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Web www.jtnews.jp

プロフィール
コメント数 2127
性別 男性
自己紹介 2022/3/26に以下のような自己紹介文をアップしました。
ロシアのウクライナ侵攻が始まってひと月経過。
映画は観ていますが、侵略戦争のせいでレビューする気になれません。
私の映画レビューと戦争は直接関係しませんが、
楽しく文章を考える気分じゃない、ってことですね。
ロシアが撤退するか、プーチンがいなくなったら再開します。


そして、
侵略戦争が膠着状態に入り、
いつ終わるか識者にも判断できない状況になりました。
まぁ正直、痺れを切らしたので、レビューを再開します。
ウクライナ、頑張れ!

2024年3月17日更新

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101.  永遠の0 《ネタバレ》 三浦春馬がゼロを幻視するシーンにホロっと来ました。原作には大いに感銘を受けたクチだけど涙腺が緩むことは無かったので、映画版を観た意義はありました。 終戦から間もなく70年。劇中でも語られるように、当時を体験した人はどんどん減りやがては居なくなります。今は節目の時節なのだと思います。戦争体験者から昔話を聞いても、現代に生きる、特に若者の生活や考え方が劇的に変わるとは思いません。状況が違い過ぎるからです。でも、「知っている」ことはとても大切だと思っています。それによって判断の基準や物差しが生まれると思うから。本作はフィクションですが、戦争に関わった人たちすべてに物語があったという台詞には説得力を覚えました。 そういう意味で、世代を繋ぐことをテーマにしていたと思える原作の根幹は伝わって来ました。多くの方がご指摘の通りオーバーアクションが鼻に付きますが、私には瑣末でした。 原作読後は、真珠湾・ミッドウェーから南方戦線を経て沖縄へ至る太平洋戦争の前線が初めて一本の線で繋がったように感じられました。私にはそれも意義深かったのですが、さすがに2時間余の映画には望めなかったです。[映画館(邦画)] 7点(2013-12-28 13:37:15)(良:1票) 《改行有》

102.  かぐや姫の物語 《ネタバレ》 手描きの絵による動画の風情を出し尽くすことを目標としたような映像。鑑賞中より、後からジワジワと効いてくるような味わいがありました。「おとぎ話」の世界を崩さず、それでいてモダンな表現で、とても見応えがありました。 私が知るかぐや姫は、求婚者の失敗を高所から見下ろしつつ老夫婦との別れに涙する不可解な人物でした。絵巻物の平安美人のように表情の無い人です。そこにスッキリした解釈とプロフィールを与えて貰ったというのが率直な印象です。本作の彼女は珍宝に目を輝かせ、甘言の求愛に動揺し、訃報に心を痛めます。それらの表現は細やかでしたが、敢えて言うと常識的な反応だと思います。彼女の内面は「普通の人」なのです。そんな彼女の感情が最も解放されるのが野山を駆け巡っているとき。それは彼女の唯一の自由で、私には自然への讃歌と云うよりも籠の鳥が得た束の間の大空だったと感じられました。 幸せの探究とは極めてパーソナルな価値観の具現であり、特別な存在になるほど周囲との摩擦も増えて達成が難しくなります。彼女は老翁が用意した高貴な姫様コースには反抗したけれど、月世界の頭目には逆らえなかった。地上での記憶を失くすことは「タケノコ」&「かぐや姫」の死と同義で、彼女の自由や幸せ求める闘いは敗北したと記憶されるべきなのでしょう。 親が考える子の幸せと本人が望む幸せのギャップは世代や時代を越えた普遍性を持つのかもしれません。そのギャップをかぐや姫側の視点から描いたという意味で、「竹取(の翁媼の)物語」ではなく「かぐや姫の物語」でした。個人的には月世界の住人も振り切って望む未来を手にして欲しかったのですが、さすがにそれでは違う物語になってしまいます。でも、そう思えたこと自体がテーマだったのかなと云う感想です。 ちなみに、都の邸宅でかぐや姫の付き人をやっているマンガみたいな顔付きの女の子の表情が楽しくて、登場カットごとに心躍りました。[映画館(邦画)] 7点(2013-12-12 01:29:25)(良:1票) 《改行有》

