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プロフィール
コメント数 418
性別 男性
自己紹介 1959年生まれの48歳。
神戸市近郊に在住の、映画をこよなく愛する
市井の人であります。
ま、コツコツとレビューしようと思ってます。

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【製作国 : 日本 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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1.  ALWAYS 三丁目の夕日 オープニング、子供達がゴム動力の模型飛行機を飛ばすシーンなんか思い出しては胸が熱くなった。(私も子供の頃、友達とよく原っぱで飛ばしたものです) 集団就職で上野駅に到着するまでのくだりなんかはなかなかの出来で、ジーンと目頭が熱くなった。CGによるバーチャルな世界と俳優達が上手く溶け込んでおり、本作の売りともいえる昭和30年代へのタイムスリップ感が十分に味わえた。このように、観客の期待を裏切ることなく丁寧に描かれているところに好感が持てます。物語はといえば、昔懐かしの人情喜劇。鉄火肌だが働き者の鈴木オート。ぐうたらだがお人好しの茶川竜之介。この対照的な気質の持ち主である二人の日常生活を並行させる展開もオモシロイ。場内が感涙のるつぼと化すラストの愛情劇は少々くどい気もしなくはないが、まっこの辺り大目に見ることに致しましょう。日本映画だって製作サイドがその気になれば、客の呼べる良質な作品が作れます。本作はそのお手本みたいなものでしょう。そんなノスタルジック充分な本作に、ちょっと甘いが9点を付けさせていただきます。[映画館(邦画)] 9点(2007-02-17 00:25:38)

2.  東京原発 東京のど真ん中に原発を誘致するという切り口はオモシロイ。が、しかし都知事を演じるのが役所広司だとマッドな都知事であろうはずがなく、案の定という感じで進んでいく。これは明らかに現都知事石原氏を讃える意図が見え見えで、作り手の体制になびく姿勢がイヤラシイ。それではサスペンス部分はどうかというと、演出が弱々しくしかもコメディ調も手伝い緊張感に欠けます。いうまでもなく、原発反対派の教授一人が都合の良い不要論を気持ち良く一方的に述べるだけでは見ていて説得力がありません。反対派に推進派、双方の専門家達が素人目にもわかるようお互い意見を述べ合いぶつけ合い、白熱する激論のシーンがあってこそ盛り上がりなお且つ考えさせられ、作品に説得性を持たせるのではないだろうか。つくづく思うわけですが、日本国内に数多くの原子力発電所が存在するという戦慄すべく事実。実は極めて重大かつ身近な問題であり、放射能漏れによる大惨事が今日明日にでも起こってもおかしくはありません。ま、本作で評価出来るのは「太陽を盗んだ男」(この映画はスリリングで、しかも面白く作られておりお薦めの1本です)以来、邦画でひさびさに原発という一筋縄ではいかない難題を取り上げたことぐらいですかね。ん、でアンタはどっち派だって? もちろん反対派です。[DVD(邦画)] 4点(2006-12-26 00:06:50)

3.  血槍富士 「私は酒で◯◯を棒に振りました。この世に酒というものさえなければ・・・」 私のまわりにも現にいました、こういう人。シラフならホントにいい人なんだが、いったん酒が入ると別人のように人が変わった。それはさておき本作は、庶民の観点から描いた時代劇として完璧といってよいほど良く出来ています。冒頭早々より主要登場人物をカメラでゆったりと捉える。袖振り合うも他生の縁、みなさん渡し船にこじんまりと収まる。そしてこれらの登場人物が、物語が進むにつれすべてつながってゆく。作品そのものはちょっとユーモラスな作風で、富士を背景に描かれるは天下太平の世。さしずめ人情味溢れる和風ロードムービーと言ったところか。監督はあの邦画史上に燦然と輝く人間ドラマの傑作「飢餓海峡」を世に出した内田吐夢。縁日や旅籠の味わい深い雰囲気描写、多彩な人間模様の数々、庶民に向ける温かい眼差しなどなど、巨匠の名にふさわしく人の描き様が感心するほど上手い。しかも、中国抑留をはさむ10年余の空白を全く感じさせることはない。個人的にはやはり、月形龍之介演じる藤三郎の話が意外性も手伝い大きく胸を打ちましたね。ラストに用意された、青天のへきれきさながらの斬り合いのシーンも迫力充分。あの息づかいといい、見ているこちらまで仇討に参加しているみたいだ。そしてエンディングシーン、骨箱を抱えてトボトボと去ってゆく権八(片岡千恵蔵)の姿がなんともダサカッコイイのだ。まさに異色のヒーローが絵になる時代劇の傑作。[ビデオ(字幕)] 9点(2006-02-12 00:04:09)

