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Web www.jtnews.jp

プロフィール
コメント数 112
性別 男性
自己紹介 10点---- 個人的ツボ。欠点なんて知ったこっちゃない映画。
9点---- 完成度高し。人にすすめたくなるような映画。
8点---- 良作。ちょっと気になる点も。

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【製作国 : 日本 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
評価順12
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変更日付順12

1.  海がきこえる<TVM> 《ネタバレ》 拓と里伽子の意識の外で、恋愛が行われているところが良い。二人とも、高校時代の最後までお互いの気持ちに無自覚なんですね。 この映画のように、好意というものは、青春の真っ只中や諍いの中では、無意識の中に閉じ込められていて、自分では気づきもしないものなのかもしれない。しかし、一旦井の外にでたり、違う角度から眺めたりすると、抑えられていた感情が意識となって心の中に立ち現れてくる。失って初めて分かるという感覚や、視点を変えることで分かる感覚ですね。それを、ハワイや東京などというように場所を行き来することで表現しているのだと思います。 井の中の蛙という言葉があるが、大人になるということは、井の外に一歩踏み出すということであり、そしてその出てった先の周りには、それより大きな井が存在している。小さな世界からの脱出を、子供の頃から延々と繰り返すことで、人は大人になっていくということを、この映画は雄弁に物語っている。当たり前のことだけど、これに気づけたのは、けっこう大きな収穫でした。 ジブリの中では、キャラクターの動きが少ないから、キャラクターの生命力が感じられないはずなんだけど、不思議とひとつの世界が成立しているのは、土佐弁という強力な武器を携えることと、写実的なアニメーション、キャラの心情を丁寧に描出しているからこそだと思う。ここで書くのもあれですが、コクリコではこの部分を感じれなかったですね。作品にとって生命力というのは欠かせないものなんじゃないかな。 この作品で残念だったのは、ラストにかけて説明的になっていったこと。ラストの拓の心情吐露でずっこけました。電車に乗らずに、逆のホームに駆けていく描写だけで良かったと思う。[DVD(邦画)] 7点(2011-09-15 20:06:22)《改行有》

2.  ボーイズ・オン・ザ・ラン 《ネタバレ》 田西君は誕生日の夜にデリヘルのおでぶちゃんと抱き合ってました。自分は誕生日の夜に、この映画を見てしまいました。すごい偶然です・・・。嫌になるくらい。 この映画の田西君はほんとうにかっこ悪かったと思う。 最初のうちは上から目線でくすっとなるんだけど、段々と自分と目線がシンクロしてきて、痛すぎて途中で見るのが苦痛になった。 どうにかして彼女を取り戻そうとする田西君。色々な作戦に出ます。 結婚式のスピーチも自分に酔ってる節があったと思う。 殴りこみに行く事だって、彼女の為というよりも、情けなくて無様な自分の自尊心を傷つけられたことに怒ってた節があったんじゃないかなと思う。彼女は、それを無意識的に感じてたんだと思う。だから届かなかった。 最後、お漏らしまでして無様の底辺の状態になった田西君。 駅のホームで初めて、自分を捨てて彼女にぶつかっていきます。 最後の最後に、かっこつけや、ナルシシズムなんか捨て去った本音の言葉を吐くのです。 それが、彼女の胸を打ったんだと思う。 言ってることは、卑猥で下劣でどうしようもないけれど、今まで見た映画の、どんな「愛している」という言葉より、弾丸のように胸に届いてくる愛の告白だと思った。 かっこいい男とは、無様な自分をさらけ出して、それでも勇気をだして前に走っていく奴のことなんだな。 ラスト、街を疾走していく田西君は、ナルシシズムに溺れたままのタクシードライバーのトラヴィスなんかより、最高にかっこよく見えました。[DVD(邦画)] 8点(2010-11-26 17:14:59)(良:2票) 《改行有》