103.  ベルセルク 黄金時代篇III 降臨 《ネタバレ》 あのシーン。性悪ゴッドハンド姉ちゃんが口にします。「愛、憎悪、苦痛、快楽、生死、すべてがある」。まことにその通りで、ファンタジー系のマンガであそこまで行っちゃったシーンは他に記憶が無く、そんな作品だから映像化による些細なイメージのギャップでさえマイナスポイントになってしまうのでしょう。 エンディングで「これは始まりにすぎない」とご丁寧にテロップが出ます。その通りですが、原作者に対するエールと解釈します。自分の心臓が動いているうちに、この物語の結末を拝みたい。本作を観て、改めてそんなことを思いました。[CS・衛星(邦画)] 5点(2013-12-09 04:01:28)《改行有》

104.  ふがいない僕は空を見た 《ネタバレ》 原作と同様に整理しにくい作品でした。その意味で「映画化」のレベルは悪くないと思いました。 助産婦の助手(元レディース姉ちゃん)が良かったです。態度がハッキリしているからです。乱暴に吐き出す正論が分かり易く心地良い。でも、本作のテーマは分かりにくさにあると思います。登場人物たちの不遇を連ねて世の中の生きにくい側面をあぶり出しますが、スッキリとした解決を与えません。まことに映画らしくないんだけど、現実の世の中ってこんなものだと思います。助手の姉ちゃんのような人は少数派なのです。ただ無為に時間を重ねて痛みの風化を待つこともあれば、身近にいる人の存在が助けになることもある。それらは能動的にアクションしても解決できない問題に対して示される仄かな希望の芽です。マジに辛い時は藁にも縋る想いでそんなきっかけを捜すのだと思いますが、それが本当に希望になるかどうかは本人次第です。地味でデリケートなヒントを与えてくれるような作品という印象でした。 ちなみに、原作のアンズは子なしの有閑主婦・おデブ・やや知能未発達・コスプレ狂いと云う設定で、高校生のタクミ君がヤッちゃったのは純粋に「下半身の動機」だけでした。そのアンズに田畑智子をキャスティグした時点で「おデブ」が無くなり、脚本段階で「知能未発達」も消えたようです。おかげで、後に本当にアンズが好きになるタクミ君の変移の意味性が希薄になったように感じられました。タクミ君がアンズに魅かれた理由が興味深かったもので、原作を読んだ者の愚痴として記しておきます。 もうひとつ。この監督にはオリジナル脚本で映画を創って欲しいです。[CS・衛星(邦画)] 6点(2013-12-09 03:40:44)(良:1票) 《改行有》

105.  るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚- 維新志士への鎮魂歌 《ネタバレ》 原作には癖のある美人女医以外は登場しなかった会津藩出身者をフィーチャーして作ったストーリーでした。今年のNHK大河で会津藩の不遇を改めて見せられたこともあって興味が湧きましたが、描写自体はとても浅いです。単純に薩長を中心とした明治政府への復讐という割り切りでもあれば良かったのですが、中途半端に政策に難癖をつけるあたりがお子様向けという印象でした。 個人的に「るろうに剣心」の面白さは「幕末の引きずり感」にあると思っています。原作でそれが最も活きるエピソードは新撰組出身の斉藤との絡みですが、本作の会津出身者には斉藤的な引きずりが感じられません。結果として、ちょっと訳アリのテロリストを平和を愛する主人公たちが鎮圧する見え方になります。それは原作で何度もやったことの繰り返しなので、「るろうに剣心」として新しいことがひとつもありません。そもそも、敵ボスキャラを人格者にして、明治政府側に黒幕的な悪役を入れるプロットのありきたりに落胆します。[CS・衛星(邦画)] 3点(2013-11-22 03:56:59)《改行有》