4.  マークスの山 オープニングの雪山のシーンから、タイトルが表示されるまでの一連のシークエンスは秀逸。高村薫の同名小説の映画化なんだが、これが一回見ただけではどうにもわかりづらい。(原作は未読) おそらく小説では登場人物も多種多様で、著者の思想もかなり盛り込まれているものと思われる。冒頭の組員殺害のくだりは良いとして、途中皇民憂国の会なる者が刑事を刺したり、さてまた組員の発砲を絡めたりでこれらが話しをややこしくする。本作では重要であるはずの、内ゲバ時代における人間模様が浮き彫りにされておらず、警察内部のゴタゴタとか本筋とは関係のないところを描き過ぎている。映画は小説とは鑑賞スタイルが違い、劇場で一回見て観客が満足するかどうかで決まる。しかも2時間前後という枠組の中で、必要でないものをいかに削り落としまとめ上げるか。そのために脚本というものがあるわけだから。それと、はねっ返り刑事役の中井貴一はミスキャストでしょう。この人、生真面目なエリート役が似合い最後まで違和感がつきまとった。サスペンスの題材としては申し分なく、しかも独特のもの悲しさを放っていただけにもったいない作品です。[映画館(字幕)] 5点(2005-11-20 23:46:31)

5.  北京原人 Who are you? つまらない映画というものはレビューする気など起こりません。が、本作は違った。これぞっ迷作って感じの映画です。東映の岡田社長が、東映はじまって以来の愚作と言ったのもうなずけます。緒形直人がいきなりフランスパンを原人に差し出すかと思えば、片岡礼子が突然裸体を披露。何やら原人が片岡礼子をテゴメにするシーンもあったぞ。その時の丹波哲郎の台詞がまたスゴイ。「科学者なら身体を張って原人の子を産め」って丹波さん…。何だかもう酔っぱらって一晩で一気にぶっ書いたかのようなシナリオに、呆気に取られるシーンの連続。それにしても舞台と設定が目まぐるしく変る。このような日本映画に出くわすたびに思うんですが、日本にもぜひゴールデンラズベリー賞みたいなものが欲しいですね。邦画界にもそれぐらいのユーモア精神があっても良いと思いますよ。(もっとも、週刊文春より「文春きいちご賞」なるものが本年より作られたみたいですが) 突っ込みどころ満載なので発想を切り替え、さぁ~突っ込むぞと一風変わったモノが好きな方にはある意味おすすめです。(責任はもてませんが)[ビデオ(字幕)] 4点(2005-11-03 23:52:47)(良:3票)

6.  突入せよ!「あさま山荘」事件 あの有名な、連合赤軍による人質立てこもり事件から30年も経ち何で今さらこの時期に、という感じもしなくはない。このように経過と結末がわかっている歴史的事件が題材だけに、どのような手法でもって観客を引き付けられるかが勝負でしょう。緊張感のあるドキュメンタリータッチの作品と思いきや、何とも苦笑を誘うコメディ風の演出。これは監督原田眞人の作風であり持ち味なのだろうか。それにしても、お役所仕事を絵に描いたような当時の長野県警のお偉いさんたち。実際のところ、こんな緊張感の欠ける職務ぶりだったのかは、いささか疑問に残らなくはないが。と言いつつも、当時の事を思い出しながら最後まで飽きずには見させてくれた。[ビデオ(字幕)] 7点(2005-10-23 23:10:00)

7.  羅生門(1950) 《ネタバレ》 死人に口なし。人間というものは自分に有利で都合のよい供述をする。死人も死人でこれまた同じで、しかも恥を嫌う侍なのでなおさらだ。(巫女を通してだが) ラストに赤ん坊を登場させるわけだが、これは芥川龍之介の原作にはない。賛否両論分かれるところだが、救いを持たせるラストともいえ溜飲が下がったのは事実。この辺り、やはり黒澤監督らしい締めくくり方だ。登場人物はわずかに8人。(赤ん坊除く) 京マチ子の妖艶な演技を初め、各人各様の存在感のある演技が作品そのものを引き締めている。生々しい斬り合いのシーンは当時としては斬新であったろうし、霊媒師の異様なシーンもこの不可解な心理劇に独特の味付けをしている。また宮川一夫のカメラワークと映像も見応え充分で、セット美術も申し分ない。鬼が宿るという羅生門の不気味な雰囲気描写、神秘的な森や木の葉を映し出すシーンなど印象的なカットは数多い。人間の心の奥底に潜む業という、洋の東西を超えた普遍的かつ永遠的ともいえるテーマ性。芥川龍之介の世界観とまた一味違った独自のものを構築しており、監督黒澤明を筆頭に三船敏郎、京マチ子、そして宮川一夫の名を世界に知らしめた傑作。[ビデオ(字幕)] 10点(2005-08-30 23:34:53)(良:1票)

