みんなのシネマレビュー |
|
【製作国 : イギリス 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
1. マーガレット・サッチャー/鉄の女の涙 真正面からの政治ドラマを期待していたので、老耄したサッチャーの内的世界にスポットを当てた作風はちょっと肩すかしを食った。保守的なイギリスで庶民出身、女性という立場に伴う様々な苦労、政治家サッチャーと家庭人マーガレットを両立できない苦悩、それらは老耄を絡ませなければ描けないものだったのか? なんかリベラル派が多いという映画界が「庶民を虐げながら仮初めの栄光に浸ったサッチャーも、結局は独り相撲を演じていて追い落とされた末にボケ老人になってしまいましたとさ(笑)」と言っているような底意地の悪さを感じると言っては穿ちすぎか。 そもそもこういう描き方(「勝手に想像した」内的世界に基づく人物像)は、人物が完全に歴史上の人物となって初めてとられるべき手法で、あまりにも無神経さを感じ、遺族が「左翼のファンタジー」と不快感を示したというのもむべなるかなと思える。点数はメリル・ストリープの演技に全部振りたい。[地上波(字幕)] 5点(2014-03-22 14:51:32)《改行有》 2. ヒューゴの不思議な発明 《ネタバレ》 少年と老人の心の救済物語をやりたいのか、映画万歳!をやりたいのか、はっきりすべきだった。どっちもやりたいなら2時間では足りず、結局どっちつかずでスッカラカンという印象。月世界旅行というポイントがいきなり現れ、偏屈ジジイは伝説の映画監督だったという超展開の後は、物事が一気にご都合主義的に動き出し、結局は「自分の映画が売れなくなって拗ねたジジイが、案外ファンがまだいることを知って機嫌を直した」ってただそれだけの映画になっている。ここまでスッカラカンな感じになるのは、人物の描き方が良くないと。原作がどうなってるか知らないが、ヒューゴがジョルジュにノートを取り上げられたとき、誰だって「僕の父親の形見だ」と言やあ済むだろと思うところを頑なに口を噤んでいたシーンが象徴的で、他にも色々あるが当然取るはずの行動を取らないことに対して何の背景も描かれず、あれじゃヒューゴはただただ頭の回らないブサガキで、その他お話の都合に沿って各人物が動いているという印象で、苛々することこの上なかった。それと、本屋のじいちゃんとかロビンフッドとかオートマタになってしまう夢とか「ただ出てきただけ」の事物が多すぎる。何かあるのかと思わせておいて何もない。ああ消化不良。評判の美術も3Dメガネの薄暗い画面で色彩が殺され、さりとて2Dでもう一回見ようとも思えない出来で、ただただ消化不良。[映画館(字幕)] 3点(2012-03-30 01:23:20)(良:2票) 3. ヴェラ・ドレイク 《ネタバレ》 監督さんがヴェラをどう描きたかったのか分からないが、少なくとも自分には彼女は「いい人」というよりは「アブナイ人」に映った。何を考えているのか読めない。義弟の妻が「あんな自分勝手な人」とヴェラを忌み嫌っていたが、自分は常に正しく、周囲を幸福にしていると信じて疑わないヴェラの姿には、道をもう半歩誤っていたら、独善的なシリアル・キラーになっていそうな危うさを感じた。あのタイミングで捕まった事は、誰にとっても幸福な事だろうと思う。「人間は良い事をしながら、悪い事をしているものよ……」この映画を見て、池波正太郎の鬼平ならしみじみそう言うだろう。関係ないけど、イギリスの下町訛りは心地良い。[DVD(字幕)] 7点(2007-02-03 23:04:14) 4. グッドナイト&グッドラック 「報道」とは何なのか。テレビというメディアの役割とは何なのか。それを改めて問いかける為に使われた素材が「アカ狩り」。この日本人には馴染みの薄い事件を話の中心に据えた事で、「アカ狩り」を知らない人には、この作品は随分と薄いものに映るかも知れない。