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プロフィール
コメント数 418
性別 男性
自己紹介 1959年生まれの48歳。
神戸市近郊に在住の、映画をこよなく愛する
市井の人であります。
ま、コツコツとレビューしようと思ってます。

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【製作国 : 日本 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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41.  空の大怪獣ラドン 「ゴジラ」の有無を言わさぬ激烈なキャラクター、「モスラ」のファンタジー色豊かで平和の象徴とも言える異色性。確かなメッセージ性に裏打ちされた前2作に挟まれ本作は、これといった特徴もなく印象度は高いとは言えない。精巧なミニチュアワークを取り入れた特撮という技術がウリなだけに、改めて見直すと悲しいかな時代を感じさせてしまう。しかも、ただ怪獣が出ましたやっつけましたでは如何ともしがたく、度重なる核実験による放射能汚染が出現の要因というのも今回は取って付けたみたいだし…。しかしそんな中にあっても、伊福部昭の荘厳で哀感溢れる音楽は時代を超え素晴らしいものがあります。作品全体を格調高く押し上げており、とくにラスト、人間社会の前に姿を現した巨大生物の悲劇を描き切ることに多大に貢献していた。まぁなんだかんだ言いましたが、邦画史上記録されるべき特撮怪獣映画の名作には違いありませんね。8点(2004-07-08 11:05:22)

42.  世界大戦争 タイトルから分かるように第三次世界大戦という大作だが救いようのないテーマを、平均的な市民である運転手一家の視線を通じて描いています。監督は松林宗恵で、特撮はもちろん円谷英二。人間ドラマと特撮との役割分担をはっきりさせた割りには違和感のない仕上がりになっており、核ミサイルを制御する軍人達のスリリングなシーンを取り入れたりで、最後まで緊張感を持続して見れる。やはり最大の見どころは、特技監督円谷英二の集大成ともいえる精巧なミニチュアセットと特撮。今現在の視点で見るならば、時代を感じさせなくはないが(もちろん当時としては衝撃的だった)、それよりもいかに描写すべきかという発想そのものに舌を巻く。(これだけはセンスの問題であろう) 富士山の背後で閃光と共に立ち昇る巨大なキノコ雲、溶岩状の地上に僅かな原形を残す国会議事堂などなど、そら恐ろしい光景が画面に映し出される。それこそ核戦争が勃発しようものなら人類はこの様に崩壊するのだ、ということを見事描写しており、いつまでも脳裡に焼き付く。特撮という素晴らしい技術は、確かなテーマと強烈なメッセージに裏打ちされてこそ最大限に活かされるということをも、この作品では教えてくれた。「ゴジラ(54)」と双璧をなす特撮映画の傑作として、この作品を高く評価したく思います。10点(2004-06-17 11:11:39)

43.  妖星ゴラス 「地球最後の日」より、巨大彗星などが地球に激突するというSF映画は今までに何作かあります。この映画の良いところは、安易に核の威力で恒星そのものを爆破しようというのではなく、地球そのものを移動して激突を避けるというところです。これはムチャというより逆転の発想と受け取りたい。しかも米ソの緊張が高まる時代背景の中、国連を通じ世界がその持てる科学力を結集し、人類の危機を回避するという斬新かつ希望に満ちたテーマ性。このように強く訴えるものがあるならば、時代を感じさせなくはない演出も特撮もおおめに見てしまいます。しかし残念なのは、突如現われ基地を破壊する怪獣マグマの登場シーン。これはイタダケナイ(-2)。怪獣ブームということもあり、きっと会社のトップから出せの命令が下ったのでしょう。円谷英二氏にしてみれば心底悔しかったに違いなく、大人向けSF映画の名作となりえただけに残念な作品です。7点(2004-06-17 11:10:03)(良:2票)

44.  東京裁判 満州事変から支那事変、真珠湾奇襲攻撃で口火を切ることになる太平洋戦争突入とその集結。そして総決算ともいえる東京裁判こと極東国際軍事裁判。佐藤慶の明解なナレーションと共に、激動の昭和史がリアルに力強く明らかにされていきます。この作品では戦争という殺し合いを戦勝国が敗戦国を裁く、という大いなる疑問を見る者に提示します。日本と米英のイデオロギーと価値観の違い、コミュニケーションの壁までが浮き彫りにされる。そんな中、インドの判事パルによる裁判そのものの違法性と全員無罪の主張が説得力を持つ。(それでは誰が何を裁けば良いのか? それとも裁くという発想そのものが意味を成さないのか?) 近代日本の歴史的事実を極めて客観的に捉えており、ドキュメンタリー作品としては完成度も高く見応えも十分。監督小林正樹の集大成ともいえる本作の存在意義は余りにも大きい。9点(2004-06-05 22:00:36)(良:1票)