8.  ひかりごけ 《ネタバレ》 この映画は三國連太郎に尽きます。同僚の死肉をモグモグと、何事もないかのように食べる時の顔の表情がインパクト大。やはりこの人、名優中の名優だが怪演もホントに良く似合う。しかも演技だけではなく口から発する方言も素晴らしく、独特の味を醸し出している。第二次世界大戦中、4人を乗せた輸送船が冬の北海道の羅臼沖で消息を断ち、船長だけが生き延び無事生還したという実話を基にした作品。原作は武田泰淳の同名小説で、監督は熊井啓。洞窟に避難するものの、辺り一面氷雪に覆われ身動きがとれない。しかも食べ物が何もない。一人また一人と餓死するわけだが、生き残った者がその死肉を食って生き延びる。何というこの世の不条理。船長(三國連太郎)が繰り返し口にする「なんともってねぇ」「がまんしているんです」…これらの台詞、様々な意味に受け取れ妙に説得力を持つ。実話もさることながら、やはり戦時下という狂気に満ちた時代だからこそオゾマシさが倍増するのであろう。本作は90年代の邦画を代表する、優れた群像劇のひとつと言ってよいと思います。[ビデオ(字幕)] 8点(2005-08-30 23:22:23)

9.  日本誕生 ラストに尽きる! 平和な大和の国を願う日本武尊(ヤマトタケル)の怒りが爆発する、ラストのクライマックスは圧巻の一語。日本特撮の父、円谷英二の節目を飾る集大成と言ってもよく、伊福部昭の荘厳なレクイエムを背景に特撮の幻想的シーンが存分に堪能出来る。このラストシーンを拝見出来ただけでも大満足で、評価は大きく跳ね上がりましたね。なんでも東宝映画1000本を記念して作られた、東宝スター総出演のスペクタクル大作。正月番組の隠し芸大会さながらのルックスで、みなさん御苦労さんって感じで物語は進みます。しかし盛り上がりに欠ける平坦な展開は否めず、しかも180分という長丁場も手伝い、うーんさすがにダルいな~という感じがムラムラと沸き起こってくる。(もっとも、乙羽信子演じるアメノウズメのヘンてこな躍りだけはウケたが) 唯一の見どころといえば、三船敏郎演じるスサノオノミコトが八岐大蛇を退治するくだりだけだし…。さすがの名匠稲垣浩も歴史大作モノにありがちな轍を踏んでしまったか、と思いきや前述したようラスト10分で起死回生の大逆転劇。やー、映画って野球と同じで最後までグッとこらえて見るものですね。つくづくそう思いました。8点(2005-03-01 21:50:07)

10.  告訴せず 日頃、女房や身内に顎でコキ使われているパッとしない入婿が、衆院選に立候補している義兄の選挙資金三千万円を持ち逃げする。ところが表沙汰になるとマズい裏金だけに、入婿を告訴しようにも告訴できない。そんな主人公の入婿を演じているのが青島幸男だけに、方向性としては風刺喜劇。水増し領収証を請求する大臣、大金の出所がわかると身を引く警察署長、動物の骨で吉凶を占う神主などなど社会風刺をそこかしこに効かせており、話しはどう進みどんな結末が用意されているのか最後まで興味は尽きない。熟女・お篠を演じる江波杏子の脱ぎっぷりも良く、西村晃、加藤嘉など脇を固めるクセもの揃いの役者陣もこの風刺劇をしっかりと盛り上げてくれた。シニカルな余韻を残すラストも印象的。7点(2005-03-01 21:46:44)

