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1. オデッセイ(2015)
《ネタバレ》 火星にたった1人で取り残されたというより、そのへんの砂漠にでも不時着した感じ。どれほど優秀で冷静で訓練を受けた科学者だったとしても、この状況で絶望もパニックも起こさないってのがすごい。おかげで最初は興味を削がれましたが。
それはともかく、1つ面白かったのはマット・デイモンの家族も恋人もいっさい登場しなかったこと。ふつうこの手の映画の場合、これでもかと言わんばかりに登場させて〝感動〟のクライマックスに繋げたりするものですが、いきなりベンチに1人ですからねぇ。かなり異色な感じです。他のクルーについては少々出てきたので、なお不思議です。まあ個人的にはこういう展開も好きですが。
それでふと思いました。孤立後の余裕ぶりといい、帰還までじっくり時間をかけることといい、帰還後に何が待っているわけでもないことといい、マット・デイモンは『星の王子さま』の「僕」なのではないかと。ただし「星の王子さま」も「キツネ」も「ヘビ」も、それに「バラ」も出てきませんが。そう考えると、ずいぶん寂しい作品のような気もします。いや悪くはないですけど。[CS・衛星(字幕)] 7点(2019-10-31 22:44:40)(良:1票) 《改行有》
2. オデッサ・ファイル
世の中の闇の部分を覗き込むような迫力がありました。主人公の意外すぎる屈強ぶりなど、いささか出来過ぎな部分もありましたが、適度な緊張感が持続していました。
この話は事実に基づいているとのことですが、「ドイツ帝国」の再興を夢見ている一群が実在するとすれば不気味ですね。まだ懲りてないのかと。どのあたりに魅力を感じているのでしょうか。もっとも、今日の日本にも極左や極右な方々が若干いるようなので、あまり人のことは言えませんが。[CS・衛星(字幕)] 7点(2016-06-18 14:42:43)《改行有》
3. オリエント急行殺人事件(1974)
《ネタバレ》 原作を読んでいないので、野暮ながら根本的な疑問を1つ。この犯行計画は、事前に周到に準備したものなのか、それともたまたま乗り合わせたポアロの目を欺くために練ったのか。おそらく前者だと思いますが、では一連の〝配役〟や小芝居は、誰に見せるために打ったのでしょうか。別に被害者に面割れもしていないはずなので、それぞれふつうに客として乗り込んで、夜中にザクザクと思いを遂げ、口裏を合わせてニセ車掌だけでっち上げればよろしかったのでは? それとも他に大勢の乗客が乗っていたという前提でしょうか。だとすれば、ピッタリ12人だけ事情聴取される意味がわからない。
あるいは後者だとすれば、短時間のうちにずいぶん精緻なシナリオを書き上げたものです。これも不自然。そんなことが気になって、ラストまでスッキリしませんでした。
それと、犯行現場は凄惨をきわめたと思います。あれだけザクザクやられたんですから。いくら憎悪の感情があっても、私にはとてもマネできません。翌日に平常心で名探偵と対峙することも、ほぼ不可能でしょう。と言いつつ、映画としてはけっこう楽しませてもらいましたが。[CS・衛星(字幕)] 7点(2016-03-04 05:37:03)《改行有》
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