106.  その男、凶暴につき 初めてこの映画を観た時は衝撃的でした。ストーリーは特筆するほどでもない刑事ドラマ。でも、伝わって来る違和感がハンパじゃない。一種キューブリックを彷彿させるような乾いたの映像だけど、膨大な予算と時間が注がれるアチラに対して、たいして予算も使っていない映像から強烈に発散される個性に驚いた。 今回、その個性の根源を見極めたいと思って気付いたことがふたつ。役者に表情が無い。そして、人物の背景を描写しない。本作の「説明的」な部分は、主人公の妹に知的障害があることくらいだろう。フツーの映画にはある情報が極端に少ないのです。だから、登場人物が何を考えているのか分からない。微笑を浮かべていても、その意図が不明で身構えてしまいます。それでいて、アクションと云うか、暴力はかなり思い切っている。感情を排して展開される暴力描写にはリミッターが外されているような怖さがあります。結果として、ものすごく不安定な心境を抱えて映画を観ることになります。次の瞬間、何が起こるか分からない緊張感がある訳です。 本作は、それまでの常識的な映画のコード、と云うより「邦画のコード」の破壊だったと思います。主人公の個性を描き、周辺環境を描き、置かれた状況を描く。そこから発生する摩擦でストーリーが展開し、主人公のブレイクスルーで物語が完結し、感動が訪れる。それがオーソドックスな「邦画のコード」です。好きな人もいるけど、比較的サラッと流れる洋画と比較して敬遠する人も多い。じゃあ俺が、そんな「邦画的」な湿気を削ぎ落とした映画を作ってやるよ、と言ったかどうかは知りませんが、いかにもこの監督の天邪鬼的性向が発揮された作品だったとおもいます。 実はその後の北野作品を観るにつけ、その傾向が最も際立っていたのがこのデビュー作だったと思っています。[CS・衛星(邦画)] 8点(2013-11-22 02:33:47)(良:3票) 《改行有》

107.  壬生義士伝 《ネタバレ》 冒頭、斉藤が新入隊士である吉村に出会った直後に「こいつを斬ろうと思った」と独白し、実際に仕掛けます。期待感が高まりました。新撰組のクレイジーな面を見せて貰えると思ったのです。でも、そこが最高潮でした。ずいぶんと前に読んだ原作には感銘を受けた記憶があるのですが、映画版は「いかにも邦画」的な湿っぽい美談がしつこくて食傷でした。南部武士が我慢強いのは分かるけど、その切腹シーンをあそこまで我慢強く間延びさせては、さすがに辟易とします。 新撰組の精神は勤皇佐幕ですが、吉村に政治色は希薄です。ひたすら故郷の家族を想い、脱藩した南部藩への忠義を忘れていない印象でした。ところが、出稼ぎの傭兵と割り切って新撰組に入隊したはずなのに、戊辰戦争では仕えた組織への義を貫いたという描き方です。どうも、価値観があちらこちらに揺れている印象です。本作のテーマは吉村貫一郎の価値観と行動に対する責任の取り方だと思いますが、本作を見る限りはバランスが悪く感じられ、うまく消化しているとは言い難いという意見です。[CS・衛星(邦画)] 4点(2013-11-18 02:21:22)《改行有》

