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プロフィール
コメント数 1281
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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【製作国 : イギリス 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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1.  バルト・キングダム 《ネタバレ》 脚本・監督と場所・主人公など基本的にはラトビアの映画だが、イギリスの資金が入っているからか台詞が全部英語なのは面白くない。 まず邦題はどうでもいいとして、英題のThe Pagan Kingは「異教の王」で、これは当時まだ現在のバルト三国から旧プロイセンにかけての地域がキリスト教化されていなかったことを背景にしている。また原題のNameja gredzensは、日本では「ナメイスの指輪」または「ナメイス・リング」と呼ばれている銀の指輪である。現地の伝統的な装身具で、字幕の説明によれば身につけた人の「誠意と勇気、自由」を示すものとのことである。 映画の主人公は、指輪の名前に入っているナメイス(Namejs、劇中ではナメイ)という13世紀の人物で、年代記などに名前が出ているが伝説的なところもあるらしい。ゼムガレZemgaleの王ということになっているが、そのゼムガレとは現在のラトビア全土を4または5の地方に区分したうちの1つに相当する(ちなみに以前に車で横断したことがあるが降りなかった)。当然それなりの面積と人口があったはずだが、国内向けの映画紹介で「村レベルの小国」と書いてあるのは、制作上の都合でそのようにしか見えなくなっているのをあらかじめ言い訳したと思われる。なおこれ以外にも、国内向けの映画紹介をそのまま信じると馬鹿を見る。 映画の内容は、現地を支配するため侵攻してきたドイツ人の騎士団(十字軍)と、主人公が率いる地元勢力との戦いが主軸になっており、何気なく現在のエストニア(サーレマー島)やリトアニア人(大公トライデニス)も登場している。史実としては、現在のラトビアと隣のエストニアはやがて騎士団に完全に支配されることがわかっているので、この映画も悲劇的な終わり方になると後味が悪いだろうと思っていたら、そこはうまくかわした感じで安心した。 映画紹介に書かれたような戦闘場面もなくはなく、特に最初の集団戦闘は映画「300」(2007米)を1/10くらいに縮小したようで、小さいながら死人の山もできていた。敵の殺し方がけっこう小気味よく、キリスト教自体は否定しないにせよ、当時の十字軍に対する強烈な反感は映像に出ていたように思われる。ほか恐らく現地での撮影だろうが風景が美しいところが多かった。 問題点を書くと、まず外国人にとってはとにかくわかりにくい映画で、とりあえず何を期待してどこまで我慢すればいいのかわからないのもつらいものがある。また最大の難点はスケールが著しく小さく見えることで、主人公の側がそれこそ村レベルな一方、敵の十字軍も船一艘に乗れる程度の兵員しか見えず、この辺は批判的な観客に叩かれる最大の要因になると思われる。ちなみにこれでもラトビア史上2番目に金のかかった映画らしい。 物語としては、戦記物というより前記「ナメイスの指輪」が一般に普及した由来を語る昔話のようなものかと思われる(信憑性は度外視として)。さらにいえば、これをもとにして現代のラトビア人にメッセージを伝えることが主目的にも見える。 劇中では当初、この指輪は権力の象徴として「王」が持つものとされていたが、戦いに際して主人公がこの指輪を全員に配ったことで、君主の権力を皆に分け与えた形になっていた。これにより国は民の力で運営するものだという、いわば現代の国民主権に通じる考え方が表現されており、同じ監督(アイガルス・グラウバ Aigars Grauba)の「バトル・オブ・リガ」(2007)にも通じるものがある。 この監督のラトビア・ナショナリズム映画第二弾といった印象だが、ナショナリズムといっても別に偏狭な思想で凝り固まっているわけでもない。戦いを前にした衆議では、殺されたくなければ戦うしかない、という主張のほかに、貢税を納めれば殺されずに済むだろうとか、子どもらを守って生き延びるのが第一だといったことを、空虚な観念論ではなく当事者の現実的な判断として主張する人々もいて、これが国民主権のあるべき姿を示していたようである。ちなみに男女共同参画っぽいところも出ていた。 そのほか物語中で、主人公に従うべき族長連中が、侵略者の危険性を認識していながら「誰かに戦いを任せて交易を続けたいだけだ」というのは現代にそのまま通じる話のようで、これはかなり手厳しい皮肉に聞こえた。 以上、映画としては絶賛するようなものでもないが、見るべきものもあって結果的には悪くなかった。ただしよほど関心がある人にしか勧められない。[インターネット(字幕)] 6点(2019-03-23 10:27:25)《改行有》

