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プロフィール
コメント数 2162
性別 男性
年齢 57歳
自己紹介 実は自分のPC無いので仕事先でこっそりレビューしてます

評価:8点以上は特別な映画で
全て10点付けてもいいくらい
映画を観て損をしたと思ったことはないので
酷評しているものもそれなりに楽しんで観たものです


  *****

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441.  アカルイミライ 若者の怠惰な生活、すぐキレる性格、そして凶悪な殺人、、。親に対する息子の態度の醜悪さ、対する親の威厳のなさ、集団でたむろしては目的もなく犯罪を重ねる高校生、、。そんな描写から描かれるのは普通、現代の教育問題だったり、家庭問題だったりがテーマとして与えられ、現代社会の病巣が描かれたりするものです。そうなると、この先日本はいったいどうなるんだという不安や諦めが作品を支配するか、もがき苦しむ若者たちの悲壮感であふれた作品になるしかないはずである。しかしこの作品はそのどうしようもないひとつひとつの描写から見えないはずのほんの僅かな光を見ようとし、幻かもしれないその「アカルイミライ」を確かに画面に残した傑作だ。題材に縛られない演出をこれまでずっと観せ続けた黒沢清が、今回もネガティブな題材をポジティブな演出で観せた。殺人という、とり返しのつかない罪を犯した若者は、もしかしたら友人を助けるためだったのかもしれないという微かな光。もちろん殺人を肯定するものじゃなく、全くの闇じゃないという可能性の提示でしかない。しかしその可能性も見ようとしなければ見えないもの。擬似家族がさらに光を模索する。今の若者の凶暴性や欲深さや無気力さの原因がどこにあるかは描かない。そうなってしまった彼等は、彼等なりに生きるしかない。ラストシーンの無理やりに引き出した「アカルイミライ」が眩しかった。[DVD(字幕)] 8点(2005-12-16 16:57:01)(良:1票)

442.  回路 ジャパニーズホラーといえばやっぱり「幽霊」。しかも幽霊なのか違うのか、やきもきさせる展開ではなく、バーンと「幽霊」できた!そして世界の終末に繋げるのが黒沢流。終末へ向かうホラーとして、らくだのシアンツさんも『リング』に触れられていますが、なんてったってインターネットで広がっていくぶん終末へ向かうスピードが違う。だからより終末感が漂う。そして恐怖の対象が「幽霊」ではなく「孤独」というのが新しい。幽霊が直接、あるいは怨念とやらで人を攻撃するのではなく、幽霊の存在が人の漠然と抱く「死」に対する概念の崩壊を招く。孤独からの解放が永遠に訪れないことを目の当たりにした人々が次々と自ら死んでゆく。黒沢清のホラーにはビックリが無いので安心して画面に集中できるし、集中させる力がある。中盤の加藤と小雪の恋愛がらみのエピソードが助長ぎみに感じたけど、それを補って余りある画の迫力にじゅうぶん満足させていただきました。[ビデオ(字幕)] 7点(2005-12-15 16:16:47)(良:1票)

443.  カリスマ 森の中で「カリスマ」と称される木をめぐって人々が争う。その主張はわかりやすく3つにわかれるがその部分だけ見れば「共生」がテーマとなるのだが、ストーリー上の本当のテーマは冒頭で語られる「世界の法則を回復せよ」と「カリスマ」をめぐる争いがどう関係してくるのかを紐解いていけば浮かび上がってくる。「規則」ではなく「法則」ということは、人間が人間の都合で生み出した様々な法や規則、あるいは理性や概念というものが様々な歪みや弊害を生み出した今、この世界を自然の摂理にもどせ、ということ。その結果世界が終わることをも許容する「カリスマ」の存在をこの作品は描いてゆく。「カリスマ」が木から役所宏司へと受け継がれる展開は『CURE』の伝道師の役目を萩原から役所へと渡された展開に似ている。しかし終末を許容する存在を明確にすることで『CURE』では描かれなかった終末がとうとう描かれてしまう。恐るべき終末映画。とは言うものの私がこの映画に惹かれたのはストーリーと画と演出がバラバラなところだったりする。ストーリーとは裏腹に気を失った役所を引きずる画といい、療養所の未亡人の存在といい、いや、佇まいや歩く姿まで、さらには家や森までホラー色全開で見せる。かと思えば木(カリスマ)が燃やされた後のカリスマでもなんでもない木をめぐる人間の描写はコメディそのもの。この綿密に計算されたかのようなバラバラ具合にたまらなく惹きつけられるのである。 まるでこれまで培われてきた映画の規則に対する「映画の法則を回復せよ」という黒沢清の声が聞こえるようで。[DVD(字幕)] 7点(2005-12-14 14:19:25)(良:1票)