108.  ぱいかじ南海作戦 《ネタバレ》 都会での仕事と生活から離れ、南の島の豊かな自然の中で暮らす。都市生活者なら誰もが一度は夢想するのではないだろうか。そして、観光で実際に島を訪れると海の美しさに感化され、その向こう側に透けて見える都会の環境や暮らしとのギャップにタメイキが出て、ちょっとだけマジに考えてみたりもする。たぶんここまでが普通の流れ。でも、なかなかその先へは進めません。仕事、家族、友人、等々。クリアすべきハードルはたくさんあります。 本作の主人公の島暮らしは、トラブルがあって強制的に始まりました。なんとか生き残ってましたけど、そこはフィクション。常識的には、あんな遭難者のような生活が出来る訳がないと思う。美女がそこに加わるなんて夢のまた夢でしょう。ラストシーン、主人公が曖昧な目的のまま再び海へ乗り出すところで映画は終わります。なんともいい加減な終わり方なんだけど、実はそのあたりがホントのテーマなのかなと思いました。アクションを躊躇する人の背中を押すほどの説得力はないんですけど、思い切らない限りは生活を切り替えることは出来ませんから。全体を通したバカっぽい見え方は「私は責任とれません」と云う原作者のエクスキューズのような気もします。原作未読ですけど(笑)。 以下、余談。自分のことで恐縮ですが、1年半ほど前に東京から沖縄へ移住しました。広告業界で働いていたことも本作の主人公と被り、CMロケの描写には苦笑しました(中途半端にリアルです)。つい先日訪れた西表島では劇中の大富共同組合売店で何度も買い物をしたので、とても身近な映画でした。自分は臆病なので移住前は色々と机上で計算をしましたけど、最後はやっぱり「思い切って」でした。[CS・衛星(邦画)] 5点(2013-11-18 01:31:44)(良:1票) 《改行有》

109.  コミック雑誌なんかいらない! 《ネタバレ》 ロス疑惑、聖輝の結婚、山口組VS一和会抗争、日航機墜落、豊田商事事件、等々。製作当時、マスコミを賑わせた事件をなぞって行く構成。全て自分が学生だった頃の出来事で、懐かしかったです。ジャーナリスト志望だった芸能レポーターを内田裕也が演じます。芸能レポーターの活動とジャーナリズムの落差に対して彼の考えが示されていて、私はとても共感しました。すでに製作から30年弱。観ていなかったことを後悔しました。 豊田商事事件の報道は良く覚えています。渦中の男を殺しにやって来た自称右翼の暴挙を、大量の取材陣が何もせずに傍観しました。「殺人」が行われているマンションに飛び込んだ内田の行動は現実に照らすとフィクションですが、ここに彼の想いが最も強く顕れています。被写体と距離を置き、ただ興味本位でカメラを向けることがジャーナリズムなのかと云う問いかけと批判です。 エンドロール後、黒い画面を背景に流れる歌が妙なタイトルの種明かしをしてくれました。失礼ながら、内田裕也氏はとても健全な方なのだと、改めて思った次第です。 以下、余談。メディアを通して時事問題を語ることが「ジャーナリズム」です。取材対象が何ら社会性を持たなくてもジャーナリストよろしく「知る権利」を主張して芸能人のゴシップを追いかける人たちがいました。芸能レポーターという人種です。今もいるのかな? 芸能人のプライベートが暴露されることに同情する気はこれっぽっちも無いのですが、視聴率を稼ぐ方向性を「低俗較べ」と割り切っていたTV局の姿勢に、何故か無性に腹を立てていました。現在の報道はネット環境の登場で大きく変わりました。個人の意見が凄いスピード感で飛び交い、芸能人が恥ずかしいことも含めて自ら情報発信する時代。マンガのように演出された芸能レポート番組は意味を失いました。類似は生き残っていますけど、あからさまに馬鹿なことも言えなくなったようで、昔に比べると少しはマシになったと思っています。[CS・衛星(邦画)] 8点(2013-11-15 00:41:07)《改行有》

110.  清須会議 《ネタバレ》 三谷的言葉遊びコメディは抑え目で、真っ当な歴史作品だったと思います。歴史には詳しくないけど、信長亡き後、柴田勝家と羽柴秀吉が対立したことくらいは知っています。その認識を肉付けしてもらった感じです。 秀吉の人物像は至るところで表現されているので特に新しい部分は無かったけど、秀吉と対照的に描かれる柴田勝家が面白かったです。歴史的には典型的な戦国武将で、戦場でこそ器量が生きる人。だから、本作のような会議工作は大の苦手。でも、周囲から「おやじ様」と慕われる人柄が表現されています。秀吉が主人公の物語では、織田家の古参として成り上がりの秀吉を目の仇にする設定が多いけど、嫌いになれない人物像が新鮮でした。池田恒興を新潟の米やカニで買収しようとする朴訥さに脚本的な創意が見られます。 その勝家をフォローする丹羽長秀も秀吉とは違うタイプの事務屋として描かれていて、ここでも勝家との対照が描かれます。生真面目な長秀と鷹揚な勝家の落差のある遣り取りがとても可笑しい。役所広司と小日向文世のキャストがピタッと嵌っていましたね。個人的には、秀吉や長秀との絡みを通して勝家を楽しむ作品でした。[映画館(邦画)] 6点(2013-11-11 21:10:34)(良:1票) 《改行有》

