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Web www.jtnews.jp

プロフィール
コメント数 250
性別 男性
自己紹介 サンボリズムとリアリズムのバランスのとれた作品が好きです。
評価はもちろん主観です。
評価基準 各2点ずつで計10点
1.物語の内容・映像にリアリティを感じるか?
2.視覚的に何かを象徴できているか?
3.プロットの構成は適切か?
4.画面に映る動き・台詞や音にリズム感があるか?
5.作品のテーマに普遍性はあるか?

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【製作国 : 日本 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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41.  グランツーリスモ なんというか物語にしろ演出にしろめちゃくちゃベタでわかりやすい内容ですね。舐められてる人間が世間を見返す、親子や師弟の確執、冒頭のゲームに理解のない親の言葉からしてなんて陳腐でつまらない表現なんだと思いました(笑)。東京のシークエンスではとりあえずスカイツリーと東京タワーを映しときゃいいだろうという姿勢にも笑っちゃいました。今までのニール・ブロムカンプ監督作品と異なり社会派要素は全く見られず、シミュレーターが現実を凌駕する点などテーマとして掘り下げていけば現代的で深い内容になれた可能性のある要素にも全く着目する気がないようです。でもそのおかげか車やゲームに興味がなくともとっつきやすく登場人物に共感しやすい物語になっていますし、エンターテインメントとしてはこれぐらいベタで泣けるドラマになっているのでいいんじゃないかと思います。ただレースシーンはドライバーの顔アップと走行中の車の外観、エンジンの駆動を編集でツギハギして見せるだけでこれ以外の見せ方ってないんですかね。レースの最中では直接人物のドラマが動くわけでもないので陳腐でワンパターンな表現をされると退屈なだけなんですよね。CGも多用されてリアリティも欠けていますし、日本映画のアライブフーンがCGなしのレースシーンを売りにしていたのを見るとなんだかハリウッドと役割が逆転しているようです。大して車やゲームに思い入れがあるようにも見えませんしニール・ブロムカンプ監督がこの映画を撮った動機はよくわかりませんが、第9地区からして設定が特殊なだけで物語自体は割とベタな泣けるドラマでしたし、意外とこれがこの監督の本質なのかもしれませんね。[映画館(字幕)] 5点(2023-09-16 23:44:00)(良:1票)

42.  メランコリック 台詞の生っぽさが面白いというぐらいでカメラワークも構成も平凡ですし内容は青年漫画的なモテない男性の願望充足と自己肯定の物語でしかありません。低予算だからこの程度でいいと満足するのではなく低予算だからこそ小さな世界で収まろうとせずに普通の映画ではできないことをやろうという気概がほしいです。まあ逆にオーソドックスな作りができるということはこの監督は普通の娯楽映画でも活躍していける才能があるということかもしれませんのでそこは一長一短ではありますね。殺し屋と銭湯という組み合わせは鍵泥棒のメソッドからの着想でしょうか。日本のフィクションは安易に殺し屋のような架空の存在に頼るのをやめた方がいいと思います。物語上殺し屋を出す必要なんか全くないのに純粋にラブストーリーやドラマの力だけで勝負できないから余計な要素を突っ込んで間を持たせているだけではないでしょうか。[インターネット(邦画)] 5点(2023-09-13 23:25:34)

43.  空白 シチュエーションは面白いんですが、アイデアが見つかったから映画化しただけのようでそれ以上の試行錯誤の過程が見えてこないです。なんだろう、頭の中で考えられた人物の機能や役割が描かれていてもその人間性までは十分に描かれていないという印象が残ります。伊東蒼なんかまさにそうで不幸な少女だという説明描写が終わったら劇的なシーンを作るためにさっさと退場させられてしまいます。テーマを描くためのリアルな描写が不快感を催させているのではなく、観客に不快感を持たせる人物を登場させること自体が目的と化してはいないでしょうか。漁師やスーパーの店長やパートの中年女性、責任逃れしようとする学校や悪質な報道をするマスコミ、作り手が安心して見下せる立場の人間を安全圏から面白がって眺めてるだけで自分の問題として捉えているようには思えません。マスコミの描き方なんかこの映画自体が偏向報道そのものではないですか。まあそれでも古田新太と藤原季節の絡む場面は好きな方ですね、俺も昔万引きしましたなんてサラッと告白しちゃうところが良いです。終盤の人物に変化の兆しが見える展開も悪くはないのですが、安直でまるで別の映画が始まったようにも感じてしまいます。[インターネット(邦画)] 5点(2023-09-11 23:44:06)

