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【製作国 : イギリス 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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1.  オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分 《ネタバレ》 トム・ハーディの一人芝居で約90分間を突っ走る、ワンシチュエーション心理ドラマ。 ハーディの抜群の演技力に釘付けになると同時に、映画で使用されたBMWにとっては、最高のプロモーション映画になっている。 主人公は私生活の不運と仕事の不運が重なりあい、ロンドンへ向かう車中、さまざまな人物と電話で息が詰まるようなやり取りをせざるを得なくなる。主人公の自業自得といえばそれまでなのだが、主人公はそんな状況でも、なんとかけじめをつけよう、筋道を作ろうとあがくから、なおやるせなくなる。 (幻覚の)父親に語り掛けるシーン、狂気と愛憎が一緒くたになった声と演技はトム・ハーディの真骨頂であり、まさに彼の独壇場であった。またそのあと、息子との会話で涙を浮かべる表情、さながらジェットコースターのような、表情に落差をつける演技も素晴らしい。 決して明るくはないエンディングを主人公は迎えることになるが、 終盤での、同僚からの最後の言葉、息子からの言葉には、ほろりとさせられる。ほんの少しだけ希望があるような気がする。 お母さんには内緒で、一緒にサッカーの試合を見ようぜと声をかける息子、あんたはいい息子だし、いい大人になるよ。[DVD(字幕)] 8点(2022-10-30 10:45:29)《改行有》

2.  スリー・ビルボード アメリカの田舎町を舞台にしたサスペンス。 冒頭に映し出された3枚の広告からどう話が展開していくのか、先が読めないため、グイグイ映画に引き込まれていった。 登場人物のほとんどが、善悪(というか美点と欠点)が混淆した存在として描かれていて、 非常に泥臭い人物造形となっており、これもアメリカの田舎町の雰囲気とマッチしていて、印象深かった。 惜しむべくは、これだけ秀逸な脚本なだけに、物語のオチの部分、 もう少し踏み込んで描くこともできたのではないか、という思いもある。 ある意味で、最後は着地点をぼやかして映画を終わらせたようにも見える。[DVD(字幕)] 8点(2022-02-16 07:13:00)《改行有》

3.  日の名残り 《ネタバレ》 古き良き英国を体現するかのような、静謐で重厚なトーンで構築された渋い味わいの作品。ジェームズアイヴォリーの巧みな演出と、アンソニーホプキンス、エマトンプソンの演技が光る。原作とは趣きを少し変えており、映画では主役2人の淡いロマンス、もとい名優2人による演技合戦がよりフォーカスされている。薄暗い部屋の中、2人が本を巡って触れ合うシーンは特に秀逸。結局キスシーンにはならなかったのだが、凡百のキスシーンよりも甘く切ない場面になっているのはどうしたわけだろう。これぞ演出の妙であり、演出の教科書に載ってもおかしくないくらい、印象的な場面だった。 映画は名優同士の演技合戦に比重を置いてあるせいか、原作で読者を騙す巧妙なトリックや、原作における(ミスケントンが関わらない)感動的なクライマックスについては、バッサリと削られている。ストーリーの妙や、物語のテーマをより深く味わいたければ、原作を読むことをお勧めする。[DVD(字幕)] 8点(2021-10-20 07:41:32)《改行有》

4.  アンモナイトの目覚め 《ネタバレ》 実在の考古学者、メアリー・アニングを主役としたロマンス文芸映画。相手役となるシャーロットも実在の人物だが、史実ではメアリーよりも10歳以上年上の人物である。また、メアリーは生涯独身だったものの、同性愛者であったかは不明。つまり本作は史実を緩やかに利用した、恋愛ドラマであるといえる。 作中で描かれた、メアリーの人柄が、非常に魅力的だった。寡黙で孤独、仕事に対して強い誇りと愛着を心の内に持つ、不器用なパーソナリティにシャーロット同様に惹かれていった。好き嫌いがはっきり分かれるタイプの映画で、メアリーの複雑というよりは不器用な性格や人となりに、理解や親近感を持てるかどうかが、この映画の好き嫌いを分けるポイントであろう。 静的な造りの映画で、セリフは抑え気味、カメラはあまり動かず、荒々しい海の波音、衣擦れの音、鈴の音が際立ち、BGMそれ自体は極力抑えているのが特徴的。印象に残るショットは多く、海に入って抱き合うメアリーとシャーロットや、絵画の枠に収まるメアリーの姿などは、絵画的な美しさがある。一方で、冒頭の男性が脱ぐシーンも含めて、ヌードシーンやラブシーンは直截的で、肉感的、動物的でさえある。かなりのパンチ力があるため、それ以外の静的なシーンとのコントラストが鮮烈である。動物的なまでのラブシーンを通じて、寡黙な人物が胸に秘める、切実な渇望や心情を表現しているのかもしれない。ラブシーン以外にも、さまざまなカットやショットに監督の意図が込められていることは間違いなく、まさに台詞で語らず、構図で魅せる映画となっている。 物語は二人がこの先どうなるのかを明示しないまま終わってしまう。史実に基づけば、この先数年もしないでメアリーは病で世を去るが、この映画は史実を緩やかに使ったフィクションである。この先の想像は、観客に任せられている。[DVD(字幕)] 8点(2021-10-13 09:51:11)(良:1票) 《改行有》

