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プロフィール
コメント数 1274
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

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【製作国 : 香港 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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1.  ラ・ラ・ランド 《ネタバレ》 冒頭におけるハイウェイでのダンスの異常なテンションには圧倒され、「これはドえらいミュージカル映画ではないか」と大いに期待させられたのですが、あれが本作最大の見せ場であり、しかも、主人公たちのドラマには直接関係のない序曲みたいなものだったという点で、ガッカリさせられました。 エンタメの世界を舞台にした青春ドラマという素材は監督の前作『セッション』と共通しているのですが、イヤな指導者といかに相対するのかというテーマに普遍性のあった『セッション』と比較すると、本作はエンタメ業界に寄りすぎているために、一般人にとっては他人事に見えてしまうという欠点があります。夢を目指した経験のある人にとっては大いに共感できる内容なのかもしれませんが、大多数の観客にとっては、主人公2人の抱える苦悩への共感がかなり薄くなってしまいます。 また、主人公2人ともに才能があって、両方が成功を収めるという甘々の結末にもリアリティを感じませんでした。成功者に対して圧倒的多数の失敗者によって成り立つエンタメ業界のお話しをするのであれば、カップルのうち片方、もしくは両方が夢を諦めて現実社会に戻り、それなりの幸せを掴むというオチとした方が、一般の観客からの理解は得られやすかったのではないかと思います。 失敗という点でいえば、エマ・ストーン演じるミアがいったん夢を諦めて実家に帰るという展開がありますが、一人芝居での失敗はともかくとして、それまでのオーディション場面などではさほど屈辱的な描写などはなく悩むほどの苦しみを味わっていたようには見えず、展開にやや唐突感がありました。この辺りは、ハーバード卒という綺羅星の如き経歴と、若くして天才と持て囃される才能を持ち(彼は本作で史上最年少のオスカー監督賞受賞者となりました)、底辺で屈辱を味わった経験のないチャゼル監督の限界なのでしょうか。 また、本作は古き良きハリウッドのミュージカル映画を参考としすぎる余り、不自然な展開がいくつかあった点もいただけません。例えば主人公たちは何度かすれ違いをし、そのすれ違いがドラマの分岐点となるのですが、そのどれもがメールか電話をすれば簡単に解決した問題であり、見ていてイライラさせられました。こんなことならば、時代設定を50年代か60年代にすればよかったのです。 とまぁ文句を書いてきましたが、「もしあの時、違う行動をとっていれば、今の自分の隣にはあの人が座っていたのかも」というラスト15分は大好きです。この部分には、あらゆる人が共感できるのではないでしょうか。[ブルーレイ(字幕)] 6点(2017-08-12 17:22:59)《改行有》

2.  ボーダーライン(2015) 《ネタバレ》 ハリウッドが本格的に製作した麻薬戦争映画は『トラフィック』以来となりますが、見掛け倒しで何だかボヤっとしていたソダーバーグとは違い、本作では”凶暴なメキシコ麻薬カルテルvs戦争慣れした米国防総省”という燃えるカードが準備されています。最高でした。 この戦いの激しさは想像を絶するものであり、例えばFBIの中ではかなりの敏腕だった主人公ケイトが国防総省の特殊部隊では完全にできない奴扱いで、「まぁ邪魔しない程度にやってよ」なんて言われているわけです。いろいろ見聞きする中でケイトなりに怒りを感じたりもするものの、ジョシュ・ブローリン隊長からは「はいはい」と軽くあしらわれる始末。FBIが国内で相手している犯罪者達とメキシコの麻薬カルテルではまったくレベルが違うのです。 そんな麻薬カルテルに対する米側のカウンター兵器として登場するのがベニチオ・デルトロ演じるアレハンドロ。元はコロンビアの検事だったものの、家族を惨殺された恨みから殺し屋に転向したという情け無用の殺人マシーンです。暗殺者を意味する原題は彼を指したものだと考えられますが、検事という畑違いの経歴を持つアレハンドロが、米国防総省からも一目置かれるほどの暗殺者に変貌を遂げた過程ではとんでもない訓練に耐えたのだろうということが想像され、こちらでも燃えました。 本作は多くを語る映画ではないのですが、登場人物達の過去には一体何があって今に至っているのかという含みが多く持たされているためにドラマ性が高いレベルで維持されています。ロジャー・ディーキンスによる美しい撮影とも相まって、あらすじ以上に格式の高い作品に見えています。こちらもお見事でした。[ブルーレイ(吹替)] 8点(2016-10-25 15:25:07)(良:1票) 《改行有》