444.  CURE キュア 人を殺すなんて考えられないようなごく普通の人が人を殺す。そんな人が次々と現れる。しかしそれをコントロールしていたのはたった一人の悪い奴だった、、、ということなら怖くはない。一人の青年が人殺しを誘導していたわけではない(と私は思ってる)。そして人を殺した者たちも潜在的にターゲットを殺したがっていたわけでもない(と私は思ってる)。ちょっといなくなってくれたら、、ぐらいの気持ちを持った対象に×印をつけるという誘導に対し、ためらうことなく人を殺してしまう、その人間の深層ににある残虐性こそが怖いのだ。そしてそのことを表現した映像が怖いのである。「人を殺してはいけない」ということは種族繁栄という本能的なものとして組み込まれていると思っていますが、この作品ではどうやら違うらしい。しかしそんなことはどうでもよく、悪意が画面にへばりついたような描き方こそがこの作品の素晴らしさなんだと思う。このとんでもない悪意を日常に同居させたのが青山真治の『Helpless/ヘルプレス』ならば、この『CURE/キュア』は悪意を日常に同化させた作品。よってこの作品で描かれる日常は非日常とイコールである。それはまさに「映画」じゃないですか![ビデオ(字幕)] 7点(2005-12-13 16:07:40)(良:2票)

445.  勝手にしやがれ!! 強奪計画 ハードボイルド喜劇とでも言おうか、男っぽさをコメディの中で見せるこの手のジャンルは一時期流行ました。かっこ良くキメても欧米人のようにはキメられず、その照れ隠しに喜劇がピッタリはまる、といういかにも日本向けジャンルで、既に日本においては古典ジャンルといってもよい。その代表が「傷天」であり、その後の「あぶ刑事」であるのでしょうが、これらの特徴として必要不可欠なのが主役のキャラの面白さだと思うのですが、ぐるぐるさんも書いておられますように、今作の主演二人のキャラはけして濃くはない。むしろ薄い。哀川翔のこれまでVシネで培ってきたキャラの濃さを考えれば、あえてそうしているとしか考えられない。つまりはキャラで勝負しない。ストーリーだってベタベタである。つまりストーリーでも勝負しない。ただ、自転車で疾走する二人を見てくれと。そのときの生き生きとした背景を見てくれと。ブツを絶妙!にキャッチし損ねる瞬間を見てくれと。二度目のブツと人質の交換シーンのバカバカしさと緊迫感が同時に襲ってくる感覚を味わってくれと、、、そういうことなんじゃないだろうか。私的には、笑いがもう少しツボをついてくれたら言うことなかったんですが。[ビデオ(字幕)] 6点(2005-12-12 15:46:32)

446.  亡国のイージス 光の乏しい艦内や夜のシーンは暗くて当たり前なのだが、重要と思われる人物がこれだけたくさんいると、この暗さは相当ネックになってくる。しかもこの暗さがリアルな演出として機能していない。中途半端な灯りが中途半端な方向から照らされるから。有名どころオールキャストだから人物が把握できるだけで、外国では通用しないのではなかろうか。それともやっぱり日本向けの商品として作ったのか?大作感を煽るたいそうなBGMも鬱陶しい。 日本人の性分を真っ向から否定する展開は今の世相を反映しているのだろう。その中で任務と人間性の選択で後者を堂々と選ぶ主人公の行動と発言は甘くもありセンチメンタルでもあるのに、それでも一貫して「人間は人間らしくあるべき」とこの期に及んで大いに謳いあげる姿は感動的ですらある。この熱さこそが坂本監督ならではとも思えたが、一方でエンターテイメント志向へと突き進む坂本監督は独自の個性を自ら手放そうとしているとしか思えない。そろそろどっちかに決めたほうが良いと思う。暗闇から発射されるミサイルの閃光の画を見る限り、エンターテイメント志向でもいけるんじゃないかとも思うが、個人的にはふろしきを小さくして初期作品のような独自性を見せてほしい。[映画館(字幕)] 4点(2005-12-09 17:47:57)(良:1票)

