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プロフィール
コメント数 2162
性別 男性
年齢 57歳
自己紹介 実は自分のPC無いので仕事先でこっそりレビューしてます

評価:8点以上は特別な映画で
全て10点付けてもいいくらい
映画を観て損をしたと思ったことはないので
酷評しているものもそれなりに楽しんで観たものです


  *****

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81.  棒の哀しみ 《ネタバレ》 神代監督の遺作。ちゃかさないハードボイルドを根底に置きながら一人の男のドラマを描き出す。奥田瑛二サイコーなんですけど。永島暎子も素晴らしい。ヤクザ映画だと今なら断然北野武(黒塗りの車が連なって走るシーンは『アウトレイジ』を彷彿させる!)なんだけど、武にあの永島暎子は撮れないんだろうなあ。そう思うとこれが遺作だなんて惜しいよなあ。奥田の延々と淡々と続く独り言が映画を牽引しているんだけど、それダメじゃんってことにならない。その独り言を徹底することで独特の世界観を作っている。しかも奥田以外は台詞が必要最低限ってところもミソ。一匹狼で組を持つこと自体いやがってるのに組長となり、自ら傷をおうことをいとわない破滅型なのに死は向こうから遠のいてゆき、掃除も洗濯も傷の手当も自分のことは自分でするのに誰もがタバコの火をつける。そうなるしかないことのいわゆる人生の諦めみたいなものが独り言によく表れていると思う。[映画館(邦画)] 7点(2011-02-15 16:20:48)

82.  おそいひと 《ネタバレ》 若松孝二の特集上映をやってる映画館で「ついで」で見たものでなんの前知識も無く見ました。最初は重度身体障害者のドキュメンタリーなのかなと。それにしちゃ、えらくノワールっぽいなと。途中からリアルがリアルのまま非日常の世界に変わってゆく。その様に驚いた。介護者がパンクボーカリストということで随所にこのパンクが流れる。短いカット割りも相まってミュージッククリップ風なのがちょいと残念な気もするんだけど、ノワール臭を発散させる主人公(実際の重度身体障害者)の強力な牽引で強烈な犯罪映画に仕上がっている。実際の身体障害者が演じているということや身体障害者が殺人を犯すという衝撃的な内容が一宣伝で終わっていない(ちなみに私はこの宣伝を見ずに映画を見ている)。どうして人が人を殺すのか。その人が身体障害者であったっていいじゃないか。むしろなにがしかの障害を持って生活をしている人のほうが健常者よりなにかとてつもない爆弾を抱えて生きているかもしれないではないか。はたまた生まれ持っての殺人鬼がたまたま障害を持って生まれたにすぎないのかもしれない。とにかくこの主人公、みごとに一人の鬼畜となっている。同情を寄せ付ける隙は無い。一人の障害者であるまえに一人の殺人鬼である。それを演じた住田雅清が素晴らしい。[映画館(邦画)] 7点(2010-12-13 15:19:55)

83.  稲妻(1952) 《ネタバレ》 目線を動かすだけで画面には映っていない人の動きを表現したりすることをいわゆる成瀬目線と言って成瀬監督の特徴的な演出として有名らしいのだが、単に目線を動かすに留まらず、高峰秀子が何かを見て表情を変える様子で画面に映らないなにものかを想像させている。あるいはバイクの音だけで小沢栄の登場が描かれる。常に画面の中の世界と外の世界が通じ合っていることを意識させている。描かれる物語の世界を広げると同時にこの作品に描かれる高峰秀子が言うところの「ずるずるべったん」なしがらみから抜け出す道があることを示唆しているようにも感じた。それにしたってこのネチネチとした世界には正直うんざりで、いくらなんでもこの陰鬱な気分のままじゃたまらん、と思ってたら終盤に来てようやく香川京子が登場。彼女の爽やかな笑顔が全ての暗雲を消し去ってしまうのだ。画面の外からはバイクの音ではなくピアノの音色。香川、根上の爽やか兄妹、この二人だってある意味「ずるずるべったん」だ。良い「ずるずるべったん」だ。そんなものがあるってことを知るだけで気持ちは晴れるのだ。[CS・衛星(邦画)] 7点(2010-11-19 15:00:11)

