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1. グリーン・ゾーン
手持であろうと、スタビかまそうと、クイックズームしようと、フォーカスが合ってなかろうとなんでもいいのだけれど、でもこれって「見せる」という気がないのか、あるいは失敗しまくってるのか、それともこれがかっこいいと思っているのか、つまりスタイルとして確立したいのか、全然わからなくて、やっぱし観ていて思うのはこんなの駄目だろってことだけで、極端な話だけど、ドキュメンタリーは即時性だからどうしたって追いきれないとか撮りきれない瞬間てあると思うのだけど(まぁそれを撮るのがプロフェッショナルだけど)、しかしこれってドキュメンタリーじゃなくて、所詮そっれぽい感じのフィクションだから、だったら、何を見せるべきか、つまり、撮るべき対象っていうのがしっかり固まっていて、つまり芝居をつけてそれを狙うわけで、それがちゃんと撮れてない、っていうか敢えて撮ろうとしないっていうのは、ただの撮影行為の放棄じゃねぇかよって思うし、戦場の雰囲気ってこういうことじゃないだろっても思うし、要するに撮ってる側が戦場に入り込みすぎた感じのぶれぶれの何映っているかわからない映像のどこに映画の客観性があるんだよってな話で、どんなに頑張ったてスクリーンのこっち側にいる人間は客観であるしかないわけで、それを飛び越える瞬間てあるとは思うけど、こういうことではないんだってことははっきりと言えるのだ。
もう一つ言えば、そういうフィクションさを消したい感じ、つまりリアリズムを求めるのは、それはそれで良いけど、まぁここまで書いた通り、この映画の映像はまず徹底的に駄目で、じゃあお話はどうかってことで、でもやっぱりお話部分も駄目だと思うわけで、結局、映画の面白さって、時に、嘘っぱちさだと思うわけで、事実に創作を入れ込んだものというのは、その創作部分が事実を塗潰してしまうような嘘っぱちであって欲しいのだ。[映画館(字幕)] 3点(2010-06-01 22:20:15)(良:3票) 《改行有》
2. クリーン (2004)
《ネタバレ》 駅の中でマギー・チャンがニック・ノルティを探し回るシーン、長玉で軽く修正移動をかましながら、カメラが彼女を追っかけ回すが、とても素晴らしい。あれを李屏賓がやると超絶にうまいのだけど、ゴーティエは(彼の場合彼自身がオペレートしてるのかはわからないが)決して丁寧とはいえないし、寧ろ、雑、というか下手上手いというか、味があるとでもいったらいいのだろうか、あれがいいのだ。「イントゥ・ザ・ワイルド」でも長玉、手持ちとかでぶんぶん振り回すのだけど、それもまた雑でありながら、どこか味があってよい。
そのことはさておき、マギー・チャン演じるエミリーが友人の家に居候をするのだが、その友人が犬を連れ家を出て行くが、忘れ物をして家に戻ると、エミリーが涙を流しているというシーンなどは格段に素晴らしく優しい。ただひとりぼっちになってしまった孤独感で泣くというシーンだが、友人が外出し気が緩んだというこの見せてはいないが見えるワンクッションこそが素晴らしいだろう。このシーンまでは常にマギー・チャン、あるいはニック・ノルティを切り取るカメラが、ふいに友人を主軸に動き出すのだが、映っていないところでのエミリーの感情というのが友人が扉をそっと開けた時に一気に動き出すということだ。これこそが映画の巧みな演出だ。
そしてこの映画のニック・ノルティのまなざしこそがアサイヤスのまなざしで、見守るよという、やはり他のアサイヤスの映画同様にこの映画もまた優しさに溢れている。[映画館(字幕)] 8点(2009-09-16 17:31:08)《改行有》
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