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プロフィール |
コメント数 |
1893 |
性別 |
男性 |
年齢 |
48歳 |
自己紹介 |
自分なりの評価の基準は、 10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。 9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。 8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。 7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。 6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。 5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。 4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。 3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。 2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。 1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。 0・死霊の盆踊り。 |
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1. 抱擁のかけら
《ネタバレ》 私の名前はハリー・ケイン、かつて名の知れた映画監督だった。映画や脚本を著すとき、私は必ず“ハリー”の名を使った。つまりペンネームだ。本当の名は、マテオ。だが、ある日を境にマテオは消えハリーだけが残った。全ての過去を捨てハリーとなった私は同時に視力をも失ってしまったのだ――。深い孤独の中に生きる盲目の元映画監督ハリー。ある日、彼の元にマドリードの実業家エルネストが死去したという知らせが届く。「そうか、とうとう彼が死んだのか…」と、しみじみ呟くハリー。自身の身の回りの世話をしてくれる青年に、ハリーは自らの秘められた過去を語り始めるのだった……。物語は、そんなハリーの映画監督として充実していた日々、そこで出逢った若く美しい女優レナと強欲な実業家エルネストとの愛憎渦巻く確執をミステリアスに交錯させながら、彼が視力と過去を全て捨て去るきっかけとなったとある一日へと収斂させてゆく。スペイン映画界が生んだ至宝アルモドバル監督と女優ペネロペ・クルスが再びタッグを組んで描いたのは、これまで彼らが創り上げてきた名作群の製作過程を自己戯画化したようなそんな哀切感漂う人間ドラマでした。とにかく、もう彼にしか生み出せないであろう情熱的な“赤”を基調とした極彩色な映像美は、今回もほんと素晴らしかったですね。そんな絵画のように美しい映像の中に、これまた女性の美しさの頂点を極めた?だろうP・クルスが華を咲かせておりました。いやー、溜息が出るほどに耽美(笑)。そして本作が何より優れているのは、そんな女性の美しさを永遠に記憶に留めておきたいためにハリーが自ら盲目となったような描写が随処に散見されること。いやー、やっぱり良いですね~、この芸術に域にまで達している変態紙一重の谷崎潤一郎的フェティシズム。もはやアルモドバル版『春琴抄』。そんな豊潤な世界を、今回も充分堪能させてもらいました。最後、遺された彼女のフィルムを再編集して新たな映画を創り出そうとするハリーに、アルモドバルの映画への深い愛情――そして倒錯的な女性崇拝の念を見出さずにはいられません。[DVD(字幕)] 8点(2015-02-06 19:49:25)
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