45.  黒い雨 広島、長崎の原爆投下から60年近くも経とうというのに、今もなお被爆の後遺症に苦しんだり、いつ原爆症が出るか不安を抱えながら生活している人々が全国に29万人(被爆者健康手帳保持者の数)もいるという。多量の放射能を浴びるということは本当にオソロシイことで、ちょっとした体調不良でも恐れおののかねばならないと言います。このような苦しみはとうてい被爆者にしか分からないことであろう。俳優達の淡々とした好演も手伝い、平凡な市民の日常というフィルターを通し原爆症の恐ろしさが見る者へ静かに伝わってくる。川又昂の乾いたカメラワーク、武満徹の不安を煽る音楽ともに印象的だが、何よりモノクロ映像というのが良かった。全世界の人々(とくに米国)へ原爆の恐ろしさを訴え続けるためにも、永遠に残すべき映画作品です。9点(2004-05-30 21:59:50)

46.  ゆきゆきて、神軍 ここはひとつ冷静に。奥崎謙三氏の人生哲学と行動については肯定も否定もしません。あの凄惨極まりないニューギニア戦で想像を絶する地獄を体験し、奇跡的に生き残った数少ない日本兵の一人であるわけですから。我々戦争体験のない平和な時代に生まれ育った人間には、とうてい理解出来ようはずがない。それではドキュメンタリー作品としてはどうか?…というと本作は紛うことなき傑作です。奥崎氏の激烈な人物描写も手伝い、“衝撃的”とか“ショッキング”という言葉はまさにこの作品の為にあるようなもの。終戦後23日もたってから、ニューギニアで2人の兵卒が銃殺刑に処せられるわけですが、その真相が次第に明らかにされていきます。テーマがテーマだけに、まさに固唾を飲み込むという言葉がふさわしくグイグイと引き込まれてゆく。凄惨を極めたニューギニア戦で、戦死者の肉を喰って生きながらえた日本兵が少なからずいたということは、東京裁判や帰還兵の証言でも有名な話です。《ネタバレ》しかしこの作品では、さらに一歩も二歩も突っ込んでおり、極限状態で行われた戦慄すべく真相が明らかにされようとする。当時この処刑に係った元下士官達の証言により、上層部の命令下、同胞の日本兵をも殺しその新鮮な肉を分け合ったというそら恐ろしい事実が…。もちろんまだまだグレーゾーンのままなわけですが。まぁとにかく欧米で起きた歴史的猟奇事件でさえ、かすんでしまうほどショッキングなドキュメンタリー作品でした。10点(2004-05-30 21:57:26)

47.  人間魚雷回天 特攻隊といえば、敵艦目掛けて体当たりするゼロ戦ことゼロ式戦闘機が有名。そして、もうひとつの特攻隊である人間魚雷「回天」も忘れてはならない。潜水艦に備え付けられた魚雷に隊員が乗り込み、ゼロ戦と同様、敵艦に突っ込むという正気の沙汰とは思えない戦法である。まさに戦争による狂気が生み出した産物であり、人間を人間として見なさない当時の帝国陸海軍の証左ともいえよう。この作品は回天特別攻撃隊津村敏行の手記を映画化したもので、脚本は須崎勝弥に、監督は松林宗恵による演出。戦後10年しか経っていないこともあるとは思うが、リアリティ溢れる描写とセット美術が素晴らしい。荘厳で哀愁漂う音楽も、この戦争ドラマに厚みを加えている。岡田英二演じる特攻隊員を筆頭に木村功、宇津井健、沼田曜一など個々の切々と訴える好演も手伝い、見る者により一層悲壮感を掻き立たせる。とくにラスト。「赤とんぼ」の歌声が幻聴となって表われる中、朝倉少尉(岡田英二)が「我未だ生存せり」と心境を刻み込み、生を噛みしめんとするエンディングは悲し過ぎる。このシーンは何回見ても涙なしではいられない。もう遅い、すべてが遅過ぎたのである。神よ神よとおだてられ、自ら志願した後では時すでに遅く、お国の為に散っていくより選択の余地のない土壌が用意されていたのである。純粋な学徒達を特攻隊へと駆り立てた歴史的事実を描いた作品としては、「雲ながるる果てに」と共に日本映画史上、永遠に記録されるべき名作です。9点(2004-04-05 21:56:47)(良:2票)