3.  告白(2010) 《ネタバレ》 子供を叩き治す超スパルタ教育映画にも見えました。現実感覚を喪失した状態に陥っちゃうと、自分の痛みをなくし、他人の痛みも分からなくなり、殺人やったり、いじめやったり、リスカやったり・・・。とまあ、こんな人間沢山いるのではないでしょうか。物語の最後、主人公の少年が、内的世界から現実世界に舞い戻ってきた瞬間に、鼻血を流す描写が秀逸。HIVの伏線が効いてくるわけです。少年の嘘も黙秘も吐くふりも通用しない、生理的反応。現実感を喪失した世界で一番信じられるものです。本当に起こったことのように感じさせることが重要であって、実際に起こったかはあまり重要でない気がします。演出含め、結末さえも不確実に描いちゃうから上手いです。観客自身も、映画の中で起こっている胡散臭い世界から、後半につれていつの間にか痛みを感じることができるという物語の構造も良し。エヴァあたりから一気に量産された感のある、現実感覚を喪失した自分をモチーフとした作品群の流行に喝をいれた、インパクトのある快作だと思います。[映画館(邦画)] 8点(2010-11-16 19:30:10)

4.  疾走 《ネタバレ》 干拓地という、言ってみれば”海の生物の墓場”が、美しく撮られていたことにまず感動した。そして、鬼ケンと茜は、生き物の匂いを充満させていて、その殺伐とした雰囲気に良い味を添えていたと思う。 シュウジにとって、沖で出会った人たちとのふれあいと、その地を踏みしめて走る瞬間だけは、生の実感に溢れていたのではないか。 この映画における、学校で起こるいじめと、社会で起こっている部落差別には差がないと思う。暴力の執行者である、いじめっ子、ヤクザ。それらを静観するクラスメート、噂をする住人。犯罪者の弟だからとか、沖に住んでいる人だからとか、そんな理由で暴力がまかり通る。閉塞した土地では、それほどに血や土地は重く、自分より、上なのか下なのかで暴力の方向は決まる。人類史とは、血とともに、暴力を継承してきた歴史でもあるのだと思う。 ではそのような暴力に立ち向かうためには、どうすればいいのか。シュウイチのように下層に継承するか、シュウジのように上の階層の人間を殺すのか、はたまたエリのように心を殺して耐え抜くのか。神父の弟が問うたように、己の肉体を殺すという選択肢もある。しかし、その答えは、これだけではないはずだ。人間と犬は、きっと違う。 兄が家を出て行く瞬間の、「早く家に入らないと風ひくぞ」のシーンはぞっとするほど怖い。兄との繋がりが断ち切られた瞬間を、シュウジが皮膚感覚として感じる瞬間だから。同時に、両親との別れがほぼ描かれないことも怖い。言語を捨てたシュウジの放った遠吠えは、観賞後もずっと頭の中を反芻して離れなかった。[DVD(邦画)] 8点(2010-10-30 23:51:58)《改行有》

5.  赤い糸 ケータイ小説原作。ドラマともに未見。触れ込みによると3600万人が涙したそうです。某レンタル屋のランキングに入っていたので借りました。予想以上にローティーン向けの映画。内容にツッこむ気すら起きないのですが、ギチギチに詰め込まれたストーリーなのに、最後にかけてだけがスカスカです。あれでは、泣けません。さらに問題なのは、この映画では完全に完結していないことです。エンドロール後にto be continuedって…ふざけてます。調べたら、連続ドラマの後半9、10、11話で完結だそう。その後に及んで、ドラマのDVDはVol.4【第8話+第9話】 Vol.5【第10話+第11話】という売り方をしている為に、少なくともあと2本借りなくてはなりません。あら不思議、興味本位で借りた1本の映画が3倍に化けるのです。なんという…(苦笑) 面白い映画だったら良かったのかもしれませんが、内容も残念だったので、ドラマまで見る気にもなれない。宙ぶらりんにされたまま、怒りに任せて新規登録させて頂きました。原作を読んでない人やドラマを見てない人が、どんなものかと期待して借りるのはオススメできません。また、桜庭ななみ目当てで見たら酷い目にあうので注意。なんなんだあの扱いは・・・。[DVD(邦画)] 1点(2010-02-14 04:07:23)

6.  ハンサム★スーツ 《ネタバレ》 うすら寒いコメディが氾濫してる邦画において、この作品は中々の出来。この手の、主人公が何か重大な秘密を抱えて右往左往する話ってのは、下手をうたない限りハズレないですね。変身だったり、女装だったり、入れ替わり物だったり。ハラハラドキドキで思わず笑ってしまう。自分もガールズコレクションのくだりは全てにおいて、下手糞だと感じました。あそこで、テンションがきれちゃいました。デトロイトメタルシティも同じような所でつまずいてたっけ。最後のオチは良かったですが、そのネタ晴らしをカッコ良く処理して欲しかったです。ちょっと説明しすぎ。大島って、あれが地なんだろうけど演技には見えないよなあ。そこらに住んでるおばちゃんが、映画の中に迷いこんできてるみたいだ。[地上波(邦画)] 6点(2010-02-14 02:51:55)

