノスタルジーも感じさせる雰囲気は悪くなくリアリティを無視したいい加減な内容ですがこのアプローチは一応成功しているとは言えます。とにかくステレオタイプな描写とそれをおちょくったようなシーンしか出てきませんのでクエンティン・タランティーノというよりそれを真似ただけのダメな日本映画を見ているような気分にすらなります。まあ伊坂幸太郎自体がそういうところありますので逆輸入という形にはなるんでしょうね。ジョーイ・キングや福原かれんがかわいかったのでとりあえず見て損したとまでは思いませんでした。[インターネット(吹替)] 5点(2023-08-04 00:04:25)

25.  ファミリア 日本社会における移民に関する物語を描くこと自体は何も間違っていませんしこういう題材を扱ったオリジナル脚本の映画はもっと増えるべきだと思います。しかし安易に悪役を設定したり最終的に家族愛に帰着するならば社会派や人間ドラマとして売り出すのではなくもうちょっと娯楽性のある内容にした方が良いのではないでしょうか。この映画特有の強みというのが日本映画としては扱う題材が希少であるという点だけで、人物造形や演出・構成の新規性があまり見られないのが苦しいところです。内容としてはグラン・トリノをやりたかったのかなとは思いますが、そのために何を描くべきかよくわかっておらず焦点がぼやけている印象を受けます。主人公の家業としての焼き物とブラジル移民の苦境、そしてアルジェリアの紛争が並行して描かれますが各要素がバラバラなままで進行し、伝えたいテーマやメッセージがよくわからなくなっております。無駄に複数の要素を投入するよりも重要な要素を一つだけピックアップして丁寧に掘り下げた方がまとまりのある良い映画になったと思います。[DVD(邦画)] 4点(2023-07-30 23:35:40)

26.  仁義なき戦い 序盤の戦後の闇市の様子の再現は良いです。山守親分はこういうタイプの親父いるなあと思いますし、個々の台詞やキャラクターのインパクトはあります。しかしこの映画は正直音楽が酷いと思います。殺人シーンに毎度例の曲が流れるのはほとんどギャグみたいな演出です。また本来は粗製濫造されたプログラムピクチャーの一本に過ぎないので撮影も美術もチープと言わざるを得ません。それが戦後日本の貧しさと猥雑さを表現できていると言えなくもないのですが、役者のアップを多用したカメラで誤魔化しているのも苦しいところです。脚本もこれで良いのでしょうか、事実をベースにしているとはいえ登場人物の出番をうまく整理できていないように感じます。ドキュメンタリータッチといえば聞こえはいいですが、気がついたら人物が仲良くなっていたり死んでいたりするのでこっちの感情の持って行き場がありません。海外ではこの映画の評価は必ずしも高くなく国内と異なり日本映画の代表作とは認識されていません。それはやはり描かれる世界の狭さと劇映画としての完成度の低さが原因だと思います。[インターネット(邦画)] 5点(2023-07-24 23:07:09)

27.  母性 人物の心情と作品のテーマを全部モノローグと台詞で説明してしまう、典型的なダメな小説の映像化作品という感じです。いい歳してここまで母親に依存する人間とか存在するのか…そう思ってしまう序盤は嘘くさく感じて全然乗れませんでしたが、娘の視点から語られるエピソードに入ってからはある程度リアリティも増し結構楽しめました。それでも性格に問題のある人間の博覧会を眺めるようなあまりよろしくない楽しみ方ではありますが(笑)。戦時下でもないのに火垂るの墓みたいな展開になっちゃうのは笑っちゃいました。ただやはり複数視点から物語を語ることができるのは映画という表現の強みだと思います。ラストはステレオタイプを批判しているようでステレオタイプに収まってしまったような居心地の悪さを感じます。これは映画だけでなく原作の方にも問題がありそうですがあまり確認する気にもなれません。[DVD(邦画)] 3点(2023-07-23 21:49:47)