84.  天使のはらわた 赤い教室 堕ちてゆく女・名美、その凄まじき堕ちぶりは石井隆自ら監督した『夜がまた来る』に匹敵する。しかし全編ハードボイルドタッチの石井ワールドではその堕ちた世界が堕ちる前の世界と地続きなのに対しこちらの堕ちた世界は全くの異世界として存在する。だからこそラストがたまらなく切ない。村木に妻と子がいる日常の生活があるように名美にはヒモとの生活がその異世界にあるという生々しさ。「そっちにいてはいけない」。村木の言葉がむなしく響く。もうこのラスト数分に尽きる。名美と村木が出会った場面で旅館の一室で陽が陰ってゆくのを延々と撮ってるシーンがあるんだけど、それだけだとちょっと懲りすぎかなとも思うんだけど、その間、水原ゆう紀は延々背中を向けていて、そのせいでこの長いワンシーン、実に濃密。[DVD(字幕)] 7点(2010-11-01 17:36:35)

85.  昭和おんな博徒 江波杏子があまり好きではなかったのだが映画が始まってすぐの雨の中の佇まいにいきなり惚れた。まあ映し方もうまいんだろう。雨は笠で江波を隠すために降っているのだろう。で、その顔が映されるときに一種の高揚が得られるようになっている。ついでというわけではないが、天知茂の病床の女房役の松平純子って人は全然知らなかったんだけど、惚れた。病床なのにあの艶っぽさといったら! 私が惚れっぽいわけじゃない。本作と同じく蒸気機関車を超間近ローアングルでとらえた画を持つ『花と龍 青雲篇・愛憎篇・怒濤篇』ではやはりそれまで意識することもなかった香山美子に惚れ、『車夫遊侠伝 喧嘩辰』では怒った顔のアップばかりの桜町弘子に惚れたわけだから、たぶん加藤泰の仕業である。そんな凛とした江波に惚れるのは私ばかりではない。江波の一途で仁義に熱い生き様に惚れたことを証明する天知が発する「姐さん」という呼び方にゾクーーっとした。最後の一人に落とし前をつけるその場所に登場するシーンにゾクゾクーーっとした。そのかっこいい女が生まれるためには前半のみ出演の松方弘樹がどこまでもかっこいい男でなきゃいけないわけだが、そこは流石、風格が漂ってます。[映画館(邦画)] 7点(2010-10-27 17:06:16)(良:1票)

86.  日本暴行暗黒史 怨獣 ジャンルに「エロティック」を入れたのはこれがピンク映画だからなんだけど、どこがピンクなんだか。このシリーズのほかの作品を見ていないのですが、少なくともこの作品に限ってはタイトルから想像しちゃいそうなエログロはありません。それどころかよくできた娯楽映画で、若松監督としては珍しい時代劇ということもあってあまり若松色を感じません。が、復讐に至る回想録が低予算のせいもあるんだろうけどどこかドキュメンタリーっぽくて、またクライマックスのドラマチックな展開の中に反権力思想が見え隠れするところなんかはやっぱり若松監督ならではなのかなと。いやこれ、面白いっすよ。ホントに。[映画館(邦画)] 7点(2010-10-26 13:27:09)

87.  ぼんち これより一昔前の映画ならば、封建的社会や男尊女卑の慣習の中で痛めつけられながら強く生きる女、あるいは生きられなかった女が描かれるんだろうけど、いつからか女は感情的な生き物から現実的な生き物として描かれるようになった。一人の男が多数の女を囲うという構図、市川崑だと『黒い十人の女』も同じ構図なんだけどこれもやっぱり女が一枚も二枚も上手。男は情けないというよりも優しい。だからといって女たちは男の優しさに翻弄されるわけでもなく、もちろん封建的社会や慣習に翻弄されるわけでもない。むしろ社会、慣習に翻弄されるのは男。豪華女優陣はさすがに目を引くが、ぼんち市川雷蔵がいい味出してる。[映画館(邦画)] 7点(2010-08-26 15:16:40)