2.  バンパイア・ラヴァーズ 《ネタバレ》 題名の印象は全く違うが、1872年にアイルランド人作家が英語で書いた小説「カーミラ」(吸血鬼カーミラ)の映画化である。最初に出た古城の映像(絵)がいかにも安手で、続いて男が殺されたあたりで型どおりの定番ホラーかと落胆したが、その後は意外に原作に忠実にできている。舞台は一応原作通りオーストリアのスティリア(シュタイアーマルク)に設定されており、年代としては最初の古城が18世紀末、続く本体エピソードが19世紀前半ということになる。 全体構成としては、原作では登場人物の体験談だったものを映画では独立のエピソードとして起こし、時系列順に並べて見どころを作りながら盛り上げていく形になっている。終盤では、関係者が揃って古城に乗り込んでいくところでもう大丈夫、という安心感を生じさせず、屋敷での出来事を別に作って並行させることでスリリングな印象を出していた。ほかオッパイとか全裸の映像が無造作に出るがそれほど刺激的でもなく、かえってあっけらかんとした感じに見える。ちなみに男を誘惑するのは「カーミラ」の映画化としては反則と思われる。 なおカーミラ(カルミーラ)役の女優は右目の下にほくろがあるようだが、これをこの映画では原作に沿った形で生かす気がなかったらしい。古城にあった絵にもこれを描けばいいだけのことだが、なぜかしていないのはかえって意味不明である。 ところで登場人物に関して、劇中の「エマ」は原作の「ローラ」に相当する人物だろうが、原作では清楚なお嬢さんのイメージだったのに対し、映画ではそうでないとまでは言わないが若干のお転婆感が出ており(目玉も目立ちすぎ)、吸血鬼としてはその辺に惹かれたのだろうが自分としては必ずしも同調できなかった。原作では村娘の葬列が来た際、この人も一緒に歌うことで心優しい人物との印象を出していたが、映画では省略されていたようで残念だった。 題名のとおり映画では女子2人の恋愛感情をはっきり出す形になっているが、ラストでそれがどう表現されたのか自分としてはわからなかった。日本人的にはいわゆる成仏して終わったように受け取れるが、もう1人に継承されたというならちょっと洒落にならない結末であるからそういう解釈はなしにしてもらいたい。[DVD(字幕)] 5点(2017-12-14 22:58:10)《改行有》

3.  蝿男の呪い 《ネタバレ》 ハエ男シリーズの3作目である。1965年にもなってまだ白黒かと思うが、同年の「大怪獣ガメラ」も白黒だったので他人のことは言えない。 場所がケベック州モントリオール(の周辺)というのはこれまでと同じであり、Delambreというフランス風の名字も引き継がれている。今回は基本設定との関係もあって第1、2作の経過が忠実に踏襲されているわけではなく、家族の個人名も違っているが、しかし基本的には第1作を祖父の世代として今回は孫世代までが出ており、1作ごとに世代交代しているのが律儀である。その間次第に研究が進展している印象はあるが、さすがに3世代にわたってもまだ完成せず、依然として化物製造機にとどまっているとなると家系そのものが呪われた雰囲気も出て来る。加えて遺伝的性質が世代を超えて受け継がれていくという設定は、リメイク版の ”FUSION” を先取りしたもののように感じられる。 一方で転送機に関して特に新しいアイデアはないが、機械そのものが不備なこと(それでも人間で実験しないと気が済まない)、及び当初からのネタである物体の融合とか統合の失敗とかが材料として豊富に使われており、映像面はともかく内容の禍々しさはリメイク版にも匹敵している。またドラマ部分についても、新婚の夫婦それぞれに秘密があり、最初は妻の方が変かと見せておいて実はどっちが変だかわかったものでない、という展開は少し工夫が感じられる。 劇中ではハエ男はもちろん(第2作の写真のみ)ハエさえも出ず、新旧各2作の間に挟まって番外編的な印象もあるが、これはこれでハエ男シリーズのまともな一作として数えていい気がする(個人的利害に関係ないのでどうでもいいが)。 なおラストでは続編を匂わせるキャプションが出るが、呪いの家系は断たれてしまったので、これがどうすれば次回に続くのか想像もできず、さすがにこれはもう終わりだろうとしか思えない。[DVD(字幕)] 4点(2014-01-27 20:49:00)《改行有》

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