28.  ALIVEHOON アライブフーン 去年の一時期イオンシネマに行った際に予告をよく見かけた謎の映画でした。イオンエンターテイメントはたまに漫画原作や人気俳優を使ったような売れ線とはまた違う映画を配給しているところは好印象ではありますが、かといってそういう作品が必ずしも質を伴ったものでもないのは歯がゆいところですね。内容は車好きのおじさんのための映画という感じでそれ以外の人間が楽しむのは難しいと思います。登場人物もステレオタイプの域を出ずドラマは退屈です。CGなしと言っても走行シーンだとカメラの性能が落ちるのかところどころ画質が悪くなっているところがあります。良かったのは中盤のペットボトルを使った訓練のシーンと一部の空撮ぐらいでしょうか。こういうところでIMAXカメラを使用してみせるような挑戦をしないと日本映画はその限界を打ち破ることはできないでしょう。[DVD(邦画)] 3点(2023-07-22 22:31:38)

29.  子猫物語 興行収入98億、配給収入54億の大ヒット作でありながらある種の異様さを漂わせる作品でどうせくだらない映画だろうと侮っていたのですが、これが意外と楽しめましたね。全く人間が画面に映らないのはこれはこれでプリミティブな映画体験で貴重です。坂本龍一が音楽を担当しているからどうしたという感じではありますが(笑)。美しく雄大な自然の中での動物たちの冒険劇はジブリアニメのような雰囲気もあって悪くないですよ、そういえば豚も出てきますしね。確かに動物虐待にはなるのでしょうが、もし人間がやっていたらかなり危険なスタントですのでハラハラドキドキする迫力のあるシーンを作れていると思います。そこには映画を面白くするためなら何だってする昔の活動屋精神のようなものを感じますね。種族の違う動物同士が仲良くするシーンもよく撮れたものだと感心します。ドキュメンタリーではなくやらせという点が評価を下げているのでしょうが、演技のできない動物で劇映画を構成するにはかなりの労苦があったでしょうしむしろその点を評価してもいいのではないでしょうか。まあ実は心温まるファミリー向け映画というよりグァルティエロ・ヤコペッティのような作家と並べて語るべき作品なのかもしれません。[DVD(邦画)] 6点(2023-07-21 00:00:23)

30.  学校の怪談 この頃からセブンイレブンってあったんですね。有名なシリーズなのでなんとなく見た気になってたのですが、記憶に残っているシーンが全くありませんでした。実は一度も見たことがなかったのか、あるいはそれだけ印象が薄い作品でしかなかったのか。平山秀幸も奥寺佐渡子も大人向けドラマもイケる人材なのに深いテーマや学校や家庭のドラマが描かれるわけでもなく、登場人物にこれといった目標もなく脈絡も統一感もない妖怪が出てくるだけの単純な内容です。セミの鳴き声や古い校舎がノスタルジーを刺激しなくもないのですが、今更90年代の作品を子供の視点を想定して評価しても仕方ないので素直につまんないと言っておきます。しかしこういう最低限映画の雰囲気が作り込まれた子供向けの実写作品は今でも作られてほしいとは思います、悲しいことに需要はないのでしょうけど…。[DVD(邦画)] 4点(2023-07-18 23:11:03)

31.  BROTHER 久石譲の音楽は他の北野武監督の作品では情緒性の強さがミスマッチで好きではないのですが、この映画では感傷性が比較的抑えられたジャズ調の音楽がハードボイルドな雰囲気に合ってていいですね。あくまで劇中のヤクザは理想化されたおとぎ話でしかないにせよ文化や血縁を超えた絆が描かれるのでこれは良いおとぎ話だと思います。いつもの遊びのシーンもこの映画では異文化交流としての意味合いが付与されています。どんなに成り上がったところで根底にあるのは子供の頃の貧乏だった時期への郷愁なのも良いです。…と考えたところで気づいたんですがこれって結局スカーフェイスの二番煎じではあるんですよね、そこは減点要素です。それでも娯楽性と作家性の両立という点ではアウトレイジシリーズよりも上手くいっていると思います。[DVD(邦画)] 6点(2023-07-16 20:22:00)(良:1票)

