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【製作国 : チェコ 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
1. 幻影師アイゼンハイム 《ネタバレ》 映像はきれいだし、雰囲気もいい。しかし、それらもまずまずといった程度に留まっている。脚本は複雑な割に荒っぽく、とくに後半は話の筋を追うのに必死で、とりえであるはずの映像もなおざりになる。この題材なら世界観を魅せるのを優先して脚本は単純化しても許されただろうに、やっていることがまるでちぐはぐだ。肝心のどんでん返しも新味はない。なにもかもがひどく中途半端だ。 また奇術の描写に堂々とCGを使っているが、それをやったら映画だからなんでもありというのが前面に出てしまうわけで、マジック本来の魅力である不思議さ、幻想性が損なわれてしまう。トリックとも魔法ともつかないぎりぎりの境界線上を描くべきだったんじゃないだろうか。E・ノートンを十九世紀の奇術師に据えるというわくわくするような配役だが、充分に魅力を引き出せているとはいい難い。 恋愛描写に重みがないのも痛い。少年時代に引き裂かれた初恋の相手が現れたからといってそうそう夢中にならない――っていうか幻滅するパターンの方が多いだろう。 そもそもどうしてスティーヴン・ミルハウザーの小説を、どんでん返しがメインの娯楽映画にしようと思ったのだろうか? 別に原作に忠実である必要はないが、これは村上春樹を原作にミステリを撮るぐらいむちゃな挑戦だ。その結果がこの微妙な出来なのだから、なんとも残念としかいいようがない。[DVD(字幕)] 5点(2009-07-08 00:50:06)(良:1票) 《改行有》 2. ファウスト(1994) 微妙。クレイアニメを期待していたら人形劇が中心で、肩透かしを食らった。ところどころに独特の発想があるのは確かだけれど、全体としては退屈だった。短篇集ならまだしも、このシュールな展開で九十分以上もたせるのは無理がある。 とくに人形劇やアニメーションではない場面の映像は非常に安っぽく、よく言えば味わいがあるのかもしれないが、普通の古い海外ドラマの映像と変わらないレベル。男が鞭を振るって呪文を唱える場面には正直、失笑してしまった。 湿り気のある不気味さはシュヴァンクマイエル独自の持ち味だが、さして刺激的でもなく、完成度が高いわけでもない。感性に任せて作られた意味不明な作品もあってもいいと思うが、それなら相応のクオリティとテンションを保ってほしいと思う。[ビデオ(字幕)] 4点(2009-01-14 13:29:17)《改行有》 3. 007/カジノ・ロワイヤル(2006) 《ネタバレ》 できの悪い『ルパン三世』の域を出ていないように感じた。最初の三十分は面白かったけど、空港でのどこかで観たようなアクションシーン以降は眠くて眠くて……もっと後半に見せ場を持ってくるべきじゃなかったの? ホールデム・ポーカーでの対決という重要な下りにまったく迫力がないというのも痛い。冒頭のヤマカシとジャッキーとカリオストロを足したようなユニークな追跡劇や、リアルで血生臭い暴力描写には(おおっ)と思ったけど、クライマックスには普通のアクションに戻ってしまった。ボンドガールの死も、さもありなんと冷静な目でスルー。これがシリーズの最高傑作だというのなら、自分は007とは相性が悪いのだろう。退屈だった。[DVD(字幕)] 5点(2007-06-12 00:02:54) 4. オリバー・ツイスト(2005) ポランスキーがなぜ脚本を読んだ時点でやり直しを命じなかったのか理解に苦しむ。ジョン・アーヴィングが絶賛しているというのもとても信じられない。最大の欠点は登場人物の心理描写が不充分で感情移入することができない、という非常に基本的なこと。 まず題名に主人公の名前を冠しながら、主人公に共感するのが困難であるというのは致命的。オリバーが家出して一人ロンドンまで旅をする下りまではまだよかった。それ以降の彼ときたらただただ泣いているだけ、運命に翻弄されるがままで、自ら道を切り開こうという意志はどこにもない。