3.  レヴェナント 蘇えりし者 IMAXにて鑑賞。 序盤のインディアン(表現が不適切でしょうか)襲撃シーンは素晴らしい迫力であり、大傑作の予感がしました。実際、本編はエマニュエル・ルベツキによる美しい撮影や、つい「もう一回見せて」と言いたくなるような驚きの見せ場があって、これは何か賞を与えねばと思わせるだけの風格が備わっています。 ただし、イニャリトゥ監督作品でお馴染みの、わかりきったことをやたらチンタラ描くという悪癖は今回も健在であり、どれだけ素晴らしい撮影があるにしても、観客の生理を考えずにダラダラと見せられるのではこれにもだんだんと飽きてきます。 ディカプリオは本作で悲願のオスカーを受賞しましたが、これについても厳しい撮影をよくやりきったという努力賞的な印象が強く、観客を圧倒するほどの鬼気迫る演技というレベルには達していませんでした。 本作は全体的に「賞好みの映画」という印象であり、一般の観客を喜ばせるタイプの映画ではないように感じます。[映画館(字幕)] 5点(2016-04-23 10:33:22)《改行有》

4.  刑事ニコ/法の死角 《ネタバレ》 本作以前に映画への出演記録はまったくなく、舞台やテレビの経験もない。端役やエキストラとして見切れていたという目撃情報すら一切なく、エンタメ業界とは何の縁もなかった男が(武術指導として撮影現場に出入りはしていたようなのですが)いきなり一枚看板でデビュー。デビュー間もなくから大役を任されるということは、マーロン・ブランドやトム・クルーズらごく限られた実力者のみに与えられる栄誉なのですが、セガールに対する扱いはそのレベルに留まっていませんでした。メジャースタジオが直接製作する企画のコントロールまでを許されており、さらには、彼自身による原案の脚色には『エイリアン』『トータル・リコール』で知られるロナルド・シャゼットが、監督にはチャック・ノリスの最高傑作とも言われる『野獣捜査線』を撮ったアンドリュー・デイビスが雇われるという鉄壁のサポート体制が敷かれており、ハリウッド史上、後にも先にも例のない特別待遇で迎えられていたのです。。。 そんな本作ですが、良くも悪くもセガールの大物ぶりが発揮された内容となっています。映画への出演経験のない人間とは思えない程の落ち着きや存在感はさすがのものだし、圧倒的に強くて負ける気がしないという抜群の安定感もこの頃からです。以後四半世紀以上に渡る俳優としてのパブリックイメージを本作1本で作り上げてみせたという実績は驚異的としか言いようがなく、セガールのセルフプロデュース能力の高さは評価せざるを得ないのですが、同時に、ファン以外には受け入れ難い、個性的すぎる作品となっていることもまた事実。デビュー作なのだから、もっと王道に寄せてもよかったのではないかと思います。。。 本作の脚本はなかなかの出来です。シカゴの下町でCIAの陰謀を暴くという荒唐無稽な内容ながら、謎の振り方やネタ明かしがうまいので、思わず引き込まれてしまう面白さがあるのです。特に、主人公が追われる身となり、孤立無援の中で真相に辿り着こうとする後半の展開には適度なスリルが宿っており、一流脚本家を雇ってきたことの成果は確実に現れています。セガール自身も本作の出来に満足したのか、この脚本は以降のセガール作品のテンプレートとなり、特に『沈黙の戦艦』以前の初期セガール作品は、どれがどれだか区別が付かない程にこの内容を流用したものとなっています(本作以降の3作品をすべて全米1位にした実績はさすがですが)。[地上波(吹替)] 7点(2014-02-09 03:21:58)《改行有》