32.  ひろしま(1953) 実際見てみると言うほど反米という印象は受けませんでした。直接米国への怒りを表明するようなシーンがあるわけでもなくどちらかというと被爆者の苦しみに寄り添うことに比重が置かれていると思います。今までほとんど封印作品のように扱われてきたのは不思議に思えますが、時代の経過のおかげである程度相対化して見られるというのもあるのでしょうね。大きく三つのパートに分かれている構成で、序盤は戦後の広島の学校が舞台となりこのパートは教育や地元紹介目的のビデオのような演出です。中盤は原爆投下前後の広島の様子の再現です。ここが一番時間も長く製作費もかけられた部分でしょうが、今見ると時代の制約上致し方ないのですが絵の具を塗りたくっただけのような特殊メイクには真実に迫った力があるとは言い難いです。そして終盤は戦後の焼野原となった後の広島で生きる子どもたちの姿が描かれます。これが今見ると一番新鮮で、ハングリーとも呼ばれる原爆孤児たちや島から脱走をはかる子どもたちの姿がまるではだしのゲンのようで面白いです。この終盤のエピソードを膨らませて一本の映画としたら面白そうですが、やはり今でははだしのゲンの影響力の方が大きすぎてそちらで十分ではありますね。[インターネット(邦画)] 6点(2023-07-10 23:48:21)

33.  千年女優 今敏監督って海外で高く評価されていると言っても影響を受けたという監督の筆頭がダーレン・アロノフスキーですからねえ。人間よりも技法への興味ばかり突出していると高い評価になるんでしょうか。この映画も昔の日本映画のワンシーンを再現してみたいというぐらいしか創作のモチベーションがなかったとしか思えません。浮世絵を連想させる絵柄のシーンがあるのも安易な日本の伝統文化の利用でしかありません。最大の問題は当時の日本映画という創作物の無秩序なコラージュではあってもその作品が作られた時代背景を十分に描けていないことです。ここにあるのは昔の華やかな日本映画への憧れだけでその時代に生きた人間の苦悩には目が向けられていません。虚構と現実の狭間を描こうとした結果、この映画は結局現実とは何の関係もない映画になってしまっています。[DVD(邦画)] 4点(2023-07-09 23:44:42)

34.  火垂るの墓(1988) 高畑勲監督の戦時下の日本の描き方は冷徹です。清太たちが追い詰められた一番の原因は米軍の空襲によるものなのに、いつしかその米軍の空襲にさえ快哉を叫ぶようになってしまうという皮肉。投げ捨てられるドロップ缶の遺骨、蛆が湧く母親の死体、米に換えられる母の着物(桜の花びらと米がオーバーラップする演出もえげつない)、最後の頼みの綱だった父親の連合艦隊の壊滅も大した事件でもないかのように吐き捨てられてしまいます。ここで描かれているのは自分が生きていくためには死んだ人間のことにいちいち構っていられないという状況に置かれた人間の姿です。なぜ戦時下の死が悲惨かというとこのようにまともに弔われることも哀しまれることもなく死んでいった人間がたくさんいるからです。だからこそその弔いとなるような作品が必要なのだと思います。[DVD(邦画)] 10点(2023-07-08 00:07:50)(笑:1票) (良:3票)

