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【製作国 : スペイン 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
1. パンズ・ラビリンス 《ネタバレ》 スペインが生んだ大傑作『ミツバチのささやき』をロールプレイングゲームにしてみましたって感じの映画。スペイン内戦の傷ではなく、わかりやすく戦争真っ只中を舞台とすることで純粋無垢な少女を現実ではない世界へ導きやすくしている。悪者の継父はこれ以上ないくらいに悪者。まるで悪魔。フランケンシュタインの怪物どころではない。しかしかの大傑作におけるフランケン同様に悪魔のような継父は現実世界の象徴であり、少女が成長するうえで避けられぬ通過儀礼であり、さらにこの作品ではゲームをクリアするためのボスキャラでもあるのだ。ゲームだゲームだと思ってたらゲームクリアがこんなにも悲しくていいのか。クリアしたのだからハッピーエンドのはずなのに。夢の世界へ逃避することをこんなにも残酷に描いた作品はない。この特異な後味を評価したい。どこかで見たことのある幻想の世界(かえるの話はそのまま絵本で見たことある)をダークな味付けで独創的にしてみせたセンスを評価したい。そしてなによりもイバナ・バケロという美しい少女を絶賛したい。[映画館(字幕)] 7点(2009-02-26 15:48:01) 2. バッド・エデュケーション(2004) 自らゲイであることを公表しているアルモドバル監督の半自伝映画ということで、かなり気合も入っていたことでしょうが、これまでの彼の映画と比べて明らかに欠けているものがある。それは「女」です。もちろん確信犯なわけですが、現在活躍している監督の中で数少ない「女を描ける監督」だと思っているので、非常に残念です。思えばガラリとイメージが変わった前作『トーク・トゥ・ハー』は布石だったということか。相変わらずの劇中劇という構成や色使いが、かろうじてアルモドバル的であることを維持していますが、やっぱり物足りない。これまでのアルモドバル作品を観ていなかったらまた違った感想になったかもしれませんが、観てますから、、彼の描く魅力的な女を、、いっぱい。[映画館(字幕)] 5点(2006-03-02 18:27:19) 3. パリ空港の人々 《ネタバレ》 『ターミナル』のレビューでも少し触れましたが、『ターミナル』も『パリ空港の人々』も元ネタは同じ実在の人物です。内容は全然違うのですが、大きく異なるのはこちらは「人々」とあるようにひとりぼっちじゃないということです。何年も空港に住んでいる(出られない)先人たちがいるというところ。その生活感溢れる特異な日常がなんともおかしく、そしてなんとも寂しく描かれてゆきます。マリサ・バレデス(主人公の奥さん)の空港外での奮闘と、意を決して片道キップで空港内に入って出られなくなるオチの面白さを見て、(反対に)スピルバーグのコメディ・センスの無さを痛感しました。パリを見たことがない少年のために皆で外に出るシーンの開放感。夜のパリの情景をバスの窓から映す、そして外を歩く人達に風が吹き付ける。たったそれだけで『ターミナル』ではけして感じることのできなかった開放感をこの作品は感じさせてくれます。[ビデオ(字幕)] 7点(2005-08-24 15:42:50) 4. ハイヒール(1991) 歌手として、そして女として生きてきたため、母としての愛情を娘に与えてやれなかったことに苦悩する母。一方、母を愛するがゆえに歪んだ選択をしてゆく娘。ふたりのやるせない愛憎劇に、中盤以降はサスペンスの面白さが加わる。しかしこのサスペンスの部分が独特の重い空気を軽くしてしまっているように感じる。それを除けばかなり好きな作品。子育てはどんな芸術よりも芸術的だと誰か言ってましたね(誰でしたっけ?)。歌手や女優に限らずアーティストと呼ばれる女は、母になったとき、そう思えるかどうかが人生の岐路ということでしょうか。それにしてもアルモドバルの映画は色の使い方が抜群です。今作はとくに煌びやかな色が配されますが、親子でありながらお互いに内面を見せようとしない二人を象徴しているようで、煌びやかな色がどこか寂しく見えます。7点(2005-02-28 14:32:32)
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