5.  ライアンの娘 《ネタバレ》 文学作品のような映画を撮るとなれば、この人の右に出る者はいない、巨匠デイビッド・リーン監督作品。フローベールのボヴァリー夫人を下敷きにした人妻の不倫物語を、雄大なアイルランドの景色を背景にして、第一次大戦期間のアイルランドの政治状況も盛り込んで描いている。CGもない時代に、今からすると「どうやって撮った!?」と思わざるをえない、驚異的に美しく壮大な情景描写に圧倒されっぱなしだった(どうやって撮ったも何も、莫大な予算と期間をかけて、本物と見紛うような村を造り、嵐のシーンは実際に嵐を待って、キャストたちに嵐の中演技させたのだから、迫真の映像になるわけである。現在ではコンプライアンス的に絶対できないだろう笑)。 現代的な観点でいうと、ストーリーの骨格はボヴァリー夫人よろしく、”人妻不倫もの”であり、下手をすると観客の拒否感・嫌悪感を呼び起こしかねない作品であるが、そこは巨匠がさすがの手腕を見せている。高潔かつ厳格なコリンズ神父が要所要所で登場し、不倫の恋に燃えるロージーがやがては悲惨な破局を迎えることがわかりやすく提示されている。映画としてはロージーの無文別な恋を決して正当化していないため、観客は安心して観ることができるだけでなく、破局へ向かうカタルシスを味わえる。また、純真な唖者マイケルの存在と、彼へのロージーの心ない対応もまた、ロージーの未熟な人間性を提示していて、ヒロインを美化しない意図が透けて見える。人妻の不倫という俗っぽい内容を、絶妙な人物設定と美しい自然描写を配置して格調高い内容に仕上げているのは、まさにリーン監督の面目躍如だ。物語の構成、構図も見事であり、たとえば劇中2回あるラブシーンは対照を成すことで、夢想した結婚生活の躓きと、道ならぬ恋の高揚を表現している。序盤にマイケルへのキスを拒んだロージーが、最後には別れのキスをする。それによって、ロージーの人間的な成長ないし反省を表現している。夫婦を乗せたバスが長く曲がりくねった道をゆくラストシークエンス。これはまさしく人生の暗喩だ。このように本作は、すべてを台詞で説明せず、構図で語り、構図で魅せる映画になっている。 見どころがたくさんある映画だが、厳格なコリンズ神父と寛大なチャールズの人間性が忘れ難い。特にコリンズ神父の鉄拳制裁に、救われたような気持ちになった人も多かったのではないか(「これも神父の役目だ!」という台詞も最高)。おせっかいながらも、善悪を厳しく峻別し、ヒューマニズムを貫徹する姿に痺れた。[DVD(字幕)] 10点(2020-05-07 10:43:02)(良:1票) 《改行有》

6.  ビューティフル・デイ 暴力的で病的な雰囲気ながら、美しく詩的なシーンもあるし、最後はなんだかんだハッピーエンド。良いところはたくさんあるのだが、映画全体に漂う、主人公の不安定な精神を表現したような病的な雰囲気が、あまり心地よくはなかったため、7点評価とする。ただこの雰囲気を高く評価する人が、少なからずいることは理解できる。カンヌで高評を得たのも、本作の病的かつアート的な部分が評価されたからではないだろうか。 タクシードライバーと比較する人もいるようだが、個人的にはタクシードライバーは病的でハードな部分とメロウな部分(バーナード・ハーマンによる、ジャズ調の優しいスコア)が上手く調和していて、どこか心地のよい物語になっていたのだが、本作はメロウな部分が少ないため、アートで病的、そうしたハードな部分が際立ってしまったという印象がある。したがって、完成度についても、タクシードライバーよりは下だろうと評価する(じゃあどうすればよかったんだ?といわれるとなかなか難しいのだが)。 ちなみに観賞していて、なんかインディーズのオルタナ系音楽の香りがするなぁと思っていたら、案の定、音楽はジョニー・グリーンウッドが担当していた。そりゃ音楽も尖った感じになるわな。[レーザーディスク(字幕)] 7点(2020-04-04 14:01:58)《改行有》