44.  オーディション(2000) 今見直すとなんとなくドライブ・マイ・カーに似ていますね。村上春樹と村上龍原作ですし、こういう作品が海外受け良かったりするんでしょうか。三池崇史監督作品にしてはくだらないギャグがないので見やすい方ではあります。この作品の一番面白いところって序盤の男同士のコイバナ(?)のゲスい部分も含めた楽しさだと思いますね。そのゲスくていやらしい部分を中和してバランスを取るために痛いしっぺ返しを食らう展開が用意されているわけですが、男同士の会話の生っぽさに比して後半のホラーパートになると一気に台詞も演出も現実味に欠けた陳腐なものになってしまいます。男側の丁寧で共感もできる心理描写に対し女側はこんな女現実にはいないだろうという大袈裟な表現になってしまっているのがつまらないんですよね。[インターネット(邦画)] 5点(2023-08-07 23:16:00)

45.  地球防衛軍 こういう映画を劇場で見て思うのは現代の設備の整った映画館で見るには画質の方は何とかなっても音響面が結構きついということです。冒頭の東宝マークに流れる伊福部昭の音楽からして音割れしているような印象すら受けます、家で見た時の方がずっと印象がいいです。皮肉な話ですが音響という面から考えると日本映画黄金時代の作品は現代では映画館の大画面で鑑賞する価値が薄れてしまっている側面があります。とはいえやはり4Kリマスターの恩恵は十分にあったとは思いました。特撮場面はこの時代にしてはという但し書き付きではありますがかなり丁寧に作られていることがよくわかります。序盤の自衛隊によるモゲラの火炎放射器攻撃場面ではカメラをパンさせたように編集することでワンカットで両者を捉えるように見せているところが努力を感じさせます。物語の面では平田昭彦演ずる白石は劇中の描写だけだとああいう行動に至った動機がよくわかりません。兄妹・婚約者設定も物語上特に活かされていないので不必要に感じます。無理難題を押し付ける怪異が若い娘を差し出せと要求する姿はSFというより土俗的な民話を思わせます。やや危ういと感じたのは放射能によって身体に異常が生じたミステリアンが地球人との結婚を求めそれを拒絶されるのは現実の被爆者の婚姻差別を連想させるところです。まあその辺を深く考えずおおらかな時代のSF戦記を楽しめばよいのでしょうが、その場合でも戦闘シーンが結構単調ですね。伊福部昭の音楽を垂れ流しにして画面のリズムを意識することなくミサイルや砲撃が淡々と繰り返されるだけです。まあ伊福部昭の音楽自体が同じモチーフを何度も繰り返す傾向があるので合っているといえば合ってるのでしょうが。マーカライトファープがなぜミステリアンに有効なのかもよくわかりませんね、無粋ながら脚を狙えば終わりではないかと(笑)。[映画館(邦画)] 5点(2023-08-05 19:50:41)

46.  ブレット・トレイン アクション映画の主人公までがセラピーを受けるとは世知辛い時代ですな。まあ主人公と言ってもブラッド・ピットは災難に巻き込まれただけで物語の重要な部分は真田広之が持って行ってますけどね。よくこんな映画に出たとも思いますが現場は楽しかったかもしれませんので余計な心配はしないことにしましょう。日本が舞台となるわけですがおそらくロケーション撮影は全くされておらずほぼセットとCGで再現された新幹線内のみでストーリーが進行します。夜や夕焼けを表現した照明のカラフルでノスタルジーも感じさせる雰囲気は悪くなくリアリティを無視したいい加減な内容ですがこのアプローチは一応成功しているとは言えます。とにかくステレオタイプな描写とそれをおちょくったようなシーンしか出てきませんのでクエンティン・タランティーノというよりそれを真似ただけのダメな日本映画を見ているような気分にすらなります。まあ伊坂幸太郎自体がそういうところありますので逆輸入という形にはなるんでしょうね。ジョーイ・キングや福原かれんがかわいかったのでとりあえず見て損したとまでは思いませんでした。[インターネット(吹替)] 5点(2023-08-03 23:58:15)