この時アメリカで行われていた「アカ狩り」の様子は、「狂気のマッカーシー旋風」とも形容され、共産主義者を疑われた者が調査委員会の召喚を受けた時の様子などは、さながら魔女裁判のようだったという。しかしジョージ・クルーニーは観客がこれを「知っていること」として話を進めているので、この映画の中からそうした狂気はほとんど感じ取れない。この映画で描かれるのは、あくまでも報道の自由と信念を守るために、ブラウン管を通してスマートに戦う男の姿であって、事件を知っており、かつ「集団心理の狂気」みたいなものを見ることに辟易としている自分などは、この全編を貫くスマートさは歓迎すべきものなんだけれども、事件を全く知らない人には、「???」な映画かも知れない。「興味があるけど、アカ狩りは知らない」という人は、予備知識を入れておく事をオススメします。本来そういう映画はよろしくないんだけれども。最後に、自浄努力もしないまま健康番組の捏造で大騒ぎする日本のメディアと「騙された!」と憤慨する視聴者に、Good Night,and Good luck.[DVD(字幕)] 8点(2007-01-31 23:58:29)(良:1票) 5. スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー スカイ・キャプテンの基地にロボット兵団が攻めて来た時、『巨大な飛行編隊が迫っています!』とか言いながら、迎撃機が一機も空に上がっておらず、しかも地上に残ったままの数十機の戦闘機群が片っ端から破壊されるのを指をくわえて眺めている。その場で戦闘の指揮を執って然るべきスカイ・キャプテンは、敵編隊の指揮機らしきものを追いかけてどっか行ってしまう。そんな『スカイ・キャプテンと彼の率いる何とか』に世界の命運を託した各国首脳に私は涙が止まらない。[ビデオ(字幕)] 4点(2005-08-07 07:40:30) 6. モーターサイクル・ダイアリーズ 「尊敬する人は?」と聞かれる度に、「チェ・ゲバラ」と答える自分にとっては、もう見たくて仕方なかった映画。(別に左巻きの人間ではないです) この映画は、『世間知らずの医学生エルネスト・ゲバラ』が主人公なので、巷に溢れる『ベレー帽を被り、鋭い眼差しで何かを見つめるチェ・ゲバラ』のイメージを持って見始めると、肩透かしを食らうと思う。 しかしチェ・ゲバラを、不器用でバカ正直な、一介の医学生として描いているが故に、かえって彼の天性というか、特異性が伝わってくる。 このエルネスト・ゲバラという青年は、別に徹底的に共産主義を叩き込まれたわけでもなく、近しい者が活動家だったわけでもない。ただ、現代の自分達と同じように『この世界は何かおかしいんじゃないか』と、小さな疑問を抱いている一青年だ。 その小さな疑問は、気紛れで始めた貧乏旅行で、南米各地の『弱者』と呼ばれる人々と接していくことで、次第に増大していく。 ペルーのマチュピチュ遺跡でのエルネストの表情は、個人的にこの映画での一番の見所だと思う。 アルゼンチンで「彼女に水着を買っていかなきゃ」とニヤけていた男が、マチュピチュ遺跡に腰を下ろし「銃なしで革命?不可能だ」と鋭い瞳で呟く。この両者の劇的な表情の変化には、鳥肌が立った。どんなに世の中の暗部に触れたとしても、実際に彼らのために表情を変えられる人間は、まずいない。どこまでも不器用、純粋なエルネストだからこそ、そうすることができたんだろう。 あの表情の変化が、共産主義が敗北した現在も『自由の闘士』として尊敬を集める理由や、キューバの指導者となりながら、まだ圧制や搾取に苦しむ他の国を救うために革命運動に身を投じ、志半ばで斃れた理由、その全てを物語っているように思う。 映画としては、正直2流の出来であると思う。 しかし、この映画が描く『どこにでもいる青年エルネストが、革命の戦士"チェ"・ゲバラになった』という事実は、『お前たちにも何かできるはずだ』と、自分に語りかけてきているような気がした。