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【製作国 : ポーランド 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
1. 戦場のピアニスト ホロコーストとは、決して映像によって描き得ない。だから私は当事者たちの”証言(声)”によってホロコーストを記録したのだ、とは『ショアー』を撮ったクロード・ランズマン。必ずしも彼のあの作品に対して全面的に賛同するものじゃないけど、確かにアメリカ映画なんかでナチによるユダヤ人虐殺ものを見て、シリアスな問題提起のようでいて、結局は怖いもの見たさの観客の好奇心に訴える「殺人ショー(!)」でしかなかったりして(『シンドラーのリスト』…)、暗たんたる気持ちになるしなあ…。ジャック・リヴェット監督が批評家時代に言った、ほとんどすべてのホロコーストものの劇映画はポルノグラフィーであるという言葉は、まさしく真実だ。もちろん、ロマン・ポランスキーだってそんなことは百も承知だったろう。だから『シンドラーのリスト』の監督オファーも断ったんだろう。それが、本作を手掛ける気になったのは、この映画があくまで「生き残った者(たち)」に捧げられたものだったからに他ならない。ほとんどすべてのホロコースト映画が、殺戮を、つまりは「死んでいった者たち」を対象にしていたのに対し、ここでは、運と成りゆきに救われながら生き延びていく主人公こそを徹底して肯定する。たとえどんなにぶざまで、ひとりよがりであろうと、そんな主人公が生き延びた、ただその一点だけで肯定する本作は、逆説的にホロコーストの核心を照射してみせたといえるだろう。…正直、ポランスキーの最高傑作とは言えないかもしれないけれど、一世一代の代表作であることは間違いない。拍手(ブラボー)!9点(2003-08-27 13:58:47)(良:4票) 2. ぼくの神さま こういう単なる「カトリック礼讃の宗教プロパガンダ映画」風メロドラマを、さももっともらしい「良心作」として商売の道具にする風潮は21世紀にはなくなってほしいです。一方で、こんな”ある種の意図”がミエミエの映画を、何故そこまで絶賛したりホメたりできるんですか? …すべてにあざとく、すべてに類型的。死者にたいする痛みも悼みも、実のところない。オスメントの演技も、ただただ醜悪。すみません、この作品(映画、と言いたくない)って、ホントだめなんです。唯一、ロケ撮影による風景のみずみずしさと、ウィレム・デフォーに1点。1点(2003-06-03 19:00:05) 3. ふたりのベロニカ 美しい、でもキェシロフスキ監督って、こんな「美しい」だけの映画を撮る人じゃなかったはずだ…。もう一度見る。やっぱり陶然とさせられるけれど、それだけだ。せめて、監督がイレーヌ・ジャコブに惚れて、彼女のために撮ったというんなら、すごく共感したんだけど。残念っす。5点(2003-05-31 12:59:33) 4. 愛に関する短いフィルム 思うに、この監督さんの最も美しい映画。後年の『トリコロ-ル』シリーズや『ふたりのベロニカ』は、やはりあまりにも作為と批評家受け狙いが透けて見え過ぎだったのでは。その点、『アマチュア』や『デカローグ』の頃は、純粋に対象や主題と向きあっている緊張感がみなぎっていて、そんな1本であるこの映画は、主人公の青年の孤独がもう痛いほど伝わって来る。ナイーブさと残酷さ、そして叙情がこれ以上ないシンプルな(しかし、実は相当計算された)画面からただよって来る、ぼくにとって永遠の名作です。10点(2003-05-20 11:13:45)
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