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【製作国 : 香港 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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1.  トウキョウソナタ 《ネタバレ》 自分なりの希望を胸に米軍に入隊し、颯爽と家を出て行く長男。残された母親はある日、そんな彼が帰宅する夢を見る。憔悴し這々の体で帰還した息子は、この手で敵を何人も殺してしまったと、沈痛な面持ちで母に告げる。魘され、居眠りから飛び起きる母親。だがその夢は彼女にとって、いわゆる悪夢ではない。自分の忠告に耳を貸さず家から去った我が子が、自身の選択を悔い尻尾を巻いて逃げ帰ることを、彼女は願っているからだ。その願いが実現するためには、家を捨てた息子が家の外=戦場の悲惨さによりひどく打ちのめされなくてはならない。そうして彼女は心のどこかで息子の不幸を望み、その後ろめたさに魘されるのだ。父親にしてもそうだ。父としてふりかざす威厳をもってしても長男を家に繋ぎ止めることに失敗した彼は、幼さゆえ逃げ場所を持たない小学生の次男に対し支配的な暴君となることで、再び威厳を取り戻そうとする。そして自らが理想とする父親役を躍起になって演じる。リストラの不名誉を必死で隠しつづけることと同様に、たとえそれが如何に不毛な行為であったとしてもだ。そうすることで「家」を守れると彼は頑なに信じる。そして妻には良き妻良き母の役を、次男には従順な子どもの役を、それぞれ上手に演じるよう要求する。従順でありさえすればいい息子にピアノの才能があることなど、彼にとっては理想のマイホームを脅かす不吉な白蟻のようなものだ。私はここで、まさに白蟻を発端に崩壊する家族を描いた石井聰互監督『逆噴射家族』を思い出す。だが、エゴむきだしな壮絶なバトルの末に食卓を囲んだ『逆噴射』の家族に対し、こちらの家族は向き合うのでなく離散する。それぞれの闘いはそれぞれに家の外=戦場で行われ、それぞれの出来事は共有されることなく、それぞれの秘密となる。それでも、留守となり一旦機能を停止したその「家」に、秘密を抱えた彼らは再び帰ってくる。そしてやはり何事もなかったかのように朝食を囲む。たとえ本末転倒であっても、彼らはそうして家族に戻るのだ。続いて描かれる幕切れの強烈な鋭さは、黒沢清監督真骨頂だ。音楽学校の実技試験で桁外れの見事なピアノを披露する次男。演奏を終えた息子を迎えフレームアウトしていく彼らを、他の受験生の父母たちが振り返り、羨望の眼差しで見つめる。なんて理想的な家族だろう、と。[DVD(邦画)] 8点(2010-12-04 16:19:04)(良:1票)