48.  愛と死をみつめて 大島みち子と河野実のベストセラー書簡集「愛と死をみつめて ―ある純愛の記録― 」を基にして作られた、実話物の映画化。ラジオやテレビでもドラマ化されており、とくにTVドラマでの主題歌「愛と死のテーマ」(歌: 青山和子)はレコード大賞を受賞していることから分かるように、年輩の方々にしてみれば余りにも有名な物語りです。私も子供の頃、「まこ 甘えてばかりで ごめんね ……」で始まる哀切溢れるメロディーは幾度となく耳にしました。主人公の女学生みこは顔の左半分を、当時では不治の病ともいえる軟骨肉腫に冒されてしまう。恋人まこのひたむきな愛に支えられながらも、主人公の希望と絶望の間に揺れ動く心理描写には涙なしでは見られない。「健康な日を三日ください」「死ぬほど家に帰りたい」「個室がほしい、そして思いきり泣きたい」…などなど。主役を演じる吉永小百合の好演が、見る者をすっかり感情移入させてくれる。恋人役の浜田光夫も誠実な演技で好感が持てる。胸を打つ純愛映画の秀作です。8点(2004-03-30 11:04:00)

49.  ひめゆりの塔(1953) “ひめゆり部隊”とは大平洋戦争末期、勤労奉仕と称し最前線に駆り出された沖縄師範学校女子部と第一高等女学校の生徒達のことで、負傷兵の手当てや死体運びなどに従事させられた看護部隊のこと。そのほとんどが10代半ばから19歳であり、犠牲者は教師を含み194名に上り、生き残った者はほんのわずかだったという。そんな彼女達の、最後の悲劇となる壕跡の上に建てられた慰霊碑が「ひめゆりの塔」である。大平洋戦争に於いて、夢多き学徒達が悲惨な結果をたどるという歴史的事実を取り上げた戦争映画の名作としては、関川秀雄作「きけわだつみの声」と双璧を成すものであろう。このような人間としての良心により生み出された作品に対しては、心から敬意を表さずにはいられない。原作と脚本は水木洋子で、監督は名匠今井正。当時の日本を代表する俳優陣が出演しており、津島恵子を初めノーギャラでもいいから出させて欲しいと、監督今井正のもとに直訴したというのは有名なエピソード。今井正の力強い描写はもちろんのこと、彼女達の体当たり演技がリアリティを高め強烈なメッセージを放つ。米軍戦闘機による機銃掃射に空爆。抵抗の術を持たない彼女達はただ逃げ惑うだけであり、銃弾に射抜かれたり爆撃で五体バラバラになる様は凄絶過ぎる。鬼畜米英に殺されるより、手榴弾で自決する場面は目を覆いたくなるほど悲痛である。しかし生き残った女性の証言によると、実際はこの映画の比ではなく想像を絶する地獄絵図であったという。この悲し過ぎる歴史的事実を決して忘れてはならない、と訴えかけている本作を世に出した今井正の功績は余りにも大きい。10点(2004-03-30 11:02:32)(良:2票)

50.  砂の女 これぞ! ! 前衛芸術…とでも言えばいいのだろうか、まあとにかくインパクトのある映画だった。岸田今日子の独特な艶かしさを放つ怪演もさることながら、武満徹の不安を煽る音楽がこの作品の位置付けを決定的にしている。安部公房の同名小説を映像化したものらしいですが、この映画は作り話ではなく実話かも知れませんよ。世間一般の常識では推し量れない村社会が存在し、日本のどこかで今なお行われている事実なのかも知れません。作り手は何が言いたかったのかは分かりかねますが、日本映画史上、記録されるべき傑作には間違いない。8点(2004-03-22 15:00:59)

51.  切腹 重いがおもしろいという傑作時代劇です。薄気味悪い鎧かぶとが表われる冒頭から、ただならぬ雰囲気を漂わせてくれた。しかも、喰うに困ったみすぼらしい浪人者が、切腹をしたいので庭先を借してくれという着想自体がおかし過ぎて引き込まれる。みなさんがおっしゃるとおり、橋本忍の先が読めそうで読めない筋書きが抜群におもしろく秀逸。(原作は滝口康彦) 監督小林正樹の力量のある演出はもちろんのこと、武満徹の不気味だが渋みのある音楽がこの作品を独特のものに仕上げている。《ネタバレ》この映画では仲代達矢(津雲半四郎)と三國連太郎(御家老)との会話のやりとりが見どころなんですが、個人的には、石浜朗演じる千々岩求女が哀れなてん末をたどる一連のシーンが強烈でしたね。うぐいすの鳴き声が聞こえる中、「ああ、夢のようだ」から一転して奈落の底へ。無念、残念、何という哀れ。介錯人の言う「ぐいっとひけい」「ぞんぶんにひきまわされい」などブラックユーモア調の台詞廻しに加え、津雲半四郎がニッと笑みを浮かべ「明日は我が身ということもある…」の皮肉たっぷりの世迷い言が何とも妙味。また、当時の武士社会の非情さと面目を絶対視する滑稽さ、そしてお家取り潰しとなった浪人の惨めさをもきっちりと浮き彫りにするあたりは、さすが小林正樹監督らしいと思います。10点(2004-03-22 14:59:08)(良:1票)