5.  ラスト、コーション 枢軸国の占領地域を舞台とした潜入スパイものであり、過激な性描写をハイライトとし、さらには敵・味方を越えた男女の情念が交錯する物語。ポール・バーホーベン監督の『ブラックブック』と非常に酷似した概要を持ちながら、なぜこうも違うのかという程にまったく別の作品となっています。これが作家性というものなのでしょうか。。。 二転三転するストーリーを畳み掛けるような勢いで繰り出した『ブラックブック』に対して、本作は一直線に進む物語をじっくりと、ひたすらにじっくりと描きます。バーホーベンのやり方と明確に違うのが刺激的な描写を極力抑えているという点で、トニー・レオン演じるイーの日常の姿をまったく映さないということに、アン・リーの個性を感じました。イーは中国人でありながら日本の傀儡政権の重鎮を務め、同胞の拷問や処刑を主な職務とする人物。極端な言い方をすると、人殺しが彼の仕事なのです。イーは職務から相当なプレッシャーを受けているらしく、人格の維持すら困難な状態となっています。普段はクールに振舞って個性を消しているものの、チアチーとの密会の折に素顔を覗かせる場面では、同一人物とは思えないほどの感情の振れ幅を見せるのです。もしバーホーベンであればイーの人物像に関心を持ち、彼の残酷な日常を克明に描写しようとしたはずですが、アン・リーはあえてこれを隠しました。彼はあくまでチアチーの見たもののみを描写することに拘り、視点を分散させなかったのです。このバランス感覚こそがアン・リーの良さなのですが、同時に面白みのないところでもあります。彼の映画は良くも悪くも官僚的で、破綻なく丁寧にまとめられてはいるものの、全体のバランスを崩してでも描きたいものがないので面白みに欠けます。もう少し遊びがあればグッと面白くなったはずなんですけどね。[ブルーレイ(吹替)] 7点(2013-01-26 22:04:02)《改行有》

6.  ウォーロード/男たちの誓い 合戦シーンは見応えは十分で、大規模なモブと華麗な功夫の絶妙な組み合わせは香港映画ならでは。ハリウッドがどれだけの大金を投じても不可能なアクションを堪能できます。さらに硬派なドラマとしての魅力もあります。兵士の風紀や捕虜の処遇等を巡ってジェット・リーとアンディ・ラウが対立する場面ではどちらの言い分にも筋が通っていて、観客にも頭で考えることを要求してきます。盗賊団の頭をやっていたアンディ・ラウが人情や約束といった価値観で物事を判断するのに対して、官僚出身のジェット・リーは「天下をとるために、今はどう動くべきか?」と冷静な計算で意思決定を下します。そして、本心ではアンディ・ラウの意見を支持しながらも、ジェット・リーの論理的な説得に同調してしまう金城武が間に入るわけです。この3人の構図にはなかなか興味深いものがありました。アクションではなく男のドラマを中心に据えた構成には気合が入っており、なかなかの意欲作だと思います。ただ、残念なことに香港映画特有の作りの粗さが硬質なドラマに追いついていません。過剰演出・過剰演技が暑苦しすぎるし、そんな感情の押しつけが激しい一方で、物語における状況説明は不親切。「誰が」「何のために」という部分の説明が甘いために、時折話を見失いそうになりました。アクションもドラマも勢いで押し切ろうとするところが大陸ならではの欠点で、もう少し精密な仕事をしてくれていれば、見違えるような傑作になったと思います。[DVD(吹替)] 6点(2012-02-04 14:09:22)

7.  HERO(2002) カンフーをここまで美しく撮った作品は前例がなく、芸術的には満点に近い作品だと思います。カンフーといえばB級娯楽のイメージが強い中、重厚な時代劇でこれを見せた監督の腕前は驚異としか言いようがありません。また、ジェット・リーを演技派に見せてしまう演出力も大いに評価するところであり、良い監督の良い仕事を見られる作品として一度は見る価値のある作品だと思います。。。ただしこの映画、構成に大きな失敗がふたつ見られました。第一の失敗は、ジェット・リーvsドニー・イェンという作品中最高の見せ場を序盤に持って来てしまったこと。達人級の二人の対決を超える見せ場など作れるはずもなく、序盤をピークとして尻すぼみにテンションが落ちていきます。もうちょっとうまく配分して欲しいところでした。第二の失敗は、同じ場面の回想を三度も繰り返したのはしつこすぎたこと。トニー・レオン、マギー・チャン、チャン・ツィイーはみな素晴らしい俳優なのですが、同じ場面を何度も何度も見せられるとさすがに飽きてしまいます。オチを知ってから振り返っても回想を重ねることの意義を感じることができず、あんなに手の込んだ回想場面を作る必要はなかったように思います。[映画館(字幕)] 7点(2010-11-27 22:40:53)