35.  ヤクザと家族 The Family うーんテンポが悪い、オープニングクレジットが入るのに20分、ここまで丸々カットしても普通に話が理解できそうです。藤井道人監督の薄暗い映像は好きじゃないですねー、安っぽく感じてしまいます。煙を吐き出す工場のショットが何度も挿入されますが、別にヤクザのしのぎとも関係ないようですし単にかっこいい画を挿入したいだけなんでしょうか。90年代の時点で義理とか人情を謳うヤクザは絶滅危惧種になってそうなんですが、まるでそれが未だに生きてるような不思議な世界で物語が展開します。同じ綾野剛主演のヤクザ映画なら白石和彌監督の日本で一番悪い奴らという作品もありますが、頭の中だけでお話を作らずあちらのように実在の人物への取材に基づいたリアリティのある人物造形をするべきではないでしょうか。当時の風俗をしのばせる要素も出てこないので1999年、2005年、2019年という数字には何の意味もないです。時代は変わったという旨の台詞が何度も出てくる(本当に何度も出てくる!)のはまともに時代を再現して変化を演出するつもりがないからでしょう。ヤクザというか舘ひろしの役は理想的な親父として美化しすぎていると思います。ヤクザと社会の関係を描く作品のはずなのに基本的にヤクザの身内の中の人間しか描かれません。彼らを追い詰める暴力団関係の条例も抽象的で具体的にどんなものなのかすらよくわかりません。これではヤクザ同士が延々と傷の舐め合いをしている甘ったるいメロドラマという感じです。半径5mの世界しか描かれないダメな日本映画そのものですよこれ。余命10年はてっきり売れるために嫌々撮ったのかと思ってましたが、実は泣けるラブロマンスというジャンルこそこの監督の資質に一番適した仕事なのかもしれません。[DVD(邦画)] 2点(2023-07-04 22:58:33)

36.  37セカンズ 佳山明のか細い声は彼女の性格と今までの人生が伝わってくるような印象を与えます。ミニチュアのように見えるかのように撮られた空撮シーンがリアリズムから離れた感覚を覚えさせます。子どものように小さく振舞わざるを得なかった彼女の世界を垣間見ているようです。良い意味で普通の作品です。このぐらいの作品が特別な傑作扱いではなく毎年1、2本は作られる状況になるのが理想だと思います。世界レベルの映像作品に必要なのは何も精密なCGや派手なアクションではなく、タブーを恐れない題材の選択と役に合った自然なキャスティング、そしてテンポの良い編集があれば十分なのです。ただ全体としてドラマ性が希薄で各シーンの関連が見えづらいゆるい構成は一般的な日本映画の脚本から大きく逸脱しておらず、障害者も普通の人と変わらないことや37セカンズというタイトルの由来を言葉で説明してしまう台詞への依存度の高さはちょっとダメな日本映画らしさを感じてしまいました。技術的な面や題材の選択という点では優れていても構成力の弱さがこの作品に限らない現代の日本映画の課題とは言えます。[DVD(邦画)] 7点(2023-07-04 00:05:03)

37.  七人の侍 七人の侍というタイトルでありながらこの映画のキモはメインの侍たちにむしろ侍らしくない人物が揃っているところです。勘兵衛(志村喬)は僧に擬装した坊主頭、平八(千秋実)は初登場シーンで薪割りをしておりいざという時には人を斬らずに逃げ出すとまで公言する、勝四郎(木村功)はまだ未熟な子どもで花畑で少女のように花を摘みさえする、菊千代(三船敏郎)は勘兵衛に侍なら正気を失うほど酔いはせんと言われたそばから泥酔している、この彼らの侍らしくなさこそがむしろ時代と国を超えて多くの人間に愛される要因ではないでしょうか。まあ久蔵(宮口精二)はいかにも侍らしい侍ですけど、周囲が侍らしくない人物に囲まれているからこそかえって彼が魅力的に見えるのだと思います。しかし七人は金にも出世にもなるわけでもないのに戦う理想化された人物で彼らこそ本当の侍であるような描き方になっているため、結果としてこの映画は侍という神話を再生産する作品になってしまいました。悪役が野武士であり、農民が侍を雇うプロットを見ても本来ならば侍なんて飯を食うために仕事をしているだけで立派でもなんでもないただの人間だという侍という神話の解体がこの映画のテーマになるはずなのに、黒澤明は劇中の侍たちを人間として好きになりすぎているんですよね。いくら台詞で農民を持ち上げたところで侍側こそ真に偉大だったという印象が残ってしまいテーマと人物描写が食い違ってしまっています。そのためこの作品はキャラクターが魅力的なだけの娯楽映画以上のものになれていないと思います。そのことがこの映画の人気に繋がっているのでしょうからこれはこれで正解なのかもしれませんが、私は黒澤明監督作品を、そして映画という表現をただ面白ければいいエンターテインメントとしてのみ評価する見方はしたくないのです。[インターネット(邦画)] 6点(2023-07-01 16:57:45)