52.  座頭市海を渡る 監督池広一夫らしいダイナミックな描写が冴える、シリーズ第14作。勝新演じる座頭市と、斬り捨てた男の妹(安田道代)との切ない恋模様を中心に、静と動のメリハリのある演出で一気に見せてくれる。ところで今作でも、工夫を凝らした迫力ある殺陣が繰り広げられるわけなんですが、実際に弓矢を射ったり真剣を突き刺したりで、役者陣は生キズが絶えなかったのではないだろうか。7点(2004-02-22 23:12:09)

53.  七人の侍 時は乱世。野武士集団による略奪と襲撃が横行する戦国の世。巨匠黒澤明の手による一級品の演出はもちろんのこと、舌を巻くカメラワーク、絶妙なストーリーテリング、そして俳優達の魅力溢れる演技…等々、どれを取り上げても文句の付けようがない。その後、国内外の諸作品にどれほど多大な影響を及ぼしたかは、言うまでもないことでしょう。志村喬演じる首領的な役割である勘兵衛を軸に、七人の侍それぞれが個性的かつ魅力的に描かれており、その中でもお互い対極に位置する三船敏郎と宮口精二の侍像が抜群に素晴らしい。優れた演技力で独自のモノにまで昇華させている。物語は二部構成となっており、前半はややユーモラスな展開の中、七人の侍個々の出揃うシーンが見どころ。とりわけ志村喬演じる侍が、幼子を人質に捕った盗人を仕留める演出は見事の一言。具体的な場面を見せず、観客の想像力にまかせるところが凄いしセンスの違いを感じさせる。後半クライマックス、七人の侍率いる百姓達と野武士集団による一進一退の攻防の盛り上がる事といったら。雨降りしきる中、リアルで迫力満点な描写も言うことなし。つねづね思うわけですが、傑作が傑作たる所以は視点を変えて観る度に何らかの新たな発見があり、しかも飽きないということです。文句なしに10点満点。10点(2004-02-22 23:10:08)(良:1票)

54.  座頭市関所破り 監督安田公義の演出によるシリーズ第9作。勝新演じる座頭市と、父親の面影を残す老人(伊井友三郎)との切ないドラマを縦糸に、複数の人間ドラマが丁寧に描かれている。しかもシリアスに展開される中にも、中田ダイマル・ラケットによる座頭市のモノマネ、ひょうきんな用心棒の登場、市を慕う健気な子供達をも絡めたりで見どころの多い作品となっている。このような仕上げ方は大いに好感が持てる。ラスト、除夜の鐘と共に繰り広げられる殺陣は圧巻で、切り捨てた遺体に市がそっと上衣をかぶせるなど切ない余韻を残してくれた。シリーズ中、お気に入りの一本です。8点(2004-02-18 15:55:58)

55.  鬼畜 真夏のうだるような暑さの中、生活苦に追われる印刷屋夫婦のもとに、夫の隠し子3人を引き取るハメになる。松本清張原作の同名小説を映画化したものなんですが、問題提起であり戒めとも受け取れる作品です。突然襲ってくる最悪の事態に対して、貴方ならどう受け止めどのように解決しますか? …と、作り手は提示しているようだ。気弱な主人公・宗吉は突然の出来事で気が動転してしまい、とんでもない解決策をとる。子供達には何の責任も罪もないのに…。この映画では、(見方にもよるかも知れないが)救いようのあるラストで締めくくってくれる。やはりこういう時はまず冷静になり、受け皿を広くして、ひとつひとつ問題を解決していくべきであろう。うーん、何だか身が引き締まる思い。社会派サスペンスの秀作です。8点(2004-02-18 15:54:04)