7.  さびしんぼう 《ネタバレ》 この映画の秀逸な所は、普通の恋愛映画では隠してしまうような嫌悪的なもの、例えば肉親の恋愛などを挟んで、堂々とファンタジーとして表現していることだと思う。普通は恋愛に肉親が絡んできただけでも気恥ずかしい気持ちになる。もしそれを表現しても生々しくて野暮ったく、この映画のような純粋性や叙情性は保たれないように思う。母親の初恋や、母親とエロ本を見ながら会話するなんてのもそうだけど、父親との五右衛門風呂(?)のシーンは特に印象に残った。17歳という性に悩む多感な時期に、父親が母親に対してどれだけ愛情があるのかを、狭い風呂の中で聞かされる。肉親の性についての会話を、肌を触れ合わせるという身体的会話を交えて体験するのである。これは自分の親に置き換えると恥ずかしくて身悶えそうになるような描写だが、この映画では、負の感情ではなく、無意識に見ないようにしていたものが突然目の前に落ちてくる様な不思議な感情になった。それは、嫌悪や恥というよりも、すごくあったかい。主人公の彼もきっとそういう気持ちになったと思う。なぜなら自分がなぜ存在するのかを無意識に知らされているわけだから。母親の夢見がちな描写に対して、父親のこういう受け皿的描写があるのが物語をどっしりと支えている。この映画は初恋の心情の切なさなんてのもいいのだけど、家族の心のふれあいみたいなものも純粋に表現してるとこもいい。ところで、先生のスカートが事あるごとに翻るのは失笑を通り越して笑える。前半(3点)との落差があるから後半の巻き返しが凄いことには違いないのだが(笑)[DVD(字幕)] 8点(2010-01-13 06:23:51)

8.  ぼくたちと駐在さんの700日戦争 《ネタバレ》 これTVドラマとか2時間枠なら許せたのですが、映画として評価すると辛いことになります。それなりに楽しめましたけど。許せなかったのは一番盛り上がるシーンでFunkey Monkey Babysを流したこと。70年代の歌謡曲とか使いましょうよ。世界観ぶち壊しでした。あと、相変わらず市原は喋らせると演技下手くそですね。彼は人を引き込む眼を持った希少価値な若手俳優だと思うので、寡黙な役の方が向いてる気がします。[DVD(字幕)] 4点(2010-01-11 20:54:04)

9.  シュート! 中居って最近の方が、演技が断然上手いんですね(汗) 色々なアイドルの若かりし頃を見るという点では興味深く見れました。そういう点から見れば、ジャニーズならではの抱き合わせ商法が功を奏しているのかもしれません。が、そういうものに価値を見出せない人にとっては辛いと思います。水野美紀は拾い物でしたが。[地上波(邦画)] 2点(2010-01-04 23:43:39)

10.  Kids Return キッズ・リターン 《ネタバレ》 北野武映画に出てくる登場人物の発する澱みが自分とは妙に相性が良い。そして彼は、男の孤独というものを描くのがうまい。しかも孤独の色を、黒じゃなくてブルーに染める。それが心地よい。この映画の主人公二人の少年は、多くの時間を供に行動し、心から打ち解けているようにも見えるが、どこかしら緊張がみなぎりお互いに踏み越えない一線がある。それは陳腐な言葉でいえば「男は黙して語らず」というものなんだけど、決して心を許さない訳ではなく、ただ寡黙なだけだ。青春映画でありがちな、家庭環境や生い立ちは全く描かれないし、昨今のTVドラマで語られる「俺達仲間じゃねーのかよ。仲間だろ」的な、過度のベタツキも全くない。全編にかけてこんなにも胸がヒリヒリするのは、青春時代に誰もが経験する成長と堕落、そして慢心と羞恥心を、これでもかというくらいに丹念に見せ付けられるからだ。しかしそれだけじゃなく、孤独を癒す手段を、悩みを打ち明けたり語ったりしないからだと思う。それどころか、いつも強がって誤魔化してみせる。それがたまらなく切ない。この映画は、少年の中にも潜む、男は心のすみっこでいつも孤独であるということを突きつけてくる。そういう意味で、まさに男の映画なんだと思う。というよりも、北野武自身の映画なのかもしれない。ところで、印象に残ったシーンは、冒頭に出てくる校庭での自転車の二人乗り。二人は互いに向き合っていて、ふらふらとハンドルが揺れる。青春を謳歌する二人の少年に相応しく、危うく、そして心許ない円の軌道を描く。一転してラストシーンでは、校庭に帰ってきて、しっかりと前を見据え自転車に跨っている。しっかりとした円を描く。青春映画のシャレードとして素晴らしい表現だと思う。[DVD(邦画)] 8点(2009-12-31 07:05:16)(良:2票)