447.  KT 金大中事件はその後の全斗煥時代の光州事件で金大中が死刑宣告されたり、全斗煥が失脚したり、金大中が大統領になったりするたびにテレビで特集していたので、そのたびにスパイ映画さながらの大事件に興奮したことをよく憶えている。この人ホントに凄い波瀾にとんだ人生を送ってますね。同時につい最近までの韓国が非常に不安定だったことの証しでもあるわけですが、日陰でうごめくKCIAの存在が当たり前の韓国と違って、あからさまでない日本の日陰でうごめく組織の存在はかえって怖いものがあります。この映画では226事件や三島事件の時代の日本が今の日本とは別の国というのでなく、その頃の日本が今につながっているということを見せつけられたような気がします。国の変革に取り残された個人の思想。その思想も国が植えつけたもののはずなのに。国家の非情がうまく描かれていたと思う。だけど、個人的にエンターテイメント志向の今作のスタイルはあまり好きじゃない。坂本監督はふろしきを広げないほうが絶対良いと思うのですが。[DVD(字幕)] 5点(2005-12-08 12:14:23)

448.  新・仁義なき戦い。(2000) 『トカレフ』までの坂本監督の作品には画面にも人物にも得体の知れないパワーを感じましたが、その後の作品ではそういったものが感じられなくなった。しかし、この作品は布袋寅泰の元来備わっているカリスマ性が加担しているのだろうか、そこそこの怪しげなパワーを感じた。深作の『仁義なき戦い』シリーズとは時代が違うのでドンパチの少ないいかにもビジネスライクなヤクザになっているのは仕方のないところ。それでも主人公たちの少年時代の描写なんか風景といい、暴力描写といい、オリジナルとはまた違った味と衝撃があります。そしてオリジナルがキャラが活きまくっていた群像劇なのに対し、こちらはあくまで布袋と豊川の二人をメインにし、それ以外のキャラをあえて淡白に描いているところがある(個人的にはもっと淡白に描いてもよかった)。これは近代ヤクザの跡目相続抗争を描いた作品ではなく、抗争に翻弄される二人を通して暴力の根源を描き出そうとした作品である。[DVD(字幕)] 6点(2005-12-07 14:02:15)

449.  王手 衝撃のデビュー作『どついたるねん』から『鉄拳』を挟み、再び舞台を新世界に移した今作は例によって男の真剣勝負の世界を描く。ボクシングとは打って変わって動きの少ない将棋の試合。しかし赤井の大きく振りかざした指し手とパシッという駒の音、さらには扇子を使い、そして戦いを見守る人々の表情を指し込むことで観る者を飽きさせることなく引きこんでゆく。圧巻は若山富三郎と通天閣で勝負する平安将棋(って名前でしたっけ?)!勝負が圧巻なのではなく、黄金色に輝く将棋盤と駒の一つ一つの陰が見せる画が圧巻。赤井と対照的な存在の加藤がいい味出しているのに物語の軸に絡んでこない展開に不満というか、消化不良感を拭えませんが、ストーリー以上に背景である「新世界」がじゅうぶんに魅了させてくれます。大阪の中でも独特な空気を持った街「新世界」を最も堪能できる作品。[ビデオ(字幕)] 6点(2005-12-06 12:27:24)