47.  仁義なき戦い 序盤の戦後の闇市の様子の再現は良いです。山守親分はこういうタイプの親父いるなあと思いますし、個々の台詞やキャラクターのインパクトはあります。しかしこの映画は正直音楽が酷いと思います。殺人シーンに毎度例の曲が流れるのはほとんどギャグみたいな演出です。また本来は粗製濫造されたプログラムピクチャーの一本に過ぎないので撮影も美術もチープと言わざるを得ません。それが戦後日本の貧しさと猥雑さを表現できていると言えなくもないのですが、役者のアップを多用したカメラで誤魔化しているのも苦しいところです。脚本もこれで良いのでしょうか、事実をベースにしているとはいえ登場人物の出番をうまく整理できていないように感じます。ドキュメンタリータッチといえば聞こえはいいですが、気がついたら人物が仲良くなっていたり死んでいたりするのでこっちの感情の持って行き場がありません。海外ではこの映画の評価は必ずしも高くなく国内と異なり日本映画の代表作とは認識されていません。それはやはり描かれる世界の狭さと劇映画としての完成度の低さが原因だと思います。[インターネット(邦画)] 5点(2023-07-24 23:07:09)

48.  怪物(2023) 近藤龍人の撮影は素晴らしいです。安藤サクラと永山瑛太が豪雨の中窓の泥を拭いとる様子を電車の内側から見せるショットはまるで墨絵のように見える効果があり斬新な造形だと思いました。直接関係はないかもしれませんが黒澤明が七人の侍で雨に墨汁を混ぜたというエピソードを思い出しました。しかし結局のところその撮影もただ美しい画というだけで何かの象徴として効果的に使われているわけではありません。湖だけを映したショットが何度か挿入されますが、場面の区切りとして機能しているだけです。湖の近くの町と学校という舞台設定には美しくそしてノスタルジックでもあること以上の意味がありません。作品のテーマは善意としての行動が結果として他者を追い詰めることにもなり得ること、それが必ずしも個人だけの罪というわけではなく置かれた立場や組織の論理によるものではないかと気づかせることです。しかし星川父(中村獅童)のみ別の側面を見せずに単純な悪人として描いています。それはこういう人物だけは絶対に許せないという作り手の主張といえなくもないでしょうが、安易な悪役の記号を寄せ集めた安っぽいキャラのようにも見えてしまいます。ラストも劇中で提示された多くの要素を一つにまとめ上げるテーマやメッセージを投げ捨ててありがちなメロドラマ的エンディングでお茶を濁したようにしか見えず納得がいきません。それこそ黒澤明の羅生門は最後には人間不信を拭い去ろうとする一筋の希望を提示してみせました。この映画もまたそうするべきではなかったでしょうか。[映画館(邦画)] 5点(2023-06-23 22:37:17)

49.  ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー 一言で言うと説明不足の映画です。なぜ土管が異世界に繋がっているのか?あのブロックは何なのか?キノコを食べるとなぜ強くなるのか?なぜキノコやゴリラの王国があるのか?なぜ亀が世界を支配しようとしているのか?ゲームの時点でそういうものだからこれでいいのだ、いちいち考えるものではない、第一説明していたらテンポが悪くなるじゃないか。マリオを知らない人間はいないと言っても過言ではないのですからこのアプローチも十分通用します。しかしこうした細部の設定を考証することで作品に奥行きが生まれると思います。それに考えてみてください、私たちはそもそもいったいマリオたちの何を知っているというのでしょうか?ただゲームをプレイしているだけでは多くのキャラクターたちの内面や世界の成り立ちまで理解することは難しいはずです。ゲームをプレイするのではなく、物語を鑑賞するという体験の強みは個々のキャラクターの理解をより深めることができるという点にあるのではないでしょうか。今までゲームでは描かれてこなかったマリオたちがブルックリンで暮らしている描写をわざわざ入れたのもそのためでしょう。マリオの嫌いな食べ物や家族構成をいったいこの映画を見るまで誰が知っていたのでしょうか?クッパはなぜ弾き語りをするのか、コング族はなぜカートを製造しているのか、残念ながらこれらの要素は脈絡もなく唐突に出てくるのでキャラクターたちの理解を深めるというよりはむしろ違和感を感じさせるものです。ただキノコ王国でピーチ姫がプリンセスとなったきっかけが語られるエピソードはとても良いと思いました。オリジナルのゲームで感じていた違和感を解消させるものです。やりすぎると1993年の実写映画版のような作品になるとはいえ、あのキャラクターやゲーム中の要素は実はこうだったというような設定の深掘りがもうちょっと欲しかったです。あっそういう意味では青甲羅の彼は最高でしたね。[映画館(吹替)] 5点(2023-05-11 23:38:55)