7.  イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密 《ネタバレ》 天才数学者アラン・チューリングの人生を、時間軸を交錯させながら巧みに描いた作品。 カンバーバッチの演技はさすがの一言。というか、カンバーバッチ自身、チューリング同様に名門パブリックスクール出身のエリートであるから、共通点がたくさんあって、演技がしやすかったのではないか。 主に3つの時間軸が交錯する脚本だが、筋の破綻もなく、有機的に機能しており、実にお見事な出来栄え。脚本、演技は素晴らしかったが、演出面はやや平凡か。特に戦闘機や軍艦が出る場面のCGはちょっとちゃち過ぎないか。パンチの効いた画面作りはあまりなかったような気がする。そういう意味では、満点評価はあげられないというのが本音のところだ。 映画全体を通して、当時のイギリス中・上流階級の様子がよく活写されていたと思う。オックスブリッジの閉鎖性、エリート人脈の中で蔓延する共産主義、同性愛…。余談だが、当時、諜報関連の仕事に従事する人間の多くはエリートの出身で、かつ他人には言えない秘密(共産主義シンパ、同性愛傾向)を抱えていたという。当局も半ば承知の上で、そういう人間を採用していたらしい(秘密を頑なに守ろうとするから利用しやすい、もしくは何かが起きたときに使い捨てがしやすいから)。結局のところ、チューリングも、当局にとっては利用しやすい人間の一人だったのかもしれない。 戦後、チューリングの貢献・功績は徹底的に隠匿され、彼自身は同性愛の告発、その後の投薬治療で心身を害し、遂には自ら命を絶ってしまった。 大変な功績のある人物に対して、当時の社会や国家がした仕打ちはあまりに冷淡だった。それと同時に、戦争や諜報というものがいかにシビアな世界であるのかを感じた。[ブルーレイ(字幕)] 8点(2020-04-04 11:01:29)《改行有》

8.  ベイビー・ドライバー 《ネタバレ》 カーアクション×ミュージカル映画という、異色の組み合わせを実現した作品。冒頭のカーチェイスシーンがすさまじい完成度で、思わず引き込まれた。 選曲のセンスも素晴らしく、冒頭のジョンスペからのハーレムシャッフルの流れには興奮するしかなかった。 キャスト陣も豪華な顔触れ。主役二人は大変キュートだし、ケビン・スペイシーとジェイミー・フォックスはさすがの貫録で映画を盛り上げている。ジェイミー・フォックスがここまでわかりやすい悪役をやっているのはなかなか珍しく、面白い。 コメディ、アクション、音楽や映像、ほとんどすべての面で高いレベルにある作品だが、難点もある。クライマックスのチェイスシーン以降から、力を使い果たしたのか、最後のドタバタアクションは、いつものエドガーライト映画と変わりがない。せっかくカーアクション×ミュージカルという異色の切り口で映画を盛り上げてきたのだから、最後もスタイリッシュにそれで押し切ってしまえばよかったのにと思った。比較的良心的(?)な悪役であるバディが何度も登場して、ラスボスを務めるのはちょっとくどいような。 というわけで、後半までぐっと引き込まれていたが、クライマックスの難点により、7点評価で。でも引き込まれる要素もたくさんある、秀逸な作品だ。[インターネット(字幕)] 7点(2020-03-29 13:40:35)《改行有》

9.  ホット・ファズ/俺たちスーパーポリスメン! ほんとくだらない映画なんだけど、けっこう巧妙に作っているんだよなあ。物語の緩急の付け方も素晴らしい。 あとキャストが地味に豪華。ケイトブランシェットもカメオで出ているし。 しかし、ショーンオブザデッドでも思ったが、なんでグロだけやけにはっちゃけているのか(苦笑)[ブルーレイ(字幕)] 8点(2020-02-06 15:21:41)《改行有》