111.  今日、恋をはじめます 《ネタバレ》 別に悪い作品ではないんだけど、中年オヤジには観るべきところがほとんどありません。じゃあ、見るなよって話なんですけど。この監督の作品は酷いのが多いけど、本作は無難にまとめ過ぎていて、やはりかなりツマラナイです。じゃあ、見るなよって話なんですけど。私も子供の頃からの天文ファンですが、残念ながらナンパに使ったことはありませんです。[CS・衛星(邦画)] 3点(2013-11-11 00:45:23)

112.  夢売るふたり 《ネタバレ》 言葉にしにくい感情を表現しているという意味で、ケータイ小説や少女マンガとは別次元の恋愛ものでした。なんか、トリュフォーの映画でも観ている感じで、色んな感情が渦巻いて見応えありました。 中盤で亭主が妻に対して「(俺の)浮気と、生活に余裕のある女たちへの復讐だろう」と指摘します。私もその通りだと思いました。妻も自覚していたはずです。でも、妻は徐々に心の均衡を失って行きます。亭主がカモである独身女性たちに同情的だからです。その同情に対して、妻は嫉妬しているのでした。ここ、すごく微妙な感情の起伏が演出されます。自分がやらせている行為なので、妻は亭主に止めろと言えません。まして、彼女たちに同情するなとは言えません。人柄は鎖に繋げないからです。亭主が金儲けに体を使っている間、自分で慰める妻。生理用ショーツは、受精せずに流されて行く子供の暗喩でしょうか。強靭に見えて、実は脆くてデリケートな妻の心情です。 対する亭主も繊細なんだけど、そんな妻の心情を100%は解せない。これがマンガやドラマなら(笑)、ハッとして妻の内面に気付くシーンが用意されるけど、本作は最後まで転げ落ちます。そこまで追い詰めて、何が見えてくるかを追いかけた作品でした。確かに詐欺は「夢を売る」と形容できると思います。本作の結婚詐欺もそのひとつだけど、この夫婦は結果として自分たちの夢まで売ってしまった。だから、タイトルは半分皮肉です。 本作から何らかのメッセージを得るのは難しかったです。敢えて言葉にすると、男女のデリケートは質が違うってことでしょうか。男のデリケートは外に向かって発揮され、女のデリケートは内に籠って行く。思い切って言うなら、女の方が残酷で怖い。そんな印象です。そして、「ゆれる」と同様に、エンディングの解釈を鑑賞側へ投げてくれます。妻の顔は「もう、放っておいて」と言ってます。あのシチュエーションの相手は亭主以外には考えられない。出所した亭主をにこやかに迎える気になれないのです。自分の心情を汲んでくれなかった恨みが尾を引いているのでしょう。夫婦は共有していた夢を売り尽くした状態から、再スタートが切れるのか? それが監督からの問いかけのような気もします。妻の不機嫌はツンデレの一種、と私は考えたいです。[CS・衛星(邦画)] 7点(2013-11-10 21:26:34)(良:2票) 《改行有》