50.  聖闘士星矢 The Beginning 聖闘士星矢については全く知識がない状態で見ましたが、設定というか作品のテーマがよくわからないまま映画が終わりました。初見の人間におススメできる作品ではないという点では良くない映画化だと思います。原作をハリウッド映画の鋳型に流し込んだだけの作品という感じです。冒頭の赤と緑の照明の地下闘技場とか具体的な作品名は思い出せないのに何十回も似たようなものを見せられた気がします。適度に会話にユーモアは入れときましょう、ここら辺で登場人物に共感できるシーンを入れときましょう。まあさすがにハリウッドが長年培ってきた王道作劇です、大して惹きつけられるものがなくとも飽きずに見られます。しかし別に面白いわけでもないです。マッケンユーの戦い方はダンスと揶揄され、男かと思ったと皮肉を言われるのはアジア人へのステレオタイプな認識という感じです。壮大な親子ゲンカはよく見るのですが夫婦ゲンカは珍しいパターンかもしれません。マッケンユーは顔にいくら打撃を受けても傷一つなく綺麗なままです。そこに唯一スタッフのこだわりのようなものは感じられましたが、ただレイティングの問題なだけな気もします。[映画館(字幕)] 5点(2023-05-10 23:01:19)

51.  点と線 原作小説の映画化としてはとても丁寧に作られていると思います。原作と比べると福岡の人間が博多弁で喋ることを強調しているのは良い脚色です。85分という短尺の中で必要のないエピソードは省き、原作では手紙でのみ語られるエピソードを具体的に描写しクライマックスに持ってくる構成は正しい判断です。しかしやはり根本的にミステリーというジャンルと映画の相性の悪さを感じざるを得ません。ストーリーの基本として、主人公が物語が展開する中で変化・成長していくという面白さがあります。しかしこの映画では主人公にあたる刑事・三原(南廣)は序盤で安田辰郎(山形勲)を悪人とみなし犯人として疑ったまま最後までその認識が変化することがありません。もちろん、この映画内ではその認識自体に誤りがあるわけではありません。しかし同じ松本清張作品の映画化でも野村芳太郎監督の作品に比べるとこの映画がマイナー止まりなのは作品の古さも一因でしょうが、探偵役である主人公が犯人の人物像を突き詰める中でその心情が変化していくドラマ性に欠けているからだと思います。ドラマチックな展開にするにはもう少し安田亮子(高峰三枝子)を主人公側と関係を持たせる必要がありました。映画というのは基本的には探偵よりも犯罪者を主役とした方が面白くなる媒体なのです。[インターネット(邦画)] 5点(2023-05-05 22:34:00)(良:1票)

52.  ベイビーわるきゅーれ うーん台詞が聞き取りにくいのがちょっとなあ、実は黒澤明オマージュだったり?まあ全然関係ないんでしょうけど(笑)。ゆるい雰囲気のダラダラ展開するあるあるネタコメディ、一本の芯が通ってなくて散漫な感じです。社会風刺喜劇ぐらいにまで煮詰めることができていればもうちょっと広く評価されたかもしれません。税金やら嫌な上司や客のような社会の世知辛さは現時点でも描けてますしね。今は第二の北村龍平程度で終わらないことを祈るまでです。[インターネット(邦画)] 5点(2023-04-28 23:12:29)