88.  真田風雲録 《ネタバレ》 関が原の合戦跡を徘徊するガキ共が長い横移動で捉えられる。おお!と思ってるとそこに超能力少年佐助が現れる。おいおい。一気に胡散臭くなる。安易な発想とチープな特撮。やばいなこれ。と思ってたら時代は進み、ガキ共は若者に。ミッキー・カーチスがギターを弾きジェリー藤尾はスカーフを巻いている。なんだこれ。紅一点お霧って霧隠才蔵ですかい。なんだかとぼけた真田幸村が出てきたぞ。大阪冬の陣。佐助の妖術が笛とギターで拡散される。負けてられない敵方服部半蔵率いる忍者部隊が華麗なダンスパフォーマンスで迎撃する。なんだこれ。面白すぎる。冒頭で感じた胡散臭さを最大の武器とし、徹底したデタラメさで攻めてくる。特撮のチープさすら作品のデタラメ性向上に一役買っているではないか。天然ギャル千姫の今どき発言や歌謡ショーで十二分に和ませても、ミュージカル・コメディ特有のフワフワ感はなくひたすらデタラメ感が充満する。フワフワ感どころかどこか仁義に尽くす者の悲しき定め的な空気が漂っているのは加藤泰ゆえか。最後にやらなくたっていいけどやらなくちゃならない男の勝負、佐助VS半蔵で締めるあたりもやっぱり加藤泰。[映画館(邦画)] 7点(2010-07-27 14:50:44)(良:1票)

89.  東京暗黒街・竹の家 冒頭の列車強盗から警察の現場検証までことごとくバックに悠然と在る富士山の美しいこと。当時と今とじゃ富士山自体はそう変わらんのだろうからまわりの景色の差なんだろうけど本当に美しい。貴重な画だと思う。噂のヘンテコなニッポンはさほど気になりませんでした。『キル・ビル』のようにあえてそうしている映画がウケている現代ではむしろアバンギャルドという褒め言葉で受け入れられる範疇にあろうかと。実際、踊る芸子(?)さんらが着物からドレスに早変わりするところなんかはその方向を狙ったものなんじゃなかろうか。とはいうものの『ブラックレイン』とは違って主役も敵役もアメリカ人なのでニッポンを舞台とする必要性ってのは物語的には全く無かったりする。それでもあまりにもアメリカと違った世界には当然ながらアメリカにはないアイテムに溢れ、結果アクションシーン一つとってみても実にオリジナリティ溢れるシーンとなって我々を楽しませることとなる。その点においてこのニッポンは実に魅力的な舞台として効力を発揮している。[CS・衛星(字幕)] 7点(2010-07-15 14:40:58)

90.  浮草 大映というだけでこうまで変わってしまうのか。それとも宮川一夫の影響か。いや、脚本の時点でいつもの小津映画ではない。それはこの作品が大映であるからであり、大映であるからには宮川になるからということなのかもしれない。映画冒頭の灯台を映した画。それだけならいつもの風景から始まる小津映画だ。しかしその灯台を構図とアングルを変えて何カットも見せてゆくとなると話は違う。意味はわからないがそこからしていつもの小津ではなく、ゆえにそれはいつもの小津映画ではないことのノロシとしてあるのだと思う。男女が罵倒しあう様を小津独特の切り替えしで見せるとどうしてもどこかコミカルになるところを中村鴈治郎と京マチ子と激しい雨が泥沼のような感情の暴露にしてしまう。キスシーンはアップで撮っちゃうし、若尾文子は感激して大袈裟に涙を流しちゃうし、いちいちドラマドラマしている小津らしからぬ躍動ぶりに驚かされる。釣りをする親子の後姿や杉村春子の合いの手のような会話はいつもの小津調であり安心感がある。するとこの安心感を提供する世界の崩壊はまさに小津がよく描く家族崩壊なんだけど、その崩壊の担い手として大映的抑揚のドラマを持ち出したのだろうかなどと勘ぐってみたりするのもまた楽しい。[DVD(邦画)] 7点(2010-06-07 15:10:01)(笑:1票)