喜怒哀楽の基本的な心理描写も少なく、はっきり言って空虚なキャラクターだ。 しかも信じられないことに、クライマックスが近づくに連れて主役の出番が減っていき、存在感すらなくなる。こんな少年がただ幸運だけでのし上がっていく姿を見せられても、カタルシスも何もあったもんじゃない。 共感できないのは脇役も同じ。命を懸けてオリバーを援助する人々が登場するが、彼らがそんな行動に出る動機がほとんど説明されておらず、ここでもやはり観客は置いてけ堀にされてしまう。オリバー少年には涙で母性本能をくすぐる特殊能力でもあるのか?? 薄っぺらいのは敵役も同じで、重要な役割であるはずの殺人犯は凡庸でインパクトに欠ける。唯一厚みを感じられた登場人物はオスカー男優キングスレー演じるフェイギンだが、彼ですら中途半端な人物造型であることは否めない。 それなのにストーリー展開はちょっと目まぐるしすぎるほど速い。原作が長大なのはわかるが、もう少しやりようがあったと思う。だいたい予告編で紹介していたあらすじとはけっこう印象が違っていて、微妙に誤解させるように宣伝していたとしか思えない。 どんなにリアルに十九世紀のロンドンを再現したとしても、そこに息づく人々に血が通っていなければ面白いはずがない。ポランスキーは子供でも観られる作品を作りたかったそうだが、その結果がこれだとしたら子供をバカにしている。大人も子供も楽しめない、しょうもない凡作。[映画館(字幕)] 5点(2006-02-10 02:17:07)(良:3票) 《改行有》 5. ヴァン・ヘルシング 最初から遊園地のアトラクションを楽しむつもりで観たので、何の不満もない。話の整合性がないのも許せる。お行儀よくまとめるよりも、とにかくやりたいこと全部やってしまう、子供のような大胆さがいい(皮肉でなく)。CGとアクション先行のイベント系作品のなかでも、ソマーズほど徹底的にふざけて、遊んで、冒険してくれるバカ(悪口でなく)は逆に貴重だ。必ず、いくらなんでもやりすぎというくらいにやってくれる。 ターザン的空中ブランコシーンが山ほどあって、しかも毎回それなりにひねっているけど、よっぽどああいうアクションが好きなのだろうか? でも冒頭の対ハイドの場面がいちばん好きだな。あと、ヘルシングといいヒロインといい、君たちの肋骨は鋼でできてるんですか? ゴムまりみたいに弾んでましたけど。 ラストシーン、批判も多いけど案外好き。ヒロインが途中で言っていた2、3の意味ありげな台詞の意味が一気に氷解するんだよね。不覚にも、ちょっぴり泣きそうに。これで泣いたらマジで不覚なので、我慢したが。[DVD(字幕)] 7点(2005-10-19 02:24:18) 6. ボーン・アイデンティティー リアリズムに徹しているかのようでいて、そこそこのけれんも効いている。そういう意味でのバランスが、絶妙でしたね。派手にマシンガンを乱射するよりは、こうやって淡々と静かに、しかし確実に殺害する方が個人的には怖いです。スナイパーを猟銃で追い詰めるシーンは鳥肌が立ちました。このジャンルの映画が『ポンヌフの恋人』と同じ場所に連れて行ってくれたことや、音楽がスタイリッシュだったことにも感動しました。サントラ買おうかどうか迷ってます。8点(2005-02-17 21:25:23) 7. 悦楽共犯者 お金もあんまりかかってなくて、台詞もなく淡々と進んでいく。なのに、すっごい面白い。他の方も書いていたが、台詞がないことにしばらく気付かないくらいに引き込まれます。ただただ変態の生活を描くだけで、むちゃくちゃ面白い作品に仕立て上げるだけの想像力がすばらしい。だって変態行為を考えろといわれても、普通こんなん思いつきませんよ?! あまりにも変態すぎてもはや変態の領域を超え、もはや何がなんだかわからない。とくに、鳥男は何をしたかったんだ? 変態もここまでくるとある意味才能です。天才的な変態たちの饗宴に圧倒されました。[映画館(字幕)] 9点(2005-01-19 19:39:52)
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