53.  シン・仮面ライダー もちろん駄作なんですが、庵野秀明の作品の中では最もまともに鑑賞する価値のある作品かもしれません(実写アニメ両方含めて)。今までと異なりこの映画は何より役者の演技をちゃんと撮ろうとしています。何度も繰り返される仮面の着脱、無機物でしかない仮面にどう表情を宿らせるか、間違いなくこれは実写映画でしかできない試みです。フォトジェニック以上のものではないですが撮影も今までで一番良かったです。この映画の不幸は擁護する意見でさえ過去の作品へのオマージュの側面ばかり取り上げられるところです。自身がそのように読み解かれるよう自己演出を続けてきた庵野秀明の自業自得ではありますが、鷲巣詩郎の音楽やいつもの明朝体(シン・ゴジラで一番ゲンナリした要素です)が封印されているのは今までとは違うものを作ろうという精神の現れです。エヴァンゲリオンではメタフィクションに逃げ、シン・ゴジラは震災を描くように見せかけて帰ってきたウルトラマンのプロットを流用したに過ぎず、シン・ウルトラマンに至ってはノスタルジー以上の価値を見出せませんでした。今回庵野秀明はかつてないほど真剣に現代的なテーマを扱ったストーリーを語ろうとしているように見えます。最大多数の最大幸福ではなく最も絶望している者の救済、疫病による人口削減、人にも自然にも負担をかけない奴隷制度の復活、エネルギーの奪い合い、絶望を多幸感で上書きする洗脳。それでもショッカー側のキャラクターはワンパターンの快楽殺人鬼ばかりだったり、最終的には肉親の不幸に収束するスケールの狭さもあってまともにテーマを処理できてはいません。だから最終的には駄作と判断せざるを得ないのですが、この映画って言わばまともにストーリーが完結しているエヴァンゲリオンじゃないですか。そう考えるとシン・エヴァンゲリオンなどよりはるかに凄い達成だと思います。[映画館(邦画)] 5点(2023-03-30 20:47:39)(良:2票)

54.  博奕打ち 総長賭博 残念ながらジャンルと時代の壁を超えて評価される作品ではないと思います。三島由紀夫がギリシア悲劇のようだと評したらしいですが、悲劇として見ると金子信雄というわかりやすい悪役がいるのはダメだと思います。例えば、ギリシア悲劇の代表作オイディプス王がどういうお話かというと主人公オイディプスが父親殺しの犯人を捜していたが、その犯人は自分自身であったと突き詰めてしまい自分の眼を潰すというストーリーです。悲劇として成立するためには外部からの介入により苦境に落とされるのではなく、主人公の内部にこそ罪が潜んでいるというのが重要だと思います。悪役を退治すれば解決してしまうならば、人の業や運命を描いた作品とは言えないでしょう。一応鶴田浩二は任侠道という自分自身の規範によって破滅していくのですが、金子信雄が裏で策謀しなければこのような破綻は起こらなかったわけでそこが悲劇としては弱いのです。単純に今の日本人にとっても任侠道なる価値観が共感しづらいというのもあります。しかし一方で悲劇として十分に成立しなくともそれはそれで十分という気持ちにもなります。鶴田浩二と藤純子はこれ以上にないはまり役でとても美しく撮られています。あくまで二大スターの美しさを堪能する時代がかったメロドラマとして観れば悪い映画ではないです。[インターネット(邦画)] 5点(2023-03-19 23:43:14)

55.  茜色に焼かれる こいつらが嫌いだという不満はあるが、かといって自分の主張はないみたいな内容です。それは確かに現代の日本人の姿を正しく写しとっているとも言えるのでしょうが、少なくとも素人じゃないプロの創作者がこの程度の認識ではいけないですよ。交通事故に売春にコロナにとニュースで見かけたネタを咀嚼せずにそのまま次々詰め込んでいるだけで話題があっちこっちにぶれて一筋の物語として構成することに失敗しているように感じます。冒頭の事故再現CGが唐突に挿入される演出からして反応に困ります。ブラックコメディの割には深刻すぎでシリアスなドラマとして見るには唐突で浮いた演出や不自然な台詞が目立ちます。人物の心情を台詞で全部言っちゃうのはやっぱり下手な語り方です。結局描きたかったのはただのラブストーリーなのでしょうか、最近の日本映画には監督の資質に合わないような社会派映画を無理して撮って失敗しているものが多いです。似たような題材ならば高橋伴明監督の夜明けまでバス停での方が娯楽性もあってうまく構成できていると思います。[インターネット(邦画)] 4点(2023-09-12 22:48:54)

56.  運命じゃない人 うーんかわいい小品ではあってもここまで評価が高いのは不思議というか、もう既に役割を終えてしまった映画というか。内田けんじが長年沈黙に近い状態なのは単純にもうこの路線だけで通用する時代ではないからかもしれません。近年脚本が優れていると評価された日本映画としてカメラを止めるな!のような作品と比べても華がなくてとにかく地味な印象を受けます。脚本が良いという評価にも複数の意味合いがあって、伏線回収が上手いとか台詞のセンスがいいとかそういうものだけでなく何より大事なのは人間を深く描けていることだと思います。たとえば初めはあくが強く共感できないと思っていた登場人物が物語の展開の中で段々人間味が感じられるようになっていく、そういう感動はこの映画にはないんです。小市民的世界から逸脱せずとにかく登場人物がみんな大人しく予想外の方向へ向いていくような驚きがないのがつまらないのです。ヤクザの組長すら妙に所帯染みていて…。まあその登場人物の大人しさゆえに反感を抱きにくいことこそがこの映画の人気の秘訣なのかもしれませんが。[インターネット(邦画)] 4点(2023-08-08 23:05:56)