11.  野火(1959) 《かなりネタバレ》戦争が引き起こす狂気はこのような形でも表れる。太平洋戦争末期、ビルマやニューギニアなどの南方戦線に於いて、日本兵が飢えに耐えかね人肉を食って生きながらえたというのは有名な話です。規律や統制も、目的も何もない日本の敗残兵達は敵弾に撃たれまいとただ逃げ惑うだけ。しかも口にする物が何もなく、心身共に極限まで追い詰められ次第に精神を侵されてゆく。となると、当然のごとく人肉を食うか食わぬかの選択に迫られる。この極限状態に於ける人肉食い。生き残るため死人の肉を食うことが許されるのか否かは、人により分かれるところであろう。しかし現地人や同胞の日本兵を殺しその肉を食らう。(おそらく死肉は暑さで腐敗がひどく食えず、新鮮な肉を求めた結果がこれであろう) 疑心暗鬼も手伝い文字通り食うか食われるかの世界であり、もう完全に狂ってしまっているとしか思えない。そんな日本兵達だって、元をただせば我々と同じごく普通の人間だったはず。原作は実際に兵隊としてフィリピン戦線を体験した大岡昇平で、監督市川崑による演出。全編オープンロケが放つ印象的なシーンの数々に絶望的な雰囲気描写。そして、ジワジワと身の毛もよだつラストに向けての展開の仕方もさすがだ。反戦という帰着するもは同じものの、情感豊かに描いた同監督による戦争映画の名作「ビルマの竪琴」(56)と対照的な作風と結末。監督市川崑の偉才振りが窺える、戦争の狂気をえぐり出した傑作です。10点(2005-02-19 11:05:10)

12.  ナイト・オン・ザ・プラネット ユーモアとエスプリが利いている3話と4話が秀逸で、他の作品もなかなかイイ味出している。第1話、ロサンゼルス編。話そのものはオーソドックスだが、演技力確かな二大女優(ジーナ・ローランズとウィノナ・ライダー)の会話の妙はさすが。ウィノナは看板娘の位置づけか? 第3話のパリ編。意地の悪い黒人運転手が、ナメてかかった盲目の若い女性に逆にやり込められる展開が見事。ジーンとくる支払いのシーン、クスッと笑えるオチもグッド。第4話、ローマ編。これは傑作。やたらしゃべりまくる運転手(ロベルト・ベニーニ)の下ネタ話はおかし過ぎる。あまりの下らなさに辟易する司教様(?)の表情も見もの。 それと、出来れば東京編も作って欲しかったですね。運転手はもちろん北野武ですね。8点(2005-02-10 10:56:55)

13.  真空地帯 逃げ場のない閉ざされた社会では、陰湿なイジメやリンチが当然の如く発生する。ましてや当時の日本の軍隊という上官や目上の命令が絶対的なものである縦社会では、それが歪な形で顕著に表われる。そもそも軍隊というものは武力や暴力により人を殺すことを目的としている組織なわけで、機構そのものが不条理の塊になって当然といえば当然かもしれない。それにしても初年兵や目下の者を殴る殴る。人間であることを徹底的に否定される様は凄まじい限りである。まさに真空地帯とは言いえて妙で、そこに人間らしさを感じ取れる空気は皆無である。さらに軍幹部は絶対的な権限を有するため、軍需物資を平気で横流し私腹を肥やす。監督山本薩夫は、そんな不条理で腐り切った軍隊という機構を力強くリアルにあばいてゆく。原作者の野間宏と共に監督自身も軍隊経験者だけに、しかも戦後7年しか経っていないこともあるがセット美術、役者達の演技、殺伐とした雰囲気描写などすべてに於いて生々しくリアルである。ガラの悪い関西弁も一役買っている。また木村功、下元勉、西村晃など演技力確かな役者陣に支えられている辺り、群像劇としても見応え充分。反戦映画としては完成度も高く、しかも群像劇の傑作でもあります。9点(2005-01-09 22:01:58)(良:3票)