革命なんて大袈裟なことは言わなくても。 意味も分からず、彼の顔がプリントされたTシャツを着ている人々にも、ぜひ観て欲しい。 きっと、そのTシャツはもう着られなくなるだろうから。[ビデオ(字幕)] 9点(2005-06-28 10:22:39)(良:1票) 《改行有》 7. えびボクサー 「騙されたと思って観てみろ」と言われて、久し振りに騙された。えびが世界チャンピオンになると思ってたのに・・・。「ロッキー」や「レイジング・ブル」並のボクシング映画だと思っていたのに・・・。4点(2004-10-27 22:17:56)(笑:3票) 8. ベッカムに恋して デーブ・スペクターが「日本以外の全ての国でヒットした」と宣っていたので、その言葉を信じて観てみれば、なるほど、良い映画じゃないの。映画としての出来はあんまり良くないかも知れないけど、「プロを夢見るスポーツ少女が様々な障害を乗り越えて云々」というありきたりな題材を「だってインド系だから」という、突拍子もない、しかしものすごい説得力のあるシチュエーションに置いたところが巧い。テンポも良いし(良すぎる?)、全体に明るい雰囲気もイイ感じ。親父も格好良かったぞ。デーブ・スペクター、褒めてあげよう。しかしこの邦題はねぇ・・・自分も邦題でひいちゃったクチなんで。8点(2004-04-20 15:31:00)(笑:1票) 9. ノストラダムス ノストラダムスの予言はまだ生きている、と個人的には思っている。何十年か後、ブッシュやビン・ラディンを遙かに凌ぐ超大馬鹿たれが出てきた時、そいつは1999年7月生、かもしれない。さて、それはそれとして、なんだこの映画。ノストラダムスを「普通の学者」という視点で「普通の映画」を作ろうとした結果、「普通のつまらない映画」になってる。まあ、そうだよね。普通の学者の生涯を普通になぞったって面白いわけがないもんね。3点(2004-04-06 21:09:17) 10. レッド・ツェッペリン/狂熱のライブ 映画として公開したから映画だ!!「天国への階段」でのジミー・ペイジが涙出るほどカッコイイです。「幻惑されて」のソロでのジミー・ペイジがションベンちびるほどカッコイイです。「貴方を愛し続けて」でのジミー・ペイジが鼻血吹くほどカッコイイです。ZEPのロゴ入りジェット機に乗って颯爽と帰っていくジミー・ペイジがゲロ吐くほどカッコイイです。まだ10代ですが、ジミー・ペイジは僕の神様です。でも僕はヴォーカリストです。そして、やっぱり映画ではないと思います・・・。5点(2003-10-06 05:07:29) 11. 戦場のメリークリスマス ワケ分かんねぇっす。ワケわかんねえけど、印象には残った。とりあえず、大島渚はよっぽどホモ映画好きなんだね。たけしはなぜTAKESHIなのか。BEAT TAKESHIじゃイギリス人にはわからんか。6点(2003-08-22 21:00:35) 12. 2001年宇宙の旅 《ネタバレ》 確かに映像は凄かった。「○○年前でこの映像!!」度は「トラ!トラ!トラ!」に並ぶ。猿人が興奮して骨をブンブン振り回してるところでは一緒になって興奮した。あそこの描き方は凄いと思ったよ。でも、分かったのはそこだけ。全体的には謎だらけ。要するにあの石版は進化をもたらす物って事?そんな簡単じゃない?最初出てきたときは「ああ、プレゼンスかな」と思ったけど・・・。違ったな。「60年代であの映画は凄い」じゃなくて、60年代だからあの映画が出来たんだと思う。6点(2003-08-06 07:09:26) 13. ターミネーター3 個人的不安を一掃。ターミネーターシリーズ独特の雰囲気を踏襲しつつ、戦闘シーンなんかは新鮮。シュワのターミネーターが、ちょっとヤな奴なのも良かった。彼が葛藤するシーンでは泣いてしまったぞ。ラストもあれは予測が付かなかった。難癖を付けるならT-Xに尽きる。