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81. この窓は君のもの 《ネタバレ》 典型的な長回しの映画。松葉杖の彼の家の二階が気持ちの良いパノラマで、そもそも撮影技法のパンにはうってつけというわけだ。長回しのなかでアイスクリームは溶け始めるし、西瓜の種も周囲へと威勢よく吹き散らされなければならない。彼女が運転する自転車のショットすら、それに同乗するのが松葉杖の彼なので、緊張感のある長回しのスペクタクルとなる。緑蔭、青い空、白い雲、良い感じの映画だが、松葉杖から「一挙に」(これが嘘っぽい)解放されるや彼が彼女を追いかけ回すくだりは馬鹿らしい。惜しいことである。[映画館(邦画)] 6点(2011-03-19 12:36:47) 82. 浪華悲歌 《ネタバレ》 なかなか観るチャンスに恵まれなかったのが、ついに望みが叶った日は特別なものだった。照明だけでも凄い。山田五十鈴が無力な恋人と歩く薄闇の移動撮影のなかでふと顔が浮かび上がったりするのが哀しい。見終わったとき完璧だと思えた。[映画館(邦画)] 9点(2011-03-19 10:50:29) 83. エロス+虐殺 《ネタバレ》 みなさんのあまりに低い評価には驚きます。当時映画館で観たときには「乱調の美」に魅了されました。いまさらいうまでもなくDVDで観るのは映画の「内容」を正確に「知る」には適しているでしょうが、映画を「体験する」のにはほど遠いですから、ロングヴァージョンとかのDVDを私はこれからも観ることはないでしょう。[映画館(邦画)] 9点(2011-03-16 18:04:06) 84. 放浪記(1962) 《ネタバレ》 シネマスコープという条件が、例えば高峰秀子が宝田明と初めて出逢うシーンに面白く作用する。高峰が画面前景左端に大きく、宝田の方は画面後景右端に小さいサイズで位置する。にもかかわらず、「面食い」の高峰は目ざとく宝田を見出したのである。というのが、もう15年くらい前にわざわざ大阪まで行って観たこの映画の記憶である。良かった。[映画館(邦画)] 9点(2011-03-16 14:59:36) 85. 日本春歌考 《ネタバレ》 安保などをめぐる政治の季節の敗残兵世代に、60年代後半の新しい世代が対置される。当時この映画の宣伝の文脈で、荒木一郎が共演の「新感覚の」若者たちと共に「スター千一夜」でじゃれ合っていた。このインタビュー番組の「コミュニケーション」にろくに応じず、じゃれ合っていた、大人の理解をまったく超えた新しき存在として。それがなんともかっこ良かったのである。この映画が原点なのである、私の場合。ところで、大島渚の不幸な点は、この映画でも露呈したような、今やジェンダー論的に生き残れないような女性観にある。同じ松竹ヌーヴェルヴァーグでも吉田喜重とそこが違う。[映画館(邦画)] 9点(2011-03-16 09:57:54)
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