91.  ヤッターマン(2008) 「タイムボカン」は見てたけど「ヤッターマン」になると見たり見なかったり。なんかバカバカしくって。前者のカブトムシは明らかなメカだったけど後者のイヌは自らの判断で動き、しゃべり、おしっこまでする。メカのくせに。むちゃくちゃだ。だったら性欲だってあるだろう。興奮だってするに決まってる。映画『ヤッターマン』はTVアニメ「ヤッターマン」のバカバカしい設定を逆手にとってバカバカしさをあえて露呈させてゆく。ヤッターマンのキメのポーズを目の当たりにする少女は羨望の眼差しでその勇姿を見つめることはない。なに?この人たち、バカ?といった表情で立ちすくむのだ。元ネタへの冒涜か?いや、「ヤッターマン」自体がおふざけの悪乗りが過ぎる作品だったのでこれこそがオマージュと言ってもいいだろう。元ネタのキャラと最も離れているドロンジョだが、見て納得。映画のドロンジョは恋する乙女。処女性とセクシーボディを併せ持つドロンジョを深田恭子以外に誰が出来ようか。アホな1号。そのアホに惚れてしまったドロンジョ。そのアホに秘かな想いをたぎらせる2号。真っ直ぐなアホはもてるのだ。そこにドロンジョへの無償の愛を貫くボヤッキー。なんて素敵な恋愛映画。[DVD(邦画)] 7点(2010-04-09 15:07:27)(良:1票)

92.  ウルトラミラクルラブストーリー 《ネタバレ》 たぶん、途中からの松山ケンイチは死人なんだろうな。てか心臓止まってんだから絶対死んでる。だから首のない死人とお話できちゃうんだ。じゃあ、なんで死人がしゃべったり遊んだりできるのか。ウルトラミラクルだから。愛がもたらすウルトラミラクル。なんていう気ままな解釈は置いておくとして。なんなんだろう。この人の長回しは不思議。なんかえらいもんが映っちゃいました、みたいなのがてんこ盛り。決定的瞬間ってのとは違って、ちょっとした間合いの生々しさだったり、その間合いについ演者たちが見せてしまったなにものかであったり。訛りのせいで何しゃべってんのかよくわからなくても笑っちゃうというのも、そのシーンが映画になってることの証拠。物語の意表をつく展開に気をとられがちになっちゃうけど、あるいはいろんな深読みをさせ得る意味不明感に溢れていて困っちゃうけど、この映画の魅力はたぶんそこにはない。ただ二人が延々と歩いているシーンの中に、二人が立ち止まって会話する(会話そのものは重要でない)シーンの中にこそあるのだと思う。[映画館(邦画)] 7点(2010-03-16 18:51:31)

93.  崖の上のポニョ 真に子供向け。子供向けを謳いながら実は親が子供に見せたいと思わせるような道徳的なものだったり、たんに幼稚だったりというものでなく、真に子供向け。そこにウキウキがありドキドキがありワクワクがある。ただそれだけ。いちいちそのドキドキに意味を求めるなんてナンセンス。ドキドキはドキドキなのだ。トンネルは怖い。ただそれだけなのだ。インスタントラーメンってなぜか子供はみんな大好き。そこに意味なんて見つける意味はない。お父さんは仕事で昼間はいないので子供たちのドラマに登場しないもんだ。物語的には重要と思える母親同士の話だって子供には聞こえない。ストーリーが破綻?我が家の三歳児に物語を語らせたら最初に登場するお姫様は二度と登場しなかったりするという素晴らしい破綻ぶりを見せてくれるのだが、それに比べりゃ・・って比べるなってか。でも大人向けの映画にしたってそこで辻褄合わせやってちゃ面白くなくなっちゃう。この映画は子供向けにしたことで本来映画が持ち得る「自由」を得た。もし嘆くのであれば子供向けにしないと「自由」を得れない映画環境こそを嘆くべきだ。波の躍動感、その上を走るポニョの疾走感はアニメーションならではの醍醐味に満ちている。公開初日に映画館を地元の子ども会で貸しきって鑑賞したのだが、みんな楽しんでましたよ。一部高学年男子はガキっぽかったと言ってたけど(ガキのくせに)、まあ大人ぶりたいガキンチョどもには照れが邪魔してなかなか入ってゆけない世界ではあろう。[映画館(邦画)] 7点(2010-03-12 18:15:41)(良:2票)