113.  ALWAYS 三丁目の夕日‘64 《ネタバレ》 あざとい脚本が鼻に付くシリーズです。本作でも、淳之介を追い出すところとか、婚約者の素性の勘違いとか、とてもワザとらしい。でも、それらを補う描写があちこちにあって、悪口を言う気が失せます(笑)。 今のテレビは量販店で買って持ち帰り、壁の端子にコードを繋いだら見られるけれど、昔は買った日から一週間以上経ってから電気屋さんが運んで来て、屋根に上ってアンテナ工事をして初めて見られる代物でした。そのテレビに映像が映った時の興奮は、家電製品がひとつ増えただけでは無く、生活の向上や社会の成長が実感できる証拠のようなものだったと思います。私は40年ほど前の我家にカラーテレビがやって来た日をまざまざと思い出しました。 5年前に製作された前作から、劇中でも同様に5年の歳月が流れていることも上手く活かしていました。子供たちが育ち、青森から集団就職で上京した堀北真希が嫁に行く。演技者の成長と劇中の成長を重ねられる作品は、最近では「ハリーポッター」くらいだろうか。「1」のレビューに「堀北真希が一皮むけた感じ」なんて書いたのだけど、若手を代表する女優になりました。今後も大きく期待できることが嬉しかったりする。[CS・衛星(邦画)] 6点(2013-11-07 01:16:01)(良:1票) 《改行有》

114.  ISOLA 多重人格少女 《ネタバレ》 木村佳乃がお節介をやく動機の描写が希薄なために、物語が上手く転がって行かない。なんとなく変な事件が起こり、不可解なまま解決し、観ている側は置いて行かれる。そんな感じです。 過去に読んだ原作はもう少し納得しながら読み終わった印象があるのだけど、コチラはとってもお粗末でした。貴志祐介の小説は個人的に大好きで、その理由はサスペンスの展開のさせ方が理詰めで、とんでもない内容でも文章には説得力を持たせているからです。でも、映画化された作品は残念な出来映えが多い。大味な出来事ばかりがなぞられて、著者の良いところが活かされていないからで、本作もその類い。まぁ、貴志祐介の作品に限ったことでは無いんですが…。[CS・衛星(邦画)] 2点(2013-11-07 00:12:49)《改行有》

115.  蛇イチゴ 《ネタバレ》 リストラされたことを家族に告げられない親父が、小学校教師の娘を「お前は世間知らずだ」と言う。確かに娘は世間知らず、というか、小学校の先生ってホントに世間知らずが多いと思っています。偏見ですけど。でも、本作の嘘つき生徒事件の対応などを見るに、この監督も同意見のようです。確たる証拠もないのに判決を下し、それらしい教訓まで垂れて自己満足です。いますよね、ああいう先生。 娘に劣らず世間知らずなのが親父です。親父は元エンジニア。親父の場合は、世間知らずと云うよりも、変化に対する対応力の欠如です。確かに、何があっても世の中を渡って行く力があるのは兄貴だけでした。 本作から感じたのは、安定的に見えるサラリーマン家庭も、ひとつ歯車が狂うだけで簡単にバランスを崩し瓦解しかねないこと。社会システムへの同調をゴールとし、そこに安住していた結果です。そして、日本の家庭のほとんどはこのタイプ。なんだか、社会の構造がとても不安定なものに思えて来ます。あの親父が終身雇用志向の最後の世代って気もしますけど、自分の親が無事に定年まで働けたことに改めて安堵した次第。 娘は生真面目なだけに、ババ抜きのババを引き続けるタイプです。オトコ選びでもそうでした。もうババは引きたくないとの思いで兄貴を官憲に売ったら、その兄貴にも真実があったというブラックな顛末。自分のパンツで商売をされたんだから気持ちは分かりますけど、彼女の正誤の判断はやはりどこかチグハグです。なんだか、今後も間違った判断を続けそうで気の毒でした。味わい深い作品です。[CS・衛星(邦画)] 6点(2013-11-06 02:40:39)(良:2票) 《改行有》