10.  女王陛下のお気に入り イギリス史を少し齧った者から見ると、なかなかどうして本作は、史実の取捨選択が巧みだと感じた。マールバラ侯爵夫人は確かに女王アンと極端に親密であったのは史実であり、同性愛関係についても、その真偽はともかくとして、同時代の人たちが書簡等で彼女たちの関係性を噂する程度には有名だった。アン女王の夫、王配ジョージの存在がまるまるオミットされているのは、彼は政治的野心が皆無で、作中の設定年代ですでに彼が晩年にさしかかっていたため、女同士の政治劇・権力闘争を主題とする本作においては、省略しても構わないという判断があったのだろう。他にも史実との相違を挙げればきりがないが、本作は極端な違和感を抱かせない程度で、史実に緩やかに基づき、女たちの政治的コンゲームを描くことができていたのではないだろうか。 コメディではあるが、ところどころグロテスクで底意地の悪い演出が盛り込まれる、非常に癖がある作風のランティモス監督。本作は英米資本が入っているために、グロテスク要素は抑え気味だときく。確かにぞっとする演出は多いが、ほどほどに手加減が効いていたように思う。 しかし本作の白眉は、女優三人の演技合戦だろう。まさに三位一体となって、映画を盛り上げている(ただし観ていてどんよりとするような方向性で。なんて意地の悪い映画だ笑)。三人の中でオリヴィア・コールマンがオスカーを獲得したが、個人的には三人の協働でオスカーをもぎ取ったようにも思う。エマ・ストーンはアメリカ出身だが、けっこうイギリス英語も似合うと感じた。キャストがイギリス人ばかりで、エマ・ストーンだけアメリカ出身。これは物語登場時におけるアビゲイルの異質感、ある意味でのエイリアンであることを強調するキャスティングだったのだろうか。[ブルーレイ(字幕)] 7点(2020-02-05 19:13:46)《改行有》

11.  ターミネーター 久しぶりに鑑賞。2の印象が強すぎるせいか、1の内容は殆ど忘れてしまっていた。 改めて鑑賞すると、当時本作がB級映画程度の低予算で作られたというのが嘘のように思える素晴らしい出来上がりで驚きを禁じ得ない。 低予算だろうが何だろうが、名作を作れるのはさすが巨匠といったところか。 アクションシーンのスピーディな展開や演出、サスペンスの盛り上げ方、ここぞという場面でちょいちょい入るスローモーションは、センス抜群。 今から見ると未来のシーンやシュワちゃんが完全に機械になったシーン以降は、ちょっと時代を感じる場面もあるが、背景を暗く落として、映像面の拙さを上手く誤魔化しているあたりも、制作側の工夫や努力が感じられて巧みだなと思った印象。 いやー名作。でも本作を上回る2があるので、点数的には9点とする。[インターネット(字幕)] 9点(2019-04-16 09:05:23)《改行有》

12.  ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ 《ネタバレ》 基本的にはタランティーノのパルプフィクションを英国風に、そしてテンポをさらによくした作品という印象だが、これが非常に面白い。 スタイリッシュな映像に加えて、イギリス訛りによる言葉の応酬がとにかくカッコいい。 どんよりとしたロンドンの下町を、大騒ぎしながら駆け抜けていくような、とかく爽快な作品。 パルプフィクションの二番煎じに思える人(その点は否定できないが)、本作の気取ったスタイリッシュさが鼻につく人は、おそらく本作を好意的に観ることはできないだろう。 それにしても主人公たちのバカさ加減が笑える。世知辛い現実に燻っていて、結局はしょうもないこととか、もしくはグダグダになるまで酒を飲むことしかできないあんちゃんたちってイギリスの下町に溢れているんだよな。タランティーノが描くのとはまた違うベクトルの愛すべきダメ人間達で、げらげらと笑わせてもらった。[ブルーレイ(字幕)] 10点(2019-02-10 15:36:46)《改行有》