450.  鉄拳(1990) 前作『どついたるねん』同様のボクシング映画かと思ったのは前半のみ。師と弟子の関係の成熟してゆく様もボクサーの成長も省略され、これから大和武士がボクサーとしてのぼりつめようとしたそのとき、ドラマは大きく動き、ボクシング映画から正義VS悪のヒーローものに変容する。しかも主役は大和武士ではなく菅原文太だった。ジムの壁に描かれたウルトラマンはこのことを暗示していたのか!妻や子供にも愛想をつかされ、仕事もほったらかしのヒーローを夢見る男が、絶好の悪と遭遇し、夢を実現させるがごとくに戦うヒーロー映画。(と、書くとなんだかゼブラ-マンみたいだな、、。)しかも改造人間(一部)だし。バイクで駆けつける大和武士はさながら仮面ライダー2号だ!!坂本監督の初期作品は非常にわかりやすい男のドラマ、そして戦いのドラマが描かれますが、全てのベースはヒーローもののような気がする。この作品はそのことを強調しているように感じました。[DVD(字幕)] 6点(2005-12-05 13:56:54)

451.  伊豆の踊子(1974) たしかに階級差の生み出す悲恋の物語の中で、ひたすらに三浦友和が山口百恵に送る眼差しと百恵の愛くるしい様が映し出されるだけで、物語が内包する残酷性が素通りしてゆくいわゆるアイドル映画なのですが、それだけで切り捨てるにはもったいないほどにアイドル百恵をとらえる画がきっちりとその純朴さと初恋の初々しい女心をとらえている。野山を歩く姿を情景とともにロングで収める画も、旅館の二階から見下ろす画も、別館の窓越しに見える踊り子の姿も、ひとつひとつが丁寧に撮られ、けしてストーリーに深みが無くてもじゅうぶんに見れる映画だと思います。小学生の頃、百恵ちゃんのファンだったという個人的な贔屓目を抜きにしても。たぶん。[ビデオ(字幕)] 6点(2005-11-24 12:42:59)(良:1票)

452.  いま、会いにゆきます 《ネタバレ》 オチが非常に感動的なお話で、その構成は映画というより小説的だなぁと思いました。ラストで真相を中村獅童と我々に明かしてくれる竹内結子の語りに、驚きと心地のよい感動がありますが、この部分が小説的な最たるところ。小説的であることをダメだと言うつもりはもうとう無いけれど、その部分がこの映画の中で最も良かった部分ってのはちょっと寂しい気もする。医者がいろいろと状況を説明してくれるところは全然ダメ。ゲンナリした。説明セリフじゃなくてナレーションにしてくれたほうがずっと良い。あと、欲を言えば、わけもわからず未来の世界に来てしまった竹内がそのこと(未来の世界にいること)に気づく場面を、ラストのネタ明かしの伏線として、もうちょっと判り易く描いてくれると良かったような。[DVD(字幕)] 4点(2005-11-21 14:59:17)(良:1票)

453.  ドッペルゲンガー 『カリスマ』がホラーでもなんでもない題材を思いっきりホラーで撮ったのに対し、今回は思いっきりホラーな題材をホラー的演出を封印し、この人の『勝手にしやがれ』シリーズ調のドタバタコメディのような演出で、さらに途中からはロードムービーにしてしまったというある意味すごく実験的な映画。だから、役所広司のドッペルゲンガ-はその存在とは裏腹にやたらと馴れ馴れしいし、ゾンビのごとき柄本明の最期はあまりにあっけないし、殺人者そのものの表情で迫り来るユースケ・サンタマリアも喜劇的オチにて画面から消え去る。黒沢清が実はものすごく怖く撮れる人だってことを知らずに観ると拍子抜けしてしまいかねない、そんな危険をはらんだ映画。それでもそれをやっちゃったことに対してはもっと高得点を捧げたいが、この作品単体での印象は今のところ6点が限界。といっても私の6点はけっこう楽しめた部類に入りますが。[DVD(字幕)] 6点(2005-11-18 16:07:04)