14.  月光の夏 太平洋戦争末期、特攻隊の悲劇を取り上げた作品は数多くあるが、本作は実話に基づいて作られているだけにより一層切実なものとして胸に迫ってくる。さらに派手な戦闘シーンや凝った特撮など一切使わずに、戦争の悲惨さと平和の願いを描き切ることに見事成功している。また監督神山征二郎の誠実な人柄が作品によく出ており、しかも渡辺美佐子や仲代達矢を筆頭に、各実力派俳優たちの情感が込められた演技も手伝い作品そのものの完成度もかなり高い。物語は、およそ戦争とは無縁に映る平和な余りにも平和な現代の日本と対比して、爆死することを義務付けられた特攻隊員の姿と戦争の不条理が次第に浮き彫りにさけてゆく。奇跡的に生き残った特攻隊員の語るに語れない地獄のような苦しみ、若き命を捨て駒同様に扱う冷血非道な参謀や軍指令部などなど。《ネタバレ》やはり本作では、ラストに尽きるでしょう。引っぱるだけ引っぱって余りにも衝撃的なシークエンスが、このラストに用意されていたのである。悲哀に満ちたベートーベン作曲「月光」のメロディーが類稀なる効果を収めており、特攻隊員の悲劇と戦争の不条理性を見る者へ強烈に訴えている。その瞬間、彼らは何を思い何を願ったのであろうか。このラストシーンは涙なしではいられなかった、というよりもうボロボロになってしまった。少々くどいようだが、この大どんでん返しとも言えるラストを迎えるまでじっと我慢して見て欲しい。この戦慄すべくエンディングシーンで評価は大きく跳ね上がり、作り手はなぜ坦々とストーリーを進めてきたのか分かるはずです。今の若い世代に、いろんな意味でぜひ見て欲しい名作です。10点(2005-01-07 23:06:22)

15.  八甲田山 青森や東北地方出身なのに、なぜか東北なまりのない標準語をしゃべる主役級のスター俳優たち。高倉健演じる徳島大尉が滝口さわ(秋吉久美子)に敬礼をするシーンは狙い過ぎのファンサービスにしか映らず、感動というよりむしろ興醒め。このようにスター俳優たちのヒロイズムを前面に出すと、本来作品が放つテーマ性から遠ざかってしまいリアリティも薄くなる。というものの、雪が吹きすさぶ厳冬の雰囲気描写もまずまずで、しかも史実を基にして作られているだけあり胸に迫ってくるのもまた事実。監督は森谷司郎で、「日本沈没」「動乱」など大作モノを数多く手掛けているわけですが、どれもみな商業色は強いものの最後まで飽きずには見せてくれる。6点(2005-01-07 22:42:50)

16.  女中ッ子 本作では言うまでもなく、主人公初を見事演じた左幸子に尽きます。元体育の先生だけあって初々しくはつらつとした演技はまさに適役以上のもので、きかん坊の子供を受けとめる辺り母性をも感じさせてくれた。そんなエネルギッシュな左幸子に呼応するかのように勝美役の子役・伊庭輝夫がこれまた活きが良く、相手役としてピッタリ。名匠田坂具隆の誠実で味わい深い演出が冴えに冴えており、戦後の高度成長期に差しかかる古き良き時代を存分に味わえる。田舎から出て来た世間知らずの初が都会の文化や習慣に驚く様子と対比して、都会っ子の勝美が冬の田舎の生活に興味を示すという後半の構図も素晴らしく、またアクセント代わりに流れる時計群のハーモニーも不思議な郷愁を誘ってくれた。そんな中、印象的なシーンとエピソードがぎっしりと詰まっているわけですが、個人的に大好きなのがふたつあります。初が時計群の音とともに眼を覚まし、窓を開け朝もやかかる田園都市世田谷を一望する。そして大きく伸びをする。すがすがしいシーンだ。夢にまで見た都会での生活が始まったのだ。それともうひとつは、犬嫌いだった母親の許しが出て勝美と初が歓喜するエピソード。初がチビを抱き上げていう台詞、「チビ、良かったなー、今日からおまえも日陰者でなくって。ぼっちゃん、チビといっしょに走ろ。」この時の初の笑顔が最高にイイ。さらにチビを先頭に原っぱを走るシーンなんかも感涙を大きく誘ってくれた。私も子供の頃、親の反対を押し切り子猫を飼ったことがあり、この時の二人の心境が良くわかるのである。その他にも走行中の列車から飛び降りるシーンなんかは初らしさを象徴しているし、ちょっぴりコワくてユーモラスな“なまはげ”の秀抜な雰囲気描写など挙げているともうキリがありません。そんな古き良き日本を封じ込めた名作中の本作に、文句なしの10点満点。10点(2004-12-30 22:47:43)