38.  機動戦士ガンダム 逆襲のシャア 昔はメカアクション目当てでしか見てなかったんですけど、改めて見直すとひえ〜こんな内容だったんですね。かいつまんで言うと自分が本当に好きな人には決して好きになってもらえないというお話です。自分を好きになってくれる人を好きになれたら幸せになれるのにそうすることができない、徹底して人と人の分かり合えなさを描いた映画です。一方が一方に勝手に理想像を投影してそれに応えようとする苦しみ、応えることができない苦しみ、応えてくれない苦しみ。「うちなんか、家族で地球にいたんだよ」クェスのこの台詞のどうしようもない寂しさ。スペースノイドの期待を背負わされながらこれでは道化だよという愚痴をこぼすシャア、ナナイもなんとか応えようとしているが本当はシャアの母親代わりをやれる強い女じゃない。アムロが人類に絶望しないのは実は人類に対して大きな期待もしていないことの裏返しではないでしょうか。[インターネット(邦画)] 7点(2023-06-30 22:57:26)

39.  怪物(2023) 近藤龍人の撮影は素晴らしいです。安藤サクラと永山瑛太が豪雨の中窓の泥を拭いとる様子を電車の内側から見せるショットはまるで墨絵のように見える効果があり斬新な造形だと思いました。直接関係はないかもしれませんが黒澤明が七人の侍で雨に墨汁を混ぜたというエピソードを思い出しました。しかし結局のところその撮影もただ美しい画というだけで何かの象徴として効果的に使われているわけではありません。湖だけを映したショットが何度か挿入されますが、場面の区切りとして機能しているだけです。湖の近くの町と学校という舞台設定には美しくそしてノスタルジックでもあること以上の意味がありません。作品のテーマは善意としての行動が結果として他者を追い詰めることにもなり得ること、それが必ずしも個人だけの罪というわけではなく置かれた立場や組織の論理によるものではないかと気づかせることです。しかし星川父(中村獅童)のみ別の側面を見せずに単純な悪人として描いています。それはこういう人物だけは絶対に許せないという作り手の主張といえなくもないでしょうが、安易な悪役の記号を寄せ集めた安っぽいキャラのようにも見えてしまいます。ラストも劇中で提示された多くの要素を一つにまとめ上げるテーマやメッセージを投げ捨ててありがちなメロドラマ的エンディングでお茶を濁したようにしか見えず納得がいきません。それこそ黒澤明の羅生門は最後には人間不信を拭い去ろうとする一筋の希望を提示してみせました。この映画もまたそうするべきではなかったでしょうか。[映画館(邦画)] 5点(2023-06-23 22:37:17)

40.  ソナチネ(1993) 乾いた静かな世界に垂れ流される久石譲のウェットで大袈裟な音楽がうるさいのなんのって。わかったようなわからんような評価しかされてませんが、人気があるのは結局男のロマンを描いた作品だからなんでしょうね。女に好かれたまま美しい場所で死にたいという願望を満たす、死の哲学なんて全部嘘っぱちでただ現実逃避を続けているだけの映画です。例えば同じ沖縄を舞台にしたヤクザ映画として崔洋一監督の友よ、静かに瞑れと比較すると、何も社会派の方が偉いとまでは言いませんが子供の遊び程度の内容でしかないのです。さすがに暴力シーンの演出の斬新さではこちらの方が上ですけどね。部分部分の演出で褒めるところがあっても大まかなプロットは普通のヤクザ映画と変わらないので退屈です。この内容なら予告編をリピートしてるだけで十分ですよ。[DVD(邦画)] 4点(2023-06-19 22:17:08)

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