8.  インファナル・アフェア 終極無間 《ネタバレ》 斬新なアイデアで大ヒットした「Ⅰ」、「Ⅰ」とはまったく作りを変えて直球勝負のヤクザ映画にした「Ⅱ」と比較すると、「Ⅰ」の後追いである本作は分の悪い立ち位置にあります。また、シリーズも第3弾ともなれば「またかい」と観客から飽きられる(呆れられる)作品が大半なのですが、その点で言えば本作は重厚な雰囲気を維持していてシリーズの名を落とすような出来にはなっておらず、後付けの続編としては異例なほどまっとうな質を保っています。新キャラであるヨン、シェンはかっこいいし、彼らの存在に関わる謎は作品全体を引き締めています。サーガを締め括るオチの方向性は悪くないし(後で技術的な欠点は指摘しますが)、「インファナル・アフェア」の続きを作れと言われてこのオチに決めた監督の判断は間違っていなかったと思います。。。と、全体的には評価できる仕上がりなのですが、部分的にはいくつか欠点も指摘できます。まず多くの方が指摘されている通り、時間軸がしょっちゅう移動し、おまけに現実と妄想の混ざり合う構成は複雑すぎで、話を理解することに過度の集中力が要求されるために感情面では乗り切れませんでした。それだけ話をややこしくした割には、ラストのネタバラシでは「そうだったのか」と最後のピースが埋められたような感動も薄く、これならばよりシンプルで人間ドラマにフォーカスした構成にした方がよかったと思います。次に、ラウが精神崩壊していく様の描写が不足しているため、ラストの展開に唐突感がありました。彼の混乱状態を示す場面はいくつかあるものの、監督の計算違いのためかそのどれもが「疲れてるから変な幻覚見たんだ」程度の印象しか残せていません。せっかくケリー・チャン演じる精神科医が傍にいるのですから、ラウの精神が危険域にさしかかっていることを彼女に説明させればよかったと思います。最後に、ヤンの人格が「Ⅰ」とは別人となっています。「Ⅰ」では警官に戻りたいと願いつつも、恐らく自分はヤクザの世界で近いうちに死ぬのだろうと悟って苦悩のどん底にいたヤンですが、本作では冗談を言い、終始笑顔の明るい人間となっています。ヤンの別の面を強調したくて意図的に演出を変えたのでしょうが、同時に暗い面も描かなければ「Ⅰ」との整合性は保てません。「Ⅰ」ではヤンを「兄貴」と慕っていたキョンが、本作では相棒的な立ち位置に変わっていることにも違和感がありました。[DVD(吹替)] 6点(2010-08-29 02:19:41)

9.  インファナル・アフェア 無間序曲 「インファナル・アフェア」の物語はどう見ても「Ⅰ」で完結していて、蛇足となるであろう続編には期待していなかったのですが、これが意外なほど良い仕上がりとなっています。強力な一発アイデアを背景にドラマを構築した「Ⅰ」と比較すると作品の大元部分に「Ⅰ」ほど強力な仕掛けを持たない本作は分が悪いのですが、その弱点を抜群の演出力と構成力でカバー。直球勝負の本格的なヤクザ映画として製作されており、映画としての出来はこちらの方が上かもしれません。前作では恋愛部分など一部の演出に稚拙な面が見られたのですが、本作ではそういった弱点はほとんど改善されていて、「Ⅰ」の成功に満足せず地道な質の改善がなされたことが伺えます。。。。若き日のラウとヤンを演じるイケメン俳優は完全に脇役扱いで、伊吹吾郎似のウォン警部、チビでデブの春風亭小朝のようなサム、地味なインテリ顔のハウが本作の主人公。見た目の美しさなんて二の次、中年オヤジ達が知恵を尽くして戦う姿が描かれる苦み走った男のドラマなのです。冒頭で香港闇社会の大物が暗殺され、組の二代目に就任したのは昨日までカタギだった息子のハウ。こりゃ俺達の天下だぜ!と闇社会の中堅達は大いに盛り上がるのですが、これに対してハウは迅速かつ的確な抱き込み作戦を展開し、まだ注目される存在ではなかったサムは、この事態を冷静に観察して闇社会での存在感を現しはじめます。ここでハウが只者ではないこと、サムは冷静な戦略家であることが強調されるのですが、この一連の描写の的確さ、面白さには目を見張りました。とにかく前半は圧倒的な面白さで、ヤクザ映画としては最高レベルの仕上がりとなっています。後半に入ると、残念ながら作品の勢いは落ちてしまいます。観客を騙そうとして編集や演出に捻りを加えたために、映画が複雑になりすぎてしまったのです。ただし物語は依然として骨太で見ごたえがあり、最後まで飽きることはありません。本作について苦言を呈すなら、後付けの続編であるためにいくつかの点で「Ⅰ」との整合性がとれていないことです。最大の難点はヤンであり、兄であるハウを目の前で殺され、さらに一族郎党を皆殺しにされながらサムの子分に収まることはさすがに不自然です。また父の暗殺に関与したウォン警部に忠誠を尽くし続けることも疑問。こうした矛盾をうまく回避できていれば、続編としてより評価できる作品になったはずです。[DVD(吹替)] 7点(2010-08-29 02:18:49)(良:1票)