11.  愛のむきだし 《ネタバレ》 今年色々な所で絶賛だった映画。しかし4時間という長尺なので中々手を出せずにいた。年末のこの時期になってようやく観賞。ひとことで言えばカオスな映画。この映画はアジアの都市、東京でないと作れないだろうな、きっと。それくらい色々なものが混沌としている。正直、演出もシナリオも質が良いとは言いがたいが、役者陣の熱演と情熱で最後まで見せきってしまう力はある。編集のテンポ、小ネタが良い。そしてゆらゆら帝国、ボレロなど、音楽の使い方が上手い。余計なエピソードも多いが、まさに見せ場のごった煮であり、すっきり絞って描くと、このわけの分からないエモーショナルなパワーもなくなってしまうのだろう。駄作と傑作をたゆたうこの感じは何とも言えない不思議な感覚だった。印象に残ったのは満島ひかりの素晴らしい演技、そしてカオリがテツに復縁を迫るシーン。まさに愛のむきだし、発情期のチンパンジーの雌を見ているような衝撃である。車ごと体当たりしてくるんだから笑える。奥田と安藤の娘、コイケの存在感も凄い。ところで、板尾に少女虐待させるなんて、「役とはいえギリギリじゃないだろうか・・・」とも思ったが、あろうことかペ○スを切り取られるという贖罪を受けるので、園子温監督のブラックジョークにはすっかり感心させられてしまった。[DVD(邦画)] 7点(2009-12-30 13:47:09)(良:1票)

12.  松ヶ根乱射事件 おそらく、津山30人殺し事件を意識したであろうタイトル。そしてファーゴのようなパッケージ。八墓村みたいなことになるのかとドキドキしながら観賞したが…。見事に期待を裏切ってくれました(笑)ファーゴの仮面を被ったブラックなビッグリボウスキといった感じか。シニカルでオフビートな感じも嫌いではないですが、心に残る作品とまでは行かず。正直、この手の閉塞した田舎で血の繋がりが濃いい関係を泥臭く描いた大傑作と思っている小説があるので、それが足枷となって感動には届かなかったのかもしれない。シナリオの外し加減は絶妙で、なかなか書けるものではないと思う。欲を言えば、ラストにかけて登りつめるパワーが欲しかったな。[DVD(邦画)] 7点(2009-12-27 11:26:07)

13.  うなぎ 《ネタバレ》 まさに「うなぎ」のようにヌルヌルとつかみ所の無い作品。素晴らしい演出、シーン、脚本と感じさせる箇所もあれば、所々に現実に引き戻されるほど興ざめする箇所もあって、良い映画なのか悪い映画なのか自分でも点数に迷います。総じて演出と編集などが…微妙でした。テンポの良いコメディというよりは、ブツブツ切れてて違和感があった。2時間以内に収めたかったのかな・・・。冒頭の殺しのシーンで血しぶきがレンズに付着するシーンとかも、第四の壁を意図的に破る必要性があったのか疑問。中身の方は、一種の桃源郷を表現したらこんな映画になるのだろうし、ファンタジー的な映画だと思うので、シナリオの整合性はツッコムだけ野暮なのかもしれません。しかし、この監督の作品が持つ、土臭さ、人間のにおいがする所はとても好きです。そして、随所に描写される水面の美しさが際立ってました。個人的には、役所さんの演技はこの役にはあってないと思ったので感情移入しにくかった。頭に包帯巻いてパイナップルぽくなった箇所は笑えました。清水美砂が柄本明にジャイアントスイングされて、あられもない姿をさらしているところも大笑いしてしまいました。[DVD(邦画)] 6点(2009-10-14 12:26:58)(笑:1票)