2.  欲望の翼 《ネタバレ》 人影無いサッカー場の売店で、来るはずのない客を怠惰に待つ女スー。そこは言わば世界の喧騒から隔絶されたシェルターだ。時を刻む秒針の音にただ埋もれるばかりの彼女は、まるで人類が死に絶えた核戦争のただ一人の生き残りのように、平和で退屈でそして孤独である。そんな彼女に、ある日思いがけず近づいてくる靴音。力強いその音は、永遠に思えた彼女のまどろみを打ち破り、女にその顔を上げさせる。孤独な人間にとって他者との出会いとは、規則正しい心音に護られた胎児が光射す世界に産み落とされる、その一瞬でもあるのかもしれない。ウォン・カーウァイが描くこの冒頭は、その後も彼が数々の映画で憑かれたように変奏していくこととなる、人と人との邂逅、まさにその雛形であると言える。腕時計の秒針が1周する1分間を身じろぎもせず見守るスーと、運命の男ヨディ。魂と魂がことりと音を立て奇跡のように共鳴しあうその60秒は、けれど過ぎた瞬間もはや取り戻せぬ過去となり、止まることなく先へと進む秒針が、1秒ごとに刻々とその過去をさらに彼方に遠ざけていく。とまどい怪訝なまま顔を寄せあった一瞬。ただ静かに目の前を通り過ぎていった一瞬。それでもゆっくりと遠のいていくにつれ、かけがえのない幸福の意味を強めていく、その一瞬。ヨディとの忘れえぬこの1分間に囚われるスーが、夜道をならんで歩く心やさしい警官タイドとの時間もまた取り戻せぬ幸福な一瞬であることに、気づくことはない。決してつなぎ止めることのできぬ一瞬を、それでも人はつなぎ止めたいと切に願う。そして永遠を夢みる。おそらくそれは、等しくヨディを追い求め、彼の弟分サブの恋心に応えられず涙するミミもまた同じだろう。幸福な一瞬は彼方に過ぎ去り、手の届かぬ懐かしいその光に、人はただやるせなく胸を痛めるばかりだ。この世界に永遠などないのだと、ウォン・カーウァイは断言する。どれほどに希求しようと、人がこの手に出来るのは、過ぎたそばから過去となっていくかけがえのない一瞬一瞬、その積み重ねに過ぎないのだと。そしてそれでも、と映画は語る。1960年4月16日、3時1分前、自分がどこにいたか、そしてだれと何をしていたか。決して忘れず胸に刻んだその一瞬こそが、私たちにとって、かけがえのない永遠となりうるのだと。[DVD(字幕)] 10点(2010-05-30 14:57:30)

3.  天使の涙 《ネタバレ》 ウォン・カーウァイの映画では、登場人物たちは縦横無尽に街を疾走し、すれ違い、出会い、別れ、また出会い、あるいはまたすれ違う。せわしない彼らの疾走が止むことはない。それは60年代の香港であっても現代の香港であってもブエノスアイレスであってもニューヨークであっても、変わらない。街の動きとはそういうものだと言わんばかりに。撮影監督クリストファー・ドイルが描出する過剰にスタイリッシュな、色と光の洪水のごとき映像。行き当たりばったりなストーリー。ときにポップ、ときに絢爛な美術。スター俳優ばかりを起用した贅沢なキャスティング。カーウァイ映画は、とかくこれらの要素ばかりに着目して毀誉褒貶が下されがちだが、それはとても無意味に思える。なぜならそれらはウォン・カーウァイ独特の目くらましにすぎないからだ。手を変え品を変え装飾されたその表層の下には、常に同じシンプルな主題が恥ずかしそうに息を殺して隠れている。広角レンズを多用し、ひときわ強調される目くらましとはうらはらに、『天使の涙』は彼がもっともすなおにその素顔を見せた作品でもある。ウォン・カーウァイの映画は憑かれたように一瞬を描きつづける。腕時計の秒針の一周を共に見守る一瞬、明け方のグラウンドでポケベルが鳴る一瞬、固い握手をかわす一瞬、そして二人乗りのオートバイの背中に体温を感じる一瞬。心と心が通いあい、魂がことりと音をたてるようなその一瞬。ときに人は永遠を夢みてしまう。『欲望の翼』でマギー・チャンがせつなく演じたスーのように、一瞬の輝きに囚われ、それをつなぎとめたいと必死に願う。そして打ち砕かれる。『天使の涙』では、過去に出会ったはずの男女の片方がまるごとその記憶を失くしているというおよそ現実ばなれしたシークエンスが二度くりかえされる。失恋女は失恋の痛手から救ってくれた武(モウ)をきれいさっぱり忘れ、金髪女は今度こそ忘れられない一瞬を刻むため自分を忘れた殺し屋の腕に力の限りかみつく。人と人に永遠などない。すれ違い、出会い、別れ、またすれ違っていく。それでも人は疾走を止めない。いとおしいその一瞬を少しでも引き延ばすかのようにスローモーションへと変わっていくラストシーンは、奇跡のように美しい。ウォン・カーウァイは描く。その一瞬こそが、永遠なのだ、と。[映画館(字幕)] 10点(2009-07-22 22:57:13)(良:2票)

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