13.  インターステラー 《ネタバレ》 公開時に劇場で見よう見ようと思っていたが、結局見逃した一作。 正直IMAX画面でブラックホールや氷の惑星の美しさを体感したかったと後悔せずにはいられなかった。 宇宙に旅立つまでの描写が長く、説明的で、ここがこの映画の弱いポイントだと個人的には思った。 伏線を張るために仕方ないのかもしれないが、もうちょっと序盤にメリハリのある展開が欲しいと思った。 宇宙空間に突入してからは、ノーラン作品お決まりのノンリニアストーリー(時系列通りに進まない、直線的でない物語)、カットバック盛りだくさんの演出、重厚華麗なヴィジュアルでごり押しする展開に、否が応でも引き込まれた。 文系人間の私には、登場する理論がさっぱりわからなかったが、とりあえずあの開き直ったかのような五次元空間の表現の仕方については、感動というか自然と笑いが零れてしまった。”現代の科学では検証不能、だから俺の好きなように演出するぜ!これがおれのかんがえた五次元空間じゃい!!”というノーランの叫びが聞こえてきた気がした。あの表現や展開について唖然とする方も多いと聞くが、個人的には苦笑いしつつ、まあ検証不能だからそういう可能性もあるかもしれないと思えた次第である。 何にせよ、鑑賞後は宇宙の広大さや深遠さに思いを馳せるいい機会になった。宇宙の未知の領域に対する希望、関心、それから少なくない恐れ。 技術が発展した現代で、その技術で人は宇宙に向かうのでなく、パソコンの画面や携帯の画面にくぎ付けになっている。そうした状況への反発と、もう一度宇宙に対して関心や希望を持ってみないか、というのが本作の隠れたテーマでもある。本作は冷静知的なノーラン監督らしからぬ、熱いメッセージが込められた映画なのだ。[ブルーレイ(字幕)] 8点(2019-02-10 15:05:35)《改行有》

14.  ダークナイト ライジング 7点か8点かで迷って、結局8点。 いかんな、ノーラン作品は甘めの点数になりがち。 今作の不満点は大まかに二つ。 第一に、作品内でのリアリティが薄れたことによる、物語への没入感の減退。影の同盟や核兵器はやや荒唐無稽な印象が強く、前作で推し進めたマイケルマン風の犯罪劇から物語が離陸したために、物語に上手く入っていけなかった。 第二に、参考にする映画作品を決めていないため、物語も作風もやや散漫になってしまった。ダークナイト以降のノーラン作品は参考にする映画作品を明確に定めて、それを意識した展開や作風にすることで、作品の質を高めていると私は考えているが、本作は参考とする映画作品は定めていないように思える。本作で制作者が決定的に意識した古典作品はディケンズの二都物語。だが、二都物語は有名作品ではあるものの、ディケンズの悪癖であるプロットの破綻や冗長な文章表現が指摘される作品でもある。つまり、本作においては、参考にする古典作品の選定を失敗したために、作品も散漫なものになったのではないかと私は見ている。 ただ、大いに評価できる点も二つ。 一つは、インセプションからの再登板キャストが多い。ノーラン監督の役者への愛着が感じられて好印象。ケイン御大、キリアン、トムハは常連決定だが、ぜひJGLやマリオン姐さんも、今後のノーラン作品への再登板を期待したいところ。 第二が、ラスト付近のバットマンとゴードンのやり取り。あの場面で涙した映画ファンは多かったのでは? バットマンはゴッサムのヒーローだが、バットマンにとってのヒーローはゴードンであった。これ、演じたクリスチャン・ベールとゲイリー・オールドマンとの関係にも当てはめることができるだろう(クリスチャン・ベールの尊敬する俳優は、ゲイリー・オールドマンである)。何より、我々映画ファンにも当てはめることが可能だろう。90年代からエキセントリックな演技で人々を魅了してきたゲイリーは、そこまで映画好きでない人にとっては物凄く怖い悪役の人でしかないだろうが、我々映画を愛する人間にとってはある種のヒーローだった。そういう意趣があの場面には込められており、ノーラン監督の意外な(?)熱い一面が垣間見ることができて、印象深かった。[映画館(字幕)] 8点(2019-01-21 22:42:07)《改行有》

15.  シング・ストリート 未来へのうた 主役2人のカップルがなんと可愛らしいことか。たぶんあの二人は、海を渡って夢を叶えたのだ、と思うことにしている。 気が付いたのはルーシー・ボーイントンは声が異様に若い。顔はどう見ても20歳過ぎだが、声は10代で全然通用すると思った。あれでイギリス英語全開で喋られると、確かにモテるだろうな。ヒロインがモデル志望のませた女の子ということを考えると、意外に良い人選だったのではないか。 物語も良い。劇中曲も良い。不満点はといえば、ラストの貧相なCG、あとお兄ちゃんの描き方をもう少し深くできなかったのだろうかと思う。確かにいい兄ちゃんなのだが、どうもこの手の物語にありがちな人物像な気がして、あまり惹かれなかった。 ラストに表記される「すべての兄弟たちへ」の一言は、とにかく粋である。[ブルーレイ(字幕)] 8点(2019-01-21 22:02:58)《改行有》

