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【製作国 : 日本 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
1. 借りぐらしのアリエッティ 個人的にはジブリの中ではベスト3に入ります。 ストーリに起伏がないという意見がよく見られますが 登場人物が大声をあげたり、アドレナリンをだしまくる ような物語は正直辟易としているので、このアニメの 淡々と声を抑えた物語ががとてもすきです。 BGMもきわめて控えめででしゃばらず、小人から見た 世界の景色や音、物理法則をスケールを考慮して描いて いたり(例えばポットの表面張力とか)ディティールが とてもいいです。 歴史や世界観といった大げさなものではなく、もう少し 家族数代といったぐらいのスケールの、きわめてローカルな、 個人の時間の積み重ねみたいなものがきちんとにじんでいるのも とても素晴らしい。 必要以上に世界や歴史をしょい込んだ物語ではない点 (ナウシカやもののけと違って)、小人といっても、 トトロのような「お話」ではなく、きわめてリアルでみずみずしい ファンタジーになってるところ、などなど。 絵空事ということではなく、生活感覚と密着した幻想性みたいな 感じがとても好きです(妖精もこんな感じでもっとリアルで近しい ものだったのでは?) 物語に大きな起伏がないのに、何度みても飽きない。 傑作なんだと思います。[地上波(邦画)] 9点(2014-07-19 00:26:26)(良:1票) 《改行有》 2. 藁の楯 私刑を禁じた「民主的法治国家」が抱える古いが本質的な 問題を扱っている映画はたくさん作られている。 そういう意味でストーリもテーマも取り立ててみるべき点は ない映画だった。 唯一、犯人の理解し難さ加減を必要以上にキャラクターっぽく 物語化することなく、また妙な予定調和におわらせることなく 最後まで淡々と「何かが抜けおちている奴」で徹底させている ところがいいとおもう(救いがないが)。 その点では藤原達也の「うまい演技」も余計なものかもしれない。 精神鑑定の結果、無罪になるという更に救われない現実があるが そういう意味ではまだこれでも現実の救われなさのほんの少し しか描かれてはいないのでしょう。[地上波(邦画)] 6点(2014-06-08 11:48:10)《改行有》 3. チーム・バチスタの栄光 完全な失敗作。 野心あふれすぎて空回りして失敗っていうのならまだわかるが これはなんだろう?? 「シベ超」みたいなマニアむけでもなく、一般大衆向けの企画で、 真面目にダメなので、もう「センスないんじゃないのか?」としか いえない。でなきゃ、観客なめてんのか?っていいたい。 レンタルDVDでみたが、これを映画館でみてたら、絶対金返せ! ってなるでしょうね。この程度のものを「映画」として流通させ てしまうこと自体がもうほんと許せない。消費者として怒らなきゃ ならないレベルだと思います。特にキャラ設定が最悪。質の悪い 漫画読みすぎじゃないですか?っていいたい。ペラペラです。 この監督あまり知らないけど、きっと映画でのリアリティというこ との意味が全く分かってないのだなぁと思います。ギャグ、シリ アス、表面的にどんなテイストで仕上げようと、医療を題材にする 以上は「死」を意識した何がしかが描かれないとウソでしょ。 人物でも、動機でも。形だけ「カーニバルですよ」と告白させて みても、そこには何のリアリティも感じられなかった。 BGMをあさえているのは、くだらない盛り上げ演出を排している おり好感もてた。おまけで星2つ。[DVD(邦画)] 2点(2008-08-24 16:16:59)《改行有》 4. 切腹 《ネタバレ》 これを「重い」という向きがおおいですね。 最近の邦画作品と観客の鑑賞力双方のレベル低下を物語っていると思います。 本作は寧ろ「軽い」のだと思います。 状況とそれに由来する論理性をこれだけ図式的に徹底した劇もそうないでしょう。 (もっともそれすらおぼつかない奇をてらっただけの脚本が最近は多すぎますが・・・) 思考実験的ですらある設定と類型的なキャラクタ造形。 はっきりいって「デスノート」とかわりません。 逆にいえばそれこそが、本作が理知的だが「深み」にかけるゆえんだと思える。 最初に状況設定のポテンシャルでその後のコマ(登場人物)の動因をすべて まかなおうとする橋本忍らしい脚本だとおもいます。 本作は余計な要素をそぎおとして、フォルムとしてできるだけ簡素にしている ところが成功しておりその意味で美しく完成された作品だと思います。 (余計な要素は入りすぎて失敗したのが「砂の器」) 組織の問題性とか武士道の裏面とか、そんなテーマはお飾りにすぎない。 (そこらへんをもって「重い」と評するのは、映画になにか違うテーマ性を かさねあわせすぎだと思います) 本作は端的に非常に良くできた落語なんだと思います。 [DVD(邦画)] 9点(2008-04-15 00:19:16)(良:1票) 《改行有》 5. キサラギ 脚本がいいと余計なカメラワークや過剰な音楽にたとらずとも 面白い映画が出来るというお手本のような作品。 役者の演技は正直いまいちだが、脚本が補って余りある。 フィックスでのカット割と必要最小限のBGM。好感がもてます。 コマ落としでのカットバックが舞台劇とは異なる映画ならではの効果といえる。 同じようなワン・シチュエーションものとして、洋画なら「探偵スルース」 「十二人の怒れる男」、邦画なら(三谷のものより)「切腹」等と比較しえ ようが、完成度としては遠く及ばない。 おしいのは、最後の「顔出し」&宍戸がよけい。なのでマイナス1点(90分 程度にまとめたほうがスタイリッッシュ。ほんとはマイナス2としたいが キャスティングの面白みでおまけ)。 それと、撮影(照明)がなってないのでマイナス1点。 あと、ここまでほめてきたけど、正直いうとこの程度の映画が絶賛されるのは ほんとに邦画のレベルか、鑑賞者のレベルが低い証拠。なので総合7点どまり。 これ以上はあげすぎ。辛口ですが本音です。 [DVD(邦画)] 7点(2008-01-12 15:06:30)《改行有》 6. 武士の一分 端的につまらないです。どう観ても「たそがれ」のほうがまし。 設定の古風さ・時代考証感と、演技の妙な?今風感が負にしか働い ていない。 さらに殺陣がまるでだめなので時代劇としてみるべきところも皆無。 真田広之のうまさを逆にしみじみ感じただけでおわった。 失敗作だと思います。 [地上波(邦画)] 4点(2007-12-31 14:21:54)《改行有》 7. 麦秋(1951) 小津ではこれが一番好み。全てがいいです。[地上波(邦画)] 10点(2007-07-31 00:05:51) 8. 山の音 成瀬作品ではもっとも好きな一作。 素晴らしいの一言ですよ・・・ため息。[地上波(邦画)] 9点(2007-07-31 00:00:27)《改行有》 9. 犬神家の一族(1976) 中学生のとき映画館ではじめてみた映画がこれ。 個人的にはものすごく好きな作品。 むさぼるように横溝正史をよんだ世代としては やはりたまらない。[映画館(邦画)] 9点(2007-07-30 23:53:25)《改行有》 10. クライシス2050 《ネタバレ》 北京原人もシベ超も抑えて、私のなかでは正真正銘ダントツのクソ映画No1。 確か本作がデビュー作の別所哲也は未だに「クライシスの哲也」の汚名をそそげていません。私はどんなに見所のない映画でも最後までまずは見切る、というポリシーで中学以来30年間映画館と付き合ってきました。「去年マリエンバード」も付き合いで3回ほど映画館へ行きましたが、いずれもちゃんと最後まで鑑賞。それなりの「訓練」はつんでいるつもりでした。 本作は入る前からそれ相応の「臭い」がしており自分でお金を払ってみることはありえないケースだったのですが、知り合いにチケットを頂いたので、当時交際中だった妻をさそって見に行ったのでした。1時間が限界でした。「今おれは考えうる最高に無駄な時間を、いや、無駄とも無意味とも違う、そうとさえよべないような途轍もなく空虚な時間を過ごしている」・・・鑑賞者にそういう気持ちをおこさせる稀有な作品です(妻も同様の気分に陥ったそうです)。後にも先にも、映画館を途中撤退したのは本作のみです。[映画館(邦画)] 0点(2007-07-29 18:26:56)《改行有》 11. 時をかける少女(2006) 《ネタバレ》 ・実写のように丁寧にカットを積み重ねており効果を挙げている。 ・それが普通アニメ表現に慣れきった目には物足りない感があるのかもしれないが 本作にはマッチしている。 ・BGMとして使用されている「ゴルトベルク変奏曲」はかなり意図的に選択され いる。映画自体の反復的モチーフが、まさにこの楽曲の構成と合わせ鏡になって いる。冒頭とラストのキャッチボール・シーン、劇中に諸々の登場人物の口をか りて反復される「前を向いて」というモチーフは、まさにゴルトベルク変奏曲に おける「アリア」で展開される主題と重ねあわされているように思える。 ・映画としては、素直に楽しめるものとなっている。が、実は主人公の我儘としか いえない恣意的なタイムリープの使用の裏に、実に生々しい心理的なエゴが渦巻 いている。若い時期の特有のエゴを爽快感の裏に内包して、見終わったあとの サバケを確保したテクニカルな腕前に感服。[DVD(邦画)] 9点(2007-07-29 10:38:52)《改行有》
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