454.  Love Letter(1995) 始まることもなく終わってしまった藤井樹と藤井樹のラブストーリーが樹と同じ顔を持つ博子の手紙をきっかけに蘇る。死者に送った届くはずのないLove Letterが、甘くせつない図書カードというLove Letterを発見させる。時間を遡り蘇るその甘酸っぱさと死者を交えた毒のない三角関係が見事に岩井俊二の映像とマッチしている。そして岩井ワールドに染め上げられた女たちの透明感にやられる。残念なのは小樽の素晴らしいロケーションに対して神戸のそれは美しいんだけど神戸を感じさせないところ。さらに方言の持つ生々しさというよりも関西弁の持つ独特の生活臭が岩井ワールドとどうも相性が悪いような気がした。「お元気ですかー!」で一気に冷めてしまうスレた自分にも減点。[ビデオ(字幕)] 6点(2005-11-16 13:00:54)(良:1票)

455.  TAKESHIS’ 《ネタバレ》 エンドロールで誰も席を立たなかった。館内の照明が灯っても誰も立ちあがろうとしなかった。余韻に浸っていたのではなく、あきらかに固まっていた。私も例にもれず固まっていたのですが、みんながみんな固まっている光景が妙に嬉しかった。ストーリーが難解なのではなく、受け取り方が難解なんです。この映画をどう捉えどう消化すればよいのかというところで困惑するのだと思う。そしてその困惑自体がじわじわと快感に変わる。内容は、役者志望のコンビニ店員<北野たけし>が超売れっ子映画スター<ビートたけし>に出会うことで妄想の中で映画という虚構の世界に足を踏み入れてゆく、、という<ビートたけし>の夢。だから<ビート>の前で寺島をかっこいいと言った京野は寺島の女に、タクシーの運転手は気楽でいいと言った大杉はタクシーの運転手に、<ビート>にとってしつこい岸本は恐ろしいほどのしつこさでどこにでも登場する。監督であり俳優であり作家でありコメディアンであり、そして一人の人間である北野武の多面性が投影された映画ととるも良し、そこに北野の葛藤を読み取るも良し、北野映画の集大成的な見方も良し。しかしそんなことよりも、ピンクのタクシーが死体の中を進んでゆく様のフェリーニっぽい画や、『ソナチネ』や『HANA-BI』の海と壮大な音楽をバックに赤いポルシェとたけしの後姿の奥に映される新体操をする京野の滑稽で美しい画や、和室に赤や青というけしてゴダールにはならない不思議な色使いを堪能できれば、それだけでこの映画はじゅうぶん楽しめる映画であることも確かなのです。体感映画とは、よく言ったもんである。[映画館(字幕)] 7点(2005-11-14 14:05:46)

456.  トカレフ(1994) 《ネタバレ》 赤井英和と大和武士という素人の演技者をそれぞれ『どついたるねん』『鉄拳』で本職であったボクサーとして主演させ、それぞれの次回作『王手』そして『トカレフ』で見事に俳優として開花させた阪本順治監督の手腕は見逃せない。さらに関西圏から初めて東京へ舞台を移したこの『トカレフ』の情景描写は坂本監督にとって身近な土地だったはずのこれまでの作品をはるかに凌駕した素晴らしい画に溢れている。 トカレフが男の欲望を増幅させ、ひとつの悲劇的事件を起こす。悲劇の主人公となった夫婦の心情は時とともに変化してゆく。悲しみを忘れるために新しい人生をゆく妻と、悲しみを復讐心に変えてゆく夫。そして復讐心を増幅させるトカレフ。サスペンスとアクションを微妙に絡ませ、また微妙に壊しながら、二人の男の対決へと向かう。人を殺す道具に翻弄される二人の男はあまりにも悲しくて、あまりにも儚くて、あまりにも憐れである。この作品、私も坂本監督の最高傑作だと思う。そして失礼ながら、今後これを超える作品ができるとは思えない。もちろんそんな予想は覆してもらいたいとも思っています。[DVD(字幕)] 7点(2005-10-28 16:18:21)