94.  怪談(1964) 小泉八雲の怪談四篇。 ■「黒髪」内容もさることながら屋敷の風貌が溝口健二『雨月物語』を彷彿させるが、『雨月物語』と比べられちゃうとちときつい。しかしクライマックスのダイナミズムは迫力満点。後悔と謝意、そしてそれらを上回る恐怖が男を襲う。 ■「雪女」雪女メイクの岸恵子が怖い。空に浮かぶ目のような渦模様が幻想的。この一編に凝縮された世界観がとにかく素晴らしい。 ■「耳なし芳一」冒頭の源平合戦のくだりが長く感じたが、赤子を抱えて入水する悲劇の直接的描写が、その後に見せられる平家の霊の強さに結びつく。芳一を演じた中村賀津雄がいい。 ■「茶碗の中」怪談話とは言い難い一編。作風的にもこれだけが妙に軽い。 ■<総評>総じて話がきっちりとまとまっていて丁寧。丁寧に紡いでいるからこそ少々アバンギャルドなセットにしても古典的なるものが現れているのだろう。豪華な演者と型にはまらない演技も素晴らしく、なによりも短編それぞれを1本の映画のように妥協無く作っただろうことがひしひしと伝わってくるのがいい。[映画館(邦画)] 7点(2009-10-20 18:47:32)《改行有》

95.  女系家族 《ネタバレ》 大阪商人が使う船場言葉がなんともいやらしく、中村鴈治郎二代目と浪花千栄子の思惑とは裏腹な白黒つけない物言いが金のからんだ物語に抜群の相性を見せる。同じ大阪弁でもお嬢様育ちの三姉妹は歯に衣着せぬストレートさが強烈なインパクトを与え、田宮二郎(意外にも大阪出身)の京都の言葉が混じったようないかにもお師匠はん的優しい言い回しがまた実にエロくて実に腹黒さを感じさせてていい。屋内シーンがほとんどの中で宮川一夫の仕事も制限されたかと思いきや、屋内にも関わらず着物のきらびやかさは損なうことなく、陰影はあっても女優の顔に影は射さず、常に見やすい画面を持続させているのはやはり宮川の力か。最後は東京出身の女優がしとやかな大阪弁でもって女のしたたかさを見せつける。でも最もしたたかだったのは女系家族の中で一矢を報いた婿養子社長だったのかもしれない。天晴れ。[DVD(字幕)] 7点(2009-09-11 12:10:23)(良:1票)

96.  座頭市と用心棒 シリーズの中の一本ではあるが、独立した一本の映画として見なければいけないし、じゅうぶんにそれができる作品である。初めて「座頭市」を撮る岡本喜八だからこそ出来たのかもしれない。岡本監督の時代劇は西部劇の洗礼を受けている。というか着物と刀の西部劇だ。だから勝と三船の二大スターが共存できるのだ。二人のキャラクターが立つほどに映画が面白くなる。市の達観しているようで恐ろしく俗気があるキャラを、用心棒の豪傑でありながら茶目っ気のある泣き上戸というキャラをコメディタッチで見せながらもストーリーはシリアスというギャップがいい。もちろんアクションもしっかり見せてくれるし何よりも二人をちゃんと対決させている。見事なまでのエンターテイメントだ。[映画館(邦画)] 7点(2009-09-03 13:58:51)

97.  黒の試走車(テストカー) 「タイガー自動車」は日産に吸収される前のプリンス自動車をモデルにしているらしく、試走車のモデルは同じくイタリアのデザイナーがデザインしたスカイライン・スポーツ。というのはどうでもいいのだが、原作ありきとは言え、男たるものは仕事に生きなければならないとでも言いたげな強烈な企業戦士ぶりは『巨人と玩具』に通じるところがある。戦後の高度経済成長の中で仕事に命をかける男たちに本当に大切なものは何かを問う。思えば増村映画はほとんどここに落ち着く。「本当に大切なものは何か」に。大切なものに導くのは女である。愛に生きる女だ。ああ、いかにも増村ではないか。ベタベタに増村ではないか。増村映画の「濃さ」の原因は、この前時代的な「愛に生きる女」にある。それらを臆面もなく堂々と登場させるのが増村。イタリア帰りが成せる技か。このストレートさはたしかに邦画において異色であるが、けして異色を狙っているのではないところが良い。[DVD(吹替)] 7点(2009-08-19 16:37:43)

