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1. キカ
この監督、暖色系の気味悪さを発見したのが手柄だろう。赤や黄色、なかんずくオレンジ色。自然色じゃない人工色の世界。どこかオトギの国の不気味さに通じていく(メイキャップという仕事も人工の世界の仕事)。当然ストーリーは室内劇とならざるを得ない。主人公は気のいい女、最悪ニュースのレポーター・アンドレアの対極、ドラマの展開しやすさからいけば主役脇役が逆になるところだが、これがどこかオトギの国に通じていくキカが軸になる。オトギの国の犯罪。どこか話が閉じていて、テレビというものの閉じ具合と関係づけているのだろう。他人の不幸。暗い人間は死に、見捨てられ、キカはヒマワリを背景に旅立っていく。映画とは、現実に対するオトギの国と割り切っているのだろうか。常連ロッシ・デ・パルマのことを、ピカソの絵から抜け出てきたような、と言うのはうまい。[映画館(字幕)] 6点(2010-09-20 09:48:00)
2. 機械じかけの小児病棟
《ネタバレ》 舞台は英国のひんやりとした空気に包まれている島だけど、どこか監督スペインの南のカトリックの空気も混ざってきている。死者の世界との近さ、そのことを登場人物たちが当然のように納得してしまうあたり。また音楽にコーラスが入ってくると、それだけでミサを連想してしまうもので。しかしこの外はひんやり・内に熱い情念って、ポイントになるナースの存在そのものでもあるんだな。憎悪によるたたりよりも、愛による迷いのほうが怖い。闇の黒よりも、閉鎖病棟の、深海の底のような緑のほうが怖い。[DVD(字幕)] 6点(2007-08-27 10:57:41)
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