16.  ザ・ローリング・ストーンズ/シャイン・ア・ライト メンバー全員が60代に突入したバンドとは思えないエネルギッシュさに圧倒された。 映像や音源も良質で、時折挟まれる過去のフッテージもなかなかセンスよく編集されていた。 ストーンズの過去の映像作品と較べても、現代的でありつつ、ストーンズというバンドの歴史やエッセンスも抽出しつつ、ライブ劇として成立できている希少な作品だと感じた。2時間があっという間だった。 ストーンズのメンバーたちが70代、80代になってもこういう作品がまた撮影されることを期待して、10点評価で。 それにしてもあの連中、70代80代になっても平気な顔でライブをやってそうな気がするな(笑)スコセッシも何ともない顔で映画を撮り続けていそう。[映画館(字幕)] 10点(2019-01-21 21:39:36)《改行有》

17.  裏切りのサーカス 《ネタバレ》 ちょっと採点が甘いが7点評価で。 原作を読んだ上での評価だが、複雑極まりない原作をよく咀嚼した映画作品だと思う。 原作は曖昧な表現の文章が連続する上に、この映画以上に時系列がいじられていて、読者は頭を抱えながら読み進めなければならない。 たとえば、ジョンハート演ずるコントロールが退職前に何を企んでいたのかも、原作では伏せられている。登場人物の人柄も、映画ではやや単純化されているが、原作はそうはいかない。時系列は入り乱れ、人間関係も錯綜。誰が敵なのかさえわからぬまま、霧の中を歩かされるような、そういう苦しさの中で、主人公は過去の記録を読み漁り、丹念に記憶を再生しながら、その記憶の不審点を洗い出し、二重スパイを追い詰めていく、というのが原作の素晴らしさだった。 映画版では、原作の展開をある程度省略し、簡素化しながらも、そのエッセンスは抽出する事が出来ている。特にゲイリー・オールドマンの抑制された演技は秀逸。原作では主人公スマイリーは背が低く小太りの中年という設定だが、長身のゲイリーを見ても、普通にスマイリーっぽく見えてしまう。 ただ残念なのは、原作最大の魅力である、「過去の記録を徹底的に再調査し、記憶を蘇らせながら、不審点を洗い出す」過程が、この映画ではあまり描けていなかった。こんな地味な場面を映像化して面白くなるか実に怪しいのだが、ここが原作最大の魅力だから、映画版も何としても追及してほしかった。 本作を見て、難し過ぎるといっている方は、原作を読むともっと頭を抱えそう。でも、その迷宮のような世界をどうにかこうにか読み通すことで得られる、スパイの世界の寂寞感や荒涼感、その読後感はなかなかに味わい深い。ぜひ原作にも挑戦してほしい。[ブルーレイ(字幕)] 7点(2019-01-12 11:32:08)(良:1票) 《改行有》

18.  キャロル(2015) 様々な切り口で論評できる作品だが、ラストのケイト・ブランシェットの表情が特に印象的だった。 まさに大女優の一世一代の演技だろう。 何も語りはしない、しかし妖艶とも悠然とも言えるあの表情の中に、様々な感情やメッセージが込められており、圧巻だった。 皆さまは彼女のあの表情からどのような思いを読み取るだろうか?[ブルーレイ(字幕)] 8点(2018-11-23 13:17:29)《改行有》

19.  ショーン・オブ・ザ・デッド 《ネタバレ》 ラストのえげつなさに、英国のブラックユーモアが爆発していて、表情が凍った。 いや、ほんとお前ら鬼だよ。 あと、なんでグロシーンはやけにはっちゃけているのか・・・(苦笑) 唐突なグロに逆に爆笑してしまった。 にしてもショーンたちの自堕落な生活、楽しそうだな。 鑑賞しながら途中でビールを手にしていた。[ブルーレイ(字幕)] 8点(2018-11-23 13:08:36)《改行有》

20.  インセプション 《ネタバレ》 「夢の中に潜入する産業スパイ」この設定だけで完全に持って行かれた映画だ。単に夢に潜入するだけでなく、夢の中の夢に潜入するという設定が新たに出てきて、これにも度肝を抜かれた。よくこんなアイデアを考え付くなと感嘆するしかなかった。8点評価としたのは、アクションの描き方が凡庸(雪山のシーンはボンド映画のオマージュなのはわかるが、まあ凡庸 苦笑)なのと作中の日本に関する描写がやや不十分だったため(ちょっとリアリズムに欠けてたかなと)。ここが完璧になっていれば文句なしの10点評価だった。[映画館(字幕)] 8点(2018-09-02 12:52:56)

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