10.  グリーン・デスティニー 登場人物や舞台設定の紹介が一通り終わると、「待ってました!」とばかりに登場するワイヤーアクション。前年に公開された「マトリックス」などは比較にもならない程の本家の素晴らしい技には度肝を抜かれます。演じる俳優及びスタントマンの身体能力の高さ、ワイヤーを扱うスタッフの熟練ぶり、カメラワークの的確さ、どれをとっても超一流です。アン・リー監督のフィルモグラフィーを振り返ると、英国貴族の恋愛物語に、郊外の家庭が崩壊するドラマに、南北戦争ものに、アメコミに、エロティックサスペンスにと、東洋のキューブリックと言えるほど幅広いものです。この恐るべき守備範囲の広さは、未知の題材を徹底的に研究して自分のものとする監督の勤勉さ、主題を丁寧に扱う生真面目さがあってこそのものだと思うのですが、本作についてもその資質は大きく貢献しています。監督にとってカンフーを扱うのは初めての経験でありながら、本作の最初の格闘シーンは香港映画が積み上げてきた実績が見事に吐き出された名場面となっているのです。公開当時本作は極めて高く評価されましたが、最初の格闘シーンを見れば、この映画には何か賞をやらねばと思わされてしまいます。それほどの名場面なのです。一方でこの監督は娯楽には不向きな傾向があり、残念ながら本作も娯楽アクションとしてもう一歩踏み込み切れていない部分があります。クレジット上はチョウ・ユンファがトップではあるものの、本作はチャン・ツィイー演じるイェンの成長物語であることは間違いありません。だとすると主人公イェンの心情を観客は理解する必要があるのですが、彼女が現状から逃げ出したいと思う物語の発端部分が描かれていないため、わがままなお嬢様が好き放題暴れているだけにしか見えません(幸い、チャン・ツィイーの魅力によってイェンは救われましたが)。このため、観客は感情的な部分で物語とシンクロすることができなくなっています。またカンフー映画のラスボスは強敵であるべきなのですが、本作の敵はリー・ムーバイどころかイェンにすら実力で負けてしまっているという設定。残念ながら、これでは盛り上がりません。本作の悪役はチョウ・ユンファ、ミシェル・ヨーというカリスマ俳優を二人も相手にせねばならないのですから、相応の設定を練り上げるべきでした。[DVD(吹替)] 6点(2010-08-21 00:22:27)(良:3票)

11.  墨攻 《ネタバレ》 原作未読の私にも、要約に苦労したことがよくわかる出来となっています。敵意むき出しだった王子が革離に傾注したり、革離暗殺を命じられた農民たちが革離に信頼を寄せるまでの過程がスッポリと抜けていたりと、唐突な展開が多々見られます。一方で荒っぽい要約が吉と出ている部分もあって、前半、革離が次々と知略を披露して敵を撃退する様は、矢継ぎ早な展開のおかげで彼が戦略家として際立った人物であることを強く印象付けます。アンディ・ラウは革離役に抜群にハマっており、ただ理屈を述べるだけではなく、人々を引きつけるカリスマ性も兼ね備えた人物にきちんと見えます。対するアン・ソンギもアンディ・ラウにまったく見劣りしない悪役となっています。弱小の梁国相手に負けを重ねるという下手すれば無能に見えかねない役柄であったにも関わらず、知性と人間性を併せ持った名将に見えるのですから、この役柄を脚本以上の人物にしてみせたと評価できます。後半は革離の影響力を恐れた梁王一派が粛清をはじめるという興味深い展開を迎えるものの、ここで映画はいったん失速します。基本的に本作はアンディ・ラウとアン・ソンギが引っ張っているため、ふたりが不在となるこの部分が致命的につまらないのです。脚本レベルでは人間の普遍的な残虐性や愚かさを提示しようとしたと思われるこのパートも、良い役者が不在であったり展開に深みがないため、梁王をはじめとした本作固有の登場人物がただ暴走しただけにしか見えません。王子を失った梁王の悲しみや怒り、また革離を排除せよとの命令にいったんは反対するものの、梁王への忠義からその先頭に立つこととなる将軍の葛藤など描くべきものは多くあったにも関わらず、お手軽なドラマ作りのために残虐な処刑等で不快な気持ちにさせられるのみです。しかし、アンディ・ラウとアン・ソンギが戻ってくると映画は再び息を吹き返します。どんな戦闘シーンよりも彼らのやりとりは見ごたえがありました。また、梁王によって反乱軍と見なされ、いったんは国を離れた部隊が趙軍を撃退するのですが、解放された民衆は過ちを犯した梁王を再び担いでしまうという皮肉な展開をとってみせたことには驚かされました。逸越をニアミスで殺してみせたり、民衆の愚かさにさすがに愛想尽かし孤児を連れて梁を後にする革離等、見る側に考えさせるバッドエンドは満点の締めだったと思います。[DVD(吹替)] 7点(2009-06-16 22:39:11)(良:1票)