98.  雲ながるる果てに(1953) 《ネタバレ》 特攻隊員たちが皆人間臭い。そのぶん尊さが募る。軍国主義の世界で養われた思想を持ち、自爆攻撃を誇りにすら思う主人公でさえ、独りになれば子供のように泣く。家族に会いたい。怖い。死にたくない。そしてけして自らが特攻隊として出撃するはずのない上官たちのあまりな態度に、国家の犠牲となる個人という図式を明確にし、反戦のメッセージとしている。隊員たちがとうとう出撃して映画が終わるのではない。たいした戦果をあげられなかったことが報告される。そして上官たちの「なに、特攻隊はまだまだいるよ」という非情なセリフが放たれ、次のカットに子供たちが歌う姿が映し出される。ここは強烈。[ビデオ(邦画)] 7点(2009-08-07 13:53:59)

99.  双生児 原作からは「双子の成り代わり」というシチュエーションだけを借りただけの全くのオリジナルストーリーなんだけど、正直、原作よりも面白い。しかも乱歩小説の映画化の際にこぞって描こうとする乱歩的世界観を、いくら原作から逸脱しているとは言え、はなから作り出そうとしていないってところが素晴らしい。塚本晋也はメジャー作品であろうが、監督・脚本・撮影・編集をこなすことで思い通りの作品に仕上げてゆく。貧民窟に住む者たちのド派手な衣装もまた監督のアイディアなのだろうか。色彩豊かな衣装が良い意味での荒唐無稽さを出している。「成り代わり」から発するサスペンスを軸にしながら、復讐と愛憎のドラマは見事に純愛へと昇華する。84分か。テンポがいいなあとは思ったけど、凄い。[DVD(邦画)] 7点(2009-07-31 16:52:40)(良:1票)

100.  エクステ 《ネタバレ》 最近、ラジオのホラー映画の宣伝かなんかで誰かが「ホラー好きなので思いっきり悲鳴あげて楽しんできます」みたいなこと言ってる人がいて、ホラーが好きな人って怖くないんじゃなくて怖いのが楽しいんだってことに今さらながら納得して、で、やっぱり私はホラー映画の楽しみ方を知らないのだと再確認した。だからこの映画がホラー映画としての楽しみがあるのかどうなのかは分かりません。でもこの映画は面白いと思った。ナレーションを自虐的に利用した冒頭シーンで一発かましてくれるわけだが、ここでの栗山千明の延々と発せられる声がなかなかに心地よい。そして長い説明は彼女がごくフツウの女性であることはよく分かるが内面に抱えたものまではけして語らない。そういった部分はその後もけしてセリフに組み込まない。そのあたりが実に繊細。『紀子の食卓』に続いて園映画出演のつぐみが主人公とどうやら母親を異にする姉を演じているのだが、その部分も深く切り込んでゆかない。虐待母の過去をいちいち語らないところがいい。主人公がなぜ少女を必死に守るのか。その様はまるで母。つぐみの短いセリフに主人公は小さいときにこの鬼姉に同じようにいじめを受けていたらしいことを伺わせる。そのとき守ってくれたのは母だったのかもしれない。だから同じような仕打ちを受ける少女のために今度は自分が母になって守ってやる。なんてことを想像させてくれる許容範囲の深さはむやみに説明しつくさない映画の強みだ。で、この鬼姉(母)は当然キャラ的に犠牲となるわけだが、最期のシーンでもそのオラオラキャラ(勝手に今命名したが伝わるよね)を維持しながら死に際の言葉を吐くところは思わず笑ってしまったが素晴らしい。そしてちょいとキョーレツすぎる大杉漣(衣装のセンスの悪さがサイコー)の最期もまた爆笑ものだ。美容院にはありえないほどいろんな種類の美人がそろっっているのも嬉しい。[DVD(字幕)] 7点(2009-06-18 16:08:47)(良:1票)

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