116.  クレヨンしんちゃん 伝説を呼ぶブリブリ3分ポッキリ大進撃 《ネタバレ》 異空間から転送されてくる怪獣。「パシフィック・リム」はこれをパクッたのか、なんて思ってワクワクしたんですが、そこからの展開が漫然としていました。特に中盤、ただ怪獣をやっつけるだけの展開にアクビが出ました。家が汚くなっても怪獣退治を「楽しむ」両親に、これはパチンコに執心して子供を駐車場の自動車に放置する親の話なのかと思ったけど、それは深読みでした。正義とは何か、みたいな命題を冒頭に掲げた割には、そこに着地した感がありません。世間に名を残さない3分間の献身の意義などはもっと突っ込んで良かったと思うんですけど、消化していません。最後は3分ルールも無視してました。ギャグにメッセージを込めるこのシリーズらしいキレが感じられなかったです。 野原家の朝の情景は面白かったです。日常のルーチンを客観的な視線で見たら、かなり楽しめるのだと思います。[CS・衛星(邦画)] 3点(2013-11-04 02:02:37)《改行有》

117.  ONE PIECE THE MOVIE エピソードオブチョッパー+冬に咲く、奇跡の桜 《ネタバレ》 原作のエピソードをアレンジした作品でした。連載時には仲間になっていないロビンとフランキーがいたりするので、その辺りにもっと捻りがあるのかとも思ったのですが、基本的には原作通り。何作か観た「ワンピース」の映画版は残念な作品ばかりだったのであまり期待していなかったけど、これは悪くない方でした。良いとも言い切れないレベルですけど、それは作画や演出の問題でしょう。その過去に見た映画版「ワンピース」数作との比較になるのですが、極論すると「ワンピース」とは仲間と出会う(あるいは、別れる)お話なのだと思いました。常に面白いネタを提供する原作が一段と盛り上がるのは常に仲間の加盟や去就を描く時です。本作を観て、仲間の出入りの無い他の映画版がつまらない理由を改めて理解した次第です。念のために言っておきますが、私は「ワンピース」の大ファンです。[CS・衛星(邦画)] 5点(2013-11-04 01:21:12)

118.  ジャコ萬と鉄(1964) 《ネタバレ》 面白かったです。重厚に収まっている高倉健を見慣れた目に、溌剌と軽口を叩く彼がとても新鮮に映ります。その高倉健とは対照的に重々しい丹波哲郎。二人がタイプの違う存在感をぶつけ合い、上手く昇華されている感じです。高倉健は南方から復員した元兵隊さんで、従軍時代に覚えたと言って披露する「土人の踊り」がケッサクです。きっとご本人は踊りたくなかったでしょう。[CS・衛星(邦画)] 6点(2013-10-31 21:47:06)

119.  ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない 《ネタバレ》 これがブラック会社って奴かぁ、と興味深く見させて貰いましたけど、実はそれほど酷いと思わなかったです。公務員じゃあるまいし、徹夜するたびに騒ぐなよって印象でした。不具合の最大の要因はろくに仕事をしないリーダーの存在ですが、それはブラック会社に限らずのことで、どこの職場でも「ダメな上司」「嫌な上司」がいるだけで同様の風景が展開すると思います。 本作はブラック会社で働く主人公の内面に潜って行きます。舞台をブラック会社にしたことは、その実態を暴くというより、中学時代から続くイジメ環境をなぞる意味が最も強かったと思う。最後も、ブラック云々では無く、元ニートが少し社会人らしくなるところへ落とします。サラリーマン1年目の心得映画ですが、当たり前以上のことは言ってなくて、口当たりは悪くないけど少し物足りなかったです。 企業は人材で成立すると思っています。それを使い捨てにする企業があるなら、ロクなもんじゃ無いのは確か。アベノミクスに乗って日本経済が元気になれれば、そんな会社は自然と淘汰されるんじゃなかろうか。[CS・衛星(邦画)] 4点(2013-10-22 01:13:02)(良:1票) 《改行有》

120.  たまたま 《ネタバレ》 蒼井優が異国をブラブラする短編。彼女の目的が良く分からない。テーマらしきことがモノローグで語られるが特に共感しなかった。と云うか、数日前の鑑賞だが、すでに何を言っていたか忘れた。蒼井優は何かを演じていてこその蒼井優だと思う。役を演じていない蒼井優はツマラナイ。[CS・衛星(邦画)] 2点(2013-10-17 01:45:03)

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