57.  ファミリア 日本社会における移民に関する物語を描くこと自体は何も間違っていませんしこういう題材を扱ったオリジナル脚本の映画はもっと増えるべきだと思います。しかし安易に悪役を設定したり最終的に家族愛に帰着するならば社会派や人間ドラマとして売り出すのではなくもうちょっと娯楽性のある内容にした方が良いのではないでしょうか。この映画特有の強みというのが日本映画としては扱う題材が希少であるという点だけで、人物造形や演出・構成の新規性があまり見られないのが苦しいところです。内容としてはグラン・トリノをやりたかったのかなとは思いますが、そのために何を描くべきかよくわかっておらず焦点がぼやけている印象を受けます。主人公の家業としての焼き物とブラジル移民の苦境、そしてアルジェリアの紛争が並行して描かれますが各要素がバラバラなままで進行し、伝えたいテーマやメッセージがよくわからなくなっております。無駄に複数の要素を投入するよりも重要な要素を一つだけピックアップして丁寧に掘り下げた方がまとまりのある良い映画になったと思います。[DVD(邦画)] 4点(2023-07-30 23:35:40)

58.  学校の怪談 この頃からセブンイレブンってあったんですね。有名なシリーズなのでなんとなく見た気になってたのですが、記憶に残っているシーンが全くありませんでした。実は一度も見たことがなかったのか、あるいはそれだけ印象が薄い作品でしかなかったのか。平山秀幸も奥寺佐渡子も大人向けドラマもイケる人材なのに深いテーマや学校や家庭のドラマが描かれるわけでもなく、登場人物にこれといった目標もなく脈絡も統一感もない妖怪が出てくるだけの単純な内容です。セミの鳴き声や古い校舎がノスタルジーを刺激しなくもないのですが、今更90年代の作品を子供の視点を想定して評価しても仕方ないので素直につまんないと言っておきます。しかしこういう最低限映画の雰囲気が作り込まれた子供向けの実写作品は今でも作られてほしいとは思います、悲しいことに需要はないのでしょうけど…。[DVD(邦画)] 4点(2023-07-18 23:09:52)

59.  千年女優 今敏監督って海外で高く評価されていると言っても影響を受けたという監督の筆頭がダーレン・アロノフスキーですからねえ。人間よりも技法への興味ばかり突出していると高い評価になるんでしょうか。この映画も昔の日本映画のワンシーンを再現してみたいというぐらいしか創作のモチベーションがなかったとしか思えません。浮世絵を連想させる絵柄のシーンがあるのも安易な日本の伝統文化の利用でしかありません。最大の問題は当時の日本映画という創作物の無秩序なコラージュではあってもその作品が作られた時代背景を十分に描けていないことです。ここにあるのは昔の華やかな日本映画への憧れだけでその時代に生きた人間の苦悩には目が向けられていません。虚構と現実の狭間を描こうとした結果、この映画は結局現実とは何の関係もない映画になってしまっています。[DVD(邦画)] 4点(2023-07-09 23:44:42)

60.  ソナチネ(1993) 乾いた静かな世界に垂れ流される久石譲のウェットで大袈裟な音楽がうるさいのなんのって。わかったようなわからんような評価しかされてませんが、人気があるのは結局男のロマンを描いた作品だからなんでしょうね。女に好かれたまま美しい場所で死にたいという願望を満たす、死の哲学なんて全部嘘っぱちでただ現実逃避を続けているだけの映画です。例えば同じ沖縄を舞台にしたヤクザ映画として崔洋一監督の友よ、静かに瞑れと比較すると、何も社会派の方が偉いとまでは言いませんが子供の遊び程度の内容でしかないのです。さすがに暴力シーンの演出の斬新さではこちらの方が上ですけどね。部分部分の演出で褒めるところがあっても大まかなプロットは普通のヤクザ映画と変わらないので退屈です。この内容なら予告編をリピートしてるだけで十分ですよ。[DVD(邦画)] 4点(2023-06-19 22:14:35)

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