457.  大誘拐 RAINBOW KIDS 身代金強奪のトリックはともかくとして、たたき上げの仕事の鬼の緒形拳と田舎の所轄かつデスクワーク専門の嶋田久作が見せる大きなテンポのズレの可笑しさや、樹木希林の相変わらずなごませ、笑わせる演技や、全てを包み込むような母性と何事にも動じない頼れる父性を見せつけた北林谷栄のオーラや、中だるみの無いスピード感など、まさに痛快娯楽作!といえる作品に仕上がっている。 ただ、風間トオルの関西弁がヘンなんです。コテコテすぎる関西弁の中でイントネーションが1文字だけ標準語というか、とにかく微妙にヘンなんです。でもってコイツが一番いっぱいしゃべりよるから気になって気になって、、。ラストで社会派色をもってくる展開はあまり好きじゃないのですが、コレは「国に子供をとられた」という伏線が冒頭にあったせいか、それとも社会派色といってもそれほど濃密な描き方でなくあくまで娯楽色を優先させたからなのか、はたまたハッピーエンドだったからかわかりませんが、妙に気持ち良かった。[ビデオ(字幕)] 5点(2005-10-27 15:24:51)

458.  珈琲時光 主人公の後姿を映しつづける。ここに小津を発見。主人公が実家でくつろぐ。そして立ちあがろうとした瞬間、正反対からのカットに切り替わる。「おぉ!『麦秋』だ~!」とここにも小津発見。しかし当然のことながら、小津の描いた東京はもうない。小津の描いた家族もいない。それでも小津の描いたものを模索するように電車に乗る。そして探す。大家さんとの会話を見て、父と娘の無言を見て、意味の無い会話をする男女を見て思った。まぎれもなく侯孝賢の映画だと。これは小津に恋した侯孝賢の映画だ。男と女が別々の電車に乗って急接近するシーン、そして大団円的に電車が行き交う画、、こんな素晴らしい画が日本のロケで撮れることを日本人ではない侯孝賢に教えてもらった。なんとも複雑な心境である。[ビデオ(字幕)] 7点(2005-10-14 17:31:34)(良:1票)

459.  妻(1953) 夫婦の倦怠を描いた『めし』『夫婦』に続くこの『妻』は前のニ作以上に救いの無いところまで夫婦の溝が深まっている。冒頭の心情の語りで惰性の夫婦を暴露した二人は結婚十年目。お互いが現状に不満を抱きながらもけして自ら打破しようとはしない。二人ともこの憂鬱な現状の責任は相手にあると確信しているのである。そこに夫婦というカタチが壊れていこうとするきっかけとなる事が起こる。夫が動いたわけなのですが、打破するために動いたのではなく逃げただけ。そこで妻も動くがこれまた現状打破のためではなく己の保身に動いただけ。結果、夫婦というカタチだけが残って夫婦たる機能は崩壊する。「妻」とはいったいなんなのか。夫婦というシステムの中の一端であることは間違いない。この映画はそのシステムの中に組み込まれることだけに安住してしまった女の悲劇を描いている。自ら悲劇を助長していることに気づかない女が痛々しい。そして相変わらず成瀬映画の男は情けなく、その情けなさがリアルすぎて見てらんない。[映画館(字幕)] 7点(2005-10-07 14:50:19)

460.  おかあさん(1952) もうたまりません。子供たちがストーリーを無視して勝手なことばかりしてくれます。そうです、子供ってなんでもないことで口喧嘩するんです。突然意味の無いことをするんです。なにげに面白いことするんです。とりあえずなんでも言い返すんです。部屋の中を映せば絶対に目にする、しかしどうでもいいっちゃあ、どうでもいい光景が常に映し出される。演出で作り上げたものとは思えないほどの素の子供たちの笑顔が、お母さんはけして不幸ではないということを見せてくれます。下の娘を里子に出すとき、お母さんは泣かないし娘も淡々としている。抱き合って涙を誘ったっていいシーンである。しかしドラマチックにしなかったことで、この当時ではごく当たり前の光景なんだと非情な現実感を呼び起こす。それと同時にやっぱり泣けるのである。ドラマチックにしなくたって光を逆光にするだけで涙が出るんです。そして延々と映し出されていた子供たちのバカ丸出しの楽しいシーンがここで効いてくるんです。泣かされて、笑わされて、また泣かされて、また笑わされて、、映画館を出るときには泣きながら笑っていました。[映画館(字幕)] 10点(2005-10-06 13:34:05)(良:1票)

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