14.  おくりびと 《ネタバレ》 死というものを生業の一部としている人間の成長ドラマを描くと同時に、死というものを遠ざけている現代日本人の姿を浮き彫りにしていたと思う。スーパーで大量陳列されているような(死を感じさせない)肉は平気で触るし食べるのに、生きているタコには触ることができない。そんな妻の姿は、どこか自分とかぶるところがあった。今の日本人の象徴があのヒロスエなのだと思う。子供の頃は平気で昆虫とかゴカイとか触っていたが、今は触れることさえ勇気がいる。日常的に触れていないと、段々と想像力が台頭してきて、恐怖が勝っちゃうんですよね。現代社会も、「死」は現実より切り離され、病院や屠殺場に押し込められている。医学や流通の発展は生活に多大な恩恵をもたらしたけれど、精神面では何かを少しずつ欠落させていってるような気がする。だからこそ、この作品の発した「死とは普通なもの、自然なものなんだよ」というメッセージには、大いに共感する。死が身近に存在した昔の伝統的な日本の姿を思い出させてくれる、生きる活力を与えてくれる良い作品だと思う。そして、そういう活力の根源は「笑いと愛と食」だよなと再認識。中身については、ファーストシーンでぐっと掴まれた。その後の導入部はナレーションが饒舌すぎて気になったが、総じて脚本は巧い。「生と死」を根底の軸としている映画だと思うので、ご都合主義に見える死によっての問題解決も気にはならなかった。ところで、ルーズソックスに込められた愛らしさの表現や、川原で佇んでいる所に霊柩車のクラクション(あの独特の音)が鳴るという笑いは、日本に住んでいる人にしか伝わらないだろうなー。土手でのチェロなど、多少しつこい部分もあったのでこの点で。[地上波(邦画)] 8点(2009-09-24 22:50:44)

15.  運命じゃない人 《ネタバレ》 これは面白い。邪道だが、先日図書館で借りた05年のシナリオ年鑑に載っていて、脚本を読んでからの鑑賞。読む分においてはその脚本の上手さに脱帽。9~10点に近かった。ということで、借りて見てみました。何かいろんな意味で裏切られた。スタイリッシュで小粋な映像を予想していたので、ここまでコメディに味付けしているとはちょっと予想外。まぁこのダササも、これはこれで成功していたと思う。味があるといいますか。中村靖日さんを主役に据えた時点でこう撮るしかないな。それほど強烈キャラ。特に足首の演技には魅せられた。ラストがシナリオとは異なっていたので、最初あのおっさんが誰かわからなかった。なるほど。細かい。ところで、神田役の山中聡もどっかで見たことあるなーとずっと考えていたら、「ハッシュ」の濃いキャラの人じゃないですか(笑)この人も演技上手いなw 内田さんの他の作品も観てみようと思います。表層的なユーモアだけに頼るだけじゃなく、脚本の構成や仕掛けで、人を楽しませようとしているのが伝わってくる映画というのは、やはり嬉しくなってしまいます。[DVD(邦画)] 8点(2009-08-25 16:04:16)(良:1票)

16.  サマーウォーズ 《ネタバレ》 予告見た印象では、一時期流行したセカイ系を踏襲しただけの作品かと思っていたが、曾祖母や親戚を巻き込んでの縦の繋がりや、一族の連帯感を投入してきたことは斬新だった。しかし、前半あれだけ人間同志の連帯感を意識的に描いた割には、クライマックスの戦闘シーンで、格ゲーや花札で「個VS個」の戦いに変貌するところなど不可解な点も。だが、所々で甲子園の実況中継を印象的に挿入してきたことで、「あーなるほど」と納得。この監督さん野球が本当に好きなんでしょうね。自分も大好きなスポーツなんだが、後半の戦闘シーンの描き方なんて野球の攻撃とまるっきり一緒。野球は一見、個VS個のスポーツに見えるのだけれど、チームの連携無しには成り立たない競技であり、そこに人間と人間の繋がり、つまり小さな運命共同体である社会が存在する。失敗する人がいたり、それを挽回する為に頑張る人がいたり、それらをお互いにカバー、連携しあってゲームを作り上げていく。そして勝敗が決まる。やはり、意図的にセカイ系とは一線を画す作品にしようと努力したのだろう。ところで肝心の内容なんですが、主人公が野球で言えばサード辺りをやっているようでイマイチ没頭できず。やはり映画の主人公は一番活躍して欲しいというのが正直な所。ピッチャーであり4番である必要もないが、せめてドでかいホームランくらいは打って欲しい。なんか活躍が、地味といいますか…。多分成長する前の段階を丁寧に描いてないからだと思う。それ故に、ナツキが侘助へ抱いていた憧れなのか初恋なのか分からない感情が、ラブマシーン(その感情のメタファー?)をぶっ倒すことで、主人公への恋に発展したという展開も、やや唐突で説得力が足りなかったように思う。他の選手の活躍は、各々泣き所があって良かったのだが。みんなが主役の物語ってのも悪くないが、自分は物足りませんでした。一番印象に残ったシーンは大屋敷の長い縁側で、各々が死の悲しみに浸っている箇所。人間と自然が一体となってる感じ、生と死が身近にある日本の田舎の原風景を描いているようで素晴らしかった。[映画館(邦画)] 6点(2009-08-22 14:34:27)(良:2票)

