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1. インファナル・アフェア 無間序曲
《ネタバレ》 ゴッドファーザーを意識している創りにはなっているが、決して劣化コピーではなかった。
それぞれが、それぞれ複雑な想いを抱きながら、引き返すことが出来ない場所に辿り着く。戻ることが出来ない場所が地獄の一歩とも言えようか。
それぞれの悲痛で複雑な想いが互いに絡み合い、実に見事としか言いようがないストーリーに仕上がっている。
他の人とは感想は違うが、個人的に1では足りないと感じた緊張感が、1で結果が分かっているとはいえ、2では2時間保たれていると感じた。
ウォン警部は警察官としてあるまじきことをした所で、ラウはマリーが自分のところを離れた時に電話をした所で、マリーはサムを愛した所で、サムは警察と協力して証言台に立つ事よりもハウと刺し違えることを選んだ所で戻れなくなっている。
それぞれが戻れない場所に来ているのに一人、戻ることを夢見て、「自分は警官だ」と(自分に)言い聞かせるヤンが痛々しくも熱い。
もう何が善で、何が悪なのか分からなくなる世界、それだけに善悪が一義的に定まらない所に面白さを感じる。
個人的に好きだったのがサム、マリーの写真を見て、その後何かを吹っ切ったように歩くシーンには、複雑な想いを感じずにはいられない。
1と2の繋がりの粗さは気になるけど、封筒を持ちながら歩くラウの仕草や、ヤンの子どもを結局オロさなかったメイや、ラウとメリーとの出会いも描かれているのも嬉しい限り。
エンディング後に流れた3の予告編を見て、3もまたかなり楽しみになってきた。9点(2004-09-20 21:28:50)(良:2票) 《改行有》
2. インファナル・アフェア 終極無間
《ネタバレ》 大変楽しみにしていた三部作の最終章。評判の高かった「1」に、世界観が広がった「2」に対して、「3」でどういうオチを付けるのかを楽しみにしていた。
鑑賞後の感想としては、製作者のやりたいことは大体分かった。ラウの末路こそ正に無間地獄に違いないとは思った。
結論やアプローチ自体は面白いし、評価したいが、映画としてはあまり面白くはない内容となっている。
1や2でせっかく世界観が広がったのに、何故かその世界観を狭めて、こじんまりとしてしまった感がする。
まずはキャラクター。
ヤン(トニーレオン)に比べてヨン(眼がねのエリート)、サムに比べてシェン(大陸の武器密売商)はあまりにもキャラクターが小粒過ぎる。
ラストを締め括るには、もっと大物が欲しいところ。確かに「3」はラウのストーリーなので他のキャラクターは要らないと思う人がいるかもしれないが、ヨンとシェンは「2」のハウよりもインパクトに欠けるというイメージだ。
「3」でもサムの存在感は際立っていた。何事にも抜け目ないところや、部下を見殺しにしながら、「俺なんて2回も死んでるんだぞ」なんてセリフはサムならではのセリフ。大部分のキャラクターが死んでいるのだから、サム並のキャラクターが一人でも新規に出て欲しかった。
そしてストーリー。
時間軸を細切れにしたり、はたまた同時に進行させるというのはない話ではない。
本人は整理しきれているつもりだろうが、その効果としては初見の観客が見ればただ混乱するだけになっている気がする。
むしろラウ本人にしっかりとフォーカスを当ててじっくりと、善人になりたいがためにありもしない架空のイヌを追い続ける虚しい姿を観客に見せて、妄想を追うがために自分が自分でなくなっていく過程、自分を認識できなくなり他人を自分に重ね、自分をヤンに重ねていく姿をきちんと描くべきだっただろう。
このあたりがどうもさらりとラストの少々の時間で描かれすぎてしまっている気がする。
ラストもラウにいきなりあんな行動を取らせずに、ラウでしか感じ取れない「地獄」について、何か喋らせても良かったと思う。[映画館(字幕)] 5点(2005-04-17 22:51:52)(良:1票) 《改行有》
3. インファナル・アフェア
ポイントは個々人にとって色々あるだろうが、自分はラウの人生は本当に無間地獄なのかという点に注目してみた。
冒頭に触れられていたが、無間地獄とは絶え間なく責め苦にあうという意味だが、ラウの人生は果たしてそうだったのか?
最初の見所である内通者合戦からラウは命懸けでボスを守ろうとしている。はっきり言って悪の道を必死にやっているようにしか見えない。
つまりラウという人間が本当は善人であり、善人なのに苦しみながら悪事に手を染めているようには見えないのである。彼の行動は全て自分自身のことしか考えていないように見える。
ラウの苦しみが描かれていないからイマイチ感情移入できないのである。一方、ヤンの方は安心して眠れる場所はただ一つ、ケリーチャンの椅子だけであり彼の苦しみ、地獄は感じ取れた。
チャンが次は見た夢を教えてと精神科医として言った時に、「夢で会おう」と語ったセリフはカッコ良かった。
ラストももう一工夫欲しかったと思う。
自分なら、善人の道を歩みたいと嘆いたラウに対して、潜入の苦しみを知っているヤンはこの地獄から抜け出させるために手を差し伸べるようにすると思う。
そのやっと掴んだ自分の道を一歩、歩もうとした時にもう一匹のイヌが出てくる方がいいだろう。
イヌはヤンを殺し、証拠をネタにラウを再び悪人の道に引きずり込む。それが無間地獄というモノだろう。
ラストの歌にもあるようにやっと見つけた自分の道が、自分の人生を変えることも許されずに、振り出しに戻る、それが地獄というもの。
イヌを殺したら地獄でも何でもない。少しLAコンフィデンシャルに似ているのもマイナスかと思う。5点(2004-09-19 00:35:17)《改行有》
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