12.  アクシデンタル・スパイ 頼むぜジャッキー、いくらなんでもこれはヒドすぎるよ。全然面白くありません。やっぱりジャッキー映画の魅力はアクションとコメディーの軽快さにあるので、これみたいなヘビーかつ複雑なお話では完全に勢いが削がれてしまって、まったく盛り上がらないんです。イチゴ味のカレーって感じですね。とにかく話が暗すぎます。ヤク中のビビアンは勝手に死ぬし、後半のジャッキーは終始マジメな顔だし。しかもクライマックスは、本筋とは全然関係のないカーチェイスって。「ハリウッドではできないアクションを」って言うわりに、バリバリのハリウッド流アクションではないですか。しかも最後の大爆発って、周囲200メートルが火の海になるんじゃありませんでしたっけ?つまり中途半端・・・。クライマックスは、やっぱり敵キャラとさしで決着つけなきゃカンフー映画じゃないでしょ。そう考えると、ジャッキーの使い方は香港よりもハリウッドの方が心得ているようです。「ハリウッドではできない」ではなく「ハリウッドがさせてくれなかった」映画なんじゃないですかね。ただし最後のオチ。あんな騙され方をしたんでは、普通は切れるでしょ。しかし笑顔で「そうだったのかぁ」は、さすがはジャッキーです。2点(2004-11-22 19:07:42)

13.  インファナル・アフェア 主演2人が男前の笑い飯みたいでした。8点(2004-10-11 03:38:29)(笑:2票)

14.  ドリフト(2001) 壮絶なアクションはかっこよかったのですが、編集がむちゃくちゃで訳のわからないシーンが多かったのがものすごく残念。肝心のアクションで誰が何をやってるのかがよくわからず、せっかくの素晴らしいシーンが台無しに。「もうちょいちゃんとしてくれたら~」と、ストレスの貯まる鑑賞でした。もちろんそれは「惜しい」の裏返しなわけですけど。4点(2004-08-31 04:40:10)

15.  香港大虐殺 タイトルからもお察しがつく通り、太平洋戦争における日本軍の暴虐ネタ映画です。「ガン・ホー」が国辱的として上映中止だとか、「ニンジャ・タートルズ」を「ミュータント・タートルズ」にタイトルを変更など、国辱ネタには敏感なここ日本において、これほどの衝撃作がビデオリリースされていたとは!この映画は国辱どころの話ではありません。「パール・ハーバー」を文部省推薦にしたくなるほどの内容ですから。登場する日本軍にはもはや悪役としての人格すらなく、「殺す・犯す・奪う」のみの暴虐集団となっています。ある種、昆虫に近いです。「ソドムの市」の変態野郎どもよりもタチが悪いんですから、尋常ではありません。たかが香港の娯楽作じゃないかと、お母さんのようなやさしい気持ちで見守ろうとしても、たぎる日本人の血は抑えることができないことを知った96分でした。私が気になるのは、製作者はこれをどういう意図で作ったのかということです。あくまでエログロをやりたいがために製作したのならいいんですけど(ほんとはよくないけど)、もしこれが大マジメな歴史映画のつもりなら、それはいい加減にしろって話です。とりあえずビデオジャケットには「戦争告発映画」と書いてありました。 フザケルナ!(「ライジング・サン」より、ショーン・コネリー元警部も怒っております)0点(2004-07-18 23:07:53)

16.  男たちの挽歌 これぞ男のバイブルです。栄光、転落、裏切り、友情、憎悪、反撃、まさに男らしさの見本市。万全の体調でお楽しみください。個人的には、若い頃のチョウ・ユンファが劇団ひとりにそっくりなのがハマりましたね。8点(2004-06-17 01:55:33)

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