17.  バトル・ロワイアル 近未来の日本、BR法とやらが発動される中、中学生たちが最後の一人になるまで無人島で殺し合いをさせられるという。アイデアそのものからして、馬鹿馬鹿しいほどの荒唐無稽。(何で国家が少年たちに殺し合いをさせるか。誰が大人の言いなりに仲間どうし殺し合いをするか。)  話題騒然の問題作。どんな題材でも客さえ入れば良いという製作側の儲け第一主義が透けて見え、これが一番イヤらしい。が、しかし監督は鬼才深作欣二。そんな過激な企画ものであるにしろ、見る者に何らかの生きざまというか死生観を提示してくれるのではと思いきや…。飛び交う台詞もテレビのドラマ並みで、“ハッ”とするメッセージもとくに見当たらない。それでは映画そのものの出来はどうかと言うと、これが良いとは言えない。個々のエピソードのまとまりが悪く見づらい。ラストもやけに冗長だ。結局のところ、過激を売りにしたバイオレンス・ムービーの凡作にしか映らなかった。4点(2004-12-24 14:35:39)

18.  海軍特別年少兵 戦況の悪化が著しい太平洋戦争末期、本土を死守するべく硫黄島に於いて日本軍守備隊二万三千余(年少兵三千八百名含む)のほとんどが玉砕壊滅したという。この映画は疑うことを知らない14、15歳の少年たちがプロパガンダ教育により祖国のため自ら志願兵として海軍に入隊、そして厳しい訓練を経て悲劇的な結末を迎えるまでを描いたもの。監督は今井正で物語は叙情的に展開されいゆく。生粋の海軍魂の持ち主である鬼教官・工藤上曹(地井武男)、軍隊に於いてなおも愛の教育を説こうとする教官・吉永中尉(佐々木勝彦)との対立。この辺りの人物描写、歪曲せず等身大で描かれているのではないだろうか。また、庶民や社会の末端で生きる人々の戦争や国家に対する本音、軍の命令に従わざるを得ない教師による志願兵募集の場面、恐ろしい憲兵や特高警察による反戦思想を持つ者の連行シーンなどなど、暗く悲しい時代を記録的な意味合いを持たせフィルムに収めている。年少兵を演じる15、16歳ぐらいの少年俳優たちを軸に坦々と進められるため少々盛り上がりに欠けるかもしれませんが、この作品のテーマ性を全面に出すというコンセプトなら致し方ないところ。しかし監督今井正の力感ある演出と構成、何より脇を固める実力派俳優たちが作品そのものをしっかりと引き締めており、完成度は高く本作を世に出した功績は十分にあると思います。8点(2004-12-23 14:48:00)

19.  ザ・ガードマン 東京用心棒 昭和40年にさっそうとテレビスタートした「ザ・ガードマン」。シブくシリアスな雰囲気を漂わし、大人向けのドラマとしては子供のクセに生まれて初めてハマった作品です。ひとくちにガードマンといってもピンからキリまであるわけで、ここに登場するのは誰しもイメージする制服姿で警備するというものではなく、むしろ矢面に立ちクライアントの命と財産を死守するスペシャリスト集団といった方が良いかもしれない。しかもこのシリーズの良いところは後々刑事モノ特有に表われるアクションや銃撃戦がウリではなく、スリリングな演出が見どころのサスペンスドラマであること。毎回、宇津井健演じる高倉キャップを軸に、清水隊員(藤巻潤)や荒木隊員(川津祐介)たちが抜群のチームワークを発揮して見事功を収めるわけですが、犯人側にも個性的な面々が登場したりでドラマを大きく盛り上げてくれる。けっこう前置きが長くなりましたが、本作は劇場公開用として作られたもの。テレビ版と違い予算も多めでゴージャス感を醸し出しているのはうれしい限り。しかし本来売りであるはずの、ザ・ガードマンたちと犯人側とを対峙したサスペンスフルな演出を期待していたんですが、大味で平坦なままストーリーが進んでしまう。重要な位置にある、外国人俳優ポール・シューマン演じるネルソンの人物描写も雑でなんかヘン。つまり脚本や監督が毎回入れ替わるので、作品の出来不出来にけっこう差が出るんですよねこのシリーズ。5点(2004-12-23 14:46:29)

20.  ガメラ対大悪獣ギロン 子供の頃、ガメラシリーズはほとんど見に行きましたね。東宝ゴジラより断然大映ガメラ派でした。子供の味方はもちろんで、主人公たちのちょっとした冒険活劇を絡めている作風が自分には合いましたね。これもその一本で、二人組の宇宙人おねーさんに食べられそうになり、あっちこっちワープして逃げまくります。子供心にハラハラドキドキで、こういう場面は記憶に残りますね。ガメラシリーズに登場する怪獣は完全に子供向きでユニークなのが多く、このギロチンのような武器を持つギロンがよい例でしょうね。6点(2004-12-21 14:18:44)(良:1票)

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