17.  トウキョウソナタ 《ネタバレ》 家庭というものが形骸化、空洞化し、ギリギリのとこでなんとか成立している家族というのは、まぁ陳腐だがリアルなのかもしれない。しかしやや不満もあった。ここでは、主役の父親について。彼には、自分なりの理想とすべき威厳のある父親ってのがあるらしく、それを家族の前で虚勢を張って示している。しかし実際はプライドが邪魔をして本来の自分を家族の前で晒せないでいる可愛そうな男。ちょっと切ない。後半、車に轢き逃げされて覚醒するのだが、これも副次的なものにすぎず、自分から変わってやろうという意志が最後までほとんど感じられない。どこまでも受け身な感じが気になった。そしてラストに向かうわけだが、あの終わりだと、子供の才能に希望を託して終わったようにしか見えない。息子が弾く『月の光』は、親が太陽になってあげないといけないってメッセージなのだろうか?(月光は太陽無しには成立しませんからね)何れにせよ、ぶっ壊れた家庭の中に存在する、うっすーーい希望しか描かれていない。それ故に、あの父親のままだと、挫折ゆえに満たされなかった不満を子供に押し付けるような教育パパになってしまいそうな危機感が募る。親自身が発光して見えないんですよね。自分の満たされないモノを子供の価値で満たそうとする親っているじゃないですか。ああいう人達とダブって見えて、「これでいいのか…?」と何とも煮え切らない結末だった。父親の精神的成長をみたかったです。家族全員、落すなら落して欲しいし、希望なら希望を見たい。末っ子だけじゃなくて。父親が朝ピアノを買って自宅に戻ってきて、朝食後、「月の光」を息子がリビングで弾くという展開ならまだ納得できたかも。何れにせよ、どうにも中途半端で、映像と音楽の良さに脚本が追いついていない印象。役所の登場シーンは言うに及ばず、構成、台詞などもいまひとつ。しかし、ホラーとコメディを交互に行き来する不思議な世界観は充分に堪能。一番笑ったシーンは、キッチンで大威張りしてる父親のシーンの次に、ハロワの階段に並んでる父親を上から目線で撮ったシーンをつないでいるとこ。ニクイ。サントラ欲しくなった。[DVD(邦画)] 6点(2009-08-17 14:38:48)

18.  ラヂオの時間 《ネタバレ》 三谷作品はあまり肌に合わないのだが、これは良作。群像劇でありながら、キャラの一人一人を大切に描いています。コンパクトなまとまり具合も◎。無理やりな展開も多々ありますが、各キャラがその時々で、自分の状況と性格を踏まえ、必死に考えて行動しているので展開が読めない。近藤芳正がラヂオに参戦してくるところが特にツボ。どなたかが書かれておりましたが、生ラジオドラマの土壇場での大幅手直しというありえない(だろう)設定なので、ファンタジーとして楽しむのが良いかと。ラストの運ちゃんの登場のさせ方を工夫して欲しかった。[DVD(邦画)] 7点(2009-08-16 15:37:37)