ムダに武器付けすぎ。そのくせ弱すぎ。なんとか・ローケンが演技力不足からくる迫力不足。ロバート・パトリックのT-1000とは比べるべくもないけど、「トゥームレイダー2」の予告編を見て、アンジェリーナ・ジョリーが良かったな・・・と思っちゃったい。8点(2003-07-13 21:27:44) 14. ノー・マンズ・ランド(2001) 久々に戦争映画を観て心から虚しい気持ちになった。ボスニアもセルビアも国連もマスコミも戦場で殺し合う兵士達も、戦争にまつわるものは全てクソだと監督さんは言いたいんだろうね。戦争に英雄なんていないし、美談なんかあり得ない。9点(2003-06-18 07:25:26) 15. 神に選ばれし無敵の男 空気の読めないバカの話。「ティム・ロス最新作」にだまされた。ていうか主人公から端役に至るまで、扱いがぞんざい過ぎる。こいつは何で出てくるの、あの思わせぶりな態度は結局何だったの・・・説明してくれ!あとな、シーンをそれぞれポンと置くんじゃなくて、繋げてくれ。ドイツ映画でドイツの監督がティム・ロス以外は東欧系の俳優を使ってるのに、英語を喋るのも訳が分からない。また英語圏の人間じゃないからヘタなんだ・・・6月現在2003年度ワースト1。2点(2003-06-08 23:46:05) 16. 戦場のピアニスト んー・・・匿ってもらう、逃げる、匿ってもらう、逃げる、の繰り返しで、今ひとつドーンとくるものがなかった。実話として面白いのはナチスの将校に助けられた話くらいで、後は大戦中の東欧にならどこにでも転がっていた話だと思うし、今まで何度も語られてきたものだと思う。悪い映画ではないと思うけど、カンヌでグランプリ取るほどの映画かというと・・・同じ戦争ものでカンヌのグランプリなら「鬼が来た!」の方が良い。5点(2003-06-02 21:50:21) 17. BROTHER 「北野流・普通のヤクザ映画」って感じ。そのため、指を詰めたり腹を切ったり、自分が苦手なタイプの「痛そう」が多かったのがちょっと。「北野組」俳優陣は相変わらずいい演技。寺島進がものすごい良かったのに、早々に消えてしまったのが悲しい。ラストシーンは蛇足だなぁと思いつつ、ちょっとホロッとしてしまうのは日本人だからか。全体的には、説明不足な箇所があったり、意味不明なカットがあったり「ソナチネ」や「HANA-BI」の繊細さがどっか行っちゃったかんじ。まあ「カッコイイたけし」シリーズで「ソナチネ」以上のモノを望むのは難しいのかな。6点(2003-01-31 03:00:49) 18. ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ 【ネタバレ有り】「スナッチ」を先に見たけど・・・あれより解りやすくてよかった。ていうか「スナッチ」で慣れたのかな。小悪党がガンガン相打ちしていく様が爽快。最後にアイツが儲かるってのは予想外だった。ちょっと嬉しかったけど。ところで、あの銃は落としていなくても、どっちにしろ売れないんじゃ・・・。8点(2003-01-22 23:28:53) 19. 鳩の翼 純愛映画・・・と見せかけといてどんどんドロドロ愛憎劇になっていく。結構これはこれで面白い。現実にいそうなタイプのケイトとマンガかよってほど純粋で情熱的なミリー。このコントラストが絶妙だった。ケイト役の女優は顔と声のギャップがかなりある。ビックリしたよ。7点(2003-01-21 16:42:46) 20. 小さな恋のメロディ ふっ・・・もうこんな恋愛は俺には無理なのかな(遠い目)。「雰囲気で見せるイギリス映画」の究極型かも知れない。どこがいい、というんじゃなくて「いい映画」。音楽もとても良かった。まあ、世の中の男女はこれを観て「恋愛」を再確認するべきかな。ある意味「苦い」映画。8点(2002-12-11 15:12:17)
|
Copyright(C) 1997-2024 JTNEWS