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プロフィール |
コメント数 |
170 |
性別 |
男性 |
年齢 |
44歳 |
自己紹介 |
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1. クレーヴの奥方(1999)
普通に考えれば、何故この世紀末(公開されたのが1999年)にこんな化石的メロドラマが作られたのかと首を傾げざるを得ない。原作は17世紀の小説で、現代に時代を設定しているものの倫理観だけはそのままなので、その貞操観念には苦笑を禁じえないだろう。また感情移入が望めないだけでなく、現代に設定する事で「エデンより彼方に」のような懐古調メロドラマにすらなりえず、さらにこの映画は盛り上がりが予想されるシーンを字幕のみでスルーしちゃう。画面にはキアラ・マストロヤンニが演じるクレーヴ夫人と、その親類や夫、あるいはシスター役のレオノール・シルヴェイラが座りながら/歩きながら会話をするシーンばかりが映る。オリヴェイラ翁よ、そこまでやるか。映画にストーリーという要素が欠かせないのは事実。だがストーリーだけが映画内時間の主役である必要はない。オリヴェイラはストーリーによる映画の起伏を拒否する。メロドラマという形式からここまで自由になった映画は空前絶後ではないか。ある評論家の小津安二郎評に「何を考え、何を言ったかではなく、何かを考え、何かを言うことにまつわる諸々の不自由を突き詰め、考え、そして言うことそのものをめぐっての映画を撮り続けた」とあるが、この賛辞の多くがまさにオリヴェイラにも当てはまり、そこからさらに邁進していくだろう。というのもオリヴェイラの偉大な同世代(ジャック・ベッケル、ジョセフ・ロージー、小津、マキノ・・・・等など)は皆死んでしまったが、オリヴェイラはまだ生きてますんで。オリヴェイラこそは映画史の生きた化石、最長老、八百比丘尼なのである。映画史が1世紀分丸ごと生きた映画監督の名を刻む瞬間はもう近い。 【追記】本当に刻んじゃいました(笑)[映画館(字幕)] 10点(2007-03-22 21:28:54)(良:1票)
2. 10ミニッツ・オールダー 人生のメビウス
ラーメン博物館という所がある。そこには人気のラーメン屋がずらり並んでいるらしいのだが、それにもかかわらず行列には差ができるらしい。うまいものでも優劣を付けたくなるのが人間、同じようにこのオムニバス形式の映画も差ができるだろう。どの「ラーメン」が「並ぶ」か。イデアの森の方も参加させてみた。一番待ち時間が長そうなのはジャームッシュとベルトルッチだろう。さっぱりしてるのにダシの効いた親しみやすい味わい。カウリスマキ、ヴェンダースは一品勝負。この店にこの味あり、といったところ。常連客多し。変り種ならシュレンドルフとチェン・カイコー、マイク・フィギス。客層に色が出そうだ。クレームもよく出るだろう。正統派なラドフォード、サボー。冒険するのが面倒なら打率の高いものを、って人に。スパイスの効いたスパイク・リーとクレール・ドゥニ、スパイスの効いたラーメンて何だよ。イジー・メンツェルは深い味わい。まあ濃い味ってこと。ゴダールはそれらを全部つぶして新しい味を作り出そうとしている。その意気買って並ぶもよし。ただハマったら抜け出せなくなるので注意。そしてエリセは、別格。俺がここの博物館のオーナーだったら誰にも食わせない。でもそんなことをしてるから彼は新しいラーメンをなかなか作ってくれないのだ。やべっ、ヘルツォーク入れ忘れた。彼のラーメンは、茹でない。ベビースターラーメンみたいな感じ。[映画館(字幕)] 7点(2005-05-21 02:14:07)(笑:4票) (良:2票)
3. 大地と自由
この一作でケン・ローチに活目した。金曜ロードショウが映画の源だった自分にとっては、危ない時には誰かが助けに来て、運命を分ける選択があれば正しい方に動くのが映画らしさだと思っていた。当然ながらそこには人間臭さはない。しかし、ケン・ローチ映画からは嫌というほど臭う。世知辛い世の中を忘れるためにエンターテインメント映画を見るのはいい。しかし時には世の中に対して余計なおせっかいをかけたいことがある。「戦争反対!」とか「麻薬撲滅!」とか「少年犯罪云々」といったように。そんな時こそケン・ローチの映画は刺激的な薬になるに違いない。「ダンサー・イン・ザ・ダーク」のような自分からは遠すぎる悲劇と違い、限りなく近くに悲劇を持ってくる。そうなると「戦争反対!」とか「麻薬撲滅!」といった話では解決できない複雑な社会構造が見えてくる。この視点をひたすら冷静に、時に冷徹になってカメラを向けてくるのがケン・ローチだ。[ビデオ(字幕)] 8点(2004-07-09 01:11:43)(良:2票)
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