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【製作国 : インド 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
1. ハプニング 《ネタバレ》 静止する人々、髪留めをおもむろに抜く読書中の女性、建設現場で次々と飛び降りてくる作業員たち、木に突進する車、芝刈機を動かす男…などなど自殺者のシーンがとても痛々しくて目を背けたくなります。その自殺を引き起こす前兆が、吹いてくる風、車のルーフにある切れこみ、ブランコでしなる木などで演出されるのですが、シャマラン監督はこういうのがとっても巧いと思います。最後に逃げ込む家の異様さもたまりません。・・・ただストーリーテラーとしてのシャマランのアイディアは枯渇してしまったのかと心配になってしまいます。例えば彼らが守るものはなぜ親友の子供なのかなど十分に機能しているとは思えません。「サイン」と同じように正体不明?の恐怖に襲われる…あるいは「ヴィレッジ」と同じように愛する者のために安全な空間から危険な外へ出て行く…のですが、「サイン」のように神の啓示で、「ヴィレッジ」のように愛の力で乗り切るわけでもありません。まさかシャマラン監督が地球の環境問題を題材にしているとは思えませんので、人知の及ばぬ圧倒的な力を前にした時、ただただ愛する者のそばにいたいということなんだと思います。スピルバーグ監督の「宇宙戦争」では人類は協力してトライポッドを撃破しましたが、本作では集団はダメだと言います。最後には男と女と子どもだけ、純粋に立ち返った時に助かります。だからこそ最後の妊娠関連のシーンがいずれも印象的で良いのです。[映画館(字幕)] 7点(2008-08-15 18:30:03)(良:1票) 2. 大樹のうた 《ネタバレ》 「大地のうた」から人生をオプー一家で体現してきた三部作が、ついにここに完結!・・・ですが、先に言ってしまえば前二作と比べてこの最終章は少々落ちると思います。徹底して〝生〟を描いてきた三部作には必然的に〝死〟が伴っており、今回もオプーの新妻が早産で亡くなってしまうという過酷な現実とつきあわされます。オプーの幸せそうな新婚生活が微笑ましく描写されているからこそ余計に辛くなっており、死の報告に来た者を殴ってしまうオプーの遣る瀬無い怒り、哀しみが伝わってきます。しかし、オプーの時間が止まってしまってからはいささか退屈になります。人生は待ったなしで進みオプーの息子はどんどん成長し、一部二部でオプー登場のファーストショットと同じく顔をチラッと見せて登場するあたりは可笑しいのですけど…。何と言いますか、一家のありのままの姿をリアリティに富ませ詩情的に描いてきた前二作とは異なり、もはや日常が消えてしまっているから物足りなさを感じたのかもしれません。でも決してそれだけではなくて、例えば汽車などは一、二作目では物凄いパワーを有していたのに対して本作では詩情もドラマ性も欠き印象深いシーンには見えないのです。さらにそれに反して物語は一部と比べ、二部、三部と段々センチメンタルになってきているから違和感を覚えるのです。それでも、肩車の親子が歩んでいく幕切れは、苦しみながらも再び一つの家族として歩み始めた姿であり、人間が営んでいく人生そのもので壮大な三部作のラストを飾るのに相応しいでしょう。 風土やカースト制度への問題提起などなど〝インド〟を映し出し、この一大叙事詩を作り上げたことは凄いとしか言い様がありません。いやぁ、インドにもサタジット・レイなる凄い監督さんがいたのですねぇ。歌い踊るばかりじゃない。さすがは映画大国ですな。[DVD(字幕)] 7点(2008-01-10 18:32:39)《改行有》 3. 大河のうた 《ネタバレ》 「大地のうた」に引き続きオプー一家を見守る今作には、ついにインドの代表的なガンジス河が登場し、そのほとりから伸びる階段の使い方がまた何とも素晴らしいです。が、やはり第一部同様に汽車がとても良い役割を果たしドラマ性を高めています。というのもこれは母子の、殊に母親の物語でありますから岸壁の母のように汽車を待ち続ける母親の姿が胸を打つのです。この母親は第一部の時から他の家族の面々とは異なり家の外にほとんど出ません。家族を、家を守っているのです。だからこそ一人になると弱々しくなりますし、オプーの帰りを待ち戸口は開け放たれています。孤独に年老い弱っていく母親の姿は酷に映りますが、これこそが現実であり人生なのでしょう。母は強く美しく、そして悲しい。[DVD(字幕)] 8点(2008-01-09 18:12:32) 4. 大地のうた これは紛れも無くインドを撮った映画なのですが、この感性は同じアジア人である日本人の胸にも響きます。貧しい一家のこの生きる姿!オプー登場のファーストショット、雨中のお姉ちゃんのダンス、杖つくお婆ちゃんの歩く様子、人間というものが驚くほどしっかり描写されており一家を通して〝生きる〟ことを具現化しています。そして動物に虫に植物、生きとし生けるものはもちろんのこと汽車の登場シーンも抜群に素晴らしい。〝映画史上ベスト汽車〟があったら確実に上位に食い込みますな。残りの二部を観ずにはいられなくなります。[DVD(字幕)] 9点(2008-01-08 18:59:39)
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