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プロフィール |
コメント数 |
1274 |
性別 |
男性 |
年齢 |
43歳 |
自己紹介 |
嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。 ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。 程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。 |
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1. グリーン・ゾーン
《ネタバレ》 さすがは21世紀のジョン・フランケンハイマーことポール・グリーングラスだけあって、余裕で水準を超えるアクション大作に仕上がっています。細かいカットを積み重ねて構成される銃撃戦は臨場感に溢れているし、現場を走る兵士の視点と、それを上空からナビゲートするヘリの視点を交互につなぎ、観客に対して戦況をスムーズに伝えるという神業的な編集には脱帽するしかありません。「ボーン・スプレマシー」の大ヒット以降は手ブレ映像や細かいカット割を採り入れるアクション映画が急増しましたが、やはり本家が一番です。また、硬派な題材をエンターテイメントとして味付けするという稀有な才能も全開。オリバー・ストーン作品のような重厚なテーマがアクション大作の皮を被っていて、それらが水と油にならずにうまく共存しているのです。こんな器用な芸当ができる監督は他に見当たりません。。。と、監督は相変わらず良い仕事をしているのですが、奇跡的な傑作だったジェイソン・ボーンシリーズと比較すると脚本が弱く、そのことが、ジェイソン・ボーンの何倍も野心的な本作を傑作にしていない原因となっています。まず、主人公が陰謀に挑むこととなる動機付けが弱く、一方で「イラクを良くしたい」と願って積極的な行動をとるイラク人フレディの扱いが軽く、キャラクターの動かし方がうまくありません。また、秘密主義のCIAが現場指揮官に過ぎない主人公に接触する理由も弱いし、陰謀の黒幕となるパウンドストーンはどう見ても小物で、映画のスケールを背負って立つ悪役になっていません。アメリカ政府のウソを無検証でタレ流したマスコミへの批判もなされるのですが、ここで登場するジャーナリストも本筋とうまく絡んでおらず、いてもいなくても大差ない存在となっています。そして大きなミスだったのが、「大量破壊兵器はウソだった」という話を謎解きの中心に持って来てしまったこと。2003年当時ならともかく、現在では全人類が知っている話です。今さら「なんと、イラクは大量破壊兵器を持っていなかったんですよ!」と言われても、見ているこちらとしては「そりゃそうだろ」としか思えません。陰謀の背景などはさっさと暴露してしまって、イラク軍元将軍の口封じをしようとする米軍上層部と、それを阻止しようとする主人公との攻防を核とした方が盛り上がったのではないでしょうか。[ブルーレイ(吹替)] 7点(2010-10-28 20:06:38)(良:1票)
2. グレート・ウォリアーズ/欲望の剣
《ネタバレ》 奪われたお姫様を王子様が救い出す物語。そんな古典的な題材であっても、バーホーベンの手にかかるとグログロバイオレンスに早変わりします。「中世なんてメルヘンの世界じゃなかったんだぜ!」という御大の熱い主張がビンビン伝わってくる120分。毎度のことながら、この強烈な作家性には敬意を覚えます。
誘拐されたお姫様は古城に幽閉(無傷で)…なんてことが現実にあるわけなくて、本作のお姫様は容赦なく輪姦されます。そのお姫様もお姫様で、貞操を守ろうと必死で抵抗するのかと思いきや、賊の首領に積極的に接近し、身の安全を確保しようとします。これを悪女の振る舞いと見ることもできますが、お姫様のメンタリティなんてそんなものでしょう。彼女達には自由恋愛などなく、家が決めた相手であれば、どんなにキモかろうが、おっさんだろうが、そこに嫁ぐしかない運命にありました。本作のシチュエーションにおいては、アグネスもまた最も高く売れる相手に対してわが身を売った。それだけなのです。こうした、本作の突き詰められたリアリティには感心します。
描写はグロの極みをいきます。頭をカチ割られた尼さんがおっぱい(ついでに陰毛も)丸出しでもんどりうったり、王子様とお姫様が腐乱死体の下で永遠の愛を誓い合ったり、王女様が輪姦される場面では、腰の動きに合わせて少年が太鼓をトコトコ叩くといういやらしい演出が入ったりと、いちいち神経を逆撫でするバーホーベンの過剰演出は、史上最高レベルに達しています。
さらに、その上をいくほど過激なのが、極限状態で露わになる人間性の醜さで、当初は美男美女だった王子様とお姫様の人相がどんどん悪くなっていきます。偶然起こったことを手前勝手に解釈し、悪事を正当化するという信仰の問題点や、その信仰を自分の目的のために利用する人間が現れるなど、本作の指摘は多岐に及び、かつ、深いです。
そんな業にまみれた物語でありながらも、主要登場人物は一人も死なず、それぞれがあるべき場所へ戻っていくというラストには妙な爽快感がありましたが、これには、続く『ロボコップ』にも通じるバーホーベンの人生哲学を感じました。『ロボコップ』では数人の悪党が成敗されただけで、オムニ社という巨悪はほぼ無傷で生き残ったし、マーフィの人権問題も有耶無耶にされたまま終わりました。結局のところ、物事は解決しないまま終わるのだということがバーホーベンの人生観のようです。[ブルーレイ(字幕)] 8点(2004-07-14 16:35:20)《改行有》
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