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【製作国 : 日本 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
1. 東京家族 あまりよく知らずに見に行って、数分して、あ、これ「東京物語」なんだ、と思う形で入りました。長女の演技が杉村春子風だなぁとか思っていたら、父も母も長男も、オリジナルと同じ演技になるように演出されて分かりました。だから、私が日本映画史上ナンバーワンと思っている映画とつい比較して見てしまう。真似をしている段階でオリジナルに及ぶはずがないのですが、まっ、それを見ていない人にはいい感じだったのでは?で、少し見ていて、原節子の枠がないなぁ、とか思っていたら、フラガールのお嬢さんがその役になってでてきて、よくこんな凄い役(純真な心の娘さん史上ナンバー1かもしれないというオリジナルと比較されるからです)したなと感心。ひょっとして、フラガールのお嬢さんが一番近いのかもしれない。本作は母の死を悲しむ、というのがピークにもってきてあって、それはそれで感動的なんですが、オリジナルの「現代の、子供は独立して自分の世界を生きることへの、父母の覚悟と悲しさ」でないなぁとか、やっぱり比較してしまう。ワザとそうしなかったのかもしれません。それができるなら、古今の世界中の監督がやったでしょうから。それで、確信犯的にクライマックを、いかにも山田洋二風に、家族愛風に、変えたんでしょうね。小津安二郎の縦線を意識する画像も、あの柱とか戸の縦の縁とかを画面に入れるの、これも意識してましたね。[映画館(邦画)] 7点(2013-02-11 17:08:45) 2. おくりびと 《ネタバレ》 ストーリーがベタだの、盛り上がりがないだの、との声をここでたくさん見ましたが、作る方はそんな事は二の次で、映像で勝負、って所じゃないの。何しろまず、納棺師の仕事に見る儀式の静謐厳粛さを、主人公同様に見る方にも納得させなければならない。日本人が誇りとする、(って若い人に言っても分かんないのかな)様式美を示す。そこをクリアしているのが凄い。見ている方もすごいと思う。あっちこっちにメタファーをちりばめていて、その映像に厚みを与えている。タコの死から始まっている。海ではなく川に捨てられた。違う環境。自分も音楽という違う環境で死んでいたのに気がついた。鮭の話は、台詞で説明したからそのまま。食べるシーンが多用してあるのは、「生きること」の意味をそれこそ低音域で奏でている。詰め将棋に微かに感じる「終わり」の予知。命を表す白鳥。雪と白い山が見せる、ピュアさと生との対比、ラストの白い石と胎児のイメージの重なり。布団の白、ふぐの白子、ああ、白のイメージは大事だ。セロ弾きの宮沢賢治は岩手か、山形ではない。山形弁のごつごつしたイメージは広末の演技のイメージ(これは偶然か)。それでもって、やっぱり親子の情に涙するよな。良質のイタリア映画みたい。[DVD(字幕なし「原語」)] 9点(2012-06-02 13:06:57) 3. HANA-BI 《ネタバレ》 子供を失った悲しみ、これが映画の底流にあって、その胸を裂くような辛さを感じなければ、この映画の味わいは分からない。あとの不幸は、追加。花火を見上げる親子の絵、絵自体がいかにも子供のお絵かき、マンションにとめてあった三輪車、それを片付ける元刑事、しかし、小さな子供の靴はちらっと見るだけ。お寺の鐘に来た子供、元刑事は妻が思い出して辛い思いをするのだろうなとわざとオチャラケて鐘を鳴らす。最後の凧揚げの女の子は、二人が本当に見たかった光景。元刑事も傷ついてはいるが、妻の方は絶望している。その絶望を埋めるべく、静かに(妻がいないところで)荒れ狂い、妻に優しくする夫。夫の心を知っている妻。だから、「ありがとう、ごめんね」と言う。私達は二人の愛の形を静かに味わうしかない[DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2009-04-05 12:03:56)(良:2票) 4. 浮雲(1955) 《ネタバレ》 薄情な男が後悔して泣きます、ってフェリーニの「道」と同じだな、と思いました。どっちが先なんだろう。時代的に近く偶然じゃないと思います。もう高峰姉さんの演技、いいですね。目の動きだけで、喜怒哀楽を表現していて、それと崩れた女の物言いが入り、複雑な感情をよく表してましたね。今日本にこんな演技できる女優さんはいるのかしらん? これこそスター。今リメークブームだからね、誰か挑戦するのかな。まっ、止めた方が良いと思うけどな。[DVD(邦画)] 9点(2008-01-14 21:38:49)
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