19.  ぐるりのこと。 《ネタバレ》 現代日本の問題と希望を法定画家という視点を通して描いた作品。橋口監督が得意とする感情の細やかな描写が冴え渡る。これまでの橋口作品の印象は、短歌のように感情の機微を描写したシーンの集合体であり、悪く言えば寄せ集めの歌集のようなイメージが拭いきれなかった。しかしこの作品は、それぞれの歌が総合的に共鳴し、一体となって感情のうねりのようなものを生み出している。鑑賞後、あたたかい涙が流れる素晴らしい作品だった。この監督の眼差しが心に沁み込むのは、自身が患った鬱病や同性愛者として社会から受けた偏見、それらによる実体験に基づいて、真摯に人間と向き合ってきた結果なのだろう。本当に沢山の人間の美しさや汚さを見てきたのだと思う。そしてこれ程までに、日本人の美点と欠点、その両方を鋭く描写できる監督は、僕にはあの小津監督以外に浮かばない。小津は省略が上手い監督であるが、橋口はその逆の長回しでその場の空気感を伝えるのが上手い。両者に共通するのは日本を愛する心と繊細さとユーモア。そして、この映画では、監督が今の日本を憂いていて、どうしてそうなったのかを、失われた10年を振り返ることで問題提起しているのだなと思った。どこまでも日本というものに拘って撮った作品であるのは間違いない。個人的に印象に残ったのは、日本人の愛情表現を描写したシーンの美しさ。欧米の方が見たら、こんな感想を持つだろう。なぜ彼女を強くハグしないんだ、なぜキスをしないんだ、なんで愛してると言ってあげないんだ、等々…。こういった疑問には、こう答えるしかない。「これが日本人である」と。最後の方のシーン。二人で完成した天井画を見つめ寝転がる。そっと手をつなぐ。そして、足でお互いを蹴りあう。素晴らしい日本的な愛の表現方法だと思う。しかし、悲しい哉、時には直球で表現することも必要なんですね。それは日本人の欠点。白黒つけず曖昧なままだったから、カナオを女好きなだけな男だと勘違いして、ショウコは勝手に妄想爆発して病んでしまったのでしょう。段々分かってくるが、彼は"ヒト"が好きなのである。その眼差しは、どこまでも多角的であたたかい。ところで、この夫婦は、死んだ老婆のようにスケッチされた女性の心も救ったのでしょうね。大事に持っていたカルキ臭い壺が割れたのは爽快だった。はからずも、小津の傑作『晩春』の壺を思い出した。[DVD(字幕)] 10点(2009-07-23 19:56:38)(良:2票)

20.  ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 《ネタバレ》 このアニメが始まった当初、シンジやレイやアスカと同じ14歳だった。そして、それ以来その倍近くの時間をこの作品と共に過ごしてきたわけだけど、今劇場版の破の上映時間中ずっと、過ぎ去った過去の膨大な記憶が怒涛のように押し寄せてきた。ああ、俺も大人になったんだなあと思った。そして、もうあの頃には戻れないんだということをはっきりと感じた。なぜか目頭が熱くなった。ダウナーな世界に入り浸り、その世界にカタルシスを感じていたあの当時、誰もが見たかったエヴァ、心の深い奥底で無意識に望んでいたエヴァはこれだったのかもしれない。仕掛けられた謎や難解さで注意を引き膨大な奥行きを感じさせるあの魅力とは違う、心の鬱屈した部分をナイフで抉り出すあの魅力とは違う、心の奥底でこうなって欲しいと漠然と思っていた形が眼前に広がっていた。いや、こうなって欲しいという想像を軽く超えていくほどに素晴らしい出来栄えに仕上がっていた。心のツボを同時に四方八方から強烈に刺激されている感じさえした。動機付けや設定にメスを入れ、娯楽追求を徹底していた。特にシンジ、レイ、アスカの変貌ぶりには泣かされてしまった。各キャラに、人間らしいあたたかな感情が流れている。REBIRTHで激しく心を揺さぶられ、その後の夏エヴァでどん底に叩き落され、激しいトラウマを与えられ現在に至るのだが、これからまた前回のように叩き落とされるのかもしれないという一抹の不安はある。頼むからこのベクトルを保って欲しい。暗闇の中に燻る希望の光も描いて欲しい。次作以降でまたトラウマ方向に持っていかれたら、自分の中で、この『破』をヱヴァンゲリヲンの結末にしようと思う。 未完なままでもいい。それでいい。[映画館(邦画)] 10点(2009-07-16 03:42:13)(良:2票)

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