56.  私は貝になりたい(1959) 悲しい映画です。戦後、この様な例は数多くあったことでしょう。そのことがフランキー堺の好演も手伝い、より一層悲しく記憶に残る作品にしている。軍隊という規律の厳しい縦社会で、上官の命令に背けようはずがなく米捕虜を突き殺すフランキー堺演じる二等兵。終戦後、戦犯として裁かれるのは命令を下した上官だけではなく、末端の一兵卒にまで及んでしまう。彼は殺したのではなく、殺しをさせられたのである。しかも腕を刺しただけなのに…。善良な一市民が戦争に巻き込まれた悲劇を描いている。心優しい日本兵が米捕虜に栄養をと思いゴボウを与えた善意が、木の根を食べさせたとして有罪になったというのは本当の事らしい。名脚本家でもある橋本忍による演出。戦争の不条理と共に、日米の言葉の壁をも取り上げており、それが通じないという事はいかに誤解を招き最悪の事態へと導いていくかをも訴えている。問題作でもあり名作です。9点(2004-02-18 15:51:52)(良:1票)

57.  人間の條件 第六部 曠野の彷徨 ついに最終部。この長い長い人間ドラマに幕が下ろされる。監督小林正樹の手による厳しい描写が冴えます。平高主計のセット美術も素晴らしい。しかし何と言っても、主人公・梶を演じる仲代達矢に尽きる。前作より彼の眼中にあるのは、ただただ妻・美千子のもとへ“生きて帰る”だけである。さらにこの作品では、言葉が通じないということはいかに誤解を招き、意図しない方向へ導いていくかをも訴えている。どこの社会にでも湧き出るゲスな人間・桐原を金子信雄が好演。(梶と対極にある人間像) 《ネタバレ! ! 》ラスト、仲代達矢一世一代の演技が、この壮大かつ壮絶な人間ドラマにふさわしいラストシークエンスを飾る。肉親の弟以上の存在であった吉田を連呼する。友達であり唯一の理解者であった丹下の言葉が浮かぶ。妻・美千子の笑顔と笑い声が幻聴となって聞こえてくる。まるで走馬灯のように、過去の出来事と一抹の希望とが梶の頭の中を次々とよぎる。あー、なんて悲しいシーンなんだ。とうてい涙なしでは観られない。監督小林正樹の描写はもちろんのこと、宮島義勇のシビアなカメラワーク、木下忠司の荘厳な音楽が渾然一体となり、この長い長い運命劇に力強くそして緩やかに終止符を打つ。10点(2004-02-12 13:19:40)

58.  座頭市千両首 監督池広一夫が、このシリーズ初のメガホンを取る第6作。勝新演じる座頭市の、緊張感溢れる居合いや殺陣のシーンはもちろんの事、国定忠司を絡めたりで見せ場の多い展開となっている。城健三朗を凄みある用心棒で再度登場させるなど、作り手のこの作品にかける意気込みも充分に感じさせてくれた。ただ全体的に、暗く陰うつなトーンに包まれており、個人的に苦手なんですよね、こういう作風って。7点(2004-02-08 15:56:50)

59.  兵隊やくざ 殴り込み 奇妙な兄弟愛で結ばれた、勝新演じる大宮と有田(田村高廣)の名コンビが最高におもしろい痛快活劇、シリーズ第7弾。前作の大味過ぎる演出の反省か、ドラマ中心にじっくりと描いている仕上がりに好感が持てる。キレイどころには野川由美子に岩崎加根子。名脇役陣に細川俊之、安部徹、小松方正と贅沢なキャスティングにもゴキゲン。さらに大映作品らしい“泣かせどころ”もきっちり用意されており、大いに満足出来る今作でした。7点(2004-02-08 15:55:59)

60.  ガメラ対宇宙怪獣バイラス 今作よりオープニングシーンに、さっそうと「ガメラマーチ」が流れる。そりゃもう子供心にワクワクドキドキで、大変な興奮を覚えたものです。監督の湯浅憲明は、何をどうすれば子供達が歓喜するのかが良く分かっていると思いますね。このシリーズ物のガメラ、東宝・ゴジラのように圧倒的な強さを誇ったりはしません。悪戦苦闘、時には満身創痍になったりで、子供達の声援や助けを得てやっとのことで勝利を収める。そこなんですよ、そこ。そこがガメラの良いところなんですよね。この作品でもガメラはバイラスに何度も腹を刺され、「ガメラ危うし! !」と思わせます。ハラハラドキドキで、ガメラに大きく感情移入してしまう。まぁひとつの例えなんですが、プロ野球でいうとファンの後押しがあるからこそかろうじて勝てる「阪神タイガース」みたいなもの。かたやゴジラは強くて当たり前の「読売ジャイアンツ」ですかね。大魔神は異色の強さを誇る「ダイエーホークス」。キングギドラは強そうに見えるだけの「西武ライオンズ」。アンギラスは …おっと話がそれてしまった、失礼。身も心も童心に戻り、想像力を逞しくして見るのがこのシリーズを楽しめる極意。6点(2004-02-01 14:26:12)(良:1票)

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