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1. ヴァチカンのエクソシスト
《ネタバレ》 ラッセル・クロウって「L.A.コンフィデンシャル」や「グラディエーター」とかの肉体派アクション俳優か、「インサイダー」「ビューティフル・マインド」等の演技派かの両極端をやるので本作はどっちやねん? と思いつつ観に行ったんですが、予想通りというかなんというか肉体派のマッチョなエクソシスト(悪魔祓い師)でした。たしかにあんまりなかった方向性かも(香港映画とかだと霊幻道士とかがマッチョな悪魔祓いだったりしますが)。
ホラー演出は割と本格的なおどろおどろしい昔ながらの演出をしていて、「オカルト映画」と呼ばれたような古式ゆかしい凝った設定と舞台立てをしてて、けっこうドキドキさせてくれます。またスプラッターな部分もあるので、そう思って観に行った方がよろしいでしょう(PG12ですし)。
それから昔ながらの悪魔祓い物を意外にも踏襲しており、悪魔が、関わる人の精神的な弱みに付け込んで攻撃してくるんですが、それが登場人物たちのトラウマになってるのが、すごいちゃんとしてて、おおお! って思うんですけど、
「悪魔は人間の精神的な弱みに付け込んでくる」
「はい」
「なので、キミの犯した罪についてたった今から告解をする! 私も告解する!」
(おもむろにお互い告解し合う)
(悪魔祓いの覚悟完了!!!)
みたいな演出をしてくるのでゲラゲラ笑っちゃいました。とてもバカっぽくて良いです(笑)(いいぞもっとやれ)。
あとはラッセルクロウ神父が髭でヴェスパに乗ってくるのが絵的にカッコイイみたいな可愛いみたいないい感じで、相棒になる新米神父もけなげで頑張ってて良いし、なかなか楽しい作品でした(続編に期待したい)。
ちなみに、主人公は実在のエクソシストだそうで、エクソシストについては他にドキュメント映画もあって、実際にそういう組織がヴァチカンにあるそうで、それをもとにしたエンタメ映画ができてきたと思ったらこれだよw って感じでニヤニヤしてしまいました。
あとは、昔の名作オカルト映画のオマージュっぽい場面が多数あって、それもまた観てて楽しい所でした。[映画館(字幕)] 7点(2023-07-19 03:58:41)《改行有》
2. テリー・ギリアムのドン・キホーテ
《ネタバレ》 テリー・ギリアム作品は大好きなので必然的に点数が上がるのですが(独断と偏見により)、本作は、アダム・ドライバー演じるサンチョの物語が激熱で、このまま華々しく終わり切ったらテリー・ギリアム史上最高傑作になるのでは! と思ったのが、いつもの「こんだけ盛り上げまくって、それかい(笑)」で、9点とあいなりました(ふう)。
ドン・キホーテ作品としては、基本の名場面は現代風にアレンジしつつ一通りポイントをきっちり押さえてるんですけど、ロスト・イン・ラ・マンチャの巨人の場面が期待通り良かったのに加えて、原作で華々しい場面であるにも限らず後半なので端折られがちな、木馬の場面が、素晴らしい映像・演出に、ギリアム独自の解釈も加わって傑出した場面になっていたと思います。
あと、例によって、衣装や舞台の場所の絢爛豪華さは筆舌を尽くしがたいのですが(費用ががが)、スペインのお祭りやフラメンコなどのスペイン固有の民族文化的事物を積極的に取り入れることで、スペインぽい空気感を醸し出してたのが良いなと思いました。ドン・キホーテってスペインの話なのに、スペインって感じがあんまりわからないことが多かったりしたので。
あと、未来世紀ブラジル主演のジョナサン・プライス演じる、ドン・キホーテも、まさにドン・キホーテという印象で素晴らしく、良かったです。
話がややこしいとかいう件については、そもそも元々ドン・キホーテの話自体が、ドン・キホーテ自身がドン・キホーテの物語に言及したり贋作をこき下ろしたりするメタ的物語の先駆けですので、1600年ごろにそういう話がすでにあって、世界中で読まれてたはずなんだけどなあ、っていうところです(ノД`)・゜・。[映画館(字幕)] 9点(2020-01-31 00:48:43)(良:1票) 《改行有》
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