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1. ふがいない僕は空を見た
《ネタバレ》 どんなに惨めで辛くても生きている意味はある。自分の生き様や存在意義に自信が持てなくなった時,孤立無援な時、そんな時は空を眺めれば「生きることには意味があるのだよ」と問いかけてくれる。そんなことをこの映画は教えてくれるし、そこにこの映画を作った監督の温かい人柄を感じることができる。義母からのプレッシャーを一身に受けつつコスプレに走る女性も、その女性とセックスしているところをビデオ動画で撮影されネット配信された高校生も、母から痴呆症の祖母を押つけられて極貧の中で暮らす高校生も、まだまだいろいろな事情を背負った人物が登場するけれど、みんな憤りながら生きることに執着して、だからこそ現状と変わらない自分に悶々としている。そして、何かのきっかけで吹っ切れた時、登場人物の表情には、冬も近くなった秋晴れの空のように,身が引き締まるような爽やかさがある。最後のシーンで、おそらく一人で生きていくこととなっただろう田畑智子がプラットホームで電車に乗り込むときの表情に、非常にひきつけられましたし、ほっとしました。[DVD(邦画)] 7点(2013-09-01 21:27:05)(良:1票)
2. ぐるりのこと。
《ネタバレ》 夫婦の形はいろいろあるだろうけど、この二人のように別に「手を握るぞ」といってそうすのではなく自然にそうできることの清らかさと、また苦労した時もじっと我慢してきたからこそその時間が訪れたということを、この映画は嫌みなく教えてくれます。
夫婦とは「寄り添うこと」なのでしょう、それは相手を好ましいと思うときだけではなく、この映画のように相手が病んだり苦境に立たされた時でもです。現実の世界では、相手が病んでしまった場合はこの映画のシーンのようなことが度々起こると思われ、その時は「もう勘弁してくれと」言葉や態度に出したりするはずです。でもそんな事があっても「逃げずに寄り添う」気持ちがあれば、やがては二人で穏やかな時が来るのではないかということを、リリーフランキーの演技が柔らかく伝えてくれました。
リリーフランキーは法廷画家を職業としているため、多くの裁判の場面が出てきます。その中でも被害者の家族・夫婦が出てくるのですが、被告人から心を傷つける言葉を浴びた妻を、ぐっと抱きしめる夫の姿からも、この映画のテーマを自分もじっと噛みしめました。
[DVD(邦画)] 7点(2013-08-25 18:00:49)《改行有》
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