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【製作国 : イギリス 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
1. わたしを離さないで いつの話なのか。どういった世界なのか。原作はそのことに触れずに淡々と進み、何かが違うという漠然とした違和感を抱かせながら進んでゆく。我々となんら変わらぬ青春の1ページに同居する違和感は不安となり不安が的中したときにはその「我々となんら変わらぬ」が我々に迫ってくるのだ。映画はまずこの世界の説明を最初にする。驚いた。この映画はどうせこの世界がどういったものかを出し惜しみしたサスペンスなのだろうと思ってたから。仮にそうでなくても、ここを出し惜しみしないというのは娯楽映画としてどうなんだろうと。でもこの映画を作った人たちは賢明であった。そんな子供だましよりも、普通でない状況の中で普通に生きる少年少女たちの姿を奇をてらわずに見せることに注力する。そのことで原作にあった切なさを見事に再現しているのだ。透明感のある主要人物たちといい、実に原作の世界観をうまく作り上げていると思う。だからこの映画は素晴らしい、ということにはならない。映画と原作は別物。映画として傑作の域に行くには原作の世界観をこそ壊さなきゃならんのかもしれない。 特に原作が傑作の場合は。[映画館(字幕)] 6点(2011-09-30 15:31:07) 2. ワンダーラスト どこかアキ・カウリスマキの映画のような印象を持ったのはけして主演を務めたパンクミュージシャン、ユージン・ハッツの容貌のせいだけではあるまい。この作品にはある程度本数をこなしてきた監督による作品としか思えないある種の余裕を感じる。なぜそう感じてしまうのかいろいろ考えてみたのだけど、たぶん「やりすぎていない」ってことに尽きるんじゃないだろうか。「スタイリッシュ」とか「お洒落」とかいう言葉が当てはまりそうな映像なんだけど、そこばかりが目立っちゃうほど「そこ」に力を入れてない。というかその加減ができるところにマドンナの凄さがある。これをきっと「センス」というのだ。こういう所謂センスのいい人というのは何やらせてもそれなりのものを作っちゃう。反面あまりに完成されすぎて面白みに欠けるなんて言うのは酷か。[DVD(字幕)] 6点(2011-03-29 13:42:43) 3. ワンダとダイヤと優しい奴ら モンティ・パイソンのギャグってどうも笑えない。でも嫌いじゃない。必死で笑わせようとしてすべってるってのと違って、また反対にいい加減に作ってるわけでもなくて、実に真剣に喜劇を作り、それでいて安易に笑いをとろうとはせず、かといってわかる人だけわかればいいという高尚な笑いを提供しているわけでもなく、むしろ馬鹿馬鹿しくって下品なギャグが満載で、でも下品なギャグってゆうより大人のギャグって感じで、笑っていいのか困惑するようなブラックが散りばめられていて、やっぱりこれは子供には見せられんなと思ったりもする楽しい映画です。なんのこっちゃ。[ビデオ(字幕)] 6点(2006-06-30 17:42:20) 4. わらの犬(1971) 妻の不安をよそに何も行動を起こさない主人公デイヴィットにさんざんイライラさせられ、我々は暴力に対して暴力で答えるデイヴィットを期待する。そして終盤、遂にブチギレて、ひとり果敢に戦うデイヴィット。文章で書くと爽快感を得れそうな展開だが爽快感は皆無。後味の悪さだけを残す。人間に潜む「暴力性」を描く、という観点からすれば、この後味の悪さこそが正しい「暴力」の描き方なのかもしれない。前半のイライラ感は実は目に見えない「暴力」のせいもある。平和主義というよりは、なんとか穏便にやり過ごしたい、いや勝手に穏便になるのを待つだけ、というデイヴィットは、不安を訴える妻に対して手を上げない暴力を振るっていると言える。けして楽しめるアクション映画ではないが、あえて楽しめないことを評価したい。[ビデオ(字幕)] 7点(